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『鬼滅の刃 柱稽古編』3話感想。本当は優しい天元、解釈一致。炭治郎のために覚悟を決める隊士たちにグッと来る(ネタバレあり)

文:電撃オンライン

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 2024年5月26日(日)に放送された、『鬼滅の刃 柱稽古編』第3話“炭治郎全快!! 柱稽古大参加”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『鬼滅の刃 柱稽古編』第3話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

『遊郭編』のキャラたちとの関係性の変化で感じられる炭治郎の成長


 ついに始まった柱稽古。今回は引退した元音柱・宇髄天元による特訓が行われましたが、原作では結構サクッと話が進んだ部分で、ほとんどのシーンがアニメオリジナルになっていたことにまず驚きました。

 天元が担当するのは隊士たちの基礎体力向上で、柱に迫る実力を持っている今の炭治郎が、いかに突出した強さと肉体を持った存在なのかが改めてよく分かりました(とくに訓練を終えたあとに、まだ片付けの手伝いができるくらいの体力の余裕が残っているあたりがヤバい)。

 普段は隊服を着ているので分かりにくかったですが、筋肉もとんでもない量がついていて、まさに極限まで引き締まった肉体といった感じ。ところどころに残された大きな傷跡が痛々しいですが、上弦の鬼と何度も戦って五体満足で帰って来ていること自体がとんでもないんですよね。柱だった天元ですら、一度の戦いで引退まで追い込まれるほどの怪我を負ったわけですから。


 一般の隊士たちの巡回シーンは、ほぼホラーのような演出になっていてちょっとビビりました(あの隊士達があそこで死んでしまうと思ったのは自分だけではないはず)。

 瞳には“肆”という瞳が描かれていたことから、上弦の鬼である可能性が非常に高い……のですが、上弦の肆は、『刀鍛冶の里編』で炭治郎たちが激しい死闘の末に倒した鬼・半天狗だったはずなんですよね。さすがに半天狗が生きている可能性というのは考えにくいですし、早くも半天狗に変わる鬼が上弦の肆になった……ということなのでしょうか。

 『遊郭編』で炭治郎たちと共闘していた雛鶴・まきを・須磨も再登場し、天元も含めて、全員が炭治郎のことを一人前以上の隊士として認めているのが、『遊郭編』からの時間を経過をしっかりと感じられて良かったです。

 思い返してみると、『刀鍛冶編の里編』の時透も甘露寺も炭治郎とは別の場所で戦っていたのがほとんどだったので、追い込まれた時の本当の炭治郎の凄さを実際の目で見て知っているのは、柱の中では(今は元・柱ですが)天元くらいなのかもしれないなと。そう考えると、天元はとくに炭治郎のことを買っているキャラの一人なんじゃないかと思えます。


 隊士たちに鬼のような訓練を課している天元が、実は隊士想いでめちゃくちゃ優しいというのは、完全に解釈一致でした。『遊郭編』でも、口では炭治郎たちのことに厳しく当たりつつも、ここぞという場面では炭治郎たちが死なないように矢面に立ったりしていたので、普段もできるだけ仲間が死なないように気にかけていたんだろうと思えますよね。

片腕でもなお炭治郎より強そうな天元。もう柱に復帰してくれ!


 1話の冒頭ではアニメオリジナルで不死川と伊黒の活躍が描かれていましたが、それを受けての2話での2人のやりとりも印象的なシーンです。今は嵐の前の静けさで、鬼たちとの決戦の日が近づきつつあるという、この後の『無限城編』への前フリを匂わせつつ、まさかの決闘という流れは予想外でした。柱同士の勝負という、これ以上ないほどに見ごたえのありそうな戦闘シーンが描かれそうなのはワクワクしますね。

 その後同じくアニメオリジナルで描かれた、天元を相手にした実践訓練のシーンも素晴らしかったです。


 炭治郎に対してだけは、“他人を守りながら戦う”という一種の縛りをつけていましたが、おそらくは『遊郭編』の天元自身が、まだ実力的に未熟だった炭治郎たちをフォローしながら戦わないといけない立場だったと思うんですよね。当時の柱としての全盛期だった自分と同じ役割を、今の炭治郎ならこなせると考えたとすると熱い……!

 一方、片腕を失い、柱を引退して実戦から遠ざかっていても、今の炭治郎でも1対1では勝つのは厳しそうなほどに天元の強さは健在(それだけ強いならもう柱に復帰してくれという気も若干してきます)。そこから天元に勝つために、一般の隊士たちが覚悟を決めて炭治郎が攻撃する隙を作ろうとするシーンもグッと来ました。


 どれだけ鍛え上げてどんな奇跡が起きても、1人では上弦の鬼や無惨に勝つことはできない。だからといって諦めるのではなく、上弦の鬼や無惨に勝てる可能性を持っている柱や炭治郎を助けるために戦う……という、いわば一種の捨て石になるような覚悟を、隊士たちはしたことになります。自分一人では成し遂げられないことを誰かへ託すというのは、『鬼滅の刃』という作品のテーマをこれ以上ないくらいに表しているんですよね。

 元々原作にこういう話があったんじゃないかと思えるくらいハマっていて、一般の隊士たちの掘り下げとしてこれ以上ないエピソードだったと思います。今回のエピソードを踏まえて、もう一度原作の『無限城』編を読みたくなりました。

 次回は、『刀鍛冶の里編』で炭治郎と共闘した霞柱・時透との稽古が描かれそうです。不死川たちの対決もありますし、今後の稽古にもいろいろオリジナルシーンが入ってくるのではないかと思われるので、まったく新鮮な気持ちで楽しめるのではないか、と期待してしまいます。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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