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シリーズファンが見た『カルドセプト ビギンズ』レビュー。オート機能は圧倒的に賛成。体感ゲーム速度は1.3倍でテンポがよくなり、ソロでの周回カード集めも捗る神ゲーに

文:米澤崇史

公開日時:

最終更新:

 2026年7月16日にNintendo Switch/Nintendo Switch2版が発売予定(Steam版は2026年発売予定)の『カルドセプト』シリーズ最新作『カルドセプト ビギンズ』の試遊レポートをお届けします。

舞台はセプターたちの通う学園。初代『カルドセプト』に繋がる物語【カルドセプト ビギンズ】


 前作である『カルドセプト リボルト』が発売から約10年。シリーズファンとしては、まず「『カルドセプト』の新作が遊べる」ということが一番うれしいポイントですよね。

 自分自身もかなり久しぶりのプレイで、徐々に感覚を取り戻しながらでしたが、やっぱり『カルドセプト』のルールってよく出来てるよなぁ、と改めて実感しながらプレイしていました。

 まず、事前にブック(デッキ)を構築し、マップを周回しながら目標の魔力値を集めてからゴールを目指す、基本となるシステムは『ビギンズ』でも完全に踏襲されています。

 シリーズ独自のランダム性と戦略性のバランスというのは当然ながら健在で、しっかりと“いつもの『カルドセプト』”として仕上がっているので、すでに『カルドセプト』の楽しさを十分に知っている……というファンならプレイしない手はありません。

▲チュートリアルもしっかりやってくれるので、久々にプレイする人や初心者も安心です。

 このあたりの基本システムについては、別記事の方で解説しているので、『カルドセプト』をよく知らないという方は、そちらの記事もご一読ください。


 その上で『ビギンズ』ならではのポイントを紹介すると、まず特徴的なのがその世界観です。

 『ビギンズ』の舞台となっているのは、“王立学府セプトアカデミア”という、セプターの子供たちが通う学校。ファンタジー作品に時折登場する、いわゆる魔法学校みたいな場所で、主人公のカムルは、その転入生として入学してきます。

……と、この導入部分で分かる通り、今回のカルドセプトは学園モノです。近年もファンタジーの学園モノはたくさんありますし、自分自身『ハリー・ポッター』とか『ゼロの使い魔』を通ってきた世代でもあるので、こういう魔法学校的な舞台って自然とテンションが上がります。


 ストーリーの軸になっているのは、“オリジン”と呼ばれる、世界で最初のセプターとされる人物の存在。

 学園の教師陣の間では、過去に起きた大戦で活躍した伝説の英雄のように語られている一方で、生徒たちの間では「神になろうとして破滅した人物」とも噂されていて、評価が完全に2分されています(世間の認識は生徒たち寄りらしく、セプターたちへの風当たりも強いのだとか)。

 このオリジンという存在の謎の解明が、今回のシナリオの大きなフックになりそうです。

▲キャラメイクはなく『リボルト』と同じ固定の主人公となります。

 「『カルドセプト』は好きだけど、ほぼソロでしか遊ばない」という方も少なくないかと思いますが、ストーリーモードは演出面も含めてしっかりと作り込まれている印象で、シングルプレイ専門という方は本作でも安心して楽しめるのではないかなと。

 最初のチュートリアルでは、学園の授業という形でゲームのルールについて教わる流れになっていて、マップ1周=校庭1周に置き換えた学園モノらしい内容になっているのも面白かったです。ビジュアルが大きく一新されたのも相まって、新鮮な気持ちでプレイできました。

 なお『ビギンズ』のストーリーは、第1作目の『カルドセプト』の前日譚にあたるエピソードであることが明言されています。ここからどのように「1」のストーリーに繋がってくるのか……というのは、シリーズファンには大きな注目のポイント。

 逆に言えば、時系列的には本作の前にプレイしておくべき作品はないので、今回で初めて『カルドセプト』をプレイする人にもとっつきやすい内容になっています。

▲マップからステージを選択する形でストーリーが進行。従来通り、一度クリアしたステージは何度でもプレイしてカード収集ができます。

ブック枚数が40になり取捨選択がより重要に。石板だからこその演出面の変化も【カルドセプト ビギンズ】


 前述した通り、ゲーム部分に関しては従来の『カルドセプト』シリーズとほぼ同様のルールなので、過去作と同じ感覚でプレイできます。

 その上でプレイに影響する大きな変更点としては、ブックの枚数が50から40枚に減少した点が挙げられます。この点はプレイ前から事前情報として認識はしていたんですが、いざ実際にブックの編成をやってみると「40枚ってこんなに少ないの!?」とちょっと困惑してしまっていました。

 元々自分は「あのケースに備えてこのカードも入れたい」「いやこっちのカードも入れたい」と目移りしがちなタイプ。なので実際に組んでみると10枚の差って思っていた以上に大きいなと感じられましたね。

 その一方で、枚数が少なくなったということは、ブックが1周するまでのスピードも早くなっているので、従来よりも狙ったカードが引きやすくなっています。今回は入手カードも限られていたので、同じカードを4枚入れるまではできなかったんですが、事前に複数枚入れていたカードは、明らかに以前よりも手札に回りやすくなった感覚はありました。

 意図したカードを揃えやすくなる分、『カルドセプト』における戦略性が好きなプレイヤーには嬉しい変更点になっていると思います。カードの取捨選択がより重要になってくる分、ブック編集には従来以上に頭を悩ませることになりそうですが。

▲ブック編集画面では、どの属性のカードが何枚入っているかが一目で分かります。

 また、本作から新たに搭載されたものとして、自分のターンで使える“ゴーグルモード”の存在も挙げられます。ゴーグルモードに切り替えると一時的に自由に動かせるカーソルが出現して、クリーチャーや地形の詳細、到達までに必要なダイス目等が確認できるようになっています。


 さらにゴーグルモードとは別に、それぞれの手札に加えて、各プレイヤーの魔力量や周回数、ブックの残り枚数に領地の数といった詳細な情報も確認可能です。前作の『リボルト』では、こうした情報はニンテンドー3DSの下画面に表示されていたのでどうなるのか少し心配だったんですが、しっかりと確認できるようになっているので安心です。


 一方で演出面では、『ビギンズ』ではカードが紙ではなく薄い石板に変わっているのがもっとも大きな変更点。

 ゲームの要素としての扱いは従来と同じですが、カーソルを動かしたときに紙ではなく石がこすれ合うような音が出たり、戦闘でも破れたり燃えたりするのではなく、カードが砕け散るような演出に変わっています。


 従来通り紙が良かった方もおられるかもしれませんが、石が「コツッ」と鳴る音って結構気持ちいいんですよね。カードを選ぶときのSEっておそらくゲーム中一番聞く機会の多いSEだと思うので、それが気持ちいい音になっているのは、シリーズファンでも結構気に入る方が多いんじゃないかなと。

 土地のレベルを上げると土地のマスがせり上がるようになり、数値を見ずともその土地がどれだけ重要かが視覚的に分かりやすくなっており、ここは純粋にありがたいと思えたポイントです。

倍速・オート機能でプレイがより快適に。つい声を出して夢中になってしまう魅力【カルドセプト ビギンズ】


 オプション機能も充実していて、何よりもありがたいのが倍速機能。1.5倍速なら何が起こっているかも十分視認できる範囲に収まるので、ほとんど通常時と同じ感覚でプレイできて、かなり快適に遊べました。これはあらゆるプレイヤーが望んでいた機能ではないかと思います。


 そしてシリーズ初の試みとして、オート機能も搭載しています。

 とはいえゲームプレイをオートに任せてしまうと、最大の楽しみがなくなってしまうので、基本的には自分でプレイするプレイヤーがほとんどだと思いますが、ゲーム的な動きが少ない序盤の操作だけCPUにまかせて、展開が加速する中盤以降だけを自分で操作したり、負けてもカードがもらえるので、ひたすらオートに対戦をこなさせてカードを集めてブックを強化したり、使い道は結構ありそうな予感がします。

▲対戦で負けた場合も一定数カードを獲得できます。

 あとプレイして感じたのが、全体的にゲームの展開が早くなっていたこと。

 まだまだ目標ポイントが遠いと思っていても、中盤を過ぎたあたりで一気に加速するのは従来のシリーズと同じですが、今回は序盤からクリーチャーもガンガン配置して、土地のレベルアップも積極的にできたりして、全体的に獲得できる魔力量が従来よりも増えているのかなという印象を受けましたね(このあたりは完全に自分の体感になってしまうんですが)。

 とはいえ、相手の手札などプレイヤーが把握できる情報が多い分、思考時間はやっぱり長くなるので、1ステージのプレイがサクッと終わるかというと、決してそんなことはないわけですが……。倍速機能もあわせて、プレイヤーの思考以外の部分をできるだけ高速化して、『カルドセプト』をよりとっつきやすいゲームにする……という開発陣の意図は明確に感じられましたね。


 最後に、コアなシリーズファンの方にとっては、カードビジュアルが一新されていることが引っかかる、という方もおられるのではないかと思います。

 今までの『カルドセプト』シリーズでも、ストーリーや世界観のアウトゲーム部分が変わっても、あの油絵風の重厚なカードイラストは共通している点だったので、ここがポップな絵柄に変わったのは、やはり好みが分かれる部分にはなってくるのかなと。

 ただ、『ビギンズ』は従来よりも柔らかいビジュアルで学園モノのストーリーが作られているので、絵的な違和感みたいなのはまったくなく、ビジュアルが統一されている良さは明確に感じられたポイントです。仮に本作の世界観で過去のカードイラストを使った場合、イラストがちょっと浮いてしまっていたと思うので、『ビギンズ』に限って言えば、イラストを一新した意義はしっかりとあると感じました。


 なお今回の試遊は、それこそ10年近くぶりのプレイだったのもあって、敵が“先制”持ちなのを見落として返り討ちにあったり、勝ちを確信したところで、最後の最後に敵が引いたカード1枚でひっくり返され、思わず『嘘だろ!?』と声が出てしまう。そんな、悲鳴と歓声が入り交じる濃密な体験は『ビギンズ』でも健在でした。

 新規プレイヤーを意識して作られている一方で、やはり根っこの部分の『カルドセプト』の面白さはまったく変わっていないので、シリーズファンの方々もご安心ください。

■Switch 2版

■Switch版

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担当者プロフィール

  • 米澤崇史

    米澤崇史

    ロボットアニメを愛するライター。 フリーランスの専業ライターとして10年以上活動。複数のアニメ・ゲーム系のWebメディアでコラムやインタビュー記事を担当し、書籍では主に攻略本・ムック本のライティングに多数関わる。ゲーム会社在籍時は企画・プランナーとしてゲーム開発にも参加。 幼少期からゲームに触れ、主にRPG・SRPG・アドベンチャーゲームを中心にプレイし、とくに好きなのは『テイルズ オブ』シリーズや『Fate』シリーズ。ガンダム系のゲームも好み、『スーパーロボット大戦』や『ジージェネレーション』シリーズはほぼ全作プレイ済の大のファンで、人生のベストゲームは『スーパーロボット大戦α』と『ジージェネレーションF』。

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