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バレンタインは『鳥人戦隊ジェットマン』伝説の最終回放送日。ブラックコンドル(凱)が●され、空が目に染みる“はばたけ!鳥人よ”を君は見たか?(超ネタバレ注意)【メモリの無駄づかい】

文:うま

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 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります!

 季節はもうすぐバレンタインデーということで、バレンタインデーにまつわる特撮エピソードを紹介していきます。

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▲筆者所有の“S.H.Figuartsブラックコンドル”。

 今回は、特撮ドラマ『鳥人戦隊ジェットマン』より、51話(最終回)“はばたけ!鳥人よ”(1992年2月14日放送)について紹介します。


※本記事には『鳥人戦隊ジェットマン』の大きなネタバレになる記述が含まれますので、ご注意ください。

『鳥人戦隊ジェットマン』とは


 『鳥人戦隊ジェットマン』は、1991年2月15日から1992年2月14日まで放送された、“スーパー戦隊”シリーズの作品の1つです。バードニックウェーブを浴びて超人的な力を手に入れた5人の戦士と、次元戦団バイラムとの戦いを描いた物語です。

 本作は、それまでのスーパー戦隊とは一線を画した設定や演出が多く、当時の子どもたちのみならず、大人たちにもかなり衝撃を与えた作品だったのではないでしょうか?

 まずジェットマンに変身する5人が、非常に個性的。もともと戦士だったのは、地球防衛隊スカイフォースの隊員だったレッドホークの天堂竜のみ。残りの4人はバイラムの襲撃によって、たまたまバードニックウェーブを浴びた民間人で、女子高生やお嬢様だったり……。

 なかでも特に異彩を放っていたのは、やはりブラックコンドルの結城凱でしょう。一匹狼のアウトローで酒とタバコが大好きという、これまでのスーパー戦隊ではなかなか見られないキャラでした。

 ストーリーでも、ジェットマンのチーム内で恋愛模様が描かれるうえ、三角関係でもめ事まで起こってしまうなど、衝撃的でした。ちなみにこの恋愛模様は、敵であるバイラムにすら巻き込んでいるというから、さらに驚きです。

 折しもトレンディドラマが流行っていた時代で、『海賊戦隊ゴーカイジャー』のエンディングテーマ『スーパー戦隊 ヒーローゲッター』でも“ジェットマンはトレンディ”と歌われています。

■鳥人戦隊ジェットマン 第01話[公式]

ブラックコンドルの身に衝撃的な出来事が襲いかかる、伝説の最終回(ネタバレあり)【『鳥人戦隊ジェットマン』51話“はばたけ!鳥人よ”】


 バレンタインデーやチョコにまつわるエピソードではありませんが、バレンタインデーの2月14日で筆者が最も忘れられないのは『鳥人戦隊ジェットマン』の最終回、“はばたけ!鳥人よ”です!

 スーパー戦隊シリーズと言えば、例年2月に始まり2月に終わることが多いのですが、『鳥人戦隊ジェットマン』は2月14日が最終回だったのです。“戦うトレンディドラマ”と言われる本作の最終回が、バレンタインデーだったというのも何か縁を感じますね。

 しかもその最終回の内容が内容だけに、よりいっそう思い出深いバレンタインデーとなりました。

※以下の本文では、本格的に『鳥人戦隊ジェットマン』のネタバレになる記述が含まれますので、ご注意ください。

 本作の最終回は、バイラムとの戦いが番組前半のコマーシャル前に決着します。コマーシャルが明けると時が流れ、バイラムを倒してから3年後の世界が舞台となり、戦士たちのその後が描かれます。

 イエローオウルの大石雷太は幼馴染のサッちゃんと農業を営み、ブルースワローの早坂アコはアイドルになっていました。そして次のシーンで、なんとホワイトスワンの鹿鳴館香の結婚式が始まるのだから驚きです。しかもその相手が、竜でさらに驚きました。

 しかしその式場に凱の姿はありません。どうしたのかと思ったら、遅刻して結婚式のために花を買っていました。このときの「今日はめでたい日なんだ。親友が結婚する」って台詞で、これまでの戦いを通じて結ばれた強い絆を感じて、グッときたのを覚えています。45話の“勝利のホットミルク”とかもよかったですよね。

 そんな凱ですが、花屋を出たところでひったくりの現場に遭遇。犯人を追いかけて捕まえたのですが、犯人が懐から取り出したナイフで、腹部を刺されてしまい……。

 大怪我を負いながらも、結婚式に向かう凱。竜に顔色の悪さを心配されるも、「例によって二日酔いさ」とごまかして、めでたい日に水を差さないようにします。早く病院に行って欲しい気持ちで見ていましたが、今思うと、もう間に合わないと悟った凱なりの優しさだったかなと思います。

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▲「空が目に沁みやがる……。綺麗な空だ」の台詞は、今でも頭から離れません。このあとの竜の台詞がまた素敵なんです。

 その後記念写真を撮ろうとするみんなを、ベンチに座ったままタバコを片手に見守る凱は、笑顔を見せながら左手を上げますが、やがてその瞳を閉じてしまいます。生死は明らかにされませんでしたが、このシーンを見た時の衝撃は、今でもはっきりと覚えています。

 ここからエンディングまでの流れも感動的で、最終回の監督を務めた雨宮慶太さんによると、最終回でエンディングテーマの『こころはタマゴ』のイントロを使おうと決めていたとか。そのイントロに負けない絵を撮るため、竜にリエの姿を見せたとのことです。

 そしてラストカットが、アイキャッチのセルフオマージュになっているのがエモすぎます。ジェットマンの5人は個性が強くてバラバラで、アイキャッチでも全員違う方向を向いていました。しかしラストカットで、バラバラの構図から全員同じ方向を向く演出になっていて、5人の心が1つになったんだな、と感動しました。

 余談ですが、この最終回は意外な方々がカメオ出演されています。アコのマネージャー役として出演されているのが、本作の監督の1人東條昭平さん。竜と香の結婚式の神父さん役として、レッドホークなどの変身後を演じていた新堀和男さん。そしてひったくり役としてブラックコンドルの変身後を演じていた大藤直樹さんが出演されているので、こちらもチェックです。

 バレンタインに放送された、衝撃的すぎる最終回。当時見たという人はぜひ東映特撮ファンクラブ(TTFC)などで見返してみることをおすすめします。まだ見たことがないという方も、ぜひ1話からご覧になってください!

 そして最終回を見たら、『海賊戦隊ゴーカイジャー』28話“翼は永遠に”と、『機界戦隊ゼンカイジャー』の第18カイ“いのち短し、恋せよゼンカイ!”を見ることをおすすめします。





うま:かつては、とあるメーカーでゲームを作っていたり、デパートの屋上で特撮ヒーローの中の人だったりしたライター。


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