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『未解決事件は終わらせないといけないから』レビュー:記憶のピースを並べ替え、事件解決へ導く推理アドベンチャーが奥深くて面白い【電撃インディー#781】

文:電撃オンライン

公開日時:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はSomiが開発するNintendo Switch用アドベンチャーゲーム『未解決事件は終わらせないといけないから』をレビューします。

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 なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

かつて担当した少女誘拐の未解決事件の真実は?【未解決事件は終わらせないといけないから】

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 本作は、主人公の思い出す過去の事件の証言を証言者や順番を入れ替えることで未解決事件の真相を解き明かすという、テキストスタイルのアドベンチャーゲームです。

 主人公は退職した元警察官の清崎蒼。退職して12年が経ったある日、若い警官が彼女を訪ねて来て、清崎が解決できなかった事件の協力を要請します。

 最初に思い出せるのは、誘拐された少女・犀華の父、犀華の母、そして自首をした犯人の言葉のみ。しかも犀華の父は、娘の事件は未解決のままにして欲しいと懇願するものでした。

 さらに、証言の中には犯人による衝撃的な内容も……。

 娘を探す母、探さないでくれと願う父……。推理もの好きにはたまらない内容に、筆者も事件解決への意欲が湧いてきます。

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▲言葉が重要な作品ですが、ローカライズが丁寧で、日本語翻訳にまったく違和感がありません。
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▲モノトーンのグラフィック、静かな音楽が思考の邪魔をせず、物語の雰囲気にとてもマッチしています。

次々浮かび上がる記憶のピースから、違和感をたどって真実を突き止めよう


 記憶のピースはチャットのように表示され、発言の中に次の記憶への手がかりとなるキーワードが水色のハッシュタグで表示されます。そのキーワードを選んでボタンを押すと、新たな記憶のピースへと繋がり、物語が展開して行きます。

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▲1つのピースのなかに、複数のキーワードが含まれている事も。
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▲新しいピースも複数ある事もあり迷いますが、最終的には全部解放するので順番はお好みで。

 新たなピースを読み進めると、時折ぬぐい切れない違和感を感じる証言が増えていきます。皆が“娘”、“犀華ちゃん”と呼んでいたのに“孫娘”という発言が含まれるなどあれば、「3人の中の誰でもない発言ではないのか?」、「それとも過去と現在が入り混じっているのか?」といったことを考えます。そうなると、今度は人物欄が増える@赤文字のワードが登場。新たに振り分けて別視点の発言にすることにより、物語がさらに広がっていきます。

 メインとなる発言者と順番の入れ替えもですが、ロックされたピース等もあり、問われる日付を入力したり、動機を示す発言を提示したりと、読むだけにならない為プレイを飽きさせません。

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▲画像から答えをチョイスする事もあります。

 次々に増える関係者と記憶のピース、その度に生じる違和感、全員が嘘をついているという不信感など、かみ合わない発言に誰もが怪しくなってきます。

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▲事件と無関係に見える文房具屋のおじいちゃんまでが嘘をついてしまった理由とは?

記憶のパズルピースがはまった時の快感がスゴイ!


 この発言、ずっとこの人だと思っていたけれど、もしかして別の人の発言では? もしや時系列が違うのでは? と思考錯誤して、並べ替えた発言がカチリとかみ合った時は脳が快感を覚えます!

 序盤は増え続ける情報に翻弄されることもありますが、その分終盤は怒涛の収束を見せます。じっくり情報と向き合い、解決へと導く自分はさながら安楽椅子探偵気分。バラバラになったページを1冊にまとめあげたような達成感を味わえました。

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 エンディングも2種類あり、1回のプレイデータでどちらも見ることができるのも嬉しいポイント。

 推理小説で犯人がわかった後に、また冒頭から読み返したくなることってありますよね。綺麗に並べたクリアデータを読み返すのも良いですが、2週目プレイもオススメです。

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