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ミステリー+心温まる光の百合物語『リルナツ』レビュー:過去から未来、嘘と真実、喪失と再生…すべてがつながる瞬間、プレイヤーの感情が揺さぶられる傑作【リルヤとナツカの純白な嘘】

文:sexy隊長

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 2024年7月25日に発売された、ブシロードとフロントウイングが贈るビジュアルノベルゲーム『リルヤとナツカの純白な嘘』。本作は盲目の画家リルヤと、元気いっぱいの助手ナツカが、依頼者に秘められた謎を解き明かす心温まるミステリー作品です。

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 2024年12月21日時点でSteamやDMM GAMESなどでセールが実施中。セールでお得に購入できる今こそ、より多くの方に『リルナツ』を遊んでほしい! そんな思いを込めて、このレビュー記事では極力ネタバレなしで『リルヤとナツカの純白な嘘』の魅力をお伝えしていきます。

『リルヤとナツカの純白な嘘』とは


 『euphoria』『夏ノ鎖』など、ユーザーの心をえぐり深く突き刺さる物語に定評がある浅生詠氏がシナリオを担当し、『のうりん』『ファイアーエムブレムヒーローズ』などでお馴染み、緻密さや質感の柔らかさなど奥深い表現を得意とするイラストレーター切符氏がイラストを担当。

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 ”浅生詠”×”切符”が初めてタッグを組んだ意欲作は、瑞々しくも繊細な少女達の物語となっています!

あらすじ


 いつだって、あなたという光を通して世界は形を変え、あなたの抱く花で、世界は塗り替わる。

 ネットを密やかに流れる噂がある。正体不明の天才画家が、依頼者のためだけに素晴らしい絵を描いてくれる。ただしその画家は気まぐれで偏屈、権力や金では決して動かず、気に入った依頼だけを受けるのだという。

 そんな謎めいた基準で選ばれた依頼者の前に現れるのは、長い銀髪と宝石のような瞳を持つ、冬の妖精のような美少女画家――リルヤとリルヤの家に住み込みで働く元気いっぱいの助手の少女――夏夏(なつか)。

 しかし、画家である少女の目は光を映さず、車椅子に乗っていた。

「大丈夫です。わたしがリルヤさんの新しい目と足になりますから!」

 夏夏は、依頼者とリルヤのために奔走し、本能と直感でリルヤの求めるインスピレーションの源泉――暗闇を切り裂き、世界を新たに照らす『光』を語る。

「なんかわかんないんですけど、そんな気がしたんです!」
「我が鳩は、橄欖(かんらん)の葉を携えり。あとは――私の仕事だ」

 追憶の青、怪物の緑、殉教の赤――リルヤは、夏夏から得た『光』を元に、依頼者が望む以上の絵を描き出す。

「お前の目を通して見る世界は、私の目で見ていた世界よりも美しい」

 これは過去に痛みを抱く少女たちが、新しい未来を得て歩き出すまでの、喪失と再生の物語。

OPムービー / やなぎなぎ「明日の話」

物語の奥深さと感情の機微【リルヤとナツカの純白な嘘】


 『リルヤとナツカの純白な嘘』は、感情の深さと複雑なキャラクター描写でプレイヤーを引き込むビジュアルノベル作品になります。

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 本作は、盲目の美少女画家・リルヤと元気いっぱいな助手の少女・夏夏(ナツカ)という2人の少女を中心に展開する、友情や愛情、トラウマ、裏切り、そして心の葛藤を描いた物語になっています。

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 物語は、章ごとに異なる依頼人が現れ、聞き取りや現地に出向くなどして、依頼人との絆を深めつつ情報を集めていきます。同時にその裏側に隠された“嘘”に迫り、少しずつ明らかになる依頼人が抱えるトラウマや秘密に驚かされ、心が揺さぶられます。

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 強い絆で結ばれているリルヤとナツカですが、この絆は純粋で素敵だなぁ……と、思っていたら物語が進むにつれ、こちらも徐々に明るみになる“嘘”によって徐々に揺らいでいくのですが……ここの部分が本当に良い。ネタバレになるので詳しくは語れませんが、2人が自分自身やお互いの関係性にどう向き合うかを試すテーマとして描かれます。

 予測不可能な展開と感情的になってしまうクライマックスは必見です。ナツカの内面が少しずつ露わになり、彼女たちの過去や悩みを知ることでストーリーは大きく展開していきます。

 二人の関係は緊張感を保ちながら進行し、その緊張感がエンディングに向かうにつれてさらに増していくため、彼女たちの視点を通じて、真実と嘘の狭間で揺れ動く心情を追体験できます!

地の文と選択肢がない会話のみの描写が…エモい!【リルヤとナツカの純白な嘘】

 本作は、ビジュアルノベル作品には珍しく「地の文」がほとんどなく、会話のみで構成されているのが特徴です。説明描写すらセリフで書かなければならないので、通常なら説明臭くなるか、野暮ったくなりますが、本作はナツカが盲目のリルヤのために説明するというスタイルを確立させ、より自然に表現されています。

 そのため、恥ずかしながら筆者はストーリーの後半まで地の文がないことに気づきませんでした……。

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 また、本作の特徴の一つに「選択肢」が登場しないというのがあります。そのため、クリアまで一本道なの? 退屈しない? と思う方もいるかも知れませんが、あくまでも主人公とメインのストーリーはリルヤとナツカの2人。この2人がどうなっていくのかを見届けたい! という感情が強く、私はこの物語に干渉しなくていいな。と感じました。

 くわえて地の文がほぼないため、オートモードでプレイすると純粋な会話劇のWEBラジオを聞いているかのような感覚で楽しめるので、この楽しみ方もオススメです。

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感情を引き立てる魅力的なビジュアルと音楽【リルヤとナツカの純白な嘘】

 『リルヤとナツカの純白な嘘』は、ビジュアルノベルとしての完成度も非常に高く、その美麗なビジュアルとサウンドデザインが物語の感情的な要素を強調しています。

 特に、キャラクターデザインは細部にまでこだわり抜かれており、リルヤとナツカの表情や仕草が感情を豊かに表現している点が際立っています。彼女たちの些細な表情の変化や目の動きなどが繊細に描かれており、表情の裏に隠された感情をテキストだけではなく、ビジュアルからも読み取ることができるのがなかなか斬新でした。

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 背景アートも美しく、物語の舞台となる学校や町の風景が丁寧に描かれています。単なる背景として機能するだけでなく、キャラクターたちの心情を反映したかのような雰囲気作りになっているのが魅力的です。特に、訪れることがある特定のシーンでは、風景や光の加減が感情的なシーンを引き立て、プレイヤーの没入感をさらに高めてくれました。

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 音楽もまた、このゲームの強力な要素の一つです。感情的なシーンでは、本作のBGMを全曲手掛ける安瀬聖氏の静かで美しいピアノの旋律が流れ、キャラクターたちの心の動きをサポートします。楽曲はシーンごとに変化し、緊張感が高まる場面では不安を煽るような音が加わり、リラックスできるシーンでは柔らかいメロディが流れます。この音楽の使い分けが、物語の起伏をさらに強く感じさせ、感情移入を促進してくれます。

総括:心に残る繊細なビジュアルノベル体験【リルヤとナツカの純白な嘘】


 本作は、ビジュアルノベルファンにとって間違いなく一度は体験してほしい作品です。物語の深さ、キャラクターの成長、各章ごとに様々な感情を揺さぶる体験が味わえます。

 ストーリーは作品内で終わる単なる表面的なドラマではなく、本作をプレイする方々の内面に問いかけるような強いメッセージ性を感じられ、考えさせられることが多々ありました。

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 上記の通り、ビジュアルと音楽のクオリティも極めて高く、感情を引き立てるための演出が非常に洗練されています。キャラクターたちの表情や動き、シーンに合ったBGMの使い方など、視覚と聴覚の両面から物語に没入させる工夫が感じられます。

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 総じて、『リルヤとナツカの純白な嘘』は、ストーリーの奥深さとプレイヤーの感情を巧みに揺さぶる作品であり、ビジュアルノベルというジャンルの中でも一際輝く作品だと感じました。また百合やガールズラブが好きな方には絶対にプレイしてほしいです!

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