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【曹操と華佗】因縁の三国志人物たち(運命の二人)③【三国志 英傑群像出張版#30-1】

文:岡本伸也

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。

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 “因縁の三国志人物(運命の二人)”というテーマで武将二名をピックアップして三国志演義(物語)、正史三国志(歴史書)、民間伝承などから紹介してみるという新しい試み第3弾。

 過去には【関羽と張遼】、【周瑜と孫策】を紹介しました。

 今回は、曹操と名医・華佗について取り上げようと思います。この二人の関係については知っている人も多いでしょう。

 同郷出身(豫州沛国譙県)という広い中国では大事な結びつきの要素である関係ながら、曹操は最終的に華佗を殺してしまいます。

 中国では『華佗と曹操』という映画にもなっています。この二人の間に関する民間伝承も多数あるという事もあったので、今回選んでみました。

 二人がどんな人物だったかというと、曹操はいうまでもないでしょう。魏のトップ“魏王”です。

 一方の華佗は、後漢時代末期の名医。医術全般に通じ麻酔薬“麻沸散”を発明し、麻酔をして切開手術を行ったといわれ、“神医”とも呼ばれています。

 また“お屠蘇(正月の酒の風習)”“五禽戯(健康体操)”を発明したともいわれている人物です。

 さて、それぞれの物語をみていきましょう。

因縁の三国志人物たち【曹操と華佗】

史実では(正史三国志、後漢書)


 まずは、史実(正史三国志、後漢書)でのそれぞれの活躍をピックアップ。

・華佗は滋養強壮術を心得ており、百歳を過ぎてもなお若い見た目であったため、人々は彼が不老不死だと思っていました。
・曹操は華佗を投獄し殺してしまいました。
 【理由】華佗が曹操の典医(担当専門医)でしたが、妻の病気を理由に故郷へ帰ったきり戻って来ず、それが嘘だと発覚した事で投獄・拷問を受けて死に至ります。のちに曹操は自分の頭痛を治せる医師を殺してしまったことを後悔します。 
・有名なところでは、陳登を診察します。
・荀彧が華佗の命乞いしました。
・医術書を伝えようとするが役人に受け入れるものはなく華佗自ら焼き払います。
・関羽、周泰を治療した記述はありません。


三国志演義(物語)


 次は三国志演義(物語)になります。

・華佗は、白髪で童顔(仙人の典型的な風貌)。
・曹操は華佗を投獄し殺してしまいました。
 【理由】曹操は頭痛のため華佗を呼び寄せるも頭を開く外科手術を提案され、華佗を信用できず拒否・投獄し殺してしまいます。
賈詡が華佗の命乞いしました。
・関羽、周泰を治療します。
 ●周泰は12の傷を負い瀕死になりながらも華佗の薬で回復。
 ●関羽は華佗を信用し、囲碁をしながら麻酔無しで左腕の怪我の手術を行わせます。しかし麻酔術のある華佗がなぜ麻酔無しで手術するのかは謎です(笑)。
・医術書を牢獄の番人に渡すものの、その妻が発覚を恐れて焼いてしまいます。

横山光輝三国志


 横山光輝三国志では、加えて孫策も華佗が治療しています。(演義では華佗の弟子が治療)

三国志平話


 そして三国志平話では、華佗と曹操の話はなく、曹軍を抜けて荊州に来た華佗は毒矢で怪我をした関羽を麻酔なしに手術します。

まとめ


 史実としてある華佗と曹操の因縁。三国志演義は、史実をうまく活用して華佗の物語を魅力的に作り上げてくれています。

 関羽と曹操、手術の場所は違うものの、【関羽の度量の広さを示し、曹操の度量の狭さを示し】、というふうに対象的に描かれています。

 関羽と周泰の二人が怪我をおった話は史実にありますが、華佗が治したという記述はありません。関羽に関しては演義より前に三国志平話が、華佗が関羽を手術する話が登場して演義の元になっているようです。

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 演義では華佗が曹操も含め【魏呉蜀すべての国の武将を華佗が診ている】というようになっていた事がわかりますね。

 来週からは【曹操と華佗が関わる民間伝承】をご紹介したいと思います! お楽しみに!

 なお、以前紹介した華佗の民間伝承はこちらになります。未読の方は、ぜひこちらも読んでみてくださいね。

●関連記事

 逸話“母を救う少女”では、曹操と華佗が仲良くしていた時期もあったのだなと思えるシーンがあります。

桃園の智会 第8回は8/11(日)に開催!


 【テーマを決めて順に一言発言】というルールで、初参加、恥ずかしがり屋さんでも平等に楽しめる三国志交流会“桃園の智会 第8回”を8/11(日)に実施します。

 まだ少し先ですが、ご興味があればぜひ参加してみてくださいね。

桃園の智会第8回 開催概要
日時:8/11(日)16時~19時半ごろ
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お問い合わせ:三国志ギャラリーまで(078-641-3594)

コラム未公開! 関羽の民間伝承パネル展示中


 春の三国志会で初公開した、本コラムで未公開の関羽の民間伝承が掲載されているパネルですが、こちらは引き続き展示を継続しております。

 7月末位までは展示しておくつもりですので、KOBE鉄人三国志ギャラリーのお近くに来られた際は、ぜひお立ち寄りください!

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岡本伸也英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!

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