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悪を“極める”から“楽しむ”へ。『ディスガイア』の生みの親がライフワークとして放つダークコメディファンタジー最新作『デモンズナイトフィーバー』誕生秘話

文:電撃オンライン

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 『魔界戦記ディスガイア』をはじめとした多くのゲーム制作を手掛け、喜多山浪漫名義で小説も執筆する新川宗平氏が、2026年7月14日に53周年(53歳)を迎えます。それを記念して、電撃オンラインではインタビュー連載“スーパーニッチの流儀”を連載中です。

 今回は“スーパーニッチの流儀”特別編として、新川宗平さんがプロデューサーとシナリオライターを兼任する新作シミュレーションRPG『デモンズナイトフィーバー』に関するインタビューをお届けします。

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新川宗平1996年、日本一ソフトウェアに営業職として入社。プロデューサーやシナリオライターとして『マール王国の人形姫』『魔界戦記ディスガイア』などの制作に携わる。2009年、同社代表取締役社長に就任し、2022年退社。同年、合同会社スーパーニッチを設立し、代表を務める。同時期から“喜多山浪漫”名義で小説『エトランジュ オーヴァーロード』を執筆&発表。ゲーム化などのメディアミックスに乗り出す。

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『デモンズナイトフィーバー』インタビュー。“悪を楽しむ”ダークコメディファンタジーはいかにして生まれたのか?


 『デモンズナイトフィーバー』は、開発をドリコム、パブリッシングをアークシステムワークスが担当する育成RTAシミュレーションRPG。“悪を楽しむ”をコンセプトに、主人公の邪龍院狂死狼(じゃりゅういん きょうしろう)が悪事を働いたり、しもべをキルしたりすることでより強力な悪の軍団を手に入れていくストーリーが描かれます。
 新川氏はプロデューサーとシナリオ(喜多山浪漫名義)を担当。キャラクターデザインに『世界樹の迷宮』などで有名な日向悠二氏、サウンド全般に元コーエーテクモゲームスの矢野達也氏を起用するなど、豪華クリエイター陣の制作参加も大きな魅力です。
 そんな『デモンズナイトフィーバー』のインタビューを複数回で掲載予定。第1回は本作の制作経緯などについて、新川氏に語ってもらいました。

悪を“極める”から“楽しむ”へ路線変更。ライフワークとしてのダークコメディファンタジー


――本作のコンセプトは“悪を楽しむ”とのことですが、正義ではなく悪をテーマにしたシミュレーションRPGを作ろうと考えたきっかけを教えてください。

 私は独立して、小説家からものづくりを再スタートしたわけなんですけれども、ゲームに限らず、これまでの人生を振り返って「ライフワークがあるな」と思ったんですよ。ライフワークというか、続けていきたいジャンルというか。

 1つはファンタジー。場合によってはそこにミュージカルが加わるような、ちょっとメルヘンチックなところのあるファンタジーがライフワークかなと思っていて。それで生まれたのが『エトランジュ・オーヴァーロード』なんですよね。

 2つめはダークファンタジー。いや、ダークコメディーファンタジーかな。『魔界戦記ディスガイア』シリーズとかでずっとやってきているやつなんですけれど、これも「自分のライフワークになっていくんだろうな」と思っていて。ほかにもう1つ、ホラーもあります。
 そういう3つがある中で、『デモンズナイトフィーバー』の企画を考えるにあたり、やはりライフワークであるダークコメディーファンタジーを一発やっておこうかというところがスタート地点ですね。

――ちなみにホラーの作品も進めているのでしょうか?

 ホラーについても未発表ですが作っています。多分8月ぐらいに発表されると思いますので少々お待ちください。


――コンセプトが“悪を楽しむ”に落ち着くまでには、どのような経緯があったのでしょうか?

 最初に作ったコンセプトは“悪を極める”だったんですよ。いろんな悪をやりまくる、それをゲームとして楽しめるようにする、というところからスタートしました。
 私の作るものって基本的には邪道だと思っているんです。正道は大手さんがたっぷりお金と時間をかけてやられるので、そこで勝負できるとは思っていません。ゲリラ的な戦い方をするという意味での邪道を行くのが私の本道だと。なので“悪を極める”は、「ほかの会社はなかなかやらないだろう」というアプローチからスタートしました。
 ただ、開発チームが結成されてから1年ほど経ったあと、スタッフがいろいろ悩むんですね。「悪を極めるってどこまでやっていいのか?」とか、「どこまで残虐なことをしていいのか?」とか、「ピンポンダッシュも悪なのか?」みたいな感じに、ブレが生じたんです。価値観は人によって違うというのもありますし。
 私の中でダークコメディーファンタジーの原点は、『Dr.スランプ』(※週刊少年ジャンプに1980年代に連載されたギャグ漫画。作者は鳥山明先生。ペンギン村に住む天才科学者・則巻博士と博士が作った人型ロボット・アラレちゃんを中心にしたハチャメチャな日常を描く)みたいな、鳥山明先生が作る悪なんですね。「悪なんだけれどどこか憎めない」というところを大事にしたくて。

 だったら“悪を極める”じゃなくて“悪を楽しむ”という言葉だったら共通認識が作れるんじゃないかという話になり、みんなも納得してくれて。どれぐらいのことをやっていいのか判断がつくということで見解が一致しました。それで本作のコンセプトは“悪を楽しむ”に統一して作ることになった、というのが経緯です。

プロデューサー兼シナリオライターとして挑むゲーム制作へのこだわり


――新川さんは喜多山浪漫の名義で本作の原案とシナリオも担当されています。プロデューサー兼シナリオライターとして、どのような形で制作に関わっているのでしょうか?

 名義を変えているだけで、やり方としては今まで日本一ソフトウェア時代にやっていたこととあまり変わらないですね。自分でコンセプトや企画を作って、お話を書いてプロデュースするというやり方は、『マール王国の人形姫』とか『魔界戦記ディスガイア』とか『流行り神』とか、全部同じやり方をしているんですよ。
 プロデューサーとしては、ディレクターにも注文を付けます。ですがシナリオライターとしては、めっちゃディレクターの言うことを聞きます。ディレクターが「ここは、こうしてほしい」と言われたら「はい、喜んで」というやり方で、役割として分けてやっていますね。

 いざゲームを作るというところになると、ディレクターがやっぱり一番のキーマンだと思っていますので。ディレクターがこうしたい、ああしたいというものに関しては、最大限尊重するというやり方をしています。

――『エトランジュ・オーヴァーロード』はストーリー先行でしたが、本作はどのような順番で開発が進んだのでしょうか?

 『エトランジュ』は、完全に小説のストーリードリブン(※ビジネス用語。“〇〇ドリブン”で〇〇を起点に始める、という意味)だったんですけど、『デモンズナイトフィーバー』のほうはゲームメカニクスドリブンの作り方をしています。
 コンセプトや資料をお渡ししたあと、ドリコムさんのほうからゲームメカニクスの案が出てきて、そのメカニクスに合わせて自分のほうでお話やキャラクターを作るという順番です。『エトランジュ』とは真逆の作り方ですね。

――開発のスタート当初、アークシステムワークスはまだ関わっていなかったのでしょうか?

 スタートは喜多山浪漫として、ドリコムさんとやっていた状態です。アークシステムワークスさんは後からですね。まずゲームの開発があり、そのあとにパブリッシャーとしてアークさんが加わった形です。
――ドリコムさんとのご縁の始まりはどこでしょうか?

 ドリコムさんとのご縁は、古くは『ビックリマン』です。まだガラケーの時代に、ビックリマンチョコのモバイルゲームがあったんですね。あれに日本一ソフトウェアが絡んでいて、そこでドリコムさんと一緒に仕事をさせてもらったというのが最初のお付き合いです。

 その次の機会は、サービス開始直後に長期メンテに入って大変だったモバイルゲーム『魔界戦記ディスガイアRPG』でした。その際に私が途方に暮れていたところ、救世主のように現れたのがドリコムさんで、そこで救われたという恩義のある会社だったんですね。

 私が独立した際にお声がけをいただきまして。「一緒に何かやりましょう」ということで『デモンズナイトフィーバー』の原作的なものを作り始めたんです。


 名残惜しいですが今回はここまで。第2回では『デモンズナイトフィーバー』最大の魅力とも言える、しもべ酷使システムやRTA要素についてのインタビューになりますので、そちらもお楽しみに!


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