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主人公を中心にした泥沼の四角関係が凄かった『モノアイガンダムズ』の思い出。ジョニー・ライデンの渋い活躍にも痺れた【SDガンダム ジージェネレーション モノアイガンダムズ:メモリの無駄づかい】

文:米澤崇史

公開日時:

 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、ワンダースワンカラー(WSC)に登場した、『SDガンダム ジージェネレーション モノアイガンダムズ』について紹介します。

※この記事には『SDガンダム ジージェネレーション モノアイガンダムズ』のネタバレが含まれています。[IMAGE]

『SDガンダム ジージェネレーション モノアイガンダムズ』とは


 2002年9月26日にバンダイから発売されたWSC用ソフト『SDガンダム ジージェネレーション モノアイガンダムズ』。

 『SDガンダム ジージェネレーション ギャザービート』から始まった、ワンダースワンでリリースされた最後の『ジージェネ』で、2019年11月28日に発売された『ジージェネレーション クロスレイズ』にはPS4/Nintendo Switchでプレイできる移植版もリリースされました。

 『ジージェネ』シリーズとしてはかなり珍しい、オリジナルキャラクターをストーリーの軸にした作品で、主人公機のシスクードはさまざまなゲームに参戦する人気MSでもあります。実際にプレイしたことはなくても、珍しいモノアイ頭のガンダムであるシスクードの存在は知っているという方も多いのではないでしょうか。

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▲写真は『SDガンダム ジージェネレーション クロスレイズ』の早期購入特典で手に入った移植版より。

ジオン側で展開される“王道”とは一味違うストーリーがとにかく面白い【SDガンダム ジージェネレーション DSの思い出】


 筆者がとくに印象に残っているのが、独自性の強いストーリー。本作は『機動戦士ガンダム』の一年戦争編からスタートするのですが、主人公であるシグ・ウェドナーは地球連邦ではなくジオン公国の一部隊であるブラード戦隊に所属していて、基本ジオン側の視点で物語が進んでいきます。

 それまでの『ジージェネ ギャザービート』シリーズや、オールスター系の『ガンダム』ゲームでは基本的にプレイヤーは連邦側なことが多いので、シン・マツナガやジョニー・ライデン、アナベル・ガトーといったジオンのエースが序盤から仲間になって主力として活躍するのは新鮮でした(12歳のハマーン・カーンが一年戦争編から加入して、シャアを巡ってララァに対抗心を燃やすという、後のハマーンからは想像のつかないシーンもあったりします)。

 加えて、主に『機動戦士ガンダム』~『機動戦士Zガンダム』あたりにかけての時間軸で展開される『モノアイガンダムズ』オリジナルキャラたちの愛憎ストーリーがめちゃくちゃ面白い。

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▲写真は『SDガンダム ジージェネレーション クロスレイズ』の早期購入特典で手に入った移植版より。

 ストーリーの軸になるのは、主人公のシグとフラナガン機関から出向してきたニュータイプであるセレイン・イクスペリ(セラ)の存在で、2人はけっこう序盤の早い段階で打ち解けて心を通わせます。ここで障害となるのが、セラに好意を寄せている同じフラナガン機関のニュータイプで、シグにとって部下にあたるアイン・レヴィです。

 原作の『ガンダム』と同様にジオンはア・バオア・クー攻防戦で敗れ、シグたちは敗走することになるのですが、じつはこの時アインは連邦と裏でつながっていて、セラを連邦に売り渡そうと企みます(これに関わっている連邦側のキャラが、『機動新世紀ガンダムX』のフロスト兄弟だったりするクロスオーバーも印象的)。

 このアインの裏切りによりセラはMIAとなり、ブラード戦隊は壊滅。生き残ったシグはアインへの復讐のため、デラーズ・フリートやエゥーゴと複数組織を渡り歩いて戦い続けるんですが、じつはセラは生きて連邦に回収されており、アインに洗脳されティターンズの一員としてシグの前に立ち塞がる……という、怒涛のストーリーが展開されていきます。

 『Zガンダム』の時代まで進むと、そこに昔からシグに想いを寄せていた幼馴染ミアン・ファーレンも本格的に関わってきて、シグ・セラ・ミアン・アインの間で、昼ドラさながらの泥沼の四角関係に発展。最終的に、どちらのヒロインと結ばれるかのエンディング分岐もあったり、恋愛要素が強めなのも特徴になっていました。

 このオリジナルストーリーに、ジョニー・ライデンが関わってくるのも個人的なお気に入りポイント。

 本作のライデンは最序盤に仲間になり、デラーズ・フリート、エゥーゴと所属が変わっても最後まで残り続けてくれます。復讐鬼となり何も顧みなくなったシグに戦う理由を諭すシーンもあったり、古くからシグを知る兄貴分としてストーリーでもいい味出していいます。それまでの『ガンダム』ゲームの中でも、ここまでジョニー・ライデンにスポットが当たった作品はなかったんじゃないかなと。

 いろいろな意味で『ガンダム』ゲームの“王道”とは違う、異色のストーリーが展開されていた『モノアイガンダムズ』。今もなお根強い人気を残っているのは、本作にしかない独自の魅力がとくに多い作品だったからなのかなと思っています。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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