
第5回となる今回は、日本ファルコム作品の海外展開を手掛けた縁で、独立後も日本一ソフトウェアの北米子会社の顧問も務めた新川氏に、海外での“ニッチ”事情についてお聞きしました。はたして“スーパーニッチ”の海外での勝算は……!?
なお、新川氏が原作小説を執筆し、プロデュースまで担当しているPS5/PS4/Switch/PC向け新作ゲーム『エトランジュ・オーヴァーロード』が、ブロッコリーから好評発売中です(パッケージ販売はNintendo Switch版のみ)。

さらに新川氏が設立したキマイラ機関より、超絶やり込みシューティングRPG『宇宙銀河ウォーズ』もSteamにて好評配信中なので、本連載とあわせて、ぜひチェックしましょう!

新川宗平:1996年、日本一ソフトウェアに営業職として入社。プロデューサーやシナリオライターとして『マール王国の人形姫』『魔界戦記ディスガイア』などの制作に携わる。2009年、同社代表取締役社長に就任し、2022年退社。同年、合同会社スーパーニッチを設立し、代表を務める。同時期から“喜多山浪漫”名義で小説『エトランジュ オーヴァーロード』を執筆&発表。ゲーム化などのメディアミックスに乗り出す。
世界戦略と新たな市場――ニッチは国境を越える【新川宗平インタビュー連載 スーパーニッチの流儀:第5回】

新川宗平氏(以下、敬称略):日本ファルコムさんには、実際に取引が始まる数年前からずっとラブコールを送っていました。当時、北米では別の会社さんと事業展開をされていましたが、ぜひ日本一ソフトウェアにも担当させてほしいと、「2番目の女でいいわよ。何かあったらいつでも私のところに来てね」とアプローチを続けていました(笑)。
決定打になったのはNintendo Switchです。当時、日本では携帯機が売れる一方で、海外は据え置き機しか売れないという“ねじれ”状態が起きていました。そこに“両方いける”Switchが出てきたんです。
私は「Switchは絶対に売れる!」と確信して、看板シリーズの最新作である『魔界戦記ディスガイア5』をローンチで出しました。結果、海外でかなり売れて50万本以上いきました。
このSwitchでの成功経験を生かし、「Switchへの移植もセットで海外展開をやります」という武器で、ファルコムさんのタイトルを獲得しようと猛アピールしたんです。東京ゲームショウで『イースVIII』のTシャツを着て会場を歩き回り、終わってからも電車の中でずっと着て歩き、その写真を近藤社長に「もう勘弁してください」と言われるまで送り続け(笑)、契約に至りました。
結果的に、日本一ソフトウェアの海外売上の半分くらいが日本ファルコムタイトルになるほど大きな結果を残すことができました。だから私が退任した後も、ファルコムさんとの関係を維持するためにNIS Americaの顧問を依頼されたんです。
――それをきっかけに、外部プロデューサーとして所属されることになったのですね。
新川:3年が経ち、両社の関係性もしっかり築けたので、私のNIS Americaでの役目は終わったなと。だから退任することになりましたが、その縁もあって今度は日本ファルコムさんからお声がけいただき、2025年の9月からは日本ファルコムの名刺も作ってもらって活動しています。
――同じくらいのタイミングで、ご自身が“喜多山浪漫”であることを明かされました。
新川:『エトランジュ・オーヴァーロード』のPRでフランスやイギリスなどへ海外出張したのですが、向こうでは“喜多山浪漫”なんて誰も知らないから“新川宗平”でやってくれとNIS Americaから言われまして。どうせバラすならもういいかと思って、東京ゲームショウ開催期間中の夜の配信番組でいきなり本名を明かしました。いろいろな意味で節目でしたね。

――スーパーニッチがいよいよ海外に羽ばたく段階に来ていますが、日本の“ニッチ”なコンテンツが、世界でどう戦えると考えていますか?
新川:日本と海外で“ニッチ”の捉え方に違いはなくて、おもしろいものはみんなおもしろいと受け取られていると感じています。私の中では“大手企業が絶対にやらないバカなことを本気でやる”のが、やるべきことだと考えています。
私の小説も全世界で売ろうとはあまり思っていなくて、あくまで出口であるゲームの“原作”としての位置づけで考えています。海外を過剰に意識するのではなく、日本の職人ならではの仕事を見せることが、結果的に世界で喜ばれることに繋がるのではないかと思っています。だから、これからも堂々と世界に日本ならではのニッチを発信し続けていきます。
次回へ続く
『エトランジュ・オーヴァーロード』好評発売中!

発売日:2026年3月26日
販売元:ブロッコリー
対応機種等:Nintendo Switch/PS5/PS4/PC(Steam)
CERO区分:B(12才以上対象)

AI時代だからこそ重要な“人”との“ご縁”。“人の心に響くものを生み出す力”と“判断する力”も大事【新川宗平53周年:スーパーニッチの流儀#11】

「キマイラ文庫作品は100%コミック化」全方位エンタメを展開中のスーパーニッチ、次なる舞台はマジカルミライ!?【新川宗平53周年:スーパーニッチの流儀#10】

「『FF7』を見て、この道(3D)に行っちゃダメだと思った」。『ディスガイア』がドットを選んだ“弱者の生存戦略”と、幻のシューティングRPG初期案【新川宗平53周年:スーパーニッチの流儀#9】

《独占公開》喜多山浪漫の短編小説『冷える足元』朗読版。映画『教育』関連・学園ディストピア系ホラー

社長になったら好きなゲームを作って、やりたい放題できるはずが!? 社長業とクリエイターの“二足のわらじ”【新川宗平53周年:スーパーニッチの流儀#8】

入社1カ月で大喧嘩、丸坊主での説得!? ネットで語られる伝説的なエピソードは本当、ウソ?【新川宗平53周年:スーパーニッチの流儀#7】

きっかけは『FF5』と『インディ・ジョーンズ』!? ゲーム作りのルーツとホラー映画『教育』制作秘話【新川宗平53周年:スーパーニッチの流儀#6】

章ごとにキャラデザが激変!? ボス戦は歌ものに!? 『デモンズナイトフィーバー』豪華クリエイター陣への無茶振りやレーティング裏話