集英社ゲームズのボードゲームのブランド“マンガボドゲ“より、12月24日から一般販売される『僕のヒーローアカデミア YOUR BEST MEMORY』のレビューをお届けします。
自分だけの卒業アルバムを作れる!
『僕のヒーローアカデミア YOUR BEST MEMORY』は2014年に『週刊少年ジャンプ』で連載がスタートし、10年にわたる連載を経て完結した大ヒットマンガ『僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)』を題材にしたボードゲームです。
『ヒロアカ』は総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持つ世界が舞台。事故や災害、“個性”を悪用する犯罪者・敵<ヴィラン>から人々と社会を守る職業・ヒーローになることを目指し、雄英校に通う高校生・緑谷出久(デク)とそのクラスメイトたちの成長が描かれることになります。
デクはヒーローになりたいという夢を持っていたものの、その個性は何も能力が無いという個性“無個性”でした、現実を諦めかける前に現われたのが憧れのヒーローであるオールマイト。ヒーローとしての素質を見込まれたデクは彼の“個性”を引き継ぎ、ヒーローを目指すための高校・雄英高校に通うことに。
雄英高校には“爆破”の個性を持つ爆豪勝己や“無重力”の個性を持つ麗日お茶子、氷と炎を司る個性“半冷半燃”を持つ轟焦凍など魅力的なキャラクターがたくさん。特にコミックを読み進めていった人は、好きな、もしくは強く印象に残っているキャラクターが生まれていることでしょう。
12月4日にコミックス最終巻となる42巻が発売された『ヒロアカ』ですが、この『僕のヒーローアカデミア YOUR BEST MEMORY』は雄英高校の思い出を集めて最高のアルバムを作るゲーム。
ボードゲームとしての魅力はもちろん、『ヒロアカ』ファンが作品を振り返り、思い出に浸れる内容になっています。最終回までの内容を収録しているので、カードを観ているだけでもこみ上げてくるものがあると思います。
カードのイラストはシリアスなものからコミカルなものまで多彩な種類があり、キャラクターもヒーローだけでなくヴィラン(悪役)の名シーンもたくさん。カードは両面に名シーンが印刷されており、ファンが思いつくであろうシーンばかりとなっていました。
ゲームは、毎ターン、H・E・R・Oのグループにそれぞれ思い出カードを並べてプレイヤーはどのグループの思い出が欲しいか選択していきます。カードにはA~Dの4種類があり、最後のアルバム作成時は同じカテゴリのカードをつなげることでもボーナスポイントが加算されます。そのため、枚数だけでは勝敗は決しないので戦略性があります。
自分だけがそのカードを出していれば成功でそのグループのカードを獲得、誰かと同じカードを出した場合は失敗となります。そして全員がバッティングした場合は早い者勝ちという少々アクション性のあるルールに。場に置かれた“Plus Ultra”のカードを最初にタッチした人がカードを獲得できます。
手札にはH・E・R・Oと特殊なアクションカードである“SMASH!”を加えた5枚。“SMASH!”のカードは、他のひととバッティングした場合にそのグループの思い出カードがもらえます。
カードを獲得する“カクトク”パートが終わると思い出カードをグループに補充。取られなかったカードはその場に残り続けるので、次回からは一気に複数のカードを獲得できるチャンスがあります。グループは最大で5枚になるまで補充されていくので、グループごとの枚数のバラつきも多くなっていき、考えるべき駆け引きが増えていきます。
多い枚数のグループを狙うのか、バッティングを見越して少ないグループを選ぶか、はたまた、ほかの人たちのバッティングを見越して“SMASH!”を選ぶのか、大いに悩まされます。
また、本作は点数と関係なくプレイヤーが思い描く最高のアルバムを作成することも目的のひとつ。「このキャラクターやこのシーンのカードだから欲しい!」という理由で被ることも。
ゲームが終了したあとは点数を計算して順位を決めるほか、出来上がったアルバムのタイトルやコンセプトを話し合って盛り上がることができます。また、ハッシュタグの“#ヒロメモ”でアルバムをシェアするような楽しみ方も。ファン同士で盛り上がれる要素も多い作品になっています。
パッケージやカードなどのデザインもこだわりを感じる作りになっているのがまた心憎いんですよね。カードをすべて取り出した時に初めて目にする箱の底に刻まれた言葉とか……。ファンアイテムとしても持っておきたい作品。『ヒロアカ』の思い出を振り返る大事なアイテムとして、ぜひ手に取ってみてください。
カワチ:RPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。