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『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』メディア向け発表会レポ。『ダンガンロンパ』小高和剛氏の新作はプレイヤーを“作品でぶん殴る”さらに尖った作品に【TGS2024】

文:セスタス原川

公開日時:

 9月26日~29日に千葉県・幕張メッセで開催中の“東京ゲームショウ2024(TGS2024)にて、2025年4月24日発売予定のNintendo Switch/Steam用ソフト『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』のメディア向け発表会が行われました。

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■HUNDRED LINE -最終防衛学園-

学園と大切なものために敵に立ち向かう物語

 発表会にはディレクション&シナリオを担当するトゥーキョーゲームスの小高和剛さんと、プロデューサーのアニプレックス・稲生舜太郎さんが登壇し、冒頭エピソードとゲームの序盤をプレイしながら、世界観やゲームシステム解説を行いました。

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▲左から稲生舜太郎さん、小高和剛さん
 本作は『ダンガンロンパ』シリーズで知られるトゥーキョーゲームスによる初の自社IP作品として、アニプレックスとの協力でリリースされます。シナリオは、小高和剛氏と打越鋼太郎氏のタッグにて展開されます。

 発表会では、ゲーム冒頭に流れるアニメーションシーンを抜粋して試聴しながら世界観とストーリーの紹介が行われました。

 人々は数世代に渡ってシェルターに囲われた“東京団地”で生活しており、外の世界が見えない世界に閉じこもりながらも平穏に暮らしていました。ところが、そこに正体不明の敵“侵校生(しんこうせい)” と呼ばれる侵略者が襲来。建物を破壊し、人々を襲い始めます。

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 主人公・澄野拓海は幼馴染を守るために、SIREIという謎の生物(?)が持ってきた刀を心臓に突き立てて変身。戦う力を手にします。

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▲SIREIの担当声優は大塚芳忠さん。ゆるキャラのような見た目と大塚さんの声のギャップがインパクト抜群です。
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 幼馴染を助けた喜びも束の間、その後に拓海は“最終防衛学園”という“東京団地”の外にある施設に強制転移されてしまいます。そこには同じ境遇の学生たちがおり、襲い来る正体不明の敵“侵校生”から学園を100日間守り抜くという命令を受けるのでした。

 困惑しながらも家族や幼馴染が危険に晒されると言われた拓海は敵と戦うこと決意。拓海たちは学園を守り抜きつつ、生き残ることができるのか? なぜ人々は“東京団地”で暮らしているのか? “侵校生”とは? 緊迫する展開の中、秘められた謎が明らかになっていきます。

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 冒頭のアニメーションはかなりの長時間のものとなっており、TVアニメ1話分に匹敵するようなボリューム。その後各所でもアニメーションが用意されており、ゲームをプレイしているのにアニメを見ていると錯覚してしまうような見ごたえの印象を受けました。

 崩壊する街の表現、“侵校生”の不気味さ、変身シーンのインパクトなど、場面ごとのプレイヤーに伝えるべき部分は細部までこだわって描かれており、どのシーンも引き込まれる魅力のある映像となっていました。お話によると、映像はジェットスタジオの協力の元、一度完成しかけたものを作り直すような過程もあり、かなりこだわりを持って作ったとのことでした。

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 今回の実機映像で紹介されたのは3名のキャラクター。複雑な家庭環境で育ったデスゲーム好きの地雷系少女・飴宮怠美。

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 いきなり学校に転移して困惑する皆の中で1人だけ冷静であり、とても冷酷な性格。そして何故か戦闘経験のある雫原比留子。

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 すぐに手が出る凶暴な一面と、老人と女性には手を出さないという昭和の漢らしいヤンキーの厄師寺猛丸。

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 他にもキャラクターが登場。現段階ではTGSのブースには15人のキャラクターパネルが展示されており、次第にバトルに参加できるようになります。キャスト陣の発表などは今後改めて行われるようで、中にはトゥーキョーゲームスお馴染みの声優陣も多数登場するとのこと。

 彼らが変身するとクラスアーマーとクラスウエポンと呼ばれるものを装備した姿に。バトル中はそれぞれの特徴に応じた武器で異なる攻撃方法で戦います。

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バトルはターン制&マス目バトルのシミュレーションRPG

 本作はシミュレーションRPGを採用しており、バトルはターン制、マスで区切られた戦場でキャラクターを動かして攻撃を相手にヒットさせるというシステムです。

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 相手を全滅させたら勝利。こちらの陣地奥にあるバリア発生機を壊されたら敗北というタワーディフェンスの要素を含んでいます。

 敵はフィールドに大量に出現する一方で、キャラクターは広範囲を一掃したり、一撃が強力なスキルをもっていたりするので、それらを駆使して敵を薙ぎ払っていきます。

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 ターンはAPを使い切ることで終了。溜まっていくボルテージを消費すれば、戦闘中にステータスアップをかけたり、強力な必殺技を使用したりできます。必殺技は強力ですが、広範囲の代わりに次ターンまで行動不能となってしまいます。どのスキルとどの場所に撃つのかの選択がプレイヤーの技量が求められる部分です。

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 また、キャラクターが瀕死になるとさらに強力な必殺技を使えますが、そのキャラクターは戦闘不能状態になってしまいます。この能力の影響もあってか、回復スキルを持つキャラクターはかなり絞った設計になっています。

 登場する敵は“ダルマー”という最も弱い歩兵とそれ以上のネームドの敵がいます。“ダルマー”は数が多い反面倒しやすいですが、一部で現れるネームドエネミーはやや強め。しかし、倒すと追加のAPを獲得してこちらが連続行動できるというメリットもあります。

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 そしてボスは人型から巨大な怪物に変身する力。拓海と同じ“我駆力”を持つ人間が敵として現れます。なぜ人間が敵として現れるのかなど、バトルの各所にストーリーに関する謎が秘められています。

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 シミュレーションRPGでイメージしたゲームデザインは雑魚敵を気持ち良く一気に倒す無双系のようなイメージとのこと。また、このシミュレーション部分の難易度は比較的易しく設定されており、ストーリーを中心にプレイしたい人でも苦労しないような配慮をしているとのこと。

 ゲームオーバーをすると、ほぼ無敵状態で再チャレンジできる機能もあり、難易度の問題で詰んでしまうことはほぼないと言えるでしょう。

ADVパートの立ち絵は100パターン以上

 ADVパートは場面ごとの背景をバックに多数の立ち絵を使って表現しており、重要なシーンはフルボイスとなっています。キャラクターの立ち絵の表情差分は100を越える種類があり、シーンに応じて異なる表情を楽しめます。

 BGMも数多く用意してあり、場面ごとにときにはポップ調、ときにはホラー調な曲が流れます。BGMと立ち絵に関しては、小高氏がADVパートの組み立てと並行して「ここでこんな立ち絵・曲が欲しい」と追加発注をするという工程を踏んだので、その場にピッタリと合う立ち絵と曲をピンポイントで用意できたとのことです。

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 “侵校生”が来ていないタイミングでは横スクロールアクションで後者を自由に移動して、他の仲間と交流をしたり、キャラクターの強化をしたりできます。本作にも育成要素が用意されており、戦闘中のボルテージとは別に戦闘以外の状態でキャラクターを強化する2軸の強化があるそうです。

 ただ、こちらもストーリー重視の人に配慮して自由行動の部分は飛ばそうと思えば飛ばせるとのこと。レベリングを行わなければ先に進めないなど、ストーリーの障害にならないデザインになっています。

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“引くほど気合いを入れた”初の自社IP作品は手応えアリ

 発表会の最後にはメディア向けに質疑応答がありましたので、その模様をお届けします。

――難易度は易しめの設計とのことですが、逆にうまいプレイヤーへの報酬などはあるのでしょうか?

小高D
試合後には内容に応じてBPというポイントがもらえて、それが成長要素に繋がります。他にもギャラリーの画像集めなど、腕が求められるやり込み要素も用意しています。

――ゲーム全体のボリューム感はどのくらいになるのでしょうか?

稲生P
ボリュームは……現時点では“すごい”とだけお伝えしておきます。

小高D
あまり詳細にはお伝えできませんが、それは足りないと思われてしまうとかではなく、逆に引いてしまう人もいるほどのボリュームなのでお伝えしづらいという理由です。

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――本作でシミュレーションRPGの要素を取り入れた理由は?

小高D
物語を考えた際にテーマに戦争があり、それに合わせてシミュレーションRPGを実装しました。シミュレーションRPGが作りたくて本作を生み出したというより、最初に用意したシナリオに敵が攻めてくるタイミングやどんな戦いになるのか書いてあって、その演出の一環として、楽しみつつプレイできるシミュレーションRPGに当てはめました。

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――成長・育成要素はゲームを進めるにおいてどのくらい重要なのでしょうか?

小高D
あくまで成長要素は、予め育てておけばゲームを楽に進められるくらいの認識で問題ありません。全ての要素を成長に繋げるとストーリーを楽しみたい人の負担になりバランスが崩壊してしまいます。そこで、戦闘中にバフという形で強化要素を用意することで、本編外で行う育成要素の比重を下げています。

――ボルテージは100%以上も溜まりますが、100%以上一気に消費する場合も出てくるのでしょうか。

小高D
ゲームを進めると300%一気に使用するボムのようなものも登場します。しかし、上限は300なので基本は溢れないように使いながら戦う方法がメインになります。

――ストーリー上の選択肢はゲームのシナリオにどのように影響するのでしょうか。

小高D
マルチエンディングを採用してえいるのでエンディングにも影響しますし、誰が生き残り死ぬのかにも関わってきます。『ダンガンロンパ』の頃に「死ぬ順番が変わったら面白そう」「生き残るキャラクターが変わったら面白そう」という意見もあり、そちらではゲームの都合上難しかった部分なので、本作は新たに挑戦した部分になります。

稲生P
マルチエンディングはこれまで小高和剛さんがやってこなかった部分ですが、打越鋼太郎が得意としている分野なので、2人がタッグを組むことでみなさんが期待するようなこれまでにないストーリーが実現できたと思います。

――キャラクターとの交流要素なのはありますか?

小高D
自由行動の時間にキャラクターと小話をすることでポイントがもらえて、それを使って成長するなどができます。『ダンガンロンパ』でもあった好感度イベントもあります。進行に必須な要素ではありませんが、やり込み要素の1つとして用意しています。

――チャプターセレクト機能などは予定されていますか。

小高D
その辺りの機能は必須だと思っているので、打越がディレクションをしつつチャプターセレクト機能は用意しています。

――最後にメッセージをお願いします。

小高D
本作はトゥーキョーゲームスの初の自社IP作品ということで、気合いを入れて作りました。逆に、気合いが入りすぎて大変なゲームになってしまいまして、やってみると「よくこんなの作ったな……」と思っていただけるような内容です。

 あまりここをアピールするとお客さんが引いてしまうかと思いますが、プレイしたらみなさん驚くと思います。昨今はコンプライアンスの厳しい面もありますが、本作は攻めた刺激的な部分を多数用意しています。

 間もなくマスターアップするという状態で、自分としても手ごたえを感じる出来になっています。プレイしてくれた人を作品でぶん殴るような作品になったと思います。

稲生P
今回は我々アニプレックスが参加することになり疑念をいだく方もいるかと思いますが、小高さんの仰る通り、気合いの入った集大成とも言える作品に仕上がっていることを間近で感じています。ここはプレイしていただければ伝わる部分だと思います。

 我々としては、そのクリエイティブを純度の高い状態でゲームに落とし込めるかという部分を重視しており、コンプライアンスに関しても会社から「大丈夫なのこれ……?」と言われるような攻めた内容になっています。そこも含めて尖った部分があり、アニプレックスが関わって丸くなってしまったとかは思われないような作品です。

 リリースまでまだ時間はあるので最後までブラッシュアップを続けていくので、引き続き注目していただければと思います。

■HUNDRED LINE -最終防衛学園-

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