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荒廃した世界が舞台のソウルライクACT『AI LIMIT 無限機兵』をレビュー。シンクロ率による独自のリソース管理がカギに!

文:hororo

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 3月27日に発売予定のPS5/Steam用アクションRPG『AI LIMIT 無限機兵』のレビューをお届けします。

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 本作はSense Gamesが開発し、CE-Asiaがパブリッシャーを務めるタイトルで、機兵と呼ばれる人工生命体であるアリサを操作して、荒廃した世界を探索していきます。


“シンクロ率”のおかげで、攻撃的な立ち回りに意味が生まれる設計がおもしろい!【AI LIMIT 無限機兵レビュー①】


 本作はいわゆるソウルライクと呼ばれる、緊張感のある戦闘を繰り返しながら探索を進めるアクションRPGです。戦闘の難易度が高いため、何度も倒されながらキャラクターの成長を行い、敵の行動パターンを見極めるなどして、トライ&エラーを繰り返し攻略していくことになります。

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 アクションとしては、素早く武器を振るう通常攻撃とチャージして放つ強攻撃が基本となり、そこに特殊攻撃やガード、回避といった要素も入ってくるオーソドックスな感触。そのため同種のゲームを遊んだことがある人であれば、すんなりとプレイに入れるでしょう。

 武器にはさまざまなものが用意されており、その中から2種類を選んで装備できます。攻撃速度は遅いものの一撃のダメージが大きいものや、攻撃の間合いが長いもの、手数で押す二刀流の武器などが存在。変わり種としてはドリルが付いたナックルのような武器もありました。

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 ちなみに、あくまでワンプッシュで武器を切り替えられるのが2種類というだけで、メニューを開けばいつでも装備の変更は可能です。休憩ポイントでしか装備変更できないということはなく、このあたりの制限は緩い印象でした。

 なお私個人としては双剣が非常に使いやすく感じましたが、場面場面では武器を切り替えていました。というのも、当然ながら武器によってモーションが異なるのですが、攻撃間に発生する硬直のタイミングなども変わります。

 連続攻撃で撃破できるザコ敵では問題にならないのですが、体力が多いボスなどの場合、連続攻撃の硬直がちょうど敵の攻撃タイミングと合ってしまうことがあります。結果的に、ひとつの武器に絞って戦うよりも、別の武器に切り替えたほうが立ち回りやすいということもありました。

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 また戦闘中に重要となるのが、本作独自の“シンクロ率”という要素。本作にはスタミナの概念が存在しないため、その気になればずっと攻撃や回避を行うことが可能です(もちろん回避の合間にはスキが生まれるので、回避タイミングには注意する必要があります)。
 
 シンクロ率は画面上にゲージで表示されていて、攻撃を与えると増え、ダメージを受けると減っていきます。そしてシンクロ率が高いほど攻撃力が上がるという特性があります。

 つまり積極的に攻撃すればするほど攻撃の威力があがり、結果的に敵の撃破が容易になっていくということ。またシンクロ率はガードやパリィ、スペルという遠距離攻撃や武器スキルを使う際にも必要なので、攻め手を増やすという意味でも意識的に稼いでいく必要があります。

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 逆に言えば、防戦一方となりダメージがかさんでいくと、どんどんジリ貧になっていくということ。これがアクティブに戦闘をこなす理由となっており、プレイヤーの心を前に向かせる一因となっていると感じました。

 前述のとおり、シンクロ率を消費することでさまざまなアクションを使用できるようになります。なかでも重要なのはシールドと、パリィを誘発できる“Cフィールド”。この2つは防御の要です。

 シールド展開中は前方からの攻撃をほぼすべてガードしてくれるため、初見の敵が相手の時に様子見をしたいときなどに役立ちます。とはいえ限度はあり、いつまでも受け続けられるものではないうえ、強力な攻撃はガードしていても少しずつ体力を削ってくるため、過信は禁物。

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▲攻撃を受け続けるとシールドにパワーが溜まっていき、それを解放して敵を攻撃することも可能。
 またCフィールドは、敵の攻撃が当たる瞬間に展開すると相手をひるませ、そのあいだに致命的な一撃“ファタルストライク”を打つことができます。ファタルストライクを決めるとシンクロ率が大きく上昇するため、敵の攻撃パターンを見切れるようになったら積極的に狙っていきたいところ。

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▲ファタルストライクはCフィールドによるパリィのほか、敵の背後から近づくことでも発動可能です。
 これらの要素は主人公の左腕に備わる機能なので、双剣や大きな武器を装備していても使用できるのは嬉しいですね。ゲームを進めることで、シールドやCフィールド以外にも、一定量のダメージを受ける代わりに攻撃時に追加ヒットを与える“ペルセクロー”などの能力を得ることができ、戦術の幅が広がっていきます。

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▲ペルセクローは強力ですが、体力が少ないときに使用するとそのまま死亡するので、ご利用は計画的に……。
 武器ごとに設定された武器スキルと、遠隔攻撃にあたる“スペル”も大事な要素です。武器スキルはシンクロ率を消費して発動するだけあって強力なアクションですが、消費するシンクロ率もなかなか大きいため、確実に当てられるときに使用したい大技といった感じ。

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▲武器スキルを繰り出した直後に敵の攻撃を食らってしまうと、シンクロ率が大幅に低下してしまいます。使用タイミングには気を付けましょう。
 スペルは、本作に置いて遠距離から敵を攻撃できる数少ない手段のひとつ。私は積極的に攻撃に組み込むというよりも、複数敵がいる場合や、そのまま突っ込むと立ち回りにくい空間に敵がいた場合に、釣り出す目的で使うことが多かったです。似たようなことができる消費アイテムもありますが、基本はスペルに頼ることになるでしょう。

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▲初期に手に入るレールガンは弾速も速く使いやすいスペル。ゲームを進めると、火炎放射やミサイルといったスペルが使用可能になります。
 積極的に攻撃を行ってシンクロ率を稼ぎ、それを元手により強力な攻撃を仕掛けていくというアグレッシブなスタイルが、遊んでいて楽しく感じました。

やられても全ロストはしない!? トライ&エラーの精神的負担が軽い仕組みがありがたい!【AI LIMIT 無限機兵レビュー②】


 いわゆるソウルライクゲームでは、死んでしまうと経験値と通貨を兼ねたポイントをその場に落としてしまい、回収前に再び死ぬとすべて消滅……ロストしてしまうというのがスタンダードとなっています。実際、回収できずに大量の経験値を失い、涙を呑んだ人も少なくないハズ。

 しかし本作では、経験値兼通貨の役割を果たすクリスタルは、死んでしまっても全ロストしません! もちろんまったくノーリスクというわけではなく、死んだ際に所持しているクリスタルの一定割合を失うという仕組み。全ロストの危険性はないものの、拾えもしないため確実に一定量はロストしてしまいます。

 失うのは割合なので、所持しているクリスタルの量が多いほど死んだときのデメリットは大きいのですが、実際にプレイした感じでは、何度も死ぬ前提のボス戦において、クリスタルを気にしなくていいというメリットが非常に大きく感じました。

 とくにボス戦前は基本的に成長にクリスタルを消費して所持数が減っているので、いくら死んでも2桁くらいのロストしかしません。ボス戦が始まって最初に回収することを意識しなくてもいいため、戦闘に集中できるのがとても快適です。逆にボス戦が終わったあとに死ぬと、すごい量を持っていかれますが……。

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 なおロストする割合は、装備している“晶核”によって変動します。ロストする割合以外にも、敵を倒した際に得られるクリスタルの量の割合も変化するのが特徴で、ロスト割合は大きいけどクリスタルを稼ぎやすいものや、その逆の特徴を持つものなど種類があるので、プレイスタイルに合わせて変更できます。

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▲晶核は攻撃時のシンクロ率の上昇率にも影響。クリスタルのロスト&獲得割合と併せて、自分に合ったものを選びましょう。
 獲得したクリスタルは、マップに点在する“晶枝”に触れた際に使用できます。ここでクリスタルを消費して、アリサのパラメータを成長させたり、素材を使って武器を強化したりできます。また回復ポイントも兼ねているため、体力の全快と回復薬の補充も行われます。もちろん、フィールドの敵もリポップしますが……(笑)。

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▲晶枝では“刻印”と呼ばれる基礎ステータスを向上させる強化アイテムの付け替えも可能。メインとなる大きな主印と、そのスロットにはめるための従印があり、組み合わせることで強化する項目をカスタマイズできます。
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▲武器の威力に関わるステータスは武器ごとに異なります。ある程度メインとなる武器を決めて、それに対応したステータスを強化するといいでしょう。困ったら体力を伸ばして死ににくくするのが無難です。
 起動した晶枝間はテレポートできるのもポイント。場所によっては現段階では進めない場所も存在することがあるため、そういった場所に戻るときに役立ちます。私のように記憶力に自信がない人は、まだ進めなさそうな場所を見つけたらメモしておいたほうがいいかもしれません……。

ゾルによって荒廃した世界、失われた記憶、多くの謎によって覆われた物語も魅力的【AI LIMIT 無限機兵レビュー③】


 最後に少しストーリーについて触れていきます。本作の主人公のアリサは、機兵と呼ばれる人口生命体で、記憶を失っています。自分がなぜここにいるのか、どんな存在なのか、何もわからないまま、たださまようように荒廃した世界を進んでいくことになります。

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 本作の世界は、ゾルと呼ばれる謎の液体にによって起こった災害で崩壊したようで、地上のいたるところをゾルが覆っています。一応はゾルに触れても問題なさそうに見えますが、ゾルからはドロビトという異形が出現し、人を襲っています。そのため戦闘力のない市民は身を隠して生活するしかないという状況に。

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 危険なのはドロビトだけではなく、ネクロと呼ばれる別種の敵対生物や、野盗のような人間、機能不全を起こした機兵などが徘徊しており、人類はかなり追い詰められている様子。

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 そんななか、人類最後の都市であるヘヴンズウェルを目指す巡礼者の一団がいたり、アリサと同じような機兵がいたりと、多数のNPCたちが登場します。彼らと話すことでさまざまなサイドストーリーが進んでいくほか、サブクエストを受注できることも。

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▲NPCたちはひとクセありそうな人物も多く、一度会話しただけでは正体や目的がわかりません。
 重要なシーンではムービーが入ることもあり、ストーリーが気になるプレイヤーにとってもやりがいはあるかと思います。

 なお、開発チームによると、1周目のクリア時間は30時間ほどになる見込みとのこと。

 軽快な戦闘のソウルライクを楽しみたい人や、荒廃した近未来都市に惹かれる人などには刺さる内容になっているので、ぜひプレイしてみてください。


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