漫画『キングダム』の最新72巻が5月17日に発売されました。今回は読み終えてみての感想記事をお届けします。
※記事内には『キングダム』のネタバレが含まれています。
『キングダム』72巻感想(ネタバレあり):第二次趙北部攻略戦、早くも佳境! 青歌軍と司馬尚の強さに戦慄
王翦(おうせん)を総大将とする秦軍と、李牧(りぼく)率いる趙軍の総力戦“番吾の戦い(はんごのたたかい)”。前巻にあたる71巻で口火を切ったこの戦い、最新72巻で早くも佳境を迎えております。
正直、このスピード感は完全に予想外でビビってますよ。なんせ今回の第二次趙北部攻略戦、秦軍の兵数は25万で、趙軍に至っては30万ですからね。かの“合従軍”との戦いに次ぐ大規模な戦争なわけで、そう簡単にクライマックスなんて訪れはしないだろうと高を括っておりました。そんな自分を殴りたい! 油断していたらあっという間に決着しそうなこの戦い。勢いがスゴすぎて、ページをめくる手が止まりませんでした……。
本巻で、秦の本陣である王翦中央軍に真っ向から突撃を仕掛けてきたのは司馬尚(しばしょう)を総大将とする青歌軍。最初は無謀にも程があるだろって印象でした。なんといって王翦中央軍、そうそうたるメンツが揃っているわけですよ。第一将であり、その勇猛さには定評のある亜光(あこう)や、王翦の参謀を務める頭脳派の田里弥(でんりみ)、いつも飄々としていていまだ底が見えない倉央(そうおう)と糸凌(しりょう)などなど、マジでオールスター。
李牧の策により敵陣の奥深くで足止めされている李信と飛信隊の主力メンバーや、同じく右翼から動けない王賁(おうほん)を欠くとはいえ、負けるところがちょっと想像しづらいメンバーなのです。
……それなのに。ああ、それなのにーッ! この精鋭たちを持ってすら……な青歌軍と司馬尚、マジでヤバいとしか言いようがない。敵がどいつもこいつも強いうえに、総大将である司馬尚の強さは本当に別格。ハッキリ言ってチート級です。個人的にはかつての三大天・龐煖(ほうけん)すら超える絶望感すらあり、あまりに強すぎて理解不能というか、もはや「ズルい!」としか言えません。我ながら子どもみたいな感想(苦笑)。でも、本巻を読んだ人はみんなそう思うハズ。アカンでしょコイツだけは……。
もうね……いかにネタバレありの記事とはいえ、詳細はご自身の目で確かめていただきたいとしか書けませんよ。司馬尚が突き進んで王翦の首を獲るのか。それとも王翦軍が全力でそれを阻止するのか。ひとつ言えるのは、初日にしてこの戦いの大勢は決してしまうのではないかってことくらいです。なんせ秦・趙の両軍ともに一兵卒たちはもちろん、名のある武将たちも血を流し過ぎてますからね。ここまで来ちゃうと長期戦になるとはちょっと考えにくいかな、と。
今はまだ危うく揺れている天秤ですが、どちらかに傾いたらもう止まらない印象です。描いておられる原泰久先生もさぞ筆がノリまくっているのではないかと予想。伝わってきますよね、その熱気が。さながらジェットコースターのようなこの勢い、ぜひ最後まで突っ走ってもらいたいものです。
戦いを左右するのはやっぱり李信と飛信隊? 李牧の動きも不気味
ここからは次巻以降の予想も交えての話になりますが。混沌としている戦局を大きく動かすカギを握るのは、やはり我らが主人公・李信と飛信隊のメンバーになるであろうと踏んでいます。李牧の策にハメられこそしましたが、部隊の力を削られたわけではないのでね……。彼らが戦場に戻りさえすれば司馬尚も無視はできないと思われます。
一方で、李牧もまだ何か策を残していそうなのも気になるところ。王翦軍を攻めようとした傅抵(ふてい)を自らの側にとどめ置き、彼の軍には「この後やってもらうことがある」と口にした時は、思わず“これ以上は勘弁してくれ”って気持ちになりました。絶対に一筋縄ではいきませんよ、これ。どうなることやら。
気になるといえば、戦場を大きく突き抜けて敵の居城である“番吾”を攻めている部隊がいる点も忘れるわけにはいきません。具体的には、楊端和(ようたんわ)軍の一角であるキタリが率いるメラ族の部隊なわけですが。これ、個人的にはどっちに転ぶかまだ読みきれないです。
番吾にはあの壁(へき)将軍が捕虜として囚われており、キタリはそんな彼を救うために覚悟を決めて行動しているように思えます。兵の数こそ少ないものの、キタリの一念が李牧たちにひと泡吹かせることができたとしたら、面白いことになりそう。とはいえ、気が逸って無謀な強行策に出てしまう可能性もあるわけで……はたしてどっちに転ぶんだろう。ホント気になりますよね。
なんにせよ、本当に怒涛の展開を見せた72巻。個人的には倉央と糸凌、僕のお気に入りである2人の武将の今後がめちゃくちゃ気になっているわけですが……大丈夫だよね? 本当に大丈夫なのか!? と、ハラハラしております。73巻が今から待ち遠しい! とにかく名シーンが目白押しなので、未読の方は一刻も早く読んでいただきたいです。それでは今回はこのへんで!