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『トライブナイン』死遊体験版レビュー①:虚構と現実の境界線があいまいな世界観。トントン拍子に進んでいたと思ったらあっという間に地獄絵図!?

文:原常樹

公開日時:

最終更新:

 アカツキゲームスとトゥーキョーゲームスが送るiOS/Android/PC(Steam)用アクションRPG『トライブナイン』の“死遊体験版”が、10月15日~10月22日の期間限定で配信されました。

 同作は、『ダンガンロンパ』シリーズを手がけた小高和剛氏率いるトゥーキョーゲームスとアカツキゲームスの共同プロジェクト。小高氏自らが世界観原案を担当し、音楽は『ダンガンロンパ』シリーズの楽曲を手がけた高田雅史氏や『スプラトゥーン』シリーズなどで作曲を担当した永松亮氏が担当。さらにキャラクターデザインはトゥーキョーゲームス所属のクリエイターである小松崎類氏としまどりる氏が担当しています。

 そんな“死遊体験版”をプレイして体感した、同作の世界観について紹介します。

※本記事には最序盤のネタバレがありますので、まっさらな状態で配信を待ちたいという方はご注意ください(核心に迫るネタバレはありません)。
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虚構と現実の境界線があいまいな世界観

崩れる虚構の世界、絶望の脱出劇

 ゲームを起動すると、いきなりレトロな王道RPGがスタート。主人公は女神像の指示にうながされるまま、日々勇者としての修練に励んでいました。

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 しかし、空を歩く人影を見つけたことで世界に大きな変化が訪れます。メッセージ欄は文字化けし、建物はまるでハリボテのように倒壊。やがて彼は黒中曜(声:小林千晃)としての自我を少しずつ取り戻していきます。彼は、故郷であるメグロシティを侵略した謎の敵に立ち向かい、敗れた末に洗脳を施されていたのだとか……。

 いわゆるゲームインゲームをふんだんに盛り込み、虚構と現実の境目をあいまいにする演出はトゥーキョーゲームスが原案を担当する世界観ならではという感じがありますね。

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 すべての元凶であるゼロ(声:石田彰)は、自立移動する軍事ロボットやドローンを使って、ネオトーキョー国全域をたったひとりで制圧したといいます。彼は地上を侵略・監視するための空中要塞“24シティ”を稼働させ、曜が囚われていたのもその一角。

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 曜を洗脳から解いたのはQ(声:諏訪部順一)や青山カズキ(声:千葉翔也)ら9名の反逆者でした。その中には、曜の幼なじみだという彩葉ツキ(声:夏吉ゆうこ)や八雲彗(声:福西勝也)の姿もあります。ふたりの話では、曜はエクストリームベースボール(XB)という競技の凄腕のプレイヤーだったそうですが、まったく思い出せず……。

 競技名に聞き覚えのある方もいらっしゃるかもしれませんが、本ゲームは2022年に放映されたアニメ『トライブナイン』と地続きの世界観。アニメのなかでは“トライブ”と呼ばれるアウトロー集団が、命をかけた決闘の代わりに野球をベースとするこの過激なXBに打ち込む姿が描かれていました。よく見ると、曜を助けに来た反逆者もアニメに登場していたXBプレイヤーやその関係者がほとんどなんですよね。

 とはいえ、ゲームは時系列的にはアニメよりも後の話で、完全に独立したストーリーなので、アニメの知識がないと話についていけないということもありません。相互補完でより世界を楽しめるメディアミックスと考えればいいのかなと。

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 反逆者チームは、24シティの中にあるという衛星兵器“スペースツカイスリー”の制御装置をすでに破壊しており、曜の救出にも成功したのであとは脱出するだけ。この辺りからはプレイヤー自身が曜を操作してバトルに臨むことになります。

 これがかなりの難しさで……。“死にゲー×アクションRPG”とジャンルを銘打っているだけあって、数回敵の攻撃を受けた瞬間にバトル敗北となります。実際、筆者も最初のバトルで何度か再挑戦をするハメになりました。

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 詳しくはバトルアクションを紹介する記事(10月31日公開予定)で別途記載しますが、24シティの脱出はチュートリアルのようなものなのでキャラクターの育成やパーティの編成はできません。敵の攻撃にタイミングをあわせたパリィやジャスト回避の要素があるバトルなので、アクションに慣れていないと大変だなと!

 むしろ、物語が進んでシナガワシティに到着してからのほうがバトルでのプレイヤーの負担も減る印象なので、サービス開始後にプレイして心が折れそうになる方がいたら「もうちょっと頑張るとラクになる!」と思うといいかもしれません。

 幸い、パーティバトルの本作では、操作していないキャラクターをCPUが的確にコントロールしてくれるので、自分でバトルをすべて解決しようと思う必要はありません。とくに体力が減ると彗が回復してくれるので、一目散に逃げ回るのも有効な戦術となります。

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 曜、ツキ、彗の3人は無事日常に帰れるように拳を突き合わせます。どうにか脱出ポッド格納庫に辿り着くのですが……そこで待っていたのは、まさかの黒幕であるゼロ本人。トントン拍子に進んでいた脱出劇があっという間に地獄絵図へと変わっていきます。

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 そして、ここから待っているのはまさに悪夢のような展開。小高氏が世界観の原案を手がける作品ということでプレイ前から予想していた方も多いかとは思いますが、同作はその期待を裏切らないような“絶望”がしっかり用意されています。

 冒頭のゲームインゲームの演出もそうでしたが、どこまでが現実でどこまでが夢かという境界線もわからなくなるような展開というのはインパクトがあります。「これが現実だとは信じたくない」というプレイヤーの嘆きすらも、手玉に取られているようでゼロの存在が不気味なんですよね。石田彰さんの好演が拍車をかけているというのも間違いありません。

ついにゼロとの直接対決へ!?

 最終的に曜たち反乱分子は、ゼロとXBで対決することになります。それまでの凄惨な展開から急に球技に移る感じも“ならでは”のカラーだなぁと。

 とはいえ、XBはそういう次元を超えたエクストリームな球技。野球で正々堂々と決着をつけると書くと平和的に感じますが、選手たちの身の安全は保証されません。ちなみに野球のルールを知らなくてもまったく問題なく遊べますので、そこはご心配なく。

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 基本的なルールは野球と一緒ですが、フィールドの規模がシティ全域と広大。反乱分子の9人に対して、ゼロはたったひとりで攻守を務めます。野球のルールをご存じの方ならばわかりますが……ムチャクチャです。もはや二刀流どころの騒ぎではありません。

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 しかしそれでも反乱分子を一蹴できるほど強力な力を持っているのがゼロという黒幕。反乱分子は手玉に取られ、ゼロのプランどおりにゲームは進んでいきます。曜とゼロの対決も熾烈を極めることに。

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 結局ここではゼロとの決着はつきません。ラスボスとでもいうべき黒幕がプロローグから登場し、正々堂々とやり合う場を設けてくれるにもかかわらず、物理的に叶わないというのも『トライブナイン』ならではの要素かと。

ゼロの野望を打ち砕くためデスゲームに挑戦

 物語の舞台はここからシナガワシティに移り、曜たちはゼロの提唱する究極のデスゲーム“XG”に否応なく参加することになります。

 ゼロの有望な対戦相手として目をかけられた曜ですが、ほかにもゼロが目をつけていた人材がおり、ここからは彼ら“ナンバーズ”が対戦相手に。

 アクションゲームのステージセレクト画面のようにナンバーズの顔が並んでいますが、ここからは彼らにデスゲームで打ち勝つことでゼロへの挑戦権を勝ち取らなくてはいけません。そして、最初の対戦相手は、シナガワシティを牛耳る一ノ瀬一馬(声:森川智之)です。

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 最初のゲーム“ゴマスリ☆クビキリ☆サバイバル”はシナガワシティ全体を会社に見立てて、トップに立つ会長にワイロなどでゴマをすりながら大恐慌を生き残るというゲーム。会長は舞台装置のような存在なので、実質的にはその下である社長が一番偉いゲームプレイヤーで一ノ瀬がその座に収まっています。

 プレイヤーたちは一ノ瀬を追い落とすべく、甘い物好きの会長のために“安土桃山半熟カステラ”なる和菓子を求めて、舞台となるシナガワトライブを探索することに!

 言葉で説明するとなんだかほのぼのとした感じがしますが、小高氏原案の世界観でデスゲームといえばそんな容易いものではありません。ギミックやデザインはポップでも、その中身はバイオレンスそのもの。“クビキリ”というゲームタイトルからもわかるように敗者の末路はかなり凄惨で……。

 ブサカワなマスコットに代弁させる形でゼロが進行を務めるなどのお約束も踏襲しつつ、過酷なデスゲームが展開されていきます。

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 協力者を募りつつ、いかにしてこの地獄から脱出するか、そしてゼロとの対戦相手の権利を勝ち取り、彼をねじ伏せるか――かなり特異な世界観のゲームではありますが、プレイヤーの目指すべき目標がしっかり明示されているので、ストーリーはかなりわかりやすい形に落とし込まれています。

 登場人物はいずれもひと癖もふた癖もあるキャラクターばかりですが、“死遊体験版”の範囲では人となりの片鱗しかうかがい知ることができません。深掘りされるであろう正式リリースが楽しみですね……!

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 最後にフィールドのグラフィックについて。舞台となるネオトーキョーの近未来的なフィールドも精緻なドットで再現されており、ほかのプレイヤーが戦闘に敗北した地点が生々しい痕跡として残っているのも死と隣り合わせの世界観に即していると同時にRPGとしての難所を知らせるアラートになっているのはおもしろいなと!(難所の近くは、死者の痕跡が多すぎてアイテムを回収する際に誤タップになりやすいという欠点もありますが……)

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 そんなネオトーキョーの景観に高田氏や永松氏が手がけるサイバーなBGMが組み合わさることで世界観の深みを増幅しているのも魅力だと感じました。

 まだまだ注目ポイントが満載の『トライブナイン』。続く明日公開の記事では、ゲームの根幹をなすバトルについてのプレイフィールをお届けします。お楽しみに!

『トライブナイン』概要

タイトル:TRIBE NINE(トライブナイン)
ジャンル:死にゲー×アクションRPG
対応機種:iOS/Android/
Steam
価格:基本無料(ゲーム内課金あり)
対応言語:日本語・英語・繁体字中国語・簡体字中国語
対応ボイス:日本語
配信・開発:アカツキゲームス
原案・監修:トゥーキョーゲームス

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