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『モンハンワイルズ』×『FF14』コラボ記念インタビュー:辻本氏と吉田氏が紡いだ15年来の友情が後押しした、『モンハンワールド』に続く2度目のコラボ実現に至ったワケとは?【TGS2025】

文:編集O

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 9月29日に配信される『モンスターハンターワイルズ』(以下モンハンワイルズ)の無料タイトルアップデート第3弾。その目玉となるのが、スクウェア・エニックスのオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下FF14)とのスペシャルコラボコンテンツ“オメガ・プラネテス討伐クエスト”の追加です。

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 本コラボでは主要キャラクターであるアルファやオメガたちが登場。ほかにも『FF14』に登場するジョブ“暗黒騎士”のハンター装備、“ピクトマンサー”の絵画魔法など、さまざまな要素がてんこ盛りとなっています。

 TGS2025ではそのコラボ配信を記念して、27日の特別ステージ開催前日に『モンスターハンターワイルズ』プロデューサーの辻本良則氏とディレクターの徳田優也士氏、そして『FF14』のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏を交えた、メディア合同による一問一答形式でインタビューが実施されました。本記事ではそこで語られた3人の言葉をお届けします。

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辻本良三『モンスターハンターワイルズ』プロデューサー

徳田優也『モンスターハンターワイルズ』ディレクター

吉田直樹『FFXIV』プロデューサー兼ディレクター


 なお、オメガとは『FF5』で隠しボスとして初登場し、以降さまざまな『FF』作品でプレイヤーの壁となってきた人気モンスターであり、『FF14』ではレイドコンテンツ“次元の狭間オメガ”シリーズで戦う相手になります。

 今回のコラボではそのオメガ本体ではなく、悠久の旅を続ける数あるオメガのうちの一機が禁足地に到来したという形での登場となりますが、その強さはオリジナルとそん色ありません。そんな激闘の模様をまとめたレポート記事もアップしているので、ぜひ配信前にチェックしてみてください。

メディア合同による一問一答【モンハンワイルズ×FF14スペシャルコラボインタビュー】


――『モンスターハンターワールド』のベヒーモスに続いて『FF14』とは2回目のコラボとなりますが、あらためてコラボのきっかけを教えていただけますか?

辻本
吉田さんとは15年以上の付き合いがありまして、以前から一緒に何かできたらという話をしていました。吉田さんが『FF14』を担当されるようになり、『モンハンワールド』で一度コラボしたあとも「また機会があれば」と話しをしていたんです。

 去年のTGSで『モンハンワイルズ』の開発メンバーと吉田さんが会う機会があり、「『モンハンワイルズ』でも何かできませんか」とお話しをして、その後TGSで打ち合わせをしてコラボが決まった形です。

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――『モンハンワイルズ』の世界観に登場するのが生物ではなく、機械のオメガ・プラネテスである理由を教えてください。

徳田
今後のタイトルアップデートでは、巨戟龍 ゴグマジオスのような巨大で飛行して熱線攻撃を行うモンスターの実装が予定されているなかで、それらと重複しないようなモンスターを『FF14』から選びました。

 さまざまな範囲攻撃を重ねながらプレイヤーに正解を選択させる遊びがおもしろいと考え、オメガが適しているのではと判断しました。また、『モンハンワイルズ』には古代文明をモチーフにしたバックボーンがあり、オメガの設定面でもシナジーがあると感じたのも理由です。

――オメガ・プラネテスは既存モンスターのリグ(3DCGモデルを動かすための制御)を使用していますか?

徳田
既存モンスターをベースにしていますが、バラバラの動きは直接入れているわけではありません。『FF14』からモーションをいただき、さらにアクションゲームに適用させるために新規で作ったものが中心です。なので、かなりオリジナリティのあるモンスターになっています。

――コラボクエストでは暗黒騎士とピクトマンサーの2ジョブが登場しますが、こちらの選定はどのように行われましたか?

徳田
『FF14』で現在人気のあるジョブを吉田さんに相談したところ、アビリティを重ねて魔法を打つという、ビジュアル的にもおもしろいピクトマンサーというジョブがあると教えていただきました。それをうかがって、『モンハンワイルズ』とのシナジーをもたらす遊びになると感じたことが採用理由ですね。

 また、ライトユーザーでも『FF』とのコラボだとわかるような要素も欲しく、当初は白魔道士を考えていました。ですが魔法系がピクトマンサーと重複するため、タンク職でありながら自分の体力を犠牲にしてアビリティを使う暗黒騎士を選びました。

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――オメガというキャラクターをモンハンに預けてコラボする際に、吉田さんから「これは守ってほしい」という要望はありましたか?

吉田
『FF14』の“次元の狭間オメガ”を最後までプレイされている方は、“オメガが心を持ったか持たないか”みたいなところが語られているとご存じだと思います。

 だから、登場したオメガそのものが『モンハンワイルズ』で討伐されてしまうと、冒険者目線だと心情的につらいだろうなと感じました。

 そこで、プラネテスという別機体・別個体を作ることで、もともとの『FF14』側のオメガと絡むストーリーを構築することを提案しました。そうすれば、思い切ってハンターとしてオメガと戦えるのではないかなと。

 僕もオメガと戦うとお話をうかがったときに、「パントクラトルするよね」と思っていたら予想通りで、とても楽しみです(笑)。

――『FF14』の要素を『モンハンワイルズ』に落とし込む際に、苦労した点や意識した部分はありますか?

徳田
MPの概念がなかったり、クールダウン管理の仕方が違ったりと、アクションゲームとMMORPGでは大きく異なる部分があります。そのテイストを持ちながらもアクションゲームに落とし込むことを意識しました。

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 たとえばオメガ・プラネテスにダメージを与えていくと“デルタアタック”の発動準備に入り、増援としてネルスキュラ・クローンが登場します。そしてネルスキュラを討伐するとエネルギー溜まりができ、防御障壁のエリアが展開してそのエリア内に入れば“デルタアタック”を耐えられるという、『FF14』でのオメガとの戦いを経験した方に響くような演出があります。

――コラボクエストの難易度はどのくらいを目安に設定されたのでしょうか?

徳田
『モンハンワールド』のベヒーモスくらいを目指しつつも、プレイヤーの火力が増していることやサポートハンターの存在により、結果的に少し敷居が下がった形になっています。

吉田
『FF14』側のコラボクエストでは、カジュアルに遊ぶ方からハードコアなプレイヤーまで、すべての方に楽しんでもらえるよう複数の難易度を用意しています。

 ハードモードでしか手に入らないアイテムは作らず、ドロップ率の違いなどで差別化しているので、バトルを楽しみたい人もハウジングを楽しみたい人も、すべてのプレイヤーが楽しめるのではないでしょうか。

――『モンハンワイルズ』側には常設クエスト以外にも何かコンテンツがありますか?

徳田
こちらは27日のステージ発表をご覧ください。



――今回のコラボイベントを実施することでどのような効果を期待していますか?

吉田
プロデューサーとしての建前では、それぞれのファンベースが盛り上がり、まだプレイしていない人たちが手に取るきっかけになることを期待しています。

 ただ、どちらかといえば本質的にはゲーム業界を盛り上げて、大きなタイトル同士が収益や利益を抜きにしておもしろいことをやることで、開発チームも大きな刺激を受けて新しいものに取り組める機会が生まれるのかなと。

 そしてそれこそがゲーマーにとってもファンにとっても、そして我々にとっても効果が大きいところだと考えています。

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辻本
吉田さんとプロデューサーとしての考え方は同じですね。お互いのタイトルをプレイしてもらえるきっかけになってほしいという想いがあります。

 ただ、ここまで大きなコラボレーションは簡単にできるものではなく、互いの信頼関係が非常に重要です。お互いのゲームに向き合う姿勢や考え方を理解し合っているからこそ、こちらもアイデアを出せますし逆もあります。

吉田
両社ともスケジュールコントロールは難しいところがありますが、できれば両タイトルでのコラボを全力で楽しんでいただくためにも、スケジュールを完全に重ねるのだけは避けましょうと相談しました。なぜなら光の戦士たち(冒険者)はハンターでもありますし、同時だとたいへんになりますから(笑)。

――開発者としてオメガ・プラネテスと戦った感想を教えてください。

吉田
じつは完成版で戦うのはこの後のリハーサルが初めてなので、非常に楽しみです(笑)。

辻本
コラボレーションでは『モンスターハンター』の世界ではできないことに挑戦できることが多くあり、プレイヤーのみなさんにもそのインパクトを感じてもらえると思います。

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徳田
試遊版はクエストの時間や挑戦回数など、製品版とは少しルールが違いますが、数回プレイすればだいたいの方がクリアできるようになっています。ルールを理解する過程も含めて楽しめる内容なので、製品版にご期待ください。

――『FF14』側のコラボレーションについては、28日のステージでいろいろと語られると思いますが、お話できる範囲で見どころを教えていただけますか?

吉田
試遊台を並べるということが今回は難しいので、ステージ上で“護竜アルシュベルド狩猟戦”にチャレンジします。たぶん藤岡さん(要氏。アートディレクター兼エグゼクティブ・ディレクター)もパーティに参加してくださると思いますし、どういったプレイが見られるのか注目してください。

 攻略のヒントをつかめるかもしれませんし、報酬をすべて紹介する予定です。今回はカプコンさんにご協力いただいて、多数のバリエーションを用意できたので、ぜひ楽しみにしてください。実装日もステージで発表します。そんなにお待たせはしないです。



――チョコボにはいろいろなバリエーションがありますが、それらにセクレトがなり切れる機会はありますか?

徳田
TGS会場のスクウェア・エニックスさんのブースにもあったでぶチョコボのように、チョコボにはいろいろなバリエーションがあり、開発内でも「これがかわいい」というようなアイデアがたくさん出ました。

 ですが、まずは王道のチョコボをお借りして、セクレトにチョコボの外見や鳴き声、騎乗時のBGMや演出などを用意して、しっかり楽しんでいただくことが大事かなと。それだけでも十分楽しんでいただけると思います。なので、現状では純粋なチョコボ以外の実装の予定はありません。

――コラボのキービジュアルについてこだわったポイントはありますか?

徳田
ストーリーテラーであるアルファとオメガ・プラネテスが入っていることや、ストーリーに関わるモンスターが描かれています。チョコボなど『FF』とのコラボ要素もたくさん盛り込みました。

――『FF14』側のコラボでも特別なアートなどは用意されるのでしょうか?

吉田
アートはとくにありませんが、のちほどコラボのフルトレーラーを公開予定です。個人的に『モンハンワイルズ』側のアートを見て「さすがだな」と思ったのが、オメガ・プラネテスの首が微妙に傾いているところですね。

 じつはオメガって『FF5』で登場した時からこの特徴があり、アートにしっかりそれが反映されていて「さすが理解力が違うな」と(笑)。

――今後さらにコラボを広げる予定や将来的に目指している形はありますか?

吉田
『モンハンワールド』でコラボさせていただいたときは、僕の中ではやり残した部分もあったという後悔がありました。じつはこれは辻本さんにもお話していませんが、『モンハン』をテーマに、アライアンスレイドとして作れないかと2年ほど議論していたくらいなんですよ(笑)。

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 だから、今回のコラボをたくさんの方に全力で遊んでいただいて、そのフィードバックも拝見したうえで、おもしろいことができれば制約をつけずにアイデアを出して、また何かできる機会があればぜひお伝えしたいです。せっかく『FF14』と『モンハン』は相性がいいと辻本さんにもおっしゃっていただいていますので。

辻本
吉田さんとは15年以上の付き合いがあるので、今後も何か一緒にやる可能性はあると思いますが、プレイヤーにとってインパクトのあるものを提供できる適切なタイミングと内容が重要です。

 現時点で「いつ何をするのか」という具体的なアイデアがあるわけではありませんが、「何か一緒にやりたい」という考えは常に持っています。

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