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ドラマ『アンチヒーロー』1話感想と考察。勝つために手段を選ばない弁護士。正攻法ではない新しい“ヒーロー”像に震える!(ネタバレあり)

文:電撃オンライン

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 TBS系列にて毎週日曜日21時より放送中のドラマ『アンチヒーロー』の感想と考察を紹介します。

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“アンチ”な弁護士は正義か悪か――!?


 有罪率99.9%と言われる日本の刑事裁判において、たとえ犯罪者である証拠が100%揃っていても、無罪を勝ち取る“アンチ”な弁護士の活躍を描いた『アンチヒーロー』。

 長谷川博己が演じる本作の主人公は、まさにヒーローとは言い難い、“殺人犯をも無罪にしてしまう”限りなくダークで危険な人物。

 そんな彼を通し、“正義とは何か?” “世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける本作。

 スピーディーに展開する逆転リーガルエンターテインメントがいよいよ放送開始。事前情報のほとんどない状態で始まった物語の感想を、今後の考察も含めで紹介していきます。

『アンチヒーロー』第1話 感想



事前情報の少ないリーガルサスペンス


 事前情報がほとんどない状態で始まった今期の日曜劇場。リーガルモノだということはわかっており、勝利のためなら何でもするタイプの弁護士を主人公にしたものかと思っていました。

 そこで勝手に『リーガル・ハイ』のような作品を予想していたのですが、印象はかなり違っていましたね。

 『リーガル・ハイ』はコメディ要素がかなり強く、それでも決めるときは決めてくれる気持ちよさが持ち味でしたが、本作は全体的に骨太でシリアス。1話を見ただけではまだ判断できませんが、冤罪を救うタイプではなく、本当に殺人犯を無罪にしてしまうスタイルなのかもしれません。

 思えば『リーガル・ハイ』の第1話も、無罪にしたあとで、本当は犯人だった(かも知れない)と思わせる、なんとも後味の悪いものでした。

主人公は意外に常識人!?


 今回の事件がずっと続くのか、それとも2話で完結して次から別エピソードになるのか。その辺すらもまだわからないのですが、とりあえず最初の事件は、町工場で起きた社長殺害事件が描かれます。

 容疑者となった従業員の緋山を無罪に導くために、主人公の明墨弁護士は、検察が提示した4つの証拠を1つずつ潰していきます。

 初っ端の大げさな一人語り、そしてタクシーでスピードを出し過ぎた運転手を救うエピソードで、彼がどういう人間なのか、開始10分で理解させたのはお見事。

 個人的には『リーガル・ハイ』の古美門研介並みの変人を予想していたのですが、やり方は大胆で突飛なものの、常識を弁え、弱者の味方もできる、クールでカッコいい人物像になっていました。

 仲間との連携もできているようで、チーム感もかなりいい。そのチームも、大島優子さん、林泰文さん、堀田由美さんと、いい感じの面々を揃えています。とくに林泰文さんのレギュラーは、どういうポジションかすぐわかるので安心できます。ゲスト出演だったらだいたい犯人ですが(笑)。

1話で行ったのは証拠潰しのみ


 第1話では、家の中にあった被告人の指紋と、目撃者の証言という、2つの証拠を潰しました。

 まず指紋について、これは被害者の子供が、(ボールを取ってもらうため)以前被告人を家に入れたと証言。これにより、以前から家の中に被告人の指紋はあったと証明します。

 しかし、裁判以外の場面で、ボールを取ってもらったのは、別の従業員のことだった(かも知れない)ことが示唆されます。詳細はまだ不明ですが、明墨が、何かしら仕掛けたということが推測できます。

 目撃証言については、その目撃証言自体に信憑性がないことを、職権による検証を申し立て、立証します。そしてこれが、目撃者がどうしても隠したかった自分の障碍を晒してしまうことになります。

 かなり強引だし、不遜だし、モラルに欠けるやり方ですが、勝つためなら手段を選ばない“アンチヒーロー”としての凄みが伝わります。

 物語は、検察側が新たな証拠を出してきたところで終わります。冤罪を証明することになるのか、それとも殺人犯を無罪にしてしまうのか。どちらに転ぶかでドラマの方向性はガラっと変わってきそうですが、果たして……。

 ちなみにラスト、障碍を晒された目撃者に対し、“これまで障碍を理由に解雇された会社を不当解雇で訴えれば一千万円は取れる”とフォローを入れており、ちょっとだけ救われます。完全な“ヴィラン”ではなさそうで、そこは安心しました。

『アンチヒーロー』1話 考察


 第1話では、2つの証拠を潰し、判決はかなり被告人に有利になったであろうと感じさせてくれます。ただし、あくまで証拠を潰しただけで、犯人かどうかは一切触れられていません。

 全体的に被告人が殺人犯という流れを感じるし、それこそがこのドラマで最初から語っているテーマなのですが……本当に殺人犯を無罪にしたら、後味悪いですよね。

 犯人にも事情がありそうだし、殺された側も酷いパワハラ上司だったみたいですが、だからといって殺していいわけないし、無罪なんてとんでもないですよ。そのへん、どう折り合いを付けて、ドラマとして気持ちよく見せてくれるのかに期待したい。

 また、余談ですが、本作は事前に出演者の発表はありましたが、役名の公開はありませんでした(今は公開されています)。1話の放送で役名が明かされたのですが、主要な出演者の名前に色が入っています。白木、紫ノ宮、青山、赤嶺、明墨……。

 主人公の明墨は、明るい墨(黒)ということで、グレーを意味するのでしょうか。各人の色にも意味がありそうですね。

 事件のエピソード以外に、全体的な謎も進行しました。まず、赤嶺が娘だと思っていた抄那(近藤華)ちゃん。紫ノ宮の反応から、娘ではなさそうですが、関係は? 何かしらのトラウマを抱えていそうです。

 そしてラストに出てきた受刑者?(緒方直人)も気になる存在。最初は緒方直人だとわからなかったですが。そして彼らに加え、検察側の緑川(木村佳乃)がどう絡んでくるのかも見どころです。

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