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【FFレゾナンス】“ドットの『FF』最新作”が誕生した理由は? 浅野智也プロデューサーの助言や、新表現“シネマティックピクセル”のこだわり

文:ハチミツ

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 JRPGを牽引し続けてきた『ファイナルファンタジー(FF)』シリーズ。近年では『ファイナルファンタジー XVI』などの3Dアクションが主流となり、シリーズの顔つきも大きく変化してきました。


 そんな時代にあえて"ドット"を選び、かつての『FF』が持っていた感動と驚きをもう一度届けようとする作品が登場します。それが『ファイナルファンタジーレゾナンス(FFレゾナンス)』です。

 本作はスマートフォン向けRPG『ファイナルファンタジーブレイブエクスヴィアス(FFBE)』を原作としながら、単なるオフライン版への移植ではなく、「もし『FF』がドットゲームのまま進化していたら?」というコンセプトを元に、シリーズ最新作としてデザインされた意欲作です。

 ドットと3Dが高いレベルで共存する"シネマティックピクセル"、『ファイナルファンタジー V』や『ファイナルファンタジー VI』といった名作の戦闘を進化させた"ビジョン"、やり込みまで含めれば80時間前後に及ぶボリューム……等々、あらゆる面で超本格的なRPGになっています。

 今回は、プロデューサーの中島啓輔氏、ディレクターの古屋海斗氏、バトルディレクターの白神剛志氏、アートディレクターの齋藤昌大氏の4名に、本作が生まれた経緯から魅力まで、たっぷりとお話を伺いました。

「ドットのFFが進化していたら」――今の技術で“あの頃のFF”を作りだしたかった


――まずは、本作が目指すコンセプトと、それを実現するまでの経緯について教えてください。

中島
コンセプトはずばり「『FF』がドットのまま進化していたら」です。『FFBE』の良い部分は残しつつ、ドットかつコンシューマーで遊べる『FF』最新作にふさわしいものをどう作るか、という点を突き詰めてきました。

 現在の『FF』は3Dアクションが主流になっていて、プレイヤーは反射神経を求められます。

 それもすばらしいゲーム体験ですが、『FFI~VI』にあった面白さ――クリスタルを中心とした壮大な物語、飛空艇を手に入れた時に世界が一気に広がる感覚、サブコンテンツや探索に打ちこむワクワク感に夢中になれた「あの頃の『FF』」を今の技術で作りあげ、プレイヤーの皆様に遊んでほしいと考えました。

 『FFレゾナンス』は構想も含めると立ち上げは5〜6年前になります。

 私自身が元々『FFBE』の運営に携わっており、『FF』らしい要素が詰まった素晴らしい作品だと感じていました。その中で「今の時代にこそ遊んでほしい『FF』を作りたい」と思ったのが最初のきっかけです。

――『FFBE』を知っている方はオフライン版をイメージされるかもしれませんが、実際にはかなり違うゲームに仕上がっていますよね。

中島
はい、まったく違います。

 かなり早い段階から『FFBE』の単なるオフライン版ではなく、キャラクターやストーリーを使って新しいゲームとして作り直す方針でしたね。

 最初から新しいドット『FF』として皆さんに認めていただけるものを目指していました。

――ちなみに、中島さんが一番好きな『FF』は何でしょうか。

中島
『FFV』です。スーパーファミコンで遊んだのが最初ですね。ゲームシステムが面白く、父と子の物語も分かりやすい。本作にもその要素はかなり入っていると思っています。

白神
今回の『FFレゾナンス』も、ジョブチェンジ的なカスタマイズの楽しさを含め、『FFV』らしさを明確にコンセプトに掲げています。

中島
ビジョンやアビリティで多彩なカスタマイズができる楽しさは『FFV』の影響が大きいですね。

ドットと3Dの世界が巧みに融合した“シネマティックピクセル”


――ドットと3Dを織り交ぜたHD-2D表現についても、最初から決まっていたわけではないのでしょうか。

齋藤
明確にHD-2Dを取り入れようと決まったのは、開発の中盤頃です。

 最初は「ボクセルならどうなるか」「3Dモデルはどんな塩梅がいいか」を色々試行錯誤したのですが、「ドットの『FF』」という本作のコンセプトに沿うもので一番美しいのは何かを考えた結果、HD-2Dに行き着きました。

古屋
プレイヤーが求めているものを考えて「求められているのはHD-2Dの『FF』だ」という結論に至ったのも大きかったです。

 それからはブレずに進めることができました。

――本作の映像表現はこれまでのHD-2D作品とは異なり、ムービーでもあえてピクセル感を出す新しい試みですね。どんな経緯で制作されたのでしょうか?

齋藤
実際にやってみて、色々な要素の足し算と引き算で落とし所を見つけていきました。

中島
ほかにも、既存のインディーゲームや大手のドットゲームを参考に研究を続けました。

 そういった試行錯誤の中で、飛空艇やバハムートといった巨大なものをドットでダイナミックに動かすために3Dモデルをピクセル化する表現――本作の“シネマティックピクセル”に行き着きました。

――シネマティックピクセルという言葉が出ました。本作のグラフィックは今までの2Dゲームとは一段階違う新しい見せ方だと感じます。

齋藤
スタッフの職人芸による部分が大きいです。頑張って作ってくれたのがいっぱい入っています。

古屋
グラフィックについては、『FFVI』にあったドットゲームとしての衝撃を本作にも取り入れたいと考えました。

 『FFVI』は当時「ドットゲームでここまでやるのか!」と思わせるオープニングやイベントシーンがありましたが、あの感覚をぜひ『レゾナンス』でも感じてほしいな、と。

 今のピクセルゲームの中でも「あ、こんなやり方があるんだ」と感じてもらえるよう、カメラワーク等も非常にこだわって作りこんでいます。

――鮮明な3Dの背景の中で、ドットのキャラや幻獣がむしろ映える映像表現にワクワクしました。ただドットと3Dを合わせただけではなく、融合しているように感じます。

中島
3Dに負けないようにドットの表現を立てることは強く意識しています。

 たとえばバハムートの演出などはドットをCGと同等のクオリティに引き上げて、高いレベルで馴染ませることを目指しました。

古屋
『FF』は映画的なゲーム体験が大事だと思いますので、それをドットで表現する工夫を随所に盛り込みました。ドットと3Dの融合を最も大切にしています。

『FF』には星を救うスケールの物語が不可欠


――ストーリーの見どころを教えてください。

古屋
“星を救う物語”です。『FFBE』も『FF』らしい王道ど真ん中を貫く作風でしたが、それは本作にも受け継がれています。やっぱり『FF』のロールプレイング体験を考える上で、星を救うような壮大なスケールの物語が不可欠だなと感じています。

 近年のRPGは3D化により、スケール感の表現には様々な工夫が必要ですが、本作はドット表現によってワールドマップを復活させられたので、星を救う大きなスケールの物語を実現できました。

 元々『FFBE』には飛空艇や幻獣などシリーズのオマージュが散りばめられていたので、本作でも再現しています。

 開発スタッフにも当時から『FF』を好きな人間が多く、
「ドット『FF』の最新作として作ろう!」という強いモチベーションがあったので、そこを丁寧に活かして本作に詰め込みました。

――ストーリーやキャラのセリフ等は『FFBE』からどの程度変更されたのでしょうか。

古屋
原作を担当された北島行徳さんにご依頼して、脚本を大幅に書き直しています。

 大まかなあらすじは同じですが、ステージクリア型のアドベンチャー形式から、プレイヤーが自ら探索して進めるRPG形式へ再構築するため、エピソードを一度分解して並べ直す作業を行いました。

中島
サブクエストはすべて新規書き下ろしです。設定は引き継ぎつつも、オンラインのソシャゲから完全にオフラインの一人用RPGに切り替えて作り込んでいます。

古屋
レインたちのキャラクタークエストや『FFBE』の人気キャラクターのクエストでは、キャラの掘り下げもより深くなっています。

――タイトルを『ファイナルファンタジーレゾナンス』にした理由は、ストーリーと関係しているのでしょうか?

中島
“レゾナンス(共鳴)”はゲームシステムの中核であり、物語終盤でタイトルの意味を実感できる仕掛けがあります。

 レインとラスウェルの関係や、時を超えた父と子の物語など、シナリオ全体のテーマとして“共鳴”が最もふさわしいと考えました。

古屋
ビジョンと共鳴して力にするというシステム的な意味合いともぴったり一致していますね。

――プレイ時間の目安はいかがでしょうか。

中島
メインシナリオを難易度ノーマルで遊ぶと30〜40時間。ビルドの選択肢がかなり多いのでやり込みを含めると80時間、あるいはそれ以上になると思います。

『FFV』と『FFVI』の"良いとこ取り"から生まれたバトルシステム


――バトルシステムのこだわりを教えてください。

白神
『FFV』をベースにしつつ、私の好きな『FFVI』の要素も取り入れた正当進化を目指しました。

 『FFV』では職業(ジョブ)とアビリティを組み合わせてビルドを作る楽しさがありましたが、本作では“ビジョン”が職業のような役割を果たします。

 アビリティを付け替えて最適なビルドを作る楽しさはしっかりと担保しました。一方で、『FFVI』のようにキャラクターの特徴を立たせるような調整もしています。

――本作のバトルのキモである“ブレイク”にはどのような狙いがありますか?

▲敵のゲージを割ることで追加行動や必殺技が使えるようになる“ブレイク”。ゲージをどう削るかを考える戦略性と畳みかけるように攻撃できる爽快感が両立している。
白神
“ブレイク”は決まった際の手触り、サウンド、画面演出の気持ちよさを重視しています。

 さらに上位の“フルブレイク”ではさらに演出が豪華になりますし、最後にはビジョンの必殺技“レゾナンス”へと繋がるカタルシスも用意しました。

 “ブレイク”の一連の流れはゲームを始めてすぐに体験できるようにしています。遊び始めた段階から戦闘が単調にならないよう、バトルのカタルシスを味わってもらえる作りになっています。

中島
戦略的なバトル設計も大切にしていまして、単にコマンドを連打するだけでは勝てないバランスになっています。

 奥深さを持たせつつ、触った瞬間の爽快感や分かりやすさを両立させたバトルを目指しました。

――バトルですと“ビジョン”システムもユニークですよね。先ほど『FFV』が例えに出ましたが、既存のジョブシステムとの違いはどこでしょうか。

▲『FF』過去作のキャラクターをモチーフにした“ビジョン”。それぞれ性能や獲得できるアビリティに違いがあり、ファンサービスに留まらない編成の楽しさを生み出している。
白神
ビジョンがキャラクターの後ろで一緒に戦う部分が大きいですね。

 実質4人編成でありながら、ビジュアルでは8人パーティーのように感じられると思います。

中島
ビジョンはキャラクターごとに特性を持たせて、ビルドに多様性をもたらしています。

 たとえばクラウドはクリティカル特化型など、そのキャラらしさをしっかり反映させました。

現代のゲームに親しんだ人にこそ遊んでほしい、『FF』らしさが凝縮された作品


――制作にあたって、プロデューサーの浅野智也氏からはどのような助言がありましたか?

中島
「ドットが浮いてはいけない」というビジュアル面の指摘に加え、「ファンタジーの世界を地に足つけて作ることがHD-2Dである」という本質的な助言を受けました。

 ドワーフの工房なら、家具の高さや木の継ぎ目一つに至るまで、ドットキャラクターのスケール感に合わせなければ破綻します。単なるデータとしてではなく、彼らがその世界で生きていると感じられる緻密なものづくりを求められました。

 ドットデザインも見直し、宙に浮いていたようなキャラクターの足もしっかり地面につけるよう修正しています。また、「行った先には必ず宝箱やオブジェクトを配置する」といった探索の基本も徹底しました。

古屋
HD-2D作品ならではの旅立ちのワクワク感や隠し通路など、王道らしさが随所に感じられる仕上がりになっています。

――最後に、ユーザーの皆さんへメッセージをお願いします。

齋藤
HD-2Dによるピクセルと3Dの美しさ、そして『FFBE』から引き継いだキャラクターの魅力が本作の大きな強みです。これまでのHD-2Dとは一段階違うカメラワークやライティングをぜひ楽しんでください。

白神
序盤は入りやすさと気持ちよさを、中盤以降は奥深いアビリティ構築を楽しんでもらえるよう両立させました。存分に楽しんでいただければと思います。

古屋
ドット『FF』の新作が世に出たときに世間が感じた驚きを再び体験できるよう、ビジュアル、バトル、演出のすべてにチャレンジを詰め込みました。これからも新情報がどんどん発信される予定ですので、ぜひ今後もご期待ください。

中島
「もしドットの『FF』が進化していたら」というコンセプトのもと、『FF』らしさが凝縮された作品に仕上がりました。3Dゲームが主流の今こそ遊ぶべき作品だと強く感じています。シリーズファンはもちろん、触れたことのない方への入門作としても最適ですので、幅広い世代の皆様に遊んでいただけますと嬉しいです。

――ありがとうございました。

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担当者プロフィール

  • ハチミツ

    ハチミツ

    話題の新作もレトロタイトルも大好物! ハマったコンテンツの深掘り考察&思い出語りがライフワークです。 2019年よりWebライターとして活動を開始、オタク分野だけで400本以上の記事を執筆。有名出版社運営のWebメディア案件を中心に、新作ゲームレビューからレトロゲーム思い出コラムまで、年代ジャンルを問わずに書いてきました。『FGO』を好き勝手に語るコラムを連載していたことも。最近は個人運営のnoteで名作の初見感想記事をたくさん書いています。 ゲーム歴はかれこれ25年以上。ジャンルにこだわりはなく、ストーリーやキャラが性癖に刺さるゲームが大好きです。強いて好みを挙げるならRPG(『ポケモン』シリーズ、『FF14』、『NIKKE』)、ADV(TYPE-MOON作品、『ひぐらしのなく頃に』、『都市伝説解体センター』)。いつも世界観やキャラに注目して遊んでおり、考察でもキャラの感情や名言の意味を深掘るのが得意です。

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