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『薬屋のひとりごと』47話感想(2期23話)。悪女を演じて罪を背負う楼蘭の覚悟が切ない…翠苓たちの今後はどうなる?(ネタバレあり)

文:電撃オンライン

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 現在放送中のTVアニメ『薬屋のひとりごと』の第47話(2期23話)“子の一族”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『薬屋のひとりごと』第47話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。[IMAGE]

楼蘭(ロウラン)の悪女っぷりは子昌(シショウ)との親子関係を感じさせる【薬屋のひとりごとアニメ2期感想】


 第48話のハイライトは、やはり楼蘭の悪女っぷり…というか、悪女の演技。翠苓(スイレイ)や里の人間を救うために“世紀の悪女”を演じて見せたのは、神美(シェンメイ)を救うために陰謀を重ねていた子昌(シショウ)と重なります。親子らしい情が十分にあったとはいえない2人でしたが、最後の最後に血のつながりを感じさせるのが何とも切ない……。

 楼蘭にとって見れば、神美や子昌に罪を被せて(実際主犯格は2人ですし)自分は逃げ出すことも十分にできたとは思いますが、それでは翠苓の身が安全ではないと思っていたのでしょう。

 視聴者的にはすべてを捨てて2人で逃げてほしいとも思いましたが……それを良しとしなかったのは、もちろん逃亡が現実的でないのもあったのでしょうが、どこか自分たちの罪に決着を付けて終わりにしたかったという想いもあったのかもしれません。


 楼蘭の様子から、神美に対してはむしろ恨みよりも哀れみの情が勝ったのだと推測できます。結果的にはあんなことになりましたが、私情で復讐したというよりは、事態に決着を付けるために淡々とやるべきことをやったという印象でしたね。

 せめて神美には最後に子昌の想いをしっかり感じて欲しかったものですが……最後まで哀れな女性でした。

子昌の想いが最後まで神美に届かなったのも悲しい【薬屋のひとりごとアニメ2期感想】


 子昌の悪役として散りっぷりも見事。今わの際に思い出したのが、若かりし神美の笑顔だというのもなかなか切ないです。思えば子昌の行動原理は、奴隷の後宮での雇用を提案したのも先帝の妃をめとったのも、すべて神美のためだったんですよね。


 その想いが神美に届けばよかったのですが、神美にとっては自身が周囲に笑いものになる事実に耐えることができなかったようですね。今まで悪女の一面が描写されてきた神美でしたが、今回でその“弱さ”が明らかになり、一気に感情移入できるキャラクターになったと思います。

 楼蘭も言っていましたが、つくづくあそこで意地を捨てて子昌の手をとっていれば……考えてもしかたがないことではありますが、楼蘭も幸せになれたのかもしれません。

 最後まで神美が子昌を悪しざまに罵ったのも、おそらく自身のとった行動が間違いではなかったと思いたいという理由がありそうです。自分がプライドを優先した以上、周囲の人間もそうである……そうあるべきだという思い込みは、自分を守るための理屈であり、それこそが彼女を不幸にしたのでしょうね。

 その弱さを楼蘭も知っていたからこそ、恨みではなく哀れみの感情を強く向けていたのだと推測できます。

翠苓たちの今後はどうなる?【薬屋のひとりごとアニメ2期感想】


 今回の話で気になったのが、翠苓や里の人間たちの今後の処遇。反逆という大罪に関わった以上、連帯責任で里の人間たちは全員極刑に処されるのが自然な成り行きとは思いますが、それでは楼蘭が報われませんよね。

 楼蘭があえて壬氏(じんし)の前ですべてを明るみに出したのも、壬氏の信用を得る目的があってのことでしょう。そうして罪をハッキリさせておくことで、壬氏の助力を得て翠苓や里の人間たちを救おうとしたのだと思います。これで翠苓が死罪を免れれば、楼蘭の演技も報われそうなものですが……壬氏の動きに期待するしかないですね。

 もちろん子昌が国のために動いていた物的証拠はないですが、責任の所在さえ明らかになって驚異がなくなるのであれば、壬氏しだいで翠苓を救うくらいはできそうです。何より、壬氏が権力に影響を与えることを帝が歓迎しそうですしね。何かしらの政治的取引をすれば、翠苓の命を救う落としどころは作れそうです。


 次回予告では、アニメ第1期と同じく回想シーンが多め。今までの流れを振り返りつつ、まとめのような展開になるのだと思いますが、最後の最後で壬氏がマオマオを抱きしめているシーンが!

 砦での2人の再会がアッサリしていたぶん、帰ってから何かあるのかもしれません。最後に一瞬映った、マオマオと子翠(シスイ)の名前が書かれた手紙の意味も気になるところです。


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