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100万回死んでも登りたくなる高難易度アクション『Velgrym(ベルグリム)』製品版レビュー。攻略の鍵は“練習と本番の使い分け”!

文:保坂柊

公開日時:

 ワンコネクトが開発する、自分の頭を投擲して進む高難易度アクション『Velgrym(ベルグリム)』の製品版レビューをお届けします。


 本作は、頭蓋骨を投げて移動する独自システムを持つ高難易度3Dクライミングアクションゲームです。プレイヤーは骸骨の主人公となり、崩壊寸前の塔を登ります。

 一歩のミスが数時間、いや数日間の努力を奪う……。それでも登る覚悟がある者だけが、頂に辿り着けるのです。

 なお、本レビューはキーボード&マウス操作でプレイしています。

※本記事はワンコネクトの提供でお送りします。

大砲で全貌を見ながらステージの最後まで見通せる仕様に。これは”希望”それとも”絶望”?【Velgrym(ベルグリム)】


 製品版を起動して最初に気づいたのは、各ステージの開始地点に設置された”特別な大砲”の存在です。これに入ると、ステージのゴール付近まで一気に飛ばしてもらえます。いわばステージ全体を俯瞰するためのプレビュー機能、といったところでしょうか。


 正直、最初はこれを「親切な救済措置」だと思っていました。体験版では「とにかく登り続けて覚えるしかない」という設計だったため、全体像が見えるのはありがたいと感じたのです。ところが、これが思わぬ形で精神的ダメージを与えてきます。

 大砲に乗り込み、ゴール付近まで飛ばされた私が目にしたのは、気が遠くなるような高さと、途中に仕掛けられたギミックの数々でした。「あの回転する足場を越えて」「あの観覧車に乗り移って」「あの狭い岩を一つひとつ踏んで」など、攻略ルートは頭に思い浮かびます。しかし、「これを本当に自力で登るのか」と頭をよぎるのも事実。

▲上空から見るのは”希望”かそれとも”絶望”か

 全体像を知ることで、絶望がより具体的になる。それがこの大砲の本質です。体験版にはなかった要素でありながら、プレイヤーへの優しさと残酷さが絶妙に同居した、本作らしい仕掛けだと感じました。

 なお、大砲については本日公開のアップデートで、プラクティスモードに限り設置されます!

ステージごとに牙を剥く、容赦のない地獄設計【Velgrym(ベルグリム)】


 本作の肝は”頭を投げる”というたった1つのアクションです。しかしステージを進むにつれて、その単純な動作がいかに奥深く、そして苦しいものであるかを思い知らされます。

 ステージ1は、不気味な空間に足を踏み入れます。序盤はどこに頭を投げるべきか考えながら徐々にゲームに慣れる段階。いや、この時点ですでに難しいんですけどね。そんな中で最初に登場する難所は回転する足場。チュートリアルで「なんとなく掴めてきたかも」と感じていた操作感が、あっという間に崩れ去りました。

▲どこまでも続く塔を登れるか

 ステージ2の歯車エリアで、私は声にならない声を出していました。”ただ回っているだけ”に見えた巨大な歯車に、何も考えずに飛び乗ったのです。当然のように、そこには穴が開いていました。歯車である以上、穴があるのは当たり前。だけどそのことにリソースを割けなかった。自分の間抜けさに苦笑いしながら、しかし本当の問題はそこではないと気づきます。


 頭を投げて角度を合わせているその最中にも、自分が立っている足場は容赦なく回転し続けるのです。狙いを定めながら、足元の状況を同時に把握し続けなければなりません。さらにこのステージには床が移動するエリアも登場します。”丁寧にやりたいのに、それを一切許してくれない”という圧力が、じわじわと精神を削っていきました。

 ステージ3では観覧車のようなギミックが牙を剥きます。回転する観覧車から、次の観覧車へ飛び移る。言葉で言うのは簡単です。「今なら行ける」と思っても、一瞬の踏ん切りがどうしてもつかない。落ちたら最初からという恐怖が、判断を鈍らせ、気が付けば同じ場所で何周もしていました。それでも意を決して頭を投げた瞬間、タイミングが合えばこれほど爽快なゲームもありません。恐怖と達成感が背中合わせになっている、まさに本作の醍醐味です。


 終盤に登場するハンマーギミックもまた凶悪でした。振れ幅が短いぶん、求められる精密さが桁違いです。針の穴に糸を通すような繊細な操作が要求され、実際に何度も何度も、ほんの数ミリのズレで落下しました。ギミックの動きを目で追いながら、頭を投げる角度を微調整し続ける。こんな緊張感を味わえるゲームはそうないでしょう。


 ステージ4になると、足場が消失するギミックが登場。さらにテレポートで特定の場所に強制送還させる壁が迫ってくる始末。もはやプレイヤーの判断力と操作精度をこれでもかと試してくる構成です。1つのミスが次のミスを誘発し、気づいたときにはすでに奈落の底、という展開が何度繰り返されたかわかりません。

▲触れるとテレポートが迫る焦りと操作の正確性を求められる

 そして極めつきがステージ5。まさかの低重力エリアです。ふわりとした浮遊感に戸惑う暇もなく、眼前に広がるのは”小さな岩を一つひとつ乗り継いでいく”というルートでした。本作の仕様上、岩には掴まり判定がありません。つまり”完璧に乗る”以外の選択肢がないのです。

▲一瞬ロードバグかと思うようなステージ
▲でも低重力で飛ぶコイツは憎めない可愛さ

 わずかでもズレれば、そのまま何もない空間へ落ちていきます。これまで積み上げてきた感覚を根底からひっくり返すような仕掛けに、笑うしかありませんでした。「まだ新しい地獄が用意されていたのか」という感嘆と絶望が、同時に押し寄せてきます。

練習は裏切らない。ただし本番は一切のミスを許さない【Velgrym(ベルグリム)】


 本作が単なる”理不尽な高難易度ゲーム”で終わらない理由が、ノーマルモードとプラクティスモード、この2つの設計にあります。

 ノーマルモードは、ミス=即リスタートという極限の緊張感が常に付きまといます。落下中の救済は一切なく、文字通りただ落ちるだけです。本作は頭を2回投げられる仕様のため、空中でのリカバリーも理論上は可能ですが、それを成功させるのは至難の業。この時ばかりは骨の体にもっと肩力を付けろよと思わざるを得ませんでした。

 このシビアさこそが本作の魅力であり、同時に最大の壁です。一度落下したときの「あ、終わった」という静かな絶望は、何度経験しても慣れるものではありません。むしろ高いところまで登れるようになるほど、落ちたときのダメージが大きくなっていきます。

 そこで用意されているのがプラクティスモードです。任意の地点でセーブ&ロードができ、苦手なギミックだけを繰り返し練習できます。これが想像以上にありがたいものでした。歯車エリアや観覧車ギミックのように1度ミスすると再挑戦まで時間がかかる難所では、”ここの動きだけを体に叩き込む”という集中練習が可能になります。

▲この機能がなければと背筋が凍る

 失敗→原因分析→再挑戦というサイクルを高速で回せるため、確かな手応えを感じながら上達できます。小さな進歩の積み重ねが、モチベーションを維持してくれます。個人的には、このモードがなければノーマルモードのクリアは現実的ではなかったと断言できます。それほどまでに、本作の難易度は高い。

 ただし、プラクティスモードでは実績の解除もクリア後スコアも反映されません。あくまで”練習”であり、本当の意味での攻略はノーマルモードで成し遂げなければならないのです。

 この設計が絶妙だと思いました。プラクティスモードで難所の動きを体に染み込ませ、ノーマルモードで”本番”に臨む。練習で積み上げた技術を実戦で発揮する瞬間の達成感は、他のゲームではなかなか味わえない種類のものです。”できた”ではなく”ついにやり遂げた”という感覚の重みが本作の魅力でしょう。

▲登り切った後に見下ろす景色は言葉にできないほど

総評:救済があってもなお容赦ない。だからこそ挑みたくなる1本【Velgrym(ベルグリム)】


 製品版の『Velgrym』は、体験版から確実に進化していました。大砲によるステージ確認、そしてプラクティスモードによる練習環境といった2つの要素が加わったことで、「高難易度だけど理不尽ではない」という絶妙なバランスが生まれています。

 体験版レビューの時点では”ドMゲーマーにこそおすすめしたい”と書きましたが、製品版ではその間口が少しだけ広がった印象です。プラクティスモードの存在によって、「難しそうだけど気になっている」という層にも挑戦しやすい作品になりました。それでも、ノーマルモードの容赦のなさは健在です。

 ほんのわずかなズレが命取りとなり、積み上げた時間が一瞬で消える。その緊張感は最後まで一切緩みません。しかしだからこそ、成功したときの快感は格別です。ギリギリの足場に着地できた瞬間、思わず声が出るあの感覚。言葉で説明するよりもぜひ体験してほしい。

 某壺おじ系ゲームに代表される”落下と隣り合わせのヒリヒリ感”が好きな方には、迷わずおすすめします。失敗したときのリアクションが大きくなりがちなため、実況配信でも大いに盛り上がるポテンシャルを秘めた作品です。

 失敗を繰り返しながら少しずつ上達していく過程に喜びを見出せる方、自分の限界に正面から挑みたい方。そんなゲーマーに、強く背中を押したい1本です。優しさを手に入れたはずの『Velgrym』は、それでもなおプレイヤーを突き放します。それでも登るかどうかは、あなた次第です。


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担当者プロフィール

  • 保坂柊

    保坂柊

    世界2位まで突き詰める探求心でゲームの物語の深みを言語化します。 ライター歴5年。eスポーツ大会レポートから最新ゲームの紹介まで幅広く執筆。『Battlefield 6』にてスナイパーキル数世界2位を達成。好きなものを突き詰める探求心をいかして、読者が求める攻略情報、考察記事を提供します。 『ゼンレスゾーンゼロ』『崩壊:スターレイル』などのHoYoverse作品や『ペルソナシリーズ』、Battlefield 6などを中心にプレイ。ゲーム歴:10年。知識:キャラクターのステータス最適化や世界観の深掘りなどを得意としています。

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