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『FF6』運命のコインには“裏”がない。コラボメニューで蘇るフィガロ兄弟の“優しい嘘”と“物理法則無視”の記憶【メモリの無駄づかい】

文:世界のザキヤマ

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 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームで遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は1994年4月2日にスーパーファミコンで発売された『ファイナルファンタジーVI』について語ります。
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文明の利器を操る兄と、列車を投げる弟

 以下期間中、新宿の『SQUARE ENIX POP UP CAFE』にて、『ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』コラボを実施しています。
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■期間:
前期:2025年12月13日(土)~ 2026年1月8日(木)
後期:2026年1月9日(金)~ 2026年 2月4日(水)

■定休日:なし

■所在地:東京都新宿区新宿3丁目36-1 パセラボタワー 1F/2F/3F

 『FFVI』由来だと、“フィガロ王国御用達 紅茶シフォンケーキセット”が目に留まります。フィガロ王国の双子の兄弟、兄エドガーと弟マッシュ。ふたりのエピソードを想起させるように、コインのあしらいが添えられているのが心憎いですね。
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 エドガーはフィガロの国王にして、バトルではオリジナルコマンドの“きかい”を駆使して戦う頭脳派。“オートボウガン”による全体攻撃や、防御無視の“ドリル”などがとにかく便利で、とくに序盤での心強さがハンパではありませんでした。何より「MP消費なし」なのに何度でも使える便利さが、考えなしに大技をぶっ放しがちな小学生にはうれしかったですね。

 なお私は運動神経が当時から壊滅的でした。フィジカルへのコンプレックスが少なからずあったからこそ、知識と道具を駆使して戦うエドガーの姿に、強烈な憧れを抱いたのです。

 加えて、とりあえず女性を口説きにかかるキザな振る舞い。小学生男子からすると「とてもじゃないができない」からこそ、カッコよさが際立っていましたね。

 一方、弟のマッシュは“ひっさつわざ”を操る肉体派。コマンド入力が必要なのですが、格ゲーが苦手な私にはかなりの鬼門でした。当時は「ゆっくりでも入力は通る」なんて仕様を知る由もなく、必死にガチャガチャしては失敗し、左手の親指を痛めていました。

 それでも終盤、最強技である“夢幻闘舞(左・左上・上・右上・右・右下・下・左下・左)”を安定して出せるようになった時の喜びは、いまでも指先が覚えています。「練習すれば上手くなるんだ!」という成功体験をくれたのは、間違いなくマッシュでした。

 そしてマッシュの思い出で外せないのが、魔列車とのボス戦です。爆走する列車に対し“メテオストライク”を仕掛け、空高く持ち上げてから逆さまに叩き落とす。しかも律儀に線路の上に戻してあげるという丁寧さ。

 「生身で走りながら列車に技をかける」という荒唐無稽な光景は、彼の豪快な魅力を序盤から決定付けるものでしたね。

語らずして語る名曲。『エドガー、マッシュのテーマ』と『運命のコイン』


 『エドガー、マッシュのテーマ』が大好きです。ゲーム序盤にナルシェを脱出し、命からがらフィガロ城へと辿り着いた時に流れるこの曲。重厚かつ勇壮な旋律は、逃避行で張り詰めた緊張感を一気にほぐし、「もう大丈夫だよ」という圧倒的な安心感を与えてくれました。

 私は当時、『FFVI』のBGMをピアノで練習しまくっていましたが、中でもお気に入りだった一曲です。弾いていて本当に気持ちがよいんですよね。

 しかし、二人の過去が語られる回想シーンでは、このアレンジ曲が流れます。父王が崩御した直後にも関わらず、周囲はそれを悲しむ間もなく、王位継承問題でゴタつきはじめた時期。それに嫌気がさしたマッシュはエドガーに「国を出て自由に生きよう」と提案するも、国の将来を憂うエドガーとしては素直に乗れません。しかし、弟の気持ちは尊重してあげたい。

 そこでエドガーは「コイン投げで進む道を決めよう」と持ちかける──この場面で流れるのが『運命のコイン』です。

 メロディ自体は『エドガー、マッシュのテーマ』と同じ。しかし、金管楽器を主体とした威風堂々とした原曲に対し、『運命のコイン』は「ポロロン……」とセンチメンタルなアルペジオ(分散和音)を押し出した、スローテンポなアレンジが施されています。こちらもシーン込みで作中屈指の名曲のひとつですね。

 ちなみにコイン勝負はマッシュの勝ち。自由の身となって城を出て行きます。しかし、このコインは両面とも表という特殊なコインだったのです。要するにエドガーは「弟の行動を後押しすべく、あえて賭けの形式を取り、わざと負けて送り出した」わけですね。なおこのコインは亡き父王からもらったもので、ここも「読ませる」バックグラウンドです。

 そしてこの真実、エドガー自身がわざわざ明かしません。セリスがセッツァーとの交渉(帝国との戦いに協力してもらう or セリスがセッツァーのものになる)でコイントスのギャンブルを持ちかけるのですが、ここでセリスがコインを借りてイカサマしたことからわかる仕掛けとなっています。

 このストーリーテリングも秀逸極まりなく、小学生男子には深い機微は理解できずとも「なんかエドガーってかっけー!」という印象を植え付けました。

 いまならば、弟の意志を尊重してすべてを飲み込み、損な役回りを涼しい顔で引き受けるエドガーの姿勢は「粋である」ことがわかります。要するに素敵すぎます。感想の本質はまったく変わりませんね。

 なおエドガーとマッシュは27歳。私は彼らの年齢をひと周り以上、上回ってしまいました。

 いま改めて、彼らのような大人になれているだろうか? と自問してみます。マッシュのように列車を投げるぶっ飛んだフィジカルは無理ですが、エドガーのような“粋な大人”になれているのだろうか……。

 ……うん。全然なれてないな!! 即答でした。 

 大切な弟のためにスマートなイカサマで道を後押しし、それを微塵も感じさせないエドガーの洒脱な振る舞い。30年以上の時が経ち、年齢だけは追い越してしまいましたが、その背中は未だに遠く、眩しいままです。

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