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【ワンタク】死にゲーではないけど、索敵を怠るとリソース不足で詰むガチゲー。工画堂スタジオ『ワンインチ タクティクス』は老舗の味がする良ゲー【電撃インディー#636】

文:電撃オンライン

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 工画堂スタジオのPC(Steam)用正統派戦術級ターン制ストラテジー『One-inch Tactics(ワンインチタクティクス)』。5月20日に配信開始となる本作は、同日より体験版も配信開始となります。この記事では体験版のポイントなどを開発スタッフにお聞きしながら先行プレイした感想・レビュー記事をお届けします。

[IMAGE]『One-inch Tactics』Steamページはこちら

見えない道を手探りで進む緊張感【ワンインチタクティクス】


 本作は、パイロットとローダーと呼ばれる機体を組み合わせた駒を使用してステージごとに用意されたミッションを遂行していくターン制ストラテジー。ボードゲーム風の雰囲気が漂う作品となっています。

 プレイできるゲームモードは、順番にステージを攻略するキャンペーンと好きなステージを選んでプレイできるシングルミッションの2つです。

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▲ストーリーは簡単なものが用意されていますが、あくまで本筋はターン制ストラテジーです。

 ミッションには、特定の場所への移動や対象の護衛などさまざまなものが用意されているようです。体験版の範囲は、チュートリアルも兼ねているようでシンプルなミッションばかりでしたが、開発スタッフによると製品版ではいくつもの条件が複合した複雑なミッションも登場するとか。

 となると、体験版は簡単なのかとなりますが、体験版の範囲でも一筋縄ではいきませんでした。

 ステージでは、AP(アクションポイント)という数値の範囲内で移動や攻撃などの行動を選択し、すべての行動を終えると相手のターンへ。相手も同じように行動し、これを繰り返すことでミッションを遂行します。

 APの範囲内であれば、どこまででも移動できるし、攻撃も何度でも可能。なので、難しくもなさそうに見えますが、基本のこの要素がデメリットにも変わります。

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▲武器はごとに射程や威力、弾数が決まっています、弾数はステージ中に増やせないので、無駄遣いはできません。

 というのも、ステージ内では敵の駒の位置が見えない状態で始まります。一定の距離まで近づくか、“索敵”というコマンドで発見しない限り、どこに潜んでいるかわかりません。それは敵側も同じなのですが、もし敵に見つかっている場合、どこからともなく攻撃が飛んでくるというわけです。

 ちなみに敵にはかなり長距離から攻撃する手段もあるそう。味方を発見した敵が基地に超遠距離射撃での支援を頼んだとかになるのでしょうか。

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▲白くなっているところが“索敵”をしなくても見えている範囲です。
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▲パイロットの能力で“索敵”の範囲が変わるので、どんなステージでも広範囲を“索敵”できる駒を用意しておきたいです。
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 APさえあれば、何度でも攻撃できるということもあって、見えないところから攻撃されるのは恐怖。攻撃後に敵の位置が表示されることもないので、一方的にやられるだけになってしまいます。もちろん、APがある限り攻撃されるので、何回も攻撃されます。

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▲一部の武器を持っている場合、敵の攻撃に割り込む臨機射撃が可能。ただし、1体の駒からの攻撃で臨機射撃できるのは1回だけなので、根本的な解決方法にはなりません。

 ただ、それはこちらも同じ。敵に見つからないような位置に移動できれば見つかることなく、一方的に攻撃できます。というか、基本的に先手をとって攻撃しないと相手のターンで一気に攻撃されてやられかねません。この手探りで進んでいく感じが緊張感もあっておもしろいんですよね。

 ちなみに同じステージでも、敵の位置は開始時にランダムで決まるとのこと。なので、同じステージでも違った立ち回りが必要になるかもしれません。

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 主にAPは移動や攻撃、“索敵”に使用することになりますが、それ以外にもAPを使用する行動があります。一部のステージで使用できる“支援要請”は、使用したつぎのターンに広範囲に攻撃できるというもの。

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 威力や範囲ともに申し分ないですが、すぐに発動しないので、敵の足止めを図るか、敵の移動を先読みしないと当てにくいというトリッキーさを持ち合わせています。

 ただ、強力なので、節約してピンチになったときや難しいステージで使用したい。と思ったのですが、それを見透かしたかのように使用できる回数が残っていたとしてもほかのステージで引き継いで使用できないことを教えていただきました。

 なので、“支援要請”を使用できるステージでは、出し惜しみせずに使っていくのがよさそうです。

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▲中にはかなり範囲が広いものもありました。

 ほかにも、特定のミッションで条件を満たしたときに探索や爆破などの行動を行う“特殊行動”、見つかりにくくなる“隠蔽”など場面場面で輝くものもあります。

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 どんな状況になっても対応できるようにどの行動でどれくらいのAPを使用するか、把握しておくと進めやすいかもしれません。

 システム的にゴリ押しするのは難しい仕様になっていることもお聞きしましたが、実際にプレイしてみると本当にその通り。ゴリ押しは難しいけれど、ちゃんと戦略を考えて行動すればクリア可能なバランスになっています。

高低差のある3Dのフィールドを活用した戦い【ワンインチタクティクス】


 システム上、攻撃されるのが嫌なら、ちょっとずつ進んで“索敵”を繰り返せばいいのですが、そう簡単にはいきません。ステージには制限時間があり、その時間内にミッションを達成しなければいけません。

 ステージは高低差のある3Dのフィールドになっており、開けた道路より森の方が視界が悪く、高いところから見下ろすより低いところから見上げる方が見づらくなっています。

 “索敵”をする駒の位置によって範囲が変わってくるので、できるだけ視界が開けた高い位置で“索敵”を行うと効率が良くなります。

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▲“索敵”しても、段差の陰になっているところに隠れていると発見できません。そこはリアルです。

 ただ、低い位置から高い位置への移動や森の中の移動には通常より多くのAPを使用するので、一気に移動するのは難しい。もちろん、敵が森などにいる場合もあるので、急な戦いに発展することも。もし、移動でAPをほとんど使用してしまっていると、攻撃できずに袋叩きにあってしまいます。

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▲自分の駒だけが森にいれば有利な状況を作れます。

 そうすると、移動しにくい森などの場所はデメリットしかないように思いますが、そういった場所は視界が悪いと攻撃の命中率が低くなるので、攻撃を回避しやすくなります。木に隠れて見つけにくいということなんでしょう。

 とくに攻撃できる範囲について事前に森で遮られるということをお聞きしましたが、正直、「すこし短くなるくらいだろう」と思っていましたがそんなことはなく。森じゃなくて壁なんじゃないかと思うくらい、攻撃が遮られていました。

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▲青く囲まれているところが攻撃範囲ですが、森でかなり遮られています。

 命中率だけではなく、攻撃範囲も制限されてしまうので、敵の攻撃を防ぐという意味ではかなり有用。一長一短があるというわけです。

 ただ、難度によっては、敵にやられたり、ミッションに失敗すると駒がロストして永久に使えなくなってしまうので、ある程度時間に余裕を持つためにも思い切った行動を選択する場面もあります。

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▲難度はいつでも変更でき、変更によるデメリットもありません。危なそうな場面だけ変更するという使い方も。

 なので、リスクを承知で“索敵”のために移動してもいいし、“索敵”を最小限にして進んでもいい。同じように森などの地形を活かしてもいいし、無視しても問題ありません。攻略方法はプレイヤーによって変わってくるので、腕が試されます。

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▲必ずしもすべての敵を倒す必要もないので、ミッション遂行のために最短距離で移動したい。けど敵の待ち伏せも怖い。

組み合わせ次第で好みの駒を作成可能。近接特化や索敵特化の駒も作れる【ワンインチタクティクス】


 パイロットやローダーを組み合わせた駒は、ステージに挑戦する前に好きなように作成することができます。ステータスで見るとパイロットは、APや“索敵”範囲、防御能力など。ローダーはその値に補正をかけるものという違いがあります。

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▲序盤はローダーの種類が少ないですが、だんだん新しいローダーが登場するようです。

 パイロットとローダーを組み合わせた駒を作成すれば、そのままステージで使用することができますが、このままでは武器などを使用できません。素手で戦場に行くようなものです。

 ローダーには、8か所の枠があり、それぞれ武器を装着できます。ここに装着したものがステージで使用でき、ステージ内でほかのものを装着することはできないので、どんな駒にしたいかを考えて装着させる必要があります。

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 ただ、すべての枠に武器を装着できるのではなく、装着できるのは上の4つ。下の4つは補助的なアイテムの枠になります。

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▲アイテムには、投げた位置を中心に“索敵”と同じ効果を発揮するものや範囲攻撃をするものなどがあります。

 上の4つの枠でも分かれており、上部の2つが肩に装着、下部の2つが手持ちになります。細かく分かれていて、面倒に思えるかもしれませんが、場所によって装備できる武器が違うくらいの感覚で問題なさそうです。

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 考えるとすれば、射程が長い武器でそろえるか、銃を捨てて殴って戦う近接型にするか、それともどんな局面でも対応できるようにバランス型にするか。どんな型にしても活躍できるので、好みの問題かもしれません。

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▲広範囲に攻撃できる武器でそろえて、無差別に爆撃する型もおもしろいです。“索敵”で敵の位置を把握していないと、当たったかどうかもわからないという弱点がありますが、まとめて攻撃できるのは魅力的。

 反対に武器は最小限にして、“索敵”範囲が広いパイロットやローダーを組み合わせた駒もあれば便利。ほかの味方より先行して進んで“索敵”する以上、狙われやすいのでダメージを減らせるようなものや臨機射撃ができる武器を装着しておくとさらなる活躍が見込めそうです。

 ちなみに開発スタッフの方からは、近接攻撃特化型もおもしろいことを教えていただきました。近接攻撃は弾数がないので、弾切れを気にせず戦えるのが魅力なんだとか。ただし、攻撃するために近づかなければいけない&反撃をされるリスクも。より撃破されないような管理が必要な分、玄人向けかも。

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▲ローダーの数が少ないうちは問題ありませんが、増えてくると見分けにくくなってしまうかもしれません。そんなときはカラーを変更すれば解決。

 ただ、注意しておかなければいけないのが武器などを装着すればするほどAPの最大値が減ってしまうということ。ステージ中に武器の弾薬が補給できないとなれば、できるだけ多く持ち込みたいのが信条ですが、そうすれば最大APが減って行動しにくくなってしまいます。

 さらにミッションは失敗したとしてもつぎのステージに進んでしまいます。「つぎは失敗しないように進めれば」ということが出来ないので、持ち込む量を減らしてミッションを失敗するくらいなら、最大APを減らしてでも大量にも持ち込むのも戦略です。

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▲武器をたくさん持ち込めばいろいろな場面にも対応しやすいですからね。

 武器の弾数などはすべて引き継がれ、ステージのクリア時に新たなパイロットやローダー、武器を入手できるようになっています。入手手段はここだけに限られているので、リソース管理が重要に。

 開発スタッフの方によると、一定の成績でステージクリアをしていけば、オールクリアするために十分な量が入手できるように調整しているとのこと。何度もユニットをロストして、弾ごと武器などを失わない限りはそこまで神経質に管理しなくてもいいかもしれませんが……とはいえ、無駄撃ちには注意したいところ。

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 ボードゲームを遊んでいるようにプレイできる本作ですが、プレイしてみると思っている以上に戦略が重要なゲームだと感じました。いわゆる一騎当千・ゴリ押しプレイはできないようになっており、1機だけ突出すれば袋叩きにあってしまう。味方と連携しながら進む慎重な行動が一番ですね。

 個人的にこのジャンルのゲームは、敵をおびき出して射程の長い武器で近づかれる前に倒す戦法が好きなのですが、本作では近づいて“索敵”して敵を発見しないと攻撃すらできません。そういう意味ではこれまでとは違った遊び方になりましたが、違った緊張感をもってプレイできました。

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 体験版の範囲でもやりごたえがあったのに、これ以上ミッションが難しくなるとクリアできるか疑問ですが、どんなミッションが待っているのか楽しみです。

まとめ:死にゲーじゃないけど、老舗の味が感じられる良ゲー【ワンインチタクティクス】

 死んで覚える死にゲーというほど初見殺しや理不尽な難しさではありませんが、適当にプレイすると機体が足りなくなったり、武器の弾数がたりなくなったりして、リソース不足で詰んでしまうようなバランスのゲームだと感じました。

 ストラテジーが好きな人ならなんとでもなると思いますが、こういうゲームに慣れていない人が手なりで被害を出しながら進めていくと、最終ステージ付近で詰むこともあるんじゃないかと。

 ……でも、それがまた“ゲームの楽しさ”であり、プレイヤー個々人の黄金体験になるんじゃないかと思うんですよね。詰んで最初から遊びなおすと、きっと初見プレイの時に手探りだった部分が自分の血肉となっていて、「ああ、なんで初回プレイでは、このステージでこんなに無駄弾を使っちゃったんだろう」なんて自分のプレイスキルの成長を感じながら遊べるはず。そういうゲームって、良ゲーだと思うんですよね。

 最近はオートでもどんどん先に進めるノーストレスで親切なゲームもありますが、工画堂スタジオが主に1990年代にPCやPCエンジンなどで展開したゲーム(シュヴァルツシルトシリーズとかパワードールシリーズとか機装ルーガとか)は、いい意味でストレスと戦いながら遊ぶ歯ごたえあるものでした。

 今回の『One-inch Tactics(ワンインチタクティクス)』も、そんなシミュレーションゲームの名手であり老舗である工画堂スタジオらしい味が感じられる作品になっています。ちょっと遊び手を選ぶ部分はあるかもしれませんが、「この味が好き!」と感じる人も間違いなく存在するはずです。

 索敵重視でじっくりと進軍し、弾やアイテムを節約しながら効率的な戦いを考えていく感覚……自分は大好きです!




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