ロゴジャック
電撃オンライン

『モンガータの旅人よ』電撃コミックレグルスで連載開始。野間与太郎先生が明かす制作秘話とは?

文:電撃オンライン

公開日時:

 漫画『モンガータの旅人よ』が、10月25日より電撃コミックレグルスにて連載開始された。今回、連載開始の記念に行われた、作者の野間与太郎先生へのインタビューを公開する。

[IMAGE]

【特別インタビュー】『モンガータの旅人よ』が電撃コミック レグルスにて連載開始! 野間与太郎先生が明かす誕生秘話!


 舟葬文化が残る小さな島で、葬送舟をつくる2人の若い職人と島民の交流を描く、『モンガータの旅人よ』(著:野間与太郎)が電撃コミック レグルスにて10月25日(金)より連載開始された。

 連載開始を記念して、野間与太郎先生へ『モンガータの旅人よ』制作秘話について聞いた。

あらすじ


 1965年、北大西洋・シュエルデン国ケンズ島。両親を船の事故で亡くしたオリジは「死なない船をつくる」と決意し船大工を志すが、ひょんなことから、いまだ舟葬文化の残るこのケンズ島で葬送舟を作ることになる。

 死をお金にしていく葛藤に苦しむオリジに、相棒のアルトと“モンガータの旅人”が見せた景色とは――。

 正反対の舟職人2人と島民たちが織りなす、切なくも心温まる物語。

野間与太郎先生へインタビュー

[IMAGE]

「ただ暗いお話ではなく、小さな島で生きる人たちのささやかな日常風景を描きたい――」


――10月25日から「電撃コミック レグルス」で連載開始されました、『モンガータの旅人よ』が生まれるまでを野間与太郎先生にお聞きしたいと思います。まずこの作品はどのようなお話でしょうか?

 『モンガータの旅人よ』では、死をテーマにはしていますが、ただ暗いお話ではなく、オリジとアルトの仕事を通して見える、小さな島で生きる人たちの、大切にしている、ささやかな日常風景を描きたいと思っています。

[IMAGE]
▲島の港の風景。猫や鳥も生きている。
――ささやかな日常風景……素敵ですね。そもそも『モンガータの旅人よ』は何から着想を得たのでしょうか?

 とある民族調の音楽を聴いていたら、頭にパッと、夜の海が広がりました。そこには一艘の小さな舟が漂っていて、人影はないのですが、誰かが乗っている気がする。

 誰だろう? 眠ってる? ……いや、亡くなった人だ。でも、亡くなった人が自分でこの舟に乗ることはできない。じゃあ誰が乗せてくれたんだろう?

 そもそもこの舟は、誰が、どんな人が作ったんだろう? ……と、どんどん想像が膨らんでいきました。

[IMAGE]
▲野間与太郎・画『舟を送る人』
――たしかに、亡くなった人を乗せてくれる誰かがいる。それはどんな人なんだろうと、想像すると面白いですね。タイトルの『モンガータの旅人よ』も素敵だと思いました。こちらのタイトルに込めた意味や想いを教えてください。

 「モンガータ(Mångata)」はスウェーデン語で「水面に反射した月明かりが一本の道のように見える現象」という意味だそうです。

 その道を進んでいく一艘の舟に乗る故人の旅、そして見送る残された人びとの、これからの旅を祈りたい。という想いを込めて、「モンガータの旅人よ」というタイトルになりました。

 一緒に何時間も考えてくださった担当編集さんに本当に感謝です……!

[IMAGE]
▲“モンガータの旅人”について説明するアルト。

「企画の初期は女の子で、名前も違いました――」


――登場するキャラクターについてもお聞きしたいと思います。作中の主人公オリジと相棒のアルトは野間与太郎先生にとってどんな人物ですか?

 オリジとアルトは同世代の青年で、どちらも船大工ですが、生きるための船を作ってきたオリジと、亡くなった人のための舟を作ってきたアルトは、様々な価値観が異なります。

 何かと悩み戸惑うオリジに比べて、アルトは決断が早いのですが危なっかしいところもあります。私は著者ですが、正反対の2人がどのような相棒になっていくのか、これからとても楽しみです。

[IMAGE]
▲オリジとアルト、正反対の2人。
――正反対の2人が今後どうなっていくのか楽しみです。ちなみにこの2人のキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか?

 オリジは、企画の初期では女の子で、名前も違いました。メガネをかけた黒髪の少し長めなボブでした。男の子に変更したのは、お話にどうしても恋愛色が出てしまう気がしたからです。

 異性にすると、まだ、どうしても恋愛を期待してしまうのが世の中的にマジョリティだという感覚がありました。

 描きたい関係性は、友愛や親愛というものですし、船大工や同世代の青年という共通点が多い方が、価値観の違いとのギャップもあって良いなと思い、変更しました。アルトは初期からイメージはほぼ変わってません。

[IMAGE]
▲初期ラフ画。

「太平洋と瀬戸内海と日本海、波の違いが面白いなあと――」


――『モンガータの旅人』の舞台は、1965年北大西洋・シュエルデン国にある小さな島・ケンズ島。架空の国や島が舞台だとお聞きしました。どの国や街がモデルになっているのでしょうか?

 ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイスランド、フィンランド、エストニア……という、主に北欧周辺諸国をモデルにしています。

[IMAGE]
▲作中のケンズ島の地図。
――ヨーロッパなんですね! ちなみに取材に行かれた場所などありますか?

 さすがにヨーロッパは簡単には行けなかったので、国内で海辺の街に取材にいきました。神奈川県の葉山や、広島県の尾道市、小豆島、神戸、鳥取。太平洋と瀬戸内海と日本海の波の違いが面白いなあと思いました。

 あと、工房の風景は、木工家具職人をしている父の工房に取材しました。材木の種類や、日本と西洋の道具の違いなど、色々知れて勉強になりました。

――波の違いや木工道具にも違いがあるんですね。
[IMAGE]
▲日本と異なる西洋式のカンナ(工具)。

「すべての経験がなければ、今回の連載は生まれてない――」


――野間与太郎先生自身についてもお聞かせください。漫画家デビューが10年目おめでとうございます。今までどのような作品を描き、『モンガータの旅人よ』へ繋がっているのでしょうか?

 初期の頃、少女漫画誌で読み切りを3本ほど描きました。いずれもあんまり恋愛色は強くなかったかもしれません。その後は学習まんがや児童書籍の挿画で主に日本史や世界史のお話を描かせていただきました。

 そして前作の四葉夕ト先生原作「魔法空艇の案内係」を連載させていただきました。すべての経験がなければ、今回の連載は生まれていないと思います。本当に感謝しかないです。

――少女漫画から歴史ものまで、面白い経歴ですね。作業スタイルについてもお聞きしたいと思います。『モンガータの旅人よ』の世界をどのような環境や道具で生み出しているのでしょうか?

 プロット〜シナリオ、ネームはアナログのノートやiPadを使っています。原稿はデジタルで、MacBook pro + Wacom movinkです。目の前に常に猫がいます。机周りは基本ごちゃごちゃしてます。

[IMAGE][IMAGE]
▲野間先生宅の制作環境。飼い猫も。

――素敵な環境ですね!! 猫ちゃんやカメラも素敵です! 野間与太郎先生のSNSを拝見して、カメラや料理や歴史など、趣味が『モンガータの旅人よ』の世界観に繋がっているなと感じました。どのような趣味をお持ちでしょうか?

 音楽、カメラ(撮るのも使うのも)、文房具、料理、旅行、読書(歴史、旅、写真、随筆、漫画 etc)、骨董市、お城、ギャラリー巡り、美術館博物館巡り、などです。

「最後に読者さんへのメッセージ」


――たくさん制作秘話をお聞かせいただきありがとうございました。最後に読者さんへのメッセージをお願いします。

 ここまでインタビュー記事を読んでくださって、ありがとうございました。

 漫画家生活10年目にして初めてのオリジナル作品の連載で、とてつもなく緊張していますが、自分の大好きなこの世界観を、良いなと思ってくださる方と、熱く握手したい……! という気持ちで描いています。

 仲間になってもらえますと嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

作品詳細

[IMAGE]

■タイトル:『モンガータの旅人よ』
■レーベル:『電撃コミック レグルス』
■漫画:野間与太郎
■更新週:毎月第4金曜日

    本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります