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新作ボドゲ『銀魂 将軍だーれだ』レビュー。お題に沿った変顔を当てる心理戦はお手軽だけどアツい。原作未読でも楽しめるカジュアルさやファンアイテムとしての質のよさも魅力

文:Ak

公開日時:

 12月20日発売予定の『銀魂』をテーマにしたボードゲーム『銀魂 将軍だーれだ』の先行レビュー記事をお届けします。

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ゲーム概要:ゲームの流れに沿ってルールを紹介! 簡単だけど奥深いルールに注目【銀魂 将軍だーれだ レビュー】


 『銀魂 将軍だーれだ』は、お題に沿って手札から銀魂キャラクターの顔のカードを出していき、1人だけお題を知らない=将軍を当てるという『銀魂』をテーマにしたボードゲーム。

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 公式サイトで“変顔大喜利”というテーマを見たときは、てっきりみんなで変顔をしあうパーティゲームなのかな? と予想していましたが、そんなことはなかった!(笑) あくまで変顔の描かれた手札を使ってゲームを進めるので、シャイな人でも十分に楽しめます。

 ボードゲームというとルールを覚えるのが難しい、というイメージを持つ人も多いとは思いますが、本作はルールがかなりシンプル! 試遊時はゲーム制作者の方にルールを説明していただきながらプレイしましたが、ルール説明を聞きながら同時進行でスムーズにゲームを楽しめました。

 まずはルールをゲームの流れに沿って説明していきます。

顔山札から4枚ずつカードを引く


 本作のプレイ人数は3人以上。推奨は3~6人となっています。そのなかから、まずは将軍となるプレイヤーを決めましょう。ルールでは、マゲが似合いそうな人が最初に将軍になります。将軍は順番に1回ずつ担当していくので、「将軍になりたいけれど俺よりもあいつのほうがマゲが似合うな……」という場合はゆずってあげましょう。

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 こちらが将軍役のプレイヤーが持つ“将軍カード”。まさかのリバーシブル仕様で、真面目な袴姿と神々しさを感じるブリーフ姿、どちらを使ってもOKです。なお、今回の試遊ではもちろんブリーフ姿を使用しました(笑)。

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 続いて参加プレイヤーは、顔山札(裏側にエリザベスの描かれたカード)から4枚ずつを手札として引きます。

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 筆者が引いた最初の手札はこんな感じ。これが変顔大喜利の回答カードになります。引いた時点では、強いのか弱いのかよく分からなかったのですが……実は右2枚は、けっこう汎用性が高く“強い”カードのような気がします。

お題山札から3枚めくって場に並べる


 続いて、お題山札(裏側に将軍家の家紋っぽいものが描かれたカード)の上から3枚をめくり、場に出します。

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 最初のお題はこの3枚。お題が提示されたら、将軍が目をつぶります。そして参加プレイヤーのうち1人が、この3枚のなかからお題を決めます。基本的にはこの役もローテーションしていくので、将軍役の隣の人がやる、みたいな決め方がオススメです。

お題に沿って顔カードを裏にして並べる


 お題が決まったら、参加プレイヤー全員がそのお題に合った顔カードを裏にして出します。唯一将軍だけは、お題を知らない状態で顔カードを出す必要があるわけですね。そして裏側にした顔カードをシャッフルして、場に並べましょう。

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 試遊時の参加プレイヤー数は5人だったので、こんな感じで5枚並びます。この時点で、誰がどの顔カードを出したのかはわからなくなっています。

お題を発表してから顔カードをめくっていく


 顔カードがそろったら、選んでいたお題カードをその場に置きます。この時点で、将軍にもお題が判明するわけで、将軍役は下手なリアクションをしないように要注意ですね(笑)。

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 今回選ばれたお題と、顔はこんな感じ。筆者の出した顔カードは真ん中のカードですね。けっこうお題に沿った回答を出せた気がします。

将軍が選んだ回答カードを予想する


 そして重要となるのがこのパート。場に出された顔カードのうち、将軍役の出した顔カードがどれかを、将軍役以外のプレイヤーが予想して指名します。

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 こんな感じで、「将軍だーれだ?」の掛け声と同時に将軍が出したと思わしき顔カードを指定しましょう。将軍はお題を知らずに回答しているので、お題に沿わない顔カードが将軍の出した回答の可能性が高いです。今回は一番左の顔カードを選んだプレイヤーが多かったですが……結果は?

将軍の選んだ回答を発表し得点を割り振る


 全員が顔カードを指定したら、将軍は自分の出した顔カードの近くに将軍カードを置きます。

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 一番左の顔カードが将軍の出した回答だと判明! 3人のプレイヤーの予想が的中です。ちなみに、筆者の予想も当たっていました。まあ、消費期限10日前の牛乳を飲んだにしては、表情が余裕すぎますよね(笑)。

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 そして、正解者には1枚、将軍には正解を当てられなかったプレイヤーの人数分の枚数のお題カードを、裏にしたままお題山札から配ります。これが得点となり、最終的に多くの得点を保持していたプレイヤーが勝利! 将軍は回答こそできないものの、一気に複数の得点をゲットするチャンスがあるわけですね。

 そしてこのお題カード、よく見たら将軍家の家紋のように見えてブリーフ柄になっている!(笑) 細部まで『銀魂』色が満載で、見ていて楽しいです。

 ちなみに顔カードの指定時、もし自分の出した顔カードが自分以外のすべてのプレイヤーから選ばれた場合、“まるでダメな顔 略してマダオ”を出してしまったペナルティとして、選ばれた数だけ得点が減ります。得点がなければデメリットはないですが、リードしていても一気に形成が逆転する可能性があるので、要注意です。

ゲーム実践:5ラウンドを実際にプレイした結果をリプレイ!【銀魂 将軍だーれだ レビュー】


 上記が1ラウンドの流れ。1ラウンドごとに将軍をローテーションしながら、全員が将軍を1回ずつプレイしたらゲーム終了です。ここからは、実際に5ラウンドプレイしてみて分かった本作の戦略性についてレビューしていきます。

2ラウンド目(筆者が将軍)


 2ラウンド目は、さっそく筆者が将軍に! 一気に得点を稼ぐチャンスなので、緊張感がありますね。

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 ラウンド開始時、前のラウンドで使った顔カードの補充のために顔カードが1枚配られます。2ラウンド目では、颯爽とハンドサインを送るヅラの顔カードが配られました。ちょっと使えるシチュエーションが少なそうな感じも……? このゲーム、けっこう配られる手札によって戦略が変わってくる気がします。

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 今回のお題カードはこの3枚。筆者は将軍なので、どれが選ばれるのかは分かりません。そこで筆者が場に出したのは……?

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 3つのうち、「満員電車で~」以外の2枚に当てはまりそうだと思って、配られたばかりのヅラカードで勝負! このように将軍の場合、複数のお題に対応できる汎用的な顔カードがあると、当てられなくてよさそうですね。

 狙い通り、お題は「まだまだだねの顔」が選択されました。そして将軍の指名は……!?

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 1人に指名されるという結果に! お題が分からない以上、基本的に将軍になったラウンドは不利なので、それにしてはなかなか上々の結果と言えるのではないでしょうか。

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 将軍は指名されなかった分だけ得点をもらえるので、先ほどの1点と合わせて合計4点をゲット! 一気にリードできました。

3ラウンド目

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 3ラウンド目のお題は「なんで怒ってるのか分かる? って言われたけどマジ分かんない時の顔」。なかなか難しいお題ですが、何かすっとぼけた表情の顔カードがあるとよさそうです。

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 筆者はこのとき、3ラウンド目にちょうど配られたゴリラ(空知先生)のすっとぼけ顔のカードを場に出します。なかなかピッタリの顔カードがタイミングよく配られたものです。

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 狙い通り、他プレイヤーから一切指名されないファインプレイ! 自身が将軍以外のラウンドでは、指名されにくいようにピンポイントでお題に沿った顔カードを出せれば理想的ですね。とはいえ実際にはお題に沿った顔カードがあるかは分からないので、運しだいではありますが……。このように、戦略性と運のバランスがいい点は、パーティゲームとして優れた点であると思います。

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 そして将軍はまさかの一番左の顔カード! なぜこんなドンピシャな表情を選べたのか聞いたところ、「お題を絞って賭けに出た」とのこと。将軍の場合は、そういったギャンブルに出て一気に稼ぎにいくのも確かにアリですね。

 ちなみに逆に3人に指名されてしまったヅラのシリアス顔を出したプレイヤーは、手札に当てはまるような顔カードがなく、仕方なく少しでも当てはまっている顔カードを出したらしいです。運に恵まれないと、なかなか厳しい結果になることもあるようですね。

4ラウンド目

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 4ラウンド目のお題は「先輩に、明らかに嘘っぽい武勇伝を聞かされている時の顔」。

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 となると、なんか同調しているっぽい顔がいいかも? 4ラウンド目に配られた、銀さんのシリアス顔がなんかカッコよくて武勇伝っぽいから、ひとまずこのカードでいくか……。

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 結果、あまりにお題に沿わない表情をした銀さんのカードが指名されまくり!

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 そして多く指名された顔カードは、やはり将軍でした。おそらく、「足つぼマッサージ~」のお題に賭けた結果だと思われます。将軍の場合、どれかのお題を狙ってピンポイントで当てはまる顔カードを選ぶか、あるていどどれともとれる顔カードを選ぶかは賭けですね。失敗すると、今回みたいに大負けしてしまうのがギャンブル性が高くて面白い!

 しかも今回は全プレイヤーから指名されてしまったので、“マダオ(まるでダメな顔 略してマダオ)”を出してしまったペナルティで全得点を没収されます。将軍で稼げないうえに得点没収は、なかなか厳しい結果ですね。

5ラウンド目


 そして勝負は最終ラウンドへ!

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 最後に配られた顔カードはシリアス顔の銀さん。シリアス顔はピンポイントでお題に沿ったものを出すのは難しそうですが、どうとでも解釈できる表情も多いので、意外と役立つかもしれません。

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 そして最後のお題は「終電間際の改札前でディープキスしてるカップル見かけた時の顔」。

 なかなか難しい! なんかムカついている顔があればピッタリなのですが……。

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 ピンポイントで当てはまる顔カードがなかったので、最後に配られた銀さんの顔カードで勝負!

 なんかムカつきが限界突破して、シリアス顔になっちゃった……という解釈です。

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 ちょっと苦しい解釈だったせいか、2人に指名される結果に。あと1人で“マダオ”だったので危なかった……。複数のプレイヤーに指名されても“マダオ”にならない限り直接自身の得点には影響はないですが、そのぶんが将軍の得点になってしまうので、可能な限り指名されないようにする必要があるようです。

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 そして将軍はまさかの一番右の顔カード! すげえ恨みがこもった表情で、お題にピッタリすぎる……(笑)。これもピンポイントでお題に賭けた結果のようです。

まとめ:簡単そうに見えてどの札を出すかの戦略性がかなり深い! パッケージの細部へのこだわりもうれしい【銀魂 将軍だーれだ レビュー】

 こうして全ラウンドが終了。優勝したのは、開発者の方でした! 順当な結果に見えますが、実際は運の要素も強いので、必ずしも慣れたプレイヤーが勝てるバランスにはなってはいません。

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 ゲーム終了後に、お題カードや顔カードを見せてもらいましたが、なかなか難しそうなお題カードもチラホラありますね。「連載開始時から追ってるマンガが覇権アニメになった時の顔」とか、どんな表情を選べばいいんだ……(笑)。

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 プレイ後に聞いたところ、各イベントなどでの販売時に、こうした顔カードを購入特典にすることもある模様。通常の顔カードと比べるとフルカラーでリッチな作りになっています。もちろんこれらの顔カードは、実際に顔山札に混ぜて使うことが可能です。

 やろうと思えばプレイヤー側でお題カードを足すこともできます。慣れてきたらそういう楽しみ方もできるのがボードゲームの魅力のひとつでもありますよね。

 また、細部までこだわったパッケージも収集欲を刺激されました。実際にゲームに使用しない場所まで作り込まれているのは、ファングッズとしても非常に魅力的だと思います。これ、メチャクチャ大事なポイントだと思うんですよ。

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▲箱を開けると、変顔の将軍の描かれたマニュアルでひと笑い。ただ単にゲームを説明するだけなら、この表紙でなくてもいいはずで、この作り方をしているところに愛を感じて勝手にうれしくなりました。
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▲こんな感じでカードをピッタリ収納できます。
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▲カードを取り出すと、底面に変顔の銀さんが! こういう“お遊び”、個人的には嬉しいですね。
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▲背表紙はこんな感じ。サイズがコミックスと同じなので、本棚でコミックスと並べて収納できます。
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▲箱の端っこに見覚えのあるデザイン。ジャスタウェイ!?

 シンプルにまとめられたルールで誰でも楽しめるカジュアルさと、お題に沿った手札を選ぶ戦略性の奥深さを両立させたゲーム性がお見事な新作ボドゲ『銀魂 将軍だーれだ』。

 『銀魂』を知っていれば、変顔を見て「あのシーンの顔だ!」みたいに盛り上がれますが、『銀魂』を知らない人と一緒に遊んでも十分に楽しめるようになっています。これまたうれしいところですね。ルール説明に時間がかからないのが、ボードゲームとしてありがたい。いろいろな人が集まる年末年始のパーティゲームにもピッタリ! ファンアイテムとしてのクオリティもしっかりとしているので、ぜひ購入して本棚に加えてみてはいかがでしょうか?

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