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『鬼滅の刃 柱稽古編』4話感想。厳しさの中に本来の優しさが見える…仲間の存在を意識した時透がひたすら“良い”回(ネタバレあり)

文:電撃オンライン

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 2024年6月2日(日)に放送された、『鬼滅の刃 柱稽古編』第4話“笑顔になれる”の感想をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『鬼滅の刃 柱稽古編』第4話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

メンタルに直接ダメージを与えてくる霞柱・時透無一郎の稽古

 第3話の元音柱・宇髄天元による柱稽古では、ほぼアニメオリジナルのエピソードが描かれていましたが、4話の霞柱・時透無一郎による柱稽古のエピソードも同様にアニメのオリジナルエピソードで構成されていました。

 天元による稽古はスパルタ方式でありつつも、やはりどこかに隊士たちへの愛を感じさせる部分がありましたが、時透の稽古は肉体以上にまずメンタルが削られていくタイプ。鬼相手には一回負けた瞬間に終わり……とか、言っていることは正しいんですが、人は正論だけでは生きていけないのです……!

 時透は『刀鍛冶の里』編で炭治郎と信頼関係を結んでいたのもあり、炭治郎に対してはもの凄く好意的なんですが、それ以外の隊士たちに対する態度の落差が凄すぎてぞわっとしました。ほんの直前まで炭治郎に対して笑顔を見せていたと思ったら、一瞬で絶対零度みたいな対応へと切り替わる。声を担当する河西健吾さんの演じ分けに「やっぱりプロの声優ってすげぇ……!」と感動していました。

 加えて感動したのが、時透の刀に対する扱いの変化です。

 『刀鍛冶の里編』の序盤で時透は、からくり人形・縁壱零式との鍛練の最中に刀を折ってしまい、炭治郎にその処分を押し付けつつ、自分は「斬れればなんでもいい」と言わんばかりに縁壱零式が握っていた刀を一本持って行くくらい、刀そのものに無頓着でした。それが自分から鉄穴森を里に招き入れてまで刀の手入れを頼むようになるとは、間違いなく以前の時透だったらありえなかったでしょう。

 あの時の戦いの経験もそうですし、過去の記憶が戻ったことで、炭治郎との関係性だけではなく、時透自身にも大きな変化が起きつづあることが分かります。もっとも隊士たちから見ると、あまり変わっていないように見えるようですが……。

 ちょっと面白いのは、上弦の鬼を複数体倒している炭治郎も、一般の隊士たちからすると柱と同じくらい化け物じみた存在のはずなんですよね。ただ、そこで距離感みたいなものを一切感じさせないのが炭治郎のもつ人柄の力なのでしょう。特訓後にタオルを差し出しながら愚痴をこぼすシーンとか、結構心を許している相手じゃないとできないことだと思います。

厳しさと同時に、本来の"無一郎”としての優しい人格が垣間見える

 稽古が終わった後に時透が向かっていたのは、まさかの不死川と伊黒の元でした。3話で決闘の約束を交わしていた2人でしたが、それは柱同士で戦って自らの限界を引き出すためだったようです。

 鉄穴森に対してもそうでしたが、さり気なく時透が年上に対して敬語を使えるようになっていることへもちょっと感動しつつ、柱の中でも最年少である時透に2人掛かりであたるあたり、不死川たちがその実力をかなり高く評価していることが分かります。

 隊士たちにとっては地獄のような稽古が行われていく一方、「誰も死んでほしくない」という時透なりの仲間への想いもしっかりと伝わりました。以前の時透は他人に対してまったく興味がなさそうだったので、この時点でも結構驚きがありましたね。

 その後、隊士たちへの助け舟として炭治郎が提案した紙飛行機のシーンでは、さらに新鮮な時透の姿が。最初に紙飛行機対決の提案を聞いた時のあっけにとられた顔とか、いざ対決を始める時の炭治郎に対する自信満々な顔とか、あの時透が年相応の可愛らしい表情を見せてくれるようになったのが感慨深い。

 時透が一般の隊士に頼み事をしたり(たぶん、かなり遠くまで飛んだ飛行機を作ったんでしょう)、紙飛行機を見送る一同を振り返って微笑むシーンとか、時透が隊士たちを「仲間」としてしっかり認識していることが改めてよく分かるエピソードでもありました。

 最後に打倒無惨を炭治郎と誓い合うシーンでも「みんなで」をつけているのがめちゃくちゃエモい。時透本来の“無一郎”としての心優しい人格を取り戻しつつあるということなんでしょうね。

 3話に引き続き、4話もほぼアニメオリジナル回となりましたが、時透の紙飛行機好きの一面を活かしたり、『刀鍛冶の里編』前との違いをこれ以上ないほどに感じることができたり、原作ファンも納得のエピソードになっていたのではないかなと。

 次回は恋柱・甘露寺蜜璃の稽古回となりそうですが、おそらくは再度アニメオリジナル成分が多めになりそうな予感。甘露寺の稽古はこれまでとは一風違う雰囲気になりそうで、今から待ち遠しいです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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