HUNT Games Company Limitedが2025年12月に日本サービスを開始したiOS/Android/PC用RPG『英雄伝説ガガーブトリロジー』。
日本ファルコム公認・監修による本作には、日本ファルコムが1994年から1999年にかけて発売した『英雄伝説III 白き魔女』『英雄伝説IV 朱紅い雫(あかいしずく)』『英雄伝説V 海の檻歌(うみのおりうた)』のキャラクターが登場し、3作品のシナリオを追体験できます。
日本ファルコム公認・監修による本作には、日本ファルコムが1994年から1999年にかけて発売した『英雄伝説III 白き魔女』『英雄伝説IV 朱紅い雫(あかいしずく)』『英雄伝説V 海の檻歌(うみのおりうた)』のキャラクターが登場し、3作品のシナリオを追体験できます。
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そこで本記事では、原作にあたるタイトルのひとつ、Windows版『英雄伝説IV 朱紅い雫』を振り返りつつ、2026年の現在で配信されているプラットフォーム(DMM GAMES/DLsite)についても紹介します。
索引
閉じる濃密な人間ドラマを通じて描かれた“人と神々をめぐる物語”【『英雄伝説IV 朱紅い雫』クリア後レビュー】
『英雄伝説IV 朱紅い雫』は、日本ファルコムによるRPGシリーズ“英雄伝説”の一作。また『英雄伝説III 白き魔女』『英雄伝説IV 朱紅い雫』『英雄伝説V 海の檻歌』は、ガガーブ三部作(ガガーブトリロジー)と呼ばれています。
各作とも同じ世界の出来事が描かれますが、“ガガーブ”という大地の巨大な亀裂や、山脈“大蛇の背骨”によって、それぞれの舞台となる地域が分断されているという設定で、まったく別々の物語が展開されます。
ガガーブトリロジー内の年表では、“IV 朱紅い雫”→“V 海の檻歌”→“III 白き魔女”の順番で進行。『英雄伝説IV 朱紅い雫』は、前作にあたる『英雄伝説III 白き魔女』よりも過去の物語として描かれました。
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そんな本作の主人公は、早くに両親を亡くした孤児のアヴィン。彼は、妹のアイメルとともに、光の神バルドゥスを信仰する教会の聖地カテドラールで保護され、穏やかな日々を過ごしていました。
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ところがある日、闇の神オクトゥムを信仰する人物、ベリアス卿が襲来。アヴィンとアイメルは、命からがら逃げ延びますが、その最中にはぐれ、二人は文字通り生き別れの兄妹に。アヴィンは、彼を助け出した賢者ガウェインのツテをたどり、老いた賢者レミュラスのもとに身を寄せます。
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それから長い月日が経ち、レミュラスが老逝。17歳の精悍な少年となっていたアヴィンは、その地で交流を深めた少年マイルを連れ立って、アイメルを探すために旅立つのでした。
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前作『英雄伝説III 白き魔女』では、メインキャラクターの生き死にを含め、とくに序盤から中盤までは、穏やかな話運びで物語が描かれていました。
しかし『英雄伝説IV 朱紅い雫』では、本編開始前から既に主人公が孤児で、そのうえで周囲の人々が襲われて妹と生き別れるという、非常に重くハードなシナリオが展開。そのテイストは、本作全体に及んでいるので、全編を通し、前作『白き魔女』とはまったく異なるプレイ体験を味わえます。
本作をプレイするにあたって、2026年現在おすすめのプラットフォームは、DMM GAMESやDLsiteにて配信中のWindows版。DMM GAMESの対応OSは、XP及びVistaとなっていますが、Windows 10やWindows 11でも、販売ページのユーザーレビューや検索情報をもとに、起動時の設定にほんの少し手を加えればプレイできます。
しかし『英雄伝説IV 朱紅い雫』では、本編開始前から既に主人公が孤児で、そのうえで周囲の人々が襲われて妹と生き別れるという、非常に重くハードなシナリオが展開。そのテイストは、本作全体に及んでいるので、全編を通し、前作『白き魔女』とはまったく異なるプレイ体験を味わえます。
本作をプレイするにあたって、2026年現在おすすめのプラットフォームは、DMM GAMESやDLsiteにて配信中のWindows版。DMM GAMESの対応OSは、XP及びVistaとなっていますが、Windows 10やWindows 11でも、販売ページのユーザーレビューや検索情報をもとに、起動時の設定にほんの少し手を加えればプレイできます。
息もつかせぬ容赦ない展開の連続(ネタバレあり)【『英雄伝説IV 朱紅い雫』クリア後レビュー】
旅に出たアヴィンとマイルは、道中で魔獣を退けながら、レミュラスの遺言をたどり、賢者ディナーケンのもとを訪ねます。
ディナーケンは、カテドラールを襲ったベリアス卿や、その端緒となった神々について語り、アヴィンとマイルは探し人であるアイメルが何者かを知ることになりました。
アヴィンとアイメルが過ごしていた教会が信奉する光の神バルドゥス、ベリアス卿が与する闇の神オクトゥム、それらに加えてこの世界にはドゥルガーという冥界神が存在することが語られます。
ドゥルガーは、人々が暮らす世界に直接干渉するには強大すぎるため、わずかな奇蹟の代理人として“ドゥルガーの娘”を定めるのだとか。そしてディナーケンは、アイメルこそがドゥルガーの娘であり、そのせいでベリアス卿に襲われたのだと話しました。
ディナーケンは、カテドラールを襲ったベリアス卿や、その端緒となった神々について語り、アヴィンとマイルは探し人であるアイメルが何者かを知ることになりました。
アヴィンとアイメルが過ごしていた教会が信奉する光の神バルドゥス、ベリアス卿が与する闇の神オクトゥム、それらに加えてこの世界にはドゥルガーという冥界神が存在することが語られます。
ドゥルガーは、人々が暮らす世界に直接干渉するには強大すぎるため、わずかな奇蹟の代理人として“ドゥルガーの娘”を定めるのだとか。そしてディナーケンは、アイメルこそがドゥルガーの娘であり、そのせいでベリアス卿に襲われたのだと話しました。
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こうしてアヴィンの妹探しは、世界を揺るがす勢力争いに関わることだと明らかになり、オクトゥムの使徒との戦いに身を投じることになります。
中盤に差し掛かるタイミングで旅の相棒が犠牲に
アヴィンとマイルは、アイメルの足跡をたどっていくうちに、いく度となくオクトゥムの使徒による襲撃を受けます。その中で、ルティスという使徒に襲われ、刃を交えますが、彼女もまた両親を亡くして弟と生き別れた、アヴィンと似た境遇の少女でした。
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使徒の撃退に加えて、魔獣や海賊との戦いも制するほどの険しい旅路を歩んだアヴィンとマイル。その苦労のかいもあってか、二人はついにアイメルと再会を果たします。
しかし再びルティスたち、オクトゥムの使徒に襲われ、アヴィン、マイル、アイメルの3人は窮地に立たされます。すると、そこに後からベリアス卿も現れ、組織内のいさかいによって、ルティスの相棒が粛清されてしまいます。
しかし再びルティスたち、オクトゥムの使徒に襲われ、アヴィン、マイル、アイメルの3人は窮地に立たされます。すると、そこに後からベリアス卿も現れ、組織内のいさかいによって、ルティスの相棒が粛清されてしまいます。
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あまりにも非情な仕打ちに嘆き悲しむルティス。アヴィンは、その隣に立ち、ルティスを説得しようとしますが、ベリアス卿直参の配下は容赦なくアヴィンに魔法を打ち込みます。
そのとき、ルティスはとっさにアヴィンをかばってしまい重傷を負います。既にマイルとアイメルは倒れ伏し、アヴィンは一人で戦いを挑みますが、多勢に無勢で奮戦むなしく敗北。
直後、意識を取り戻したマイルが、ベリアス卿に最後の抵抗を試みます。その結果、ベリアス卿の圧倒的な攻撃によって、マイルは成す術なく吹き飛ばされ、ドット絵のグラフィック上でも表現されるほどのおびただしい血を流し、完全に事切れるのでした。
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妹を探す旅から妹を取り戻す旅へ
ベリアス卿による襲撃後、その場には、アヴィンとルティスの二人だけが残されていました。そこへ、以前アヴィンをカテドラールの惨事から救った、賢者ガウェインが駆け付け、二人を介抱します。
アヴィンとルティスは息を吹き返し、紆余曲折あった後、“神宝”を集め、三人でアイメルをベリアス卿の手から救い出すことに。
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神宝とは、かつて光の神バルドゥスが、闇の神オクトゥムを封じた際に生じた6つの物体。バルドゥスとオクトゥムは、光と闇で表裏一体の存在とされているため、オクトゥムを封じることは、すなわちバルドゥス自身の存在を砕くことにつながり、そのバルドゥスの破片が神宝だと語られています。
三人は神宝にまつわる祠に向かい、ミッシェル・ド・ラップ・ヘブンと名乗る人物から助言を受けて、神宝のありかを知ります。
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ミッシェル・ド・ラップ・ヘブンは、前作『英雄伝説III 白き魔女』でラップと名乗り、一介の老人として主人公たちの旅立ちと帰還に立ち会った人物、その人です。
そして様々な人々との出会いと別れをくり返しながら、アヴィンとルティスの二人を軸に据えたパーティが、旅を続けていくことになるのでした。
バルドゥスの神宝を集める旅路
アヴィンとルティスたちが旅を続けていくうちに、神々を中心とした世界の構造も明らかになっていきます。
アイメルが狙われる発端になったのは、序盤にも明かされていた通り、ドゥルガーの娘という神の代行者に、彼女が選ばれたからでした。
そのドゥルガーは、冥界神であると同時に、風水地炎の四精霊を司る精霊神。それらの四精霊たちが、それぞれバルドゥスの神宝を守っていることもつまびらかに。
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アヴィンたちは、神宝を集めると同時に、四精霊の力も受け取り、一歩また一歩とアイメル奪還に向けて歩みを進めていきます。
そして、炎の精霊ザールのもとにたどりつき、彼が持っていた最後の神宝をかけ合わせた“神剣エリュシオン”が精錬。これは、バルドゥスの破片たる神宝をすべて合わせた剣なので、人の身でもオクトゥムに対抗できるのだと語られました。
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マイルとの再会と明かされるベリアス卿の真意
光の神バルドゥス、闇の神オクトゥム、光と闇、表裏一体の神をめぐる人々の思惑に巻き込まれ、哀しみと業を背負うことになったアヴィン。そして、ドゥルガーの娘に選ばれたせいで、オクトゥムの使徒に狙われることになったアイメル。
まさに神々によって、人生が翻弄されたかのように見える二人ですが、そのじつ、力を直接振るい、動乱を巻き起こしていたのは、すべて人間たちでした。
そんな人間たちによる争いの末、アヴィンたちは元凶たるベリアス卿のもとにたどりつきます。すると、ベリアス卿に操られたマイルが現れ、アヴィンたちとマイルが戦うことになってしまいます。
その最中、アヴィンはマイルと出会えたからこそ、ここまでの厳しい旅路に耐えられたのだと語り、神剣エリュシオンを振るわずして、ベリアス卿の呪縛を解き放ちます。二人は、おたがいの心に宿った意思と記憶によって、人として呪縛を解いたのでした。
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数多くの試練を乗り越え、とうとうベリアス卿に肉薄したアヴィンたち。アイメルをオクトゥムに捧げようとする寸前に間に合い、一行はベリアス卿と言葉を交わします。
そこでは、ベリアス卿の真の狙いが語られました。独自にベリアス卿は歴史の真実にたどりつき、世界を分断した亀裂“ガガーブ”と同規模、あるいはそれ以上の災厄が起こることを予見していたのだと言います。
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続けてベリアス卿は、その災厄を乗り越えるために、オクトゥムを顕現させ、人が神に導かれることで、世界に平和がもたらされるのだと説きました。
ベリアス卿の真意が判明したことで、自らの行いが正しいのか、揺れるアヴィン。そのときルティスやマイルが、アヴィンという人間の意思があったから、多くの人々が彼の助けとなり、ここまでやって来ることができたのだと諭します。
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神々と決別し、人の時代が幕を開ける
決意を新たにし、ベリアス卿を打ち破るアヴィンたちでしたが、儀式を止めることはできず、オクトゥムが世界に現れてしまいます。
とはいえベリアス卿が語っていた通り、オクトゥムは邪悪の権化ではなく、あくまでも闇の神。顕現したオクトゥムは、自らを「破壊と再生を指向し、世界を創り替えるもの」だと語ります。
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さらにオクトゥムは、神剣エリュシオンで自分を倒せばアイメルを取り戻せることも告げ、正面きっての公平な戦いがくり広げられました。
その結果、激闘を制したのはアヴィンたち。アイメルを無事に取り戻し、喜ぶ一同でしたが、マイルの体が消滅し始めてしまいます。彼は最初に嘘偽りなく命を落とし、ベリアス卿がオクトゥムの力を使って存在を維持していたのでした。
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マイルの体が消え去り、アヴィンたちが悲嘆に暮れる中、突如としてバルドゥスの声が響き渡り、オクトゥムの消滅によって閉じた冥府の門を再び開くと宣言。アヴィンは迷わず飛び込み、冥府の門を通過しようとするマイルの魂を追いかけます。
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そこでアヴィンとマイルは、これまで出会った人々が持つ熱い想い、まるで命の雫とでも呼ぶべき、紅くたぎる雫が冥府を照らす瞬間を目にしました。
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二人はそんな「朱紅い雫」の力によって、冥府を脱します。そして、いつの間にか門の前に集まっていた、これまでの仲間たちに迎えられ、現世への帰還を果たしました。
最後に、全員の前でアイメルの中に宿っていたドゥルガーが姿を見せました。ドゥルガーは、オクトゥムが倒れた時点で半身たるバルドゥスも世界を去ったことを告げ、これからは人間が神に頼らずに生きる時代が来たのだと語ります。
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人が、その意思の結実たる「朱紅い雫」を輝かせるとき、その瞬間こそが「人が無力な存在ではない」証明になったことを話し、ドゥルガーは現世から姿を消しました。アヴィンがマイルと過ごした村に、今度はアイメルを連れて戻り、物語はエンディングを迎えます。
スマホ版『ガガーブトリロジー』の言葉を借りるなら朱紅い雫は「小さな一滴が響き合うことで大な流れとなり、やがて奇跡となる……それは紛れもない人の力」。神にはない人の強さは運命を変える……紅くたぎる想いの雫が冥府を照らす時……奇跡は起きたのです。
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前作『英雄伝説III 白き魔女』を取り上げた記事では、作品のテーマとして“英雄伝説”というお題目を脱するかのような、生まれつきの英雄ではなく、普通の少年少女が結果として世界を救う、といった物語が描かれていたとレビューしました。
『英雄伝説III 白き魔女』は、時系列としては最後の作品にあたり、本作はその前々日譚とも言える作品です。そんな本作が“英雄伝説”と銘打たれたシリーズ名に対して、何を表現していたかといえば、それはファンタジーを題材にしたRPGでお約束の“神”という概念からの脱却なのかもしれません。
『英雄伝説III 白き魔女』での世界救済が“英雄譚”からの脱却でもあると示されていたように、本作では「朱紅い雫」という人々の意思による力が、世界ではなくマイルという個人を救いました。
時系列で前に位置しているためか、完全に英雄による世界救済から脱却するわけではないようでした。アヴィンは神の剣を振るう英雄として描かれ、相手の神そのものは主人公の英雄的振る舞いによって倒されています。
“脱英雄”とでも言うべき、ガガーブトリロジーの最初のプロセスとして、神の力(神剣)で神を倒すが、その意思は人のもの。そのうえで、神ではなく人が人を救う“脱神話”のアプローチが、本作で描かれていたのではないでしょうか。
次回のレビューでは、発売順で最後にあたる『英雄伝説V 海の檻歌』が、“英雄伝説”に対して、あるいは『英雄伝説III 白き魔女』の前日譚として何を描いたのかに迫っていきたいと思います。