最新第3巻が発売となった『ニセモノの錬金術師(原作:杉浦次郎先生、作画:うめ丸先生)』のレビュー記事をお届けします。
この記事には、原作1~2巻までのネタバレを含むのでご注意ください。
魔法に錬金術…さらにチートスキル! ファンタジーの王道を行く世界観設定が面白い【ニセモノの錬金術師感想レビュー】
本作の最大の魅力といえば、やはりその作り込まれた世界観設定。
本作には題名にもなっている錬金術のほか、魔法の概念も存在しており、人々はその恩恵を受けて暮らしています。
ファンタジー世界として見ても世界観は少々ハードで、奴隷売買などが一般的に行われています。序盤から身体的にボロボロになったエルフが登場したりと描写もエグめ。
主人公であるパラケルススは、そんなファンタジー世界に異世界転生した青年。パラケルススは偽名だと思われ、本名は不明です。明言はされていないものの、おそらく現代日本っぽい世界から転生したようです。
異世界転生した主人公は、そのときに授かったチートスキルを活用して錬金術師として生計を立てています。
トラックに引かれて、チートスキルを持って異世界に転生するというのは異世界転生ものとして超王道の流れですが、主人公の持つチートスキルがそこまでぶっ壊れではないので、チート感は少なめ。
主人公の持つチートスキルはふたつ。“天地万物のレシピ”は、作りたいもののレシピをなんでもノートに出すことができるスキル。
材料は出せないなどの制限はあるものの、完璧なレシピを作れるのでとくに爆弾などの精巧なものを作るときは有用。実際、主人公は質の高い“魔法爆弾”を作ってそれを売却することで利益を得ます。
タイトルになっている“ニセモノ”とはつまり、錬金術の知識ではなくチートスキルによってアイテムを作っているからですね。とはいえ現状ではそこまで無茶なものは作っていないので、チート主人公感は薄いです。
もうひとつのチートスキルが“セーブメーカー”。こちらはいわゆるセーブポイントを作り出せるスキルで、特別な宝石を砕くとそれを作った時間に戻ることができるという代物です。
どちらかというとこちらのほうがチート感がすごいですが、代償として一番大切なもの=“天地万物のレシピ”の能力を忘れてしまう可能性が高いという理由から、作中ではまだ使用していません。とはいえスキル自体は超強力なので、今後の重要な伏線となりそうですね。
魔法や錬金術の設定の作り込みもすごい。初見ではなかなか理解が難しい部分もありますが、読み込むほど面白くなってきます。
さらに主人公の持つチートスキルにも何か秘密が隠されているようで……? このあたりの設定がいつ明らかになるかも楽しみなポイントです。
タフすぎるヒロイン・ノラさんの魅力【ニセモノの錬金術師感想レビュー】
(おそらく)現代出身の主人公は、価値観ももちろん現代的。そのため、冒頭のシーンから奴隷商人にボッタくられるなど異世界のハードさについていけていない部分があります。正確が優しすぎて、もしかしたらチートスキルなしで異世界転生していたら、すぐに身を崩していたかもしれません。
そんな主人公をカバーするのが、本作のヒロインであるノラさん。主人公が奴隷として購入した少女です。
主人公に買われるまではかなり酷い境遇だったようで、価値観はシビア。主人公のことも最初はただ利用しようとしていた節がありますが、やがて信頼し合える関係になっていきます。とくに対人交渉などではノラさんの能力が必須!
ノラさんもただの奴隷ではなく、実はとある秘密があり……詳細は伏せますが、彼女は能力的にもチートスキル持ちの主人公の助けとなってくれます。
お人よし錬金術師とリアリスト少女のコンビの相棒感も、本作の魅力ですね。
クセの強すぎる登場人物たち【ニセモノの錬金術師感想レビュー】
ノラさん以外の登場人物たちも、クセの強い人たちが多いです。
とくに2巻の表紙にもなっているノルンはキャラクターが濃い! 表向きはとある魔法店の店員で人当たりもよく、最初は単なる仕事の取引相手かと思いきや……実はとあるこだわりがあり、主人公やノラさんに対して強い警戒心を持っています。
2巻で彼女が初登場する回では、雑談+商談の平和な回かと思ったら、空気が一変。世界設定に対する核心的な設定も明かされたのもあって、かなり印象的な回でしたね。
そのほか、凄腕錬金術師のアグノシアもまだまだ底の見えないキャラクター。敵か味方かでいえば今のところ敵寄りな描写ですが、個人的にはビジュアルがどストライクなので、なるべく味方でいてほしいところです(笑)。
ダークファンタジーな世界観もあって、登場人物たちは誰も一筋縄ではいかない雰囲気を持っていて、誰が味方か分からない緊張感がありますね。
異世界転生の理由など先が気になる展開も!【ニセモノの錬金術師感想レビュー】
そもそもの異世界転生の理由にも謎が多い本作。異世界転生ものではその辺の理由はあいまいなまま舞台装置の一種であることも多いですが、本作ではしっかりした設定がありそうです。
転生時に主人公にチートスキルを授けた謎の老人・アレウスのうさんくささもすごい。一見すると神様のようですが、口調や表情はとてもそうは見えません。
まだ2巻しか出ていないのもあって、先が気になるような伏線も多いです。このあたりの謎がいつ解き明かされていくかについても要注目!
最新3巻の展開は?【ニセモノの錬金術師感想レビュー】
2巻のラストで衝撃展開を迎えただけに、読者も発売を待望していたであろう3巻。どうやら本格的にバトルシーンもありそうなので、楽しみですね!
■『ニセモノの錬金術師』3巻あらすじ
鏡の世界で、異能力バトル!!
ギフテッドの力を欲するダークナイトにより、鏡の世界に連れ込まれたパラケルスス。
『天地万物のレシピ』の力によって窮地を脱したと思われたが――!?
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