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【FF14名言集:サンクレッド】……でも、一度くらいはちゃんと叶えたいだろ。俺は、お前の、「お兄さん」なんだから。(ネタバレあり)

文:江波戸るく

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 スクウェア・エニックスが運営するオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下、FF14)』。本企画では、ヒカセン兼ライターが膨大なプレイ時間をかけて旅する中で出会った、『FF14』の“好きなクエスト”や“好きな台詞”を振り返りつつ紹介していきます。

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 第1回となる“名言集”記事では、パッチ5.0『漆黒のヴィランズ』のメインクエストより、サンクレッドの台詞をお届けします。

※『漆黒のヴィランズ』を中心とした物語のネタバレを含みますので、ご注意ください。※本記事内の記述はライター個人の解釈によるものです。

……でも、一度くらいはちゃんと叶えたいだろ。俺は、お前の、「お兄さん」なんだから。(サンクレッド)


●メインクエストLv77“廃都ナバスアレン”(パッチ5.0『漆黒のヴィランズ』)

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 いきなり『漆黒のヴィランズ』……? と自分で思いつつも、私が『FF14』において最も思い入れが強いと言っても過言ではない人物はサンクレッドなので、初回となる今回でピックアップすることにしました。

 そんなサンクレッドは『新生エオルゼア』のメインクエスト序盤で、ウルダハから物語を開始した冒険者が最初に接触することとなる“暁の血盟”の賢人のひとりです。

 昔はリムサ・ロミンサで盗賊稼業をして生きていましたが、暁の血盟の前身である“救世詩盟”のルイゾワとの出会いをきっかけに(彼の荷物にちょっかいを出して捕まえられた、とも言えます)更生し、そちらへの参加を経て今に至ります。諜報とサバイバル能力に長けた頼もしい仲間です。

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 サンクレッドのことを振り返ると、『蒼天のイシュガルド』にて光が氾濫する第一世界を救うためにそちらへ旅立った暁の血盟の盟主・ミンフィリアと、『漆黒のヴィランズ』のキーキャラクターの1人である少女“ミンフィリア”――2人の家族への想いを抱いて戦った、この場面の言葉が特に印象的だったな、と思います。

※以下、暁の血盟の盟主であった彼女についてはミンフィリア、のちにリーンとなる少女については“ミンフィリア”と記載

 詳細を記すと記事1本では到底足りないためやや割愛しますが、『漆黒のヴィランズ』では"光に蝕まれる第一世界に闇を取り戻すこと"が主目的となります。そのため、光の戦士改め闇の戦士一行は、第一世界の各地にいる大罪喰いを倒していくことに。

 そんな中、なかなか手がかりが掴めないアム・アレーンの大罪喰いの居場所を突き止めるため、“ミンフィリア”とともに廃都ナバスアレンへ向かう一行。

 陽動もあり順調に思えましたが、目的地が近づいてきたところで、追ってきたユールモア軍の将軍・ランジートの襲撃を受けてしまいます。

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▲ランジートは罪喰いに抗ってきたユールモア軍の将軍。ユールモアは現元首・ヴァウスリーがその地位を継いでからは緩やかに滅びを受け入れ、罪喰いとは融和する方針に転換しているため、必然的に闇の戦士一行とは敵対することに。同時にここで保護されていた光の巫女である“ミンフィリアたち”の指南役でもあり、サンクレッドから戦う術を教わった“ミンフィリア”の構えを見て嘆く場面もありました。
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▲ランジートの告げる“救い”(後述しています)を断り、その手は取らないと言う“ミンフィリア”。そこには彼女が旅をして得た、確かな意思がありました。

 サンクレッドはランジートをここで止めるために残り、“ミンフィリア”に「誰のためでもない、お前の望みをぶつけてくるんだ」と言います。

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 ここで“ミンフィリア”についても一度振り返っておきます。第一世界でサンクレッドが助け出し、一行が出会うこととなった“ミンフィリア”は、ミンフィリアの魂を宿す少女でした。罪喰い化に耐性を持つ“ミンフィリア”は、傷つき命を落としても“再び生まれてくる”という状況にあり、これまでに何人も落命していることが語られています。

 ユールモアによって10年前に発見・保護され、一行が出会った“ミンフィリア”もその運命を背負っていましたが、その少女自身は依り代にすぎず、彼女には彼女の人格があります。

 つまるところ、1つの体に2人分の人格があるようなものでした。その状態では光の巫女としての力は不完全で、大罪喰いを捜索することはできません。

 なお、以前サンクレッドはナバスアレンの地で、表に出たミンフィリアの意識と対話しています。今度こそ君を救いたいと告げるサンクレッドでしたが、彼女自身は、少女が自分の足で歩くことを選ぶのならばすべてを託す、という覚悟を抱いていました。決意が固まったらもう一度来てほしい、と言い残しています。

 大罪喰いを探すためとはいえ、ナバスアレンでミンフィリアに会えば、ミンフィリアと“ミンフィリア”、どちらかの人格しか残すことができない、ということとなります。

 前者が残れば娘のように接していた少女が消え、後者が残れば、妹のように想っていた存在が消えてしまうのと同じこと。あまりにも残酷な天秤ですが、サンクレッド自身もいつか向き合わなければならないことでした。

 それを分かっていたサンクレッドは、ずっと複雑な心境でいた模様。“ミンフィリア”にそれが伝わり、迷わせてしまったこともありました。

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 この、“サンクレッドは途中でランジートの足止めを引き受けるため、ミンフィリアのいるナバスアレンまで一緒に行けない”という展開は、ひとつの決断と別れのあと、"ミンフィリア"がリーンという名を得て己の足で歩き出すための、大事な流れだったのだなと思えます。

 わがままくらいいくつだって受け止める、と言ったサンクレッドは、単身でランジートと対峙。ここのインスタンスバトルではサンクレッドを操作することとなりますが、ほぼガンブレイカーのジョブとはいえ、若干アクションが異なるので少し新鮮でしたね。

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▲ここでランジートに向けて言い放つ「行かせはしない。妹と娘、ふたりの家族への想いだ……打ち破れると思うなよッ!」も名言としてピックアップしようかかなり迷いました。

 一方、光の巫女として生まれては犠牲になり続ける“ミンフィリア”を、ランジートは長い間、そばで見続けています。生まれては戦い、命を落としていく光の巫女を見て、何も思わないということはなかったはず。

 サンクレッドと交戦する前の「されど世は変わらず、お前は幾度も、幾度も死に続けた!」という言葉からも、それは感じ取れます。彼自身は力のある武人であったからこそ、なおさら思うこともあったのではないでしょうか。

 ユールモアで外を知ることなく、残酷な運命にも振り回されず、幽閉されたまま生を終えるのが彼女にとっての救いだという考えを持つ彼も、こちらから見れば歪に感じられてしまうものの、サンクレッドとは異なる形で彼女のことを想う“父”でした。ここで“ミンフィリア”の背を押して送り出したサンクレッドとは、ある意味対照的だったなとも感じます。

 が、サンクレッドとランジートの、互いに譲れないものを懸けた戦いは、サンクレッドが打ち勝つ形で決着がつくこととなります。

 激戦ののち、力を出し切ったサンクレッドはその場に倒れ、空を仰ぎました(まさかここで死んでしまうのか? とハラハラした記憶も)。

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 ここでサンクレッドは、ミンフィリアが第一世界に旅立つ前に言った「もらった愛情を、今度は誰かにわけにいく」という言葉を思い返し、どこまでも優しい彼女の願いに気づかなければよかったのかもしれない、とこぼします。

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 そのあとに、今回“名言”として挙げた言葉を口にしました。

「……でも、一度くらいはちゃんと叶えたいだろ」

「俺は、お前の、「お兄さん」なんだから」

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▲画像ではどうしても伝えきれませんが、ここでサンクレッドの声がかすかに震えているところが印象に強く残っています。また、このあとにテキストは表示されない状態で“何か”を言っています。おそらく、その言葉は……。

 ミンフィリアが、小さなレディ――“アシリア”であった頃から見守ってきたサンクレッド。

 いつの間にか大きく美しくなり、したたかに盟主として尽力してきたミンフィリアは『漆黒のヴィランズ』の物語を経て、今度こそ生者からは手が届かない遠い場所へと旅立ってしまいます。

 個人的に『漆黒のヴィランズ』は、各々の“正義”のほか、要所にさまざまな形の“愛”が散りばめられた物語だったという印象がありますが、サンクレッドと2人のミンフィリアを取り巻くものにも確かなそれがあったなと、振り返って感じました。

 こうして2つの願いを兄として、父として後押ししたサンクレッドでしたが、このあとで“ミンフィリア”に“リーン”という名を渡すところも含めて好きです。世界の壁を越えることは容易くはないですが、いつかまた再会できるといいですね。

 なお、公式サイト(ロードストーン)で公開されている“〇〇秘話”には、サンクレッドとミンフィリア、そしてランジートに関する物語もあります。まだ読んだことがないという方はこの機会にぜひ。

※こちらの下のほうに各秘話ページへのリンクがあります

 電撃オンラインでは、好きなクエストや名言などにフォーカスした『FF14』に関する企画記事をこれからも不定期で展開していく予定です。次回もお楽しみに!



江波戸るく:永遠に新米のライター兼編集者。業が深いと判断したキャラクターを“海溝”と定めて沈むことに生きがいを見いだす。“暁の血盟”で一番好きな人物はサンクレッドで、最も記憶に焼きついて離れないメインクエストは『暁月のフィナーレ』の“すべての子らよ”。

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