2026年1月29日に発売予定のNintendo Switch用アドベンチャーゲーム『虧月の夜(きげつのよる)』の開発者インタビューをお届けします。
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本作は、『ギャラクシーエンジェル』シリーズや『.hack』など多くのアニメ作品のプロデューサーを務めた森本浩二氏が原案を務めるタイムリープサバイバルホラーADV。
現代の高校生が大量殺人事件の“当事者”として、鬱屈とした空気感に閉ざされた昭和初期の農村に転生。事件に巻き込まれ死亡することでタイムリープし、さまざまな時間軸を繰り返しながら物語の真相に迫っていくミステリー要素の強い内容となっています。
今回、森本浩二氏と、高橋大介プロデューサーにインタビューを実施。開発に至った経緯や登場人物の深堀り、アイデアの出所など、開発の裏側に迫ります。(※記事中は敬称略)
“殺される恐怖”が繰り返されるホラー作品をやってみたいという思いから生まれた『虧月の夜』
――まず本作について、どのようなゲームなのか教えてください。
高橋
戦前の昭和13年の日本の農村に転生した主人公が、現代で語られる大量殺人事件の当事者として生き残りを目指す内容です。
あえてジャンルを定義すると“タイムリープサバイバルホラーアドベンチャー”です。
――本作の開発に至った経緯をお聞かせください。
あえてジャンルを定義すると“タイムリープサバイバルホラーアドベンチャー”です。
――本作の開発に至った経緯をお聞かせください。
高橋
森本さんとは以前から「なにか一緒にコンテンツを立ち上げたいね」という話しをしていました。その際に森本さんから「昨今話題の要素を組み合わせつつ、過去の未解決事件やセンセーショナルな出来事をモデルにしたホラーコンテンツを企画しないか」というアイデアが出て企画がスタートしました。
脚本家をまじえて物語のプロットをまとめる過程でアドベンチャーゲームジャンルで進むことが決まりました。そして企画営業に回るところでエディアさんが手を上げてくださり本格的に開発に至りました。
――タイムリープが本作のキーワードになりそうですが、見どころや・魅力を教えてください
脚本家をまじえて物語のプロットをまとめる過程でアドベンチャーゲームジャンルで進むことが決まりました。そして企画営業に回るところでエディアさんが手を上げてくださり本格的に開発に至りました。
――タイムリープが本作のキーワードになりそうですが、見どころや・魅力を教えてください
高橋
タイムリープジャンル作品の多くは特定のポイントに必ず死に戻り、ある程度謎を解くと次のチェックポイントに進んで……というチェックポイント方式をとっていると思いますが、本作は少しルールが異なっています。
一回目と二回目で死に戻るポイントが全然違うのですが、そこにはなんらかの意思が働いています。その意思を探ることが重要な要素となっています。
また、本作では“知識と見識”という情報閲覧システムを採用しています。
タイムリープを繰り返すことで、主人公の考察をはじめ、当時の歴史的な出来事、流行ったもの、手で触れたものまでテキスト化し、画像とともに収集されていきます。この項目数とテキスト量が相当なボリュームになっていますので、知識と見識だけでも楽しんでいただけるのではないかと思います。
一回目と二回目で死に戻るポイントが全然違うのですが、そこにはなんらかの意思が働いています。その意思を探ることが重要な要素となっています。
また、本作では“知識と見識”という情報閲覧システムを採用しています。
タイムリープを繰り返すことで、主人公の考察をはじめ、当時の歴史的な出来事、流行ったもの、手で触れたものまでテキスト化し、画像とともに収集されていきます。この項目数とテキスト量が相当なボリュームになっていますので、知識と見識だけでも楽しんでいただけるのではないかと思います。
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――“主人公が、昭和初期の農村に転生してしまいとある事件に巻き込まれる”とのことですが、アイデアの出所、舞台となる村の元ネタとなる場所、参考にした事件などがあれば教えてください
高橋
昭和13年に実際に起きた“津山三十人殺し”を事件のモデルにしています。『八ツ墓村』のモチーフにもなったことで有名ですが、本作では事件の犯人とされている“都井睦雄”を全く新しい解釈で分解、構成しました。これは森本さんのアイデアでしたよね?
森本
そうですね。アイデアが浮かんだのはもう3~4年前頃だったと思います。その当時は、ゲーム業界の方との交流が多くなっていた時期で、自分もゲームで何か企画するならホラーがおもしろそうと考えました。その中で大量殺人事件で有名な“津山三十人殺し”をモチーフにして、“殺される恐怖”が繰り返されるホラー作品をやってみたい、と思ったのがきっかけです。
また当時の世相について、“好景気⇒金融危機⇒大規模自然災害⇒長引く不況”という流れが、第2次世界大戦前の日本と酷似している、という思いがあり、それに対する危機感も背景にはあります。
また当時の世相について、“好景気⇒金融危機⇒大規模自然災害⇒長引く不況”という流れが、第2次世界大戦前の日本と酷似している、という思いがあり、それに対する危機感も背景にはあります。
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――『ギャラクシーエンジェル』シリーズや『.hack』など過去に手がけた作品と通ずるところや、影響されたところなどはありますか?
森本
あまり自分の過去作品は意識してなかったですね。それより本作では読後感(プレイ後に持つ印象)として、『攻殻機動隊S.A.C.』みたいになるといいな、という思いはありました。見終わった後に「俺、頭よくなったんじゃね」的な感覚を持てるような作品ですね。
『ギャラクシーエンジェル』は、見た人が「くっだらねぇ~」とゲラゲラ笑ってもらえればOKというギャグ作品で正反対です。
ただ、『.hack//SIGN』に関しては後半は半分純文学になってしまいましたし、そういう意味では『.hack//SIGN』的な要素はあるかもしれません。
『ギャラクシーエンジェル』は、見た人が「くっだらねぇ~」とゲラゲラ笑ってもらえればOKというギャグ作品で正反対です。
ただ、『.hack//SIGN』に関しては後半は半分純文学になってしまいましたし、そういう意味では『.hack//SIGN』的な要素はあるかもしれません。
高橋
そうそう、企画初期から森本さんとは「プレイが終わったらすごく頭がよくなったような気持ちになるゲームにしよう」とずっと話していましたよね(笑)。そのため、知識と見識がもう一つのゲーム本編になるくらいこだわりました。
なんでもできるスーパーマンにならないように枷をかけたキャラクターに
――続いては、登場するキャラクターについてお伺いできればと思います。まずは、主人公“遠井 盈”についてどのようなキャラクターなのか教えてください。
高橋
主人公が転生したとき、時代を知っていることでなんでもできるスーパーマンにならないようにするために、あえて枷をかけようということにしました。そのため、遠井 盈は病弱で力もなく、さらに言葉が話せない、特定の人物と手話でしかコミュニケーションできないという設定を採用しています。昨今の転生主人公には見られない主人公になっています。
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――手話でしか話せないというのは、物語の進行に大きく影響しそうですね。つづいて蔓草 茜について教えてください。
高橋
本作唯一と言っていい美少女キャラです(笑)。
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彼女には作品の看板を背負ってもらっていますが、物語においても村の暗部を一身に背負わせています。盈に対する彼女の行動はある意味献身的なものですが、彼女と盈の関係が物語の大きなフックになっています。
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――茜はキービジュアルにも登場しているので、主人公かと思っていました。しかしやはり重要なキャラクターとなりそうですね。つづいて蔓草 天獄についても教えてください。
高橋
圧倒的悪として描きました。世の中には救いようのない悪意があるのだということを体現しています。インターネットはもちろん、テレビなどのメディアも普及していない昭和13年だからこそできる悪行を、彼を通して垣間見ることができます。
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――どのような悪行が繰り広げられるのか楽しみです。そのほか、物語のキーパーソンとなるキャラクターがいたら教えてください。
高橋
やはり本作のタイトル『虧月の夜』の文字を与えられたキャラクター“遠井 虧”です。盈の双子の兄で、双子はそれぞれ“盈月(えいげつ)”と“虧月(きげつ)”という言葉からとっています。
盈は段々と月が満ちていく様、虧は月が段々と欠けていく様を表しているのですが、兄弟二人が合わさって、月齢が一周する=“ループ”を繰り返しながら事件を解決していくという重要なキーワードを与えられたキャラクターです。
彼は盈を救うために一心不乱に行動しています。彼が何故、盈に固執するのか、彼とどう向き合っていくのかが物語解決の重要な要素となっています。
盈は段々と月が満ちていく様、虧は月が段々と欠けていく様を表しているのですが、兄弟二人が合わさって、月齢が一周する=“ループ”を繰り返しながら事件を解決していくという重要なキーワードを与えられたキャラクターです。
彼は盈を救うために一心不乱に行動しています。彼が何故、盈に固執するのか、彼とどう向き合っていくのかが物語解決の重要な要素となっています。
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「村一つを作ったと言っても過言ではない。」続編も作れるほどの細部までこだわりが詰め込まれた作品
――開発についてこだわった部分や、この本作ならではの部分などはありますか?
高橋
ゲームの中で語られない細部まで設定制作しています。村一つを作ったと言っても過言ではないくらい詳細な設定を用意しました。昭和から現代にかけて舞台となる村の地図を作ったり、登場人物モブキャラすべて名前、年齢、生い立ちなどを作り込んでいます。そうすることで“知識と見識”の説得力も増しますし、物語に深みが出ていると感じています。
実は主人公自身にも大きな裏設定を作っていますが、本作では語られません。人気が出て続編をお届けできるようになったらぜひ描いていきたいと思います(笑)。
――ゲームにも出てこない設定をプレイヤー自身で考察するのも楽しみのひとつとなりそうですね。制作の上で大変だったことはありますか?
実は主人公自身にも大きな裏設定を作っていますが、本作では語られません。人気が出て続編をお届けできるようになったらぜひ描いていきたいと思います(笑)。
――ゲームにも出てこない設定をプレイヤー自身で考察するのも楽しみのひとつとなりそうですね。制作の上で大変だったことはありますか?
高橋
脚本と設定制作を並行して進める際に整合性を取るところがとても苦労しました。設定開発のスタッフと設定をすすめていたときに「この話の流れだと川の位置が違う」とか「この人物がなんでここで殺されたのか考えると、この二人は許嫁という設定にしないと整合性がとれない、そうなると年齢が……」など、次々と出てきました……
結果、村の地図、村民名簿まで作ることになったのですが、そういった細かなところを作り込めたことは結果的によかったと感じています。
結果、村の地図、村民名簿まで作ることになったのですが、そういった細かなところを作り込めたことは結果的によかったと感じています。
森本
大変だったのは、制作を頑張っていただいたガタケットさん、ファンタジスタさんだと思います。自分は、チェックする設定などが大量な点くらいでした。
――そのほか、印象的だった開発中のエピソードがあれば教えてください。
――そのほか、印象的だった開発中のエピソードがあれば教えてください。
森本
一番は、オープニング、エンディングにボーカルが追加されたことですね。当初はBGMオンリーで考えていたのですが、高橋さんからの提案があって、OPとEDをボーカル曲にしよう、という流れになりました。その流れでNSGのグループ連携を図っていただき、とても素敵なOP、EDが出来上がったことが最も印象に残っています。
――ゲームプレイの際はOP、EDについても注目したいところですね。高橋さんはいかがでしょうか?
――ゲームプレイの際はOP、EDについても注目したいところですね。高橋さんはいかがでしょうか?
高橋
なぜか開発期間中にスタッフのパソコンが次々調子が悪くなりました(笑)制作が一段落したら絶対にお祓いに行こう!と話しています(笑)
――それは恐ろしいですね……。ぜひお祓いにいってください! つづいて本作のボリュームについて教えてください。
――それは恐ろしいですね……。ぜひお祓いにいってください! つづいて本作のボリュームについて教えてください。
高橋
物語本編はアドベンチャーゲームとして見ると比較的短めになっていますのでサクサク進めるのではないかと思います。配信にも向いているのではないでしょうか。
一方、知識と見識のボリュームが多いため、テキストをじっくり読んで、プレイヤーが独自に考察を始めると一気にボリュームが増えるような作りにしました。
――現時点の制作状況はいかがでしょうか?
一方、知識と見識のボリュームが多いため、テキストをじっくり読んで、プレイヤーが独自に考察を始めると一気にボリュームが増えるような作りにしました。
――現時点の制作状況はいかがでしょうか?
高橋
ゲームとしてはほぼ完成しており、あとは細かな調整を重ねていく段階です。
――何度も殺されながらタイムリープするということで、過激な描写も多くなるかと思います。どんな方にプレイしてほしいですか?
――何度も殺されながらタイムリープするということで、過激な描写も多くなるかと思います。どんな方にプレイしてほしいですか?
高橋
たしかに過激な描写も多いですが、幅広い層の方に楽しめる作りになっています。90年代から2000年代初期のアドベンチャーゲーム世代はもちろん、ホラーサスペンス好きな方、魅力的な男女キャラのクソデカ感情を楽しめる方など、ぜひお手にとっていただきたいです。
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――本作で一番に伝えたいことはどんなことですか?
高橋
物語の登場人物はそれぞれ様々な影を背負っています。主人公の行動がきっかけでその影と向き合うことになるのですが、どんな時代でも、どんな環境でも自分自身と向き合う時がかならず来て、その時どんな気持ちで向き合うべきなのか、物語を通して感じてもらえればと思います。
森本
そうですね、伝えたい何かというよりは、この作品をプレイした方が、この作品をきっかけに歴史や文化、または社会的な事象など、多くのことに興味をもっていただけたら嬉しいです。
――ありがとうございました。では最後に読者に一言お願いします。
――ありがとうございました。では最後に読者に一言お願いします。
高橋
弊社、同人誌即売会“ガタケット”を長年主催してきましたが、今回はじめて“TOKIFUDE”レーベルで開発したゲームとなります。
また、オープニングテーマ、エンディングテーマは新潟の専門学校“SHOW! 国際音楽・ダンス・エンタテイメント専門学校”との教育連携プロジェクトで制作しました。とても魅力的な世界観を作り出せましたので、ぜひプレイしてみてください。
また、オープニングテーマ、エンディングテーマは新潟の専門学校“SHOW! 国際音楽・ダンス・エンタテイメント専門学校”との教育連携プロジェクトで制作しました。とても魅力的な世界観を作り出せましたので、ぜひプレイしてみてください。
森本
昭和初期の鄙びた山村に放り出され、迫りくる死の恐怖と戦うという絶望的なプレイ体験をぜひお楽しみください。
『虧月の夜』商品情報
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現代の高校生が大量殺人事件の“当事者”として、鬱屈とした空気感に閉ざされた昭和初期の農村に転生する。
事件に巻き込まれ死亡することで同じ時間を繰り返しながら、正しい選択を見つけ生き残りを目指す“タイムリープサバイバルホラー”。
タイムリープをするたびに絡み合っていく人間関係と、逃れられない殺意。 繰り返すことで見えてくる因習、秘密、そして真犯人の動機。
虧ける月夜が明けたとき、主人公(あなた)が迎えるのは、希望か、絶望か――。
■メーカー:エディア
■発売日:2026年1月29日(木) 発売予定
■希望小売価格
- 通常版:5,280円(税込)
- DL版:5,280円(税込)
■対応機種:Nintendo Switch
■ジャンル:タイムリープサバイバルホラーADV
■プレイ人数:1人
■CEROレーティング:審査予定
■ジャンル:タイムリープサバイバルホラーADV
■プレイ人数:1人
■CEROレーティング:審査予定