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【スパロボY参戦作品紹介】新機動戦記ガンダムW Endless Waltz:小隊制との相性が良すぎた『第2次α』のウイングゼロ。今回の五飛はどこに所属するのか?【スーパーロボット大戦Y】

文:米澤崇史

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 『スーパーロボット大戦Y(スパロボY)』に参戦する作品を紹介。連載第13回は『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』(以下、EW)について語ります。

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 2025年8月28日にバンダイナムコエンターテインメントから発売予定の、シミュレーションRPG『スーパーロボット大戦』シリーズ最新作となる『スーパーロボット大戦Y』。機体のみのものも含め、21作品が本作に参戦します。


 『スーパーロボット大戦30』から数えると(間にDLCや追加ストーリーはありましたが)、4年弱ぶりのコンシューマ向け『スパロボ』ということで、久しぶりにワクワクしているシリーズファンも多いのではないでしょうか(もちろん筆者もその一人)。

 『スパロボ』でまったく知らない作品に触れる……というのも、勿論立派な楽しみ方の一つではあるんですが、ある程度作品の知識があったり、原作を見たことがあれば、「こんなクロスオーバーを仕込んできたか」みたいな感動を得られたりするのも、『スパロボ』ならではの魅力。

 そこでこの連載では、『スパロボY』に向けての予習・復習を兼ねて、参戦作品についての大まかなあらすじや、『スパロボY』での注目ポイントを紹介していきます。

 なお、核心に触れるようなものは避けますが、
ある程度の作品のネタバレを含む内容となっているので、未視聴の場合はご注意ください。

『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』とは?【スパロボY参戦作品紹介】


 『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』は、1997年に発売されたOVAシリーズ(1998年には追加編集された劇場版も公開)。

 1995~1996年にかけて放送されていたTVアニメ『新機動戦記ガンダムW』の続編にあたる作品で、ガンダムパイロットたちの活躍によって世界が平和を取り戻してから1年後、かつてのOZの総帥、トレーズ・クシュリナーダの娘を名乗るマリーメイア・クシュリナーダが私設軍隊と共に蜂起し、世界に対して宣戦を布告。

 それぞれの決意を胸に、再び戦いに挑む5人のガンダムパイロットたちのドラマが描かれています。


 OVA化にあたって、ヒイロ・ユイら5人のメインキャラクターが乗るガンダムは、設定上はTVシリーズと同一機体でありながらデザインがリファインされており、中でもウイングガンダムゼロには天使のような翼がつき、大きくTV版からイメージが変わっています。

 このあたり、昔のプラモデルの商品名やゲームでは“ウイングガンダムゼロカスタム”、“ガンダムデスサイズヘルカスタム”といったように、名前の後に“カスタム”をつけてTVシリーズの機体と区別がつけられていたのですが、前述した通り、本来は同じ機体という矛盾を解消するためか、現在はウイングガンダムゼロ(EW版)という表記で統一されています。


 ただ、その期間があまりに長かったこともあって、完全にカスタム呼びが定着してしまっている部分があり、今でも“ウイングガンダムゼロカスタム”として認識しているファンは多いんじゃないかなと。

 仕事柄、癖がつくと原稿でもやらかしかねないので、普段から名称には気をつけているんですけど、自分もちょっと気が緩むと、今でも「ゼロカスタム」呼びしそうになりますね。

■『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』を見る

マップ兵器の鬼として活躍した『第2次α』のウイングゼロ【スパロボY参戦作品紹介】


 そんな『EW』が初めて『スパロボ』に参戦したのは、『スーパーロボット大戦F完結編』。ゲームの発売が1998年4月23日、OVAの最終巻が1997年7月25日なので、完結から一年未満のスピード参戦となっています。

 ただ、ストーリー再現などは行われず、隠しユニットとして『EW』版のウイングゼロとトールギスIIIの2機だけが登場する、ゲスト参戦的な扱いでした。そのためか参戦作品にも『EW』の表記はされていませんでした(このあたりのルールは当時ならではで、今ならしっかりと『EW』も参戦作品として明記されていただろうなと)。

 以降は、準レギュラー作品として様々な『スパロボ』に参戦。とくに『EW』は、ヒイロたちの所属する組織であるプリベンターが『スパロボ』のストーリー的に扱いやすいこともあってか、TVシリーズよりも参戦回数が多くなっています。

 個人的には思い出に残っているのが、『第2次スーパーロボット大戦α』の時でしょうか。

 『第2次α』は『スパロボ』シリーズにおいて、初めて複数のユニットを1つのチームとして動かす小隊制を採用した作品で、この頃は小隊全員を攻撃できるALL武器すら結構貴重だったので、複数の小隊をまとめて攻撃できるマップ兵器はとくに強力でした。

 その点、ウイングガンダムゼロはツインバスターライフルという長射程・高威力の優秀なマップ兵器を有しており、小隊メンバーに“覚醒”の精神コマンドを習得するキャラを配置することで位置調整も容易だったので、マップ兵器の鬼として大活躍してくれました。


 従来の『スパロボ』での“覚醒”を使うと攻撃系の精神コマンドにポイントを割きにくくなるという問題も、小隊員側に使ってもらうことで、攻撃役は“熱血”や“魂”に精神ポイントをすべて注ぎ込めたのも追い風でした。

 あと『第2次α』は、『EW』版のウイングガンダム(当時は“アーリーウイング”と呼ばれていましたが)が使えた唯一のスパロボでもあります。

 入手条件は結構厳しいのですが、2機のウイングガンダムを同時運用できるのは強力で、ビームサーベルの戦闘アニメがTVシリーズでノベンタ元帥の乗るシャトルを落とした時の動き(“ノベンタ斬り”とも)が再現されていたのも高ポイントでした。バードモードの変形を織り交ぜる戦闘アニメがめちゃくちゃカッコイイんですよ……。

 あとは、デュオ・マックスウェルの乗るガンダムデスサイズヘルが、時折ウイングゼロよりも使い勝手が良かったりするのも『スパロボ』の面白いところ。

 とくにそれが極まっていたのが『スーパーロボット大戦A』の時でしょうか。

 武器はバルカンとビームシザースしかないんですが、『スパロボA』のビームシザースは、ツインバスターライフル並の攻撃力を持ちながら消費ENはなし、射程1~3で移動後使用可能、クリティカル率は50%という、設定ミスを疑うレベルのとんでもない性能をもっていました。

 その上、ハイパージャマー(分身)で回避力も高いので、射程が伸びる強化パーツを大量につければ、敵陣に突っ込んでバッタバッタと反撃で敵を落としていく最強の切り込みユニットとして活躍してくれました。

 『スパロボA』の頃はまだ武器改造が個別だったので、「これを改造しておけばOK」っていう武器があるユニットほどコスパよく強くなるシステム的な追い風もありましたね。


 参戦タイミングは全39話中第27話と遅めなんですが(『EW』のウイング勢は結構早く加入することが多いので珍しいです)、それを差し引いても圧倒的に強かったという印象が残るくらい、『スパロボA』のデスサイズヘルは輝いていました。

 ウイングゼロは作品によって結構強さにバラつきがあるのですが、デスサイズヘルはどの作品でも安定して強い印象もあり、『スパロボY』だとどうなるのか気になるところです。

今回の張五飛の扱いはどうなる?【スパロボY参戦作品紹介】


 『スパロボY』での扱いですが、今回は原作のストーリー再現があるのではないかと踏んでいます。

 まずPVでヒイロがマリーメイア軍のモビルスーツであるサーペントと戦闘していることに加えて、一度人類同士の戦争が終結しているという『スパロボY』の世界観と、平和な世界で居場所がなくなった兵士たちというマリーメイア軍の設定の親和性が非常に高いんですよね。

 他にも元ネオ・ジオンや元ザフトとか、いろんな組織の兵士たちの寄り合い所帯みたいになっているのではないかと予想しています(原作のマリーメイア軍自体、元OZや元ホワイト・ファングなどかつては敵対していた組織の兵士が集まっていたようですし)。

 となると、『スパロボ』でいろんな意味で愛されている張五飛は、今回は原作通りマリーメイア軍として一度敵対するのではないかなと。


 『スパロボ』における五飛は、マリーメイア軍以外にも、ネオ・ジオンだったりザフトだったり銀河帝国軍だったり、いろんな敵組織に所属することで有名で、中でも『スーパーロボット大戦L』では、『鉄のラインバレル』の加藤機関にあまりにも違和感なく馴染みすぎていたことから“ナタクのファクター”というワードがファンの中で誕生していたほど。

 ある意味、『スパロボ』におけるクロスオーバーの象徴的なキャラクターとも言えるかもしれません。

 また、意外にも若くして結婚、妻との死別という壮絶な人生経験を積んでいるキャラでもあるので、『マクロスΔ』のハヤテとフレイア、『SSSS.DYNAZENON』の蓬や夢芽といった、若いカップルキャラたちに恋愛的なアドバイスを送るシーンがあったりしても面白いんじゃないか……と期待したりもしています。

『スパロボY』参戦作品紹介バックナンバー(第10回~第12回)


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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