HUNT Games Company Limitedが2025年12月に日本サービスを開始したiOS/Android/PC用RPG『英雄伝説ガガーブトリロジー』。
日本ファルコム公認・監修による本作には、日本ファルコムが1994年から1999年にかけて発売した『英雄伝説III 白き魔女』『英雄伝説IV 朱紅い雫(あかいしずく)』『英雄伝説V 海の檻歌(うみのおりうた)』のキャラクターが登場し、3作品のシナリオを追体験できます。
日本ファルコム公認・監修による本作には、日本ファルコムが1994年から1999年にかけて発売した『英雄伝説III 白き魔女』『英雄伝説IV 朱紅い雫(あかいしずく)』『英雄伝説V 海の檻歌(うみのおりうた)』のキャラクターが登場し、3作品のシナリオを追体験できます。
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そこで本記事では、原作にあたるタイトルのひとつ、Windows版『英雄伝説III 白き魔女』を振り返りつつ、2025年の現在で配信されているプラットフォーム(DMM GAMES/DLsite)についても紹介します。
なお、電撃オンラインでは『英雄伝説』シリーズの『空の軌跡1st』に関するキャラクター人気投票&アンケートを実施中(締切は1月15日23:59)です。まだ投票していない方は、この機会にぜひ!
■募集項目
・『空の軌跡 the 1st』に登場する一番好きなキャラクター&理由
・『空の軌跡 the 1st』プレイ時の思い出
・『空の軌跡 the 2nd』に期待すること
索引
閉じるガガーブトリロジーとは?
日本ファルコムからリリースされ、今なお“軌跡”シリーズが続く“英雄伝説”。元々は、1984年に発売された『ドラゴンスレイヤー』という作品に端を発しています。その6作目で『ドラゴンスレイヤー 英雄伝説』が登場し、“英雄伝説”シリーズの歴史が始まりました。
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そこから、“英雄伝説”シリーズの3作目として、1994年にPC-9801用『英雄伝説III 白き魔女』が発売。以降の作品は『英雄伝説V 海の檻歌』まで合わせて、ガガーブ三部作とされました。
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そして後のリメイク時からは、“ガガーブ”トリロジー(三部作=トリロジー)という呼称が用いられ、現在の呼び名へとつながっています。
そんなガガーブトリロジーは、各作とも同じ世界を舞台にしていますが、その中で、ティラスイール、エル・フィルディン、ヴェルトルーナといった3つの地域が分断されて存在しています。
『英雄伝説III 白き魔女』がティラスイール、『英雄伝説IV 朱紅い雫』がエル・フィルディン、『英雄伝説V 海の檻歌』がヴェルトルーナを舞台に、独立したストーリーが展開。
これらの地域は、山脈“大蛇の背骨”に加えて、“ガガーブ”という大地の巨大な亀裂によって往来ができず、文化や交流も完全に途絶えている、という設定です。さらに描かれる時代も各作で異なるため、続き物というよりも、世界設定が共通した別個のRPGとして物語を楽しめます。
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なお、作中の時系列も特殊で、年表だけで見れば、“IV 朱紅い雫”→“V 海の檻歌”→“III 白き魔女”という順番。最初に発売された『英雄伝説III 白き魔女』が、三部作の最終的な物語という変則的な構成になっています。
そしてPC-9801用『英雄伝説III 白き魔女』の発売以降、Windows版、セガサターン版、PlayStation版、PlayStation Portable版など、数多くのハード向けに移植やリメイクが繰り返されてきました。
そしてPC-9801用『英雄伝説III 白き魔女』の発売以降、Windows版、セガサターン版、PlayStation版、PlayStation Portable版など、数多くのハード向けに移植やリメイクが繰り返されてきました。
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直近のリメイクかつ、ゲームシステムやグラフィックも現代寄りに刷新されたのは、2004年に発売されたPlayStation Portable版。しかし今となっては、20年以上も時間が経ってしまっているので、PlayStation Portableそのものをご存知ない方も多いかもしれません。
そこでおすすめなのが、DMM GAMESやDLsiteにて配信中のWindows版。対応OSは、XP及びVistaとなっていますが、Windows 10やWindows 11でも、販売ページのユーザーレビューや検索情報をもとに、起動時の設定にほんの少し手を加えればプレイできます。
“物語るための新しいジャンル”として生まれた「詩うRPG」
『英雄伝説III 白き魔女』は、ストーリーを進めていけば自然とクリアできる難易度かつ、バトルにも複雑な操作や戦略が求められることはありません。この形式は、“物語るための新しいジャンル”という触れ込みで「詩うRPG」と銘打たれ、当時から多くの支持を集めました。
そんな本作で主軸となるのは、14歳の少年ジュリオ、15歳の少女クリスが繰り広げる旅の物語。ジュリオとクリスは気心が知れた幼なじみで、生まれ育った村に伝わる成人の儀式に基づく巡礼の旅に出ます。
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ジュリオは素直で優しい反面、気弱な部分が目立つ少年。一方、クリスは勝ち気で頼りがいのある性格で、クリスが旅をリードすることもしばしば。
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タイトルにもある白き魔女は、ティラスイールの各地を巡礼し、最後の魔女と呼ばれた人物。ジュリオとクリスは、巡礼の中で白き魔女の残した予言や足跡に触れることになり、やがて世界の存亡を揺るがす出来事へと導かれていきます。
物語の特徴としては、三部作の中でもひと際おおらかで牧歌的な語り口が挙げられます。ふたりは巡礼の途中で、さまざまな事件に出会いますが、そのどれもが“やさしき”人々の想いや協力によって解決。純粋に他者を傷付けようとする悪はほとんど登場しません。
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また本作は、町を一歩出ると広大な全体マップに切り換わる……といった形式ではなく、町も街道もすべて同じ縮尺(等身大)で地続きになっています。さらに町中のNPCによる会話パターンも多く、物語の進行に合わせて人々が息づく世界を楽しめます。
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本作は、最大4人のパーティで進行しますが、基本となるのはジュリオとクリスのふたり。プレイヤーが任意で味方キャラクターを編成することはできず、物語の展開に応じたリアルな動機や成り行きで、10人以上の味方キャラクターが加入や離脱を繰り返します。
決してプレイヤーの都合だけでパーティに付き添わないキャラクターたち。それぞれの人生がしっかりジュリオとクリスの旅路に交錯しており、全員が生きた人間として存在しているのだと感じさせてくれます。
決してプレイヤーの都合だけでパーティに付き添わないキャラクターたち。それぞれの人生がしっかりジュリオとクリスの旅路に交錯しており、全員が生きた人間として存在しているのだと感じさせてくれます。
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レベル上げや装備集めの概念も薄く、バトルはフィールド上で特定の位置を通ったときに、ランダムで発生する特殊な仕様。敗北時には、その位置直前から再スタートになるので、勝てないときは別のルートを通って戦闘自体を回避できることも。
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その一方で、避けられないルートにバトル位置が設定されていることも多々あります。しかし、これはゲームクリアまでに必要な最低限の経験値を供給してくれる、いわゆる詰まないための仕組みだとも言えるでしょう。
Windows版『英雄伝説III 白き魔女』では、敵味方がリアルタイムで動き、それぞれがオートで戦闘。プレイヤーが操作せずとも進行しますが、リアルタイムストラテジーのように、状況に応じてキャラクターの行動を選ぶこともできます。
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没入感を重視した丁寧な世界と物語が楽しめる『英雄伝説III 白き魔女』。DMM GAMESやDLsiteで配信中のWindows版は、税込1100円と手頃な価格で購入できるので、ぜひ遊んでみてください。
発売後30年経った今だからこそ触れたい英雄を必要としない物語(ネタバレあり)
ここからは、まず本作が物語全体を通して表現していたテーマについて振り返っていきます。
本作のテーマは、ずばり“アンチ英雄伝説”だと感じました。この“アンチ”は、アンチヒーローやアンチテーゼといった言葉における意味合いです。
『英雄伝説III 白き魔女』が発売された1990年当時はもちろん、現代でもRPGをはじめとした広義の英雄(ヒーロー、勇者、超人……など)を扱う物語では、世界の危機という事態がある種のノルマのように頻発することになります。
本作もご多分に漏れず、終盤で世界が崩壊の危機に陥り、主人公のジュリオとクリスは、白き魔女の導きによって、危機に立ち向かいます。
本作のテーマは、ずばり“アンチ英雄伝説”だと感じました。この“アンチ”は、アンチヒーローやアンチテーゼといった言葉における意味合いです。
『英雄伝説III 白き魔女』が発売された1990年当時はもちろん、現代でもRPGをはじめとした広義の英雄(ヒーロー、勇者、超人……など)を扱う物語では、世界の危機という事態がある種のノルマのように頻発することになります。
本作もご多分に漏れず、終盤で世界が崩壊の危機に陥り、主人公のジュリオとクリスは、白き魔女の導きによって、危機に立ち向かいます。
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しかし本作には、既存の作品群と明確に異なる点がありました。
それは、ジュリオとクリスが“英雄だから世界を救うのではなく、危機に立ち向かったふたりが結果として英雄に見える”という人物描写やシナリオ表現です。
ジュリオとクリスは、あくまでも等身大の少年少女。本作は、そこから終始逸脱せず、旅を終えたときにふたりが悲痛な宿命を背負ったり、人知を超越した力を得たりすることはありませんでした。
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“英雄伝説”というお題目があり、そのシリーズ作であるにもかかわらず、明らかに英雄譚ではない。おおらかな世界や物語とは裏腹に、非常に挑戦的で特異な作品だと言えます。
ロードムービーのような切ない一期一会を描くジャンル
続いては本作が、どのように「詩うRPG」として構築されているのか、ゲーム性とシナリオの両面から迫っていきたいと思います。
本作は「詩うRPG」というジャンル名にある通り、RPGとしてのリピート性や育成要素よりも、シナリオ進行にマッチした自然なゲームシステムに重きが置かれています。とくに世界中を自由に移動できないシステムにおいて、その設計が顕著に出ていました。
物語の区切りごとに章が変わり、基本的に章内の話と関係がない場所へ行くことはできません。話の流れと関係がない場所に行こうとすると、各キャラクターの独り言や会話によって、自然な形で移動を遮られます。
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キャラクターが無意味に前の町に戻る、もしくは目的地と違う場所へ進路を変えないのは、ある意味で非常に現実的。
そして極めつけがパーティメンバーの固定参加なし、という部分です。総勢10名以上のキャラクターがパーティに参加しますが、原則として固定されているのは、ジュリオとクリスのみ。そのうえ、物語の展開によっては、クリスさえもパーティから外れることがあります。
各キャラクターは目的を果たしたり、別の用事ができたりすれば、必ずパーティから離脱します。これは生きた人間が旅路をともにしている以上は当たり前のことで、登場人物や物語のリアリティを格段に高めています。
【パーティメンバー】
- シャーラ:姉御肌の女盗賊
- グース:シャーラの相棒
- ローディ:仇の海獣を倒すために生きる青年
- アルフ:身分を隠した国王
- モリスン:アルフの右腕である老練な魔法使い
- ルーレ:魔法が得意なギャンブル好きの老人
- フィリー:調薬師の娘
- バダット:最強を目指す武道家
- ステラ:砂漠の悪徳商人と戦う爆弾魔
- デュルゼル:白き魔女と交流があった世界最高峰の剣士
- ジョアンナ:デュルゼルの孫娘
たとえば中盤では、全体攻撃魔法を使ってくれるルーレという老魔法使いが同行してくれます。それまで全体攻撃の手段がないので、戦闘がグッと楽になるのですが、ルーレは目的を達成したらすぐに離脱してしまいます。
途端に戦闘が苦しくなるので「最後までいてくれたらいいのに……」と思いつつも、キャラクターがしっかりと自分の人生を生きているのだと感じることができました。
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成人の儀式として受け継がれてきた巡礼によって、少年と少女が一期一会の出会いと別れを繰り返す。まさにリアルな人間の旅路であり、ジュリオとクリスはそうした出会いと別れの中で成長していきます。
いわばロードムービーのような趣があり、いくらでも仲間と冒険を繰り返せるRPGとは違った切なさを感じることも多々ありました。
つまりふたりの成長は、世界を見て回ること、旅先で新たな人々と出会うことによって描かれていきます。そこにあるのは一貫して、人としての成長であり、戦いによってのみ強くなるような成長ではありません。
いわばロードムービーのような趣があり、いくらでも仲間と冒険を繰り返せるRPGとは違った切なさを感じることも多々ありました。
つまりふたりの成長は、世界を見て回ること、旅先で新たな人々と出会うことによって描かれていきます。そこにあるのは一貫して、人としての成長であり、戦いによってのみ強くなるような成長ではありません。
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世界に息づく人々の誰もが活躍するシナリオ
本作の物語は大筋として、各地の巡礼、海獣ガルガとの戦い、旅先の土地の困窮、不穏な煽動者との出会い、白き魔女と世界の真実といった流れで進んでいきます。
ここでも同時代のゲームと比較して特異な点が多々あります。まず章立てなのに、各章の締めになるようなボス戦がほとんどない、という点。本作は、全9章で構成されていますが、ボスと呼べるような敵は、ほんの数体程度に限られます。つまり、『白き魔女』の本質は“力で解決”ではないんですよね。
- 序章:小さな巡礼者
- 第1章:テグラの宝石
- 第2章:ボルト大決戦
- 第3章:三都橋の幻影
- 第4章:聖獣の住む森
- 第5章:わかたれた湖
- 第6章:動き出す予言
- 第7章:巡礼者の軌跡
- 終章:やさしき魔女
各地を巡る中で、白き魔女の足跡に触れたジュリオとクリスは、海獣ガルガという超巨大な生物によって、壊滅的な被害に遭った町に到着します。
本来ガルガは陸地で暴れない生き物らしく、沿岸の町や村はガルガへの対策を講じていませんでした。そこでジュリオとクリスは、次なる被害を抑えるべく奔走することになります。
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その道中、ガルガの被害で父が死んだ青年のローディ、お忍びでガルガの脅威を偵察していた隣国の王アルフに出会い、最終的に無数の兵士たちも交えてガルガに立ち向かうことに。
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このガルガ戦が本作で最初のボスと言えるような相手ですが、ここでも話をあえて外したかのような展開が散見されます。まず主人公一行が直接ガルガと戦うわけではありません。
数多くの兵士たちが作った浜辺の罠にガルガを誘い込んだり、王国の魔法使いがしっかりと準備を積んで魔法を使ったりと、複雑かつ間接的な話が繰り広げられます。そこには、あらゆる人々との協力があり、主人公のパーティだけで事態を解決するような展開は描かれませんでした。
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いざジュリオたちがガルガと対峙すると、その口内から寄生虫のような魔獣が出現。この相手が強力なステータスを持つゲーム的なボスとして立ちはだかります。
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魔獣を倒した後、ガルガは海に帰還。周辺の人々との会話で、元々ガルガは無闇に暴れる気はなかったはずだということが示唆されます。
このようにして、ジュリオとクリスは巡礼の中で各地の危機や困難に出くわしながらも、現地の人々(入退場するパーティメンバーを含む)と協力しながら、少しずつ物事を良い方向に導いていきます。
何度も言うように、ジュリオとクリスは地方の村の少年と少女に過ぎません。卓越した剣士でもなければ、偉大な賢者でもないので、ふたりの出自を逸脱した活躍は、終盤までは描かれません。
強大な敵に勝つときには、訓練を積んだ戦士や金銭を得る生業として魔法使いに就いているような人物が、必ずパーティメンバーに入っています。
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こうした話運びも“英雄の伝説”に反した部分だと言えるでしょう。一方通行の移動システム、ボスを倒してそれで良しとしないシナリオ構成、パーティメンバーの頻繁な入退場、活躍しすぎない主人公。
これらはすべて、本作が発売された当時のステレオタイプなRPGが持つ「勇者のパーティが魔王を倒して世界を救う」といったコンセプトに反した描写です。英雄が世界を巡り人々を救うのではなく、人々がそれぞれの住む場所で問題に向き合っていく。ジュリオとクリスは一介の巡礼者として、その場に居合わせて手助けをするのみ。
各章でパーティに入っては抜けていく仲間たちは“その土地の人柄や特徴を象徴的に凝縮、あるいは代表した人物である”ということなのかもしれません。
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誰もが英雄である“やさしき”世界
物語の終盤、ガルガを暴走させた黒幕の一派が明らかになります。それに伴い、白き魔女と旧知の間柄にあるデュルゼルという伝説的な剣士と合流したジュリオとクリス。
デュルゼルは、ジュリオとクリスの村を擁するフォルティア国の王妃イザベルが、じつは白き魔女と同郷の魔女で、異界から“ラウアールの波”をティラスイールに押し付けようとしているのだと語ります。
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ラウアールの波は、世界を崩壊させるほどの巨大な負の想念。イザベルが配下を操り、少しずつ負の想念を引き寄せるべく、各地で火種をまいていたことが明かされます。
さらに、元々はティラスイールをはじめとした3つの世界が、ラウアールの波を魔女たちの世界に送ったことも判明。そもそもラウアールの波を異界へと送った影響でガガーブが生まれ、ティラスイール、エル・フィルディン、ヴェルトルーナに世界が分かれてしまったのだとか。
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ジュリオとクリスは、遥か昔の因果によって、ラウアールの波を送り返されていることを知ります。ふたりはデュルゼルとともにイザベルを倒しますが、ラウアールの波が消えることはなく、ティラスイールは崩壊の危機に。
そのとき、クリスが持つ杖から白き魔女の魂が現れ、ラウアールの波を打ち消しながら姿を消していきました。故郷の村から旅立つ際、ラップという老人から餞別として渡された樫の杖に、白き魔女の魂が宿っていたのです。
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すべてを終えて、故郷の村に帰ったジュリオとクリス。ふたりは、白き魔女の“やさしき”想いによって世界が救われたことを実感しつつ、帰りを待っていたラップに旅の顛末を語ります。
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ラップはガガーブトリロジー全作に登場する人物ですが、本作ではパーティに参加することはありません。直接姿を見せるのは、最初に村から出るときとエンディングのみ。
作中の時系列が“IV 朱紅い雫”→“V 海の檻歌”→“III 白き魔女”となっているので、ジュリオとクリスは知らず知らずのうちに、すべての世界を行き来した人物の話を聞きながら、作中最後の会話を交わすことになります。
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ラップは「これからは修行を積んだ魔法使いが悪い竜を倒したり、腕っぷしの強い剣士が剣一本で国王になるような時代じゃない。それで事が収まるような単純な世の中ではなくなりつつあるのじゃよ」と話します。
そして彼は「そのためには伝説の英雄などというものは邪魔なだけじゃ」という理由で素性を語らなかったのだと答え、物語はエンディングを迎えました。
そして彼は「そのためには伝説の英雄などというものは邪魔なだけじゃ」という理由で素性を語らなかったのだと答え、物語はエンディングを迎えました。
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自らを犠牲に世界を救った白き魔女。彼女の魂を見届けたのは、何かを犠牲にして何かを救うような英雄ではない人々。ジュリオとクリスのような、特別な生まれや血筋を持たず、ときには人々の力を借り、ときには人々を助ける、そんな“普通”の少年と少女でした。
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ここまで紹介してきたように、本作は物語とゲームシステムの両面から、RPGをはじめとした英雄的な主人公が世界を救うフォーマットに対するアンチテーゼであるとともに、そもそも英雄とはなんであるかを考えさせる作品です。
かつて一世を風靡した特別な主人公が世界を救うRPGの数々。本作の発売から30年以上が経ち、普通の人々が結果的に世界を救う、あるいは本作のように特別な存在が物事を解決することに対して疑問を投げかけるような作品も、多く見かけるようになりました。
勇者が主人公ではないRPG、伝説の英雄を必要としない物語は令和の世に溢れかえっています。そんな今だからこそ、そういった物語を表現した先駆けのひとつである本作に触れてみてはいかがでしょうか。