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【トワと神樹の祈り子たち】レビューと感想:刀を自分で鍛造する和風ローグライトアクション。多彩なプレイスタイル、魅力的なキャラ、“時の流れ”をうまく使った物語を備えた遊びやすい作品

文:電撃オンライン

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 バンダイナムコエンターテインメントから9月18日にNintendo Switch/PS5/Xbox Series XSで、9月19日にPC(Steam)で発売予定のアクションアドベンチャー『トワと神樹の祈り子たち』。

 本作は複数の登場人物のなかから、ツルギと呼ばれるメインキャラクターと、カグラと呼ばれるサポーターを選択し、ダンジョンを進めていくアクションゲームです。ダンジョンを進めるごとに提示される複数の選択肢を選ぶローグライト要素があり、その場その場で適切な強化を選んでいく楽しさがあります。

 リリースに先駆けて本作をプレイする機会を得られたので、その特徴や魅力などを紹介していきます。

 執筆にあたってプレイした時間は、9時間半程度。2つめのダンジョンを攻略し、3つめのダンジョンを攻略中……といったところです。

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 なお、電撃オンラインでは、本作の基本的なゲームサイクルをはじめとした本作の情報を紹介する記事を掲載しています。中にはゲームプレイや攻略に役立つ情報もあるので、まだ読んでいない人は、こちらもぜひご覧ください。

ツルギ&カグラの選択と、ローグライト要素によって広がる、戦術を考える楽しさ【トワと神樹の祈り子たち】

 本作のおもしろさは、なんといってもアクションが異なる複数人の操作キャラクターと、サポート役のキャラクターの組み合わせ。そしてそこにローグライト要素をかけ合わせた多彩なプレイスタイルにあります。それを紹介するためにも、まずはゲームの流れを説明しましょう。

 まず本作では、ダンジョンに挑む際に祈り子と呼ばれる計8名のキャラクターのなかから、“ツルギ”と“カグラ”として2名を選択します。

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 ツルギはメインで操作をするキャラクターで、本差と脇差の2種類の刀(アクション)を持っています。本差と脇差による攻撃方法はキャラクターごとに固有のもので、ツルギとして選択したキャラクターによって、使用感は大きく変化します。

 例えばレッカの場合は、本差では目の前の敵への連撃、脇差では自分の周囲に刃のダメージゾーンを形成するといったもので、直感的に立ち回れる点が特徴です。

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 一方でツルギとしてアカズを選択した場合、本差による攻撃は前方への連続突き、脇差では当たるとダメージを与えるオーブを自分を中心に展開するといった攻撃方法になります。

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 なお攻撃を続けていると刀の耐久力が減少し、ゼロになると攻撃の威力が低下してしまいます。そこで役立つのが“居合”というアクション。居合は本差と脇差を切り替えつつ行える攻撃です。

 一度切り替えれば刀の耐久値は全快するため、基本的には本差→居合→脇差→居合→本差のように、交互に使っていくことで、攻撃力を維持することができます。

 脇差のアクションにはクセの強いものも多いため、使いやすい本差をメインにして戦いたい場合には、居合を2回連続で使用することで、すぐさま本差の耐久度を回復させて戦い続ける、ということも可能です。

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 加えて各キャラクターは固有の必殺技を持っています。敵を倒すと獲得できるマナを溜めて放つことができる強力な攻撃で、広い攻撃範囲を持っていて爽快感はバツグン! 戦っていれば自然とマナは溜まるため、積極的に使えるのも嬉しいポイントです。

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 このように、ツルギ役のキャラクターだけでもさまざまなアクションを楽しめるのですが、ここにカグラが加わることで、より多彩な戦術を組み立てられるようになるのが本作の魅力!

 ツルギと同様、祈り子たち全員がカグラにも就くことができます。カグラはツルギのあとに続きながら、特定のタイミングで法術を使用して戦闘を援護していくサポート役。カグラが使用できる法術にはいくつかの系統(属性)があり、各キャラクターは2系統の法術を修めています。

 各系統にも複数の法術が用意されており、その中から系統ごとに一つずつ、計2種類の法術を装備して戦いに挑むことになります。

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 ちなみにダンジョン内では、ツルギとカグラは2人で1人の存在として扱われ体力を共有しています。そのため線でつながれていて、一定距離以外は離れられません。この縛りがなかなかやっかいかつ、おもしろいところなのです。

 どういうことかというと、自分(操作キャラクターであるツルギ)は敵の攻撃を回避できても、カグラが被弾してしまうというケースが生まれます。体力を共有しているがゆえに、体力の合計値がゼロにならない限り、片方が先に脱落するということはないものの、カグラの被弾は着実に体力を消耗するため、カグラ側の動きにも注意したいところ。コントローラーでプレイしている場合は、右スティックを押し込むことでカグラを個別に動かせるようになります……が、ツルギを普通に動かしつつカグラも同時に動かすのはかなり難しい!

 法術によっては、発動時に足を止めてしまうものもあって、使用タイミングも考えねばなりません。という事情もあり、自分のプレイスタイルに応じて法術を選択することも大事です。

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 個人的な使用感としては、強くても発動時に足が止まるものよりも、とにかく動きながら撃てるもののほうが安定感がある印象です。とくに強化or弱体化の範囲を作り出す陣系の法術は、発動中はカグラが停止していることもあって、使いこなすのが難しく感じました。

 なお、装備する法術はダンジョン攻略中に立ち寄る休息所で変更することも可能なので、道中とボス戦で使い分けることもできます。

 そして忘れてはならないのがローグライト要素。ゲームのメインとなるダンジョンは、小分けにされたマップに出現する敵をすべて倒すと、次のマップへと進んでいける仕組みとなっています。このマップをクリアした際に、キャラクターを強化できる“恩寵”や、里で使用できる素材などを得ることができます。

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 恩寵も法術のように属性で分かれていて、“慈悲”の属性では体力回復系の効果が多く、“開拓”の属性であれば、攻撃時に炎上を付与する効果が多いなど、各属性ごとに強化内容の傾向が定まっています。マップを移動する前に、次のマップではどんな報酬が得られるのかを確認できるため、強化したい性能や欲しい素材によって行き先を選択できますが、欲しい属性があるかはランダムですし、そもそも選択肢がない場合も……。

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 とはいえローグライトと言えば、やはりこのランダムで提示される強化内での最適解を考えながら進むのがおもしろいところ。それは本作も例外ではなく、本差の性能を上げるのか、はたまた脇差メインでいくのかなど試行錯誤しながら進むのが楽しいです。

 カグラの法術を強化したり、回避や必殺技に追加効果を付与したりと、恩寵の効果もさまざま。キャラクターに合ったスタイルをその場で確率していくのは、このジャンルならではの魅力ですね。

 加えてマップには、温泉や食事処、商店などが登場することがあり、通貨(扱いの素材)と引き換えにキャラクターを強化可能です。逆にチャレンジングな内容のマップが登場することも。とくに中ボス2体と戦うマップは危険度が跳ね上がる反面、クリアすれば恩寵が2つ手に入るため、クリアできるなら相応のメリットがあるようになっていました。

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8人の祈り子たちの掛け合いと、“神葬”によってグッと引き込まれる物語【トワと神樹の祈り子たち】

 本作は、“シンジュの里”と呼ばれる小さい里を拠点とした和風の世界観。この里では大樹のもとに根差す“シンジュ神”を祀っており、不老の神の子・トワが里を見守りつつ共に暮らしています。主人公のトワは、シンジュ神の子であるため年を取らず、里の守護者として民と交流しつつ彼らを見守っていました。

 あるとき、遠くの地の神である“マガツ”によって世界が徐々に穢されていきます。この穢れからシンジュの里を守るため、トワは8人の仲間――“祈り子”たちを伴い、マガツ討伐の旅へと出発する、というのが本作のストーリー。

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 ここから祈り子たちに前述のツルギとカグラのお役目を与え、ダンジョンの最奥で穢れを払うための儀式を行うというのが、物語上の目的となっています。しかし物語の序盤でマガツが復活し、封印の儀式が失敗。結果、シンジュ神に守られたトワ以外の祈り子たちは、時のはざまへと飛ばされ、シンジュの里の時間が進まなくなるという事態に……。一人残されたトワでしたが、時のはざまに囚われている祈り子たちと協力し、再度マガツの封印に臨みます。

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 メインキャラクターとなるトワと祈り子たちは個性的! 彼ら同士もさまざまな気持ちを抱えているというのが非常に魅力的で、トワと里の民との会話でトワの立ち位置がなんとなく垣間見えたり、ダンジョン内の休息ポイントで祈り子たちの関係性を見られたりと、人物の作り込みにはかなり力が入っています。

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 またダンジョン内に出現する特殊設備を始めて訪れた際のセリフもキャラクターごとに用意されているため、愛着が生まれれば生まれるほど、すべてのパターンを聞きたくなってしまう沼っぷり……!

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 シンジュの里の時が流れなくなっているという要素も秀逸です。ダンジョンのボスを倒すことで敵が溜め込んでいたマナを回収し、それをシンジュ神へと還すことによって里の時間が進むようになるのですが、これにより子供だった里の住人が青年まで育つといった変化を感じられます。

 トワの姿はそのままなのに、里の住人の姿は変化していく。それでも民たちのトワへの接し方は変わらないので、年を取らないトワがずっと見ていた景色をそのまま見ている気分。自分だけ年を取らないのに、周囲は変化していくもの悲しさみたいなものを感じました。トワは寂しそうな素振りはあまり見せませんが、それが逆にちょっと切ない……。

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 もうひとつグッときた要素が、ダンジョンのボスを倒したあとに行われる“神葬”の儀式。マナを変換するための儀式なのですが、この儀式……なんとツルギが特別な刀で“カグラを斬る”ことにより成し遂げられます。つまりカグラはボスを倒したらいなくなってしまうということ。

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 最初はそんなことになるとはつゆ知らず、儀式の直前に「あとはお任せします」的なことを言い始めて、かなり動揺しました。それを知ってからは、道中の休憩所で行われる2人の会話も、最期の瞬間に向かって話していると思うととても胸が苦しく……。

 それゆえに祈り子たちの会話から得られる情報はすべてが愛おしく感じられ、もっともっと彼らのことを知りたいと思うはずです。

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刀鍛造の過程がミニゲームに! 手間がかかるだけに、良い刀ができたときの愛着もスゴイ【トワと神樹の祈り子たち】

 本作では、祈り子たちが装備する刀を自分で作ることができます。そして刀を作る一連の流れがミニゲームとなっており、刀鍛冶の仕事を詳細に体験することができるのが驚き。なんと形まで自在に作れてしまいます。

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 ミニゲーム自体はそこまで難しくものではなく、純粋な知識として刀ができあがるまでの流れを体験できるのがいいですね。一振り一振り作るのが面倒だという方は、製作を刀鍛冶の親方に任せられるのも嬉しいです。刀の性能は使用する素材によって変動するため、ここぞというときは自分で金づちを振るうと、より愛着のある刀が生まれるかもしれません。

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 刀の性能は使用した素材などで大まかに決まるのですが、最後の工程である“砥ぎ”でより詳細にカスタマイズ可能です。刀の耐久力を消費することで、特定の項目をさらに上昇させることができるのですが、何らかの能力を伸ばそうとすると、別の能力が下がる可能性も。そのため、なかなかすべての性能を強く……というわけにはいかないのが悩ましいところ。

 減少値より上昇値の幅のほうが多めに設定されているため、ものすごく運が良ければ最初の性能をすべて上回る刀も作れるかもしれません。ただ、砥げば砥ぐほど刀の耐久力は減っていきます。刀の耐久力は戦闘時に攻撃力を落とさずに使い続けられる回数に影響するので、どこで止めるかも重要。

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 もちろん居合を挟めば耐久力は回復するため、一回斬るごとに居合を挟めば問題はない……と割り切って、限界まで砥いでもOK。ただ実際にこの状況でプレイしてみたところ、キャラクターが刀の耐久力がなくなった際にセリフをしゃべるため、ちょっとわずらわしいかなと……(苦笑)。普通にプレイしているぶんには、耐久力がなくなったことを音声で知れるのは嬉しいです!

 また里にはほかにも役に立つ施設がたくさんあります。キャラクターの育成が行える道場では、ダンジョンで稼いだ素材を使って、ステータスの向上や新たな法術のアンロックが可能です。ステータスは所持しているポイントを割り振って強化していく形式ですが、道場でいつでもノーコストで振り直しができます。とりあえずの感覚でステータスを強化しておけるので気楽です。

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 レイメイの塔では、常時発動型のスキルを獲得可能。符、象、印という3つのカテゴリがあり、それぞれのカテゴリで3つまで装備することができます。とりあえず付け得なので、最初は適当に付けておくだけでもOK。だんだんプレイスタイルが固まってきたら、詳細にアレンジしていくといいでしょう。

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 ほかにも、ダンジョンでのステータスを一時的に上昇させてくれる食事や、里の施設を増やせる大工、素材を変換してくれる商店など、さまざまな要素があります。これらの施設の主人たちもキャラクターとして魅力的で、ストーリーを進めるごとに彼らとの話も深まっていくので、こちらにも注目です。

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プレイしてみての感想【トワと神樹の祈り子たち】

 ダンジョンハック系のローグライトアクションとしての基本は抑えつつも、ツルギとカグラという2人1組の作りや、“時の流れ”という要素をうまく物語に取り込んでいる点、魅力的なキャラクター、刀を造る楽しさなど、本作ならではの遊ぶべき理由をしっかりと持った作品だと言えます。

 こうしたジャンルの作品ではとてもプレイしやすい作りになっていると思うので、この記事を読んで興味を持ったかたは、まず現在配信中の無料体験版からプレイしてみてはいかがでしょう? ぜひ遊んでみてください。
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