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新作FPS『FragPunk』は初心者から上級者まで、誰でも遊べるカジュアルな対戦ゲームを目指す。“新感覚ヒーローシューター”へのこだわりを開発者に聞く

文:電撃オンライン

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 NetEase Gamesのオンラインゲーム部門による、新作FPS『FragPunk』。電撃オンラインでは、3月6日に正式リリースを迎える本作の開発陣へのインタビューを行いました。

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 インタビューを受けていただいたのが、アートディレクターを務めるLI Yiming氏(以下、敬称略)。そしてクリエイティブディレクターを務めるChang Xin氏(以下、敬称略)の2人です。

※別の記事では、『FragPunk』の先行プレイレポートをまとているので、あわせてご覧ください。

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アートディレクターのLI Yiming氏(写真中央)

軸としたのは“ポップで明るく”。新感覚ヒーローシューターが目指す路線


――非常に派手な色使いが特徴的だなと感じました。グラフィティやストリートカルチャーがベースにありそうな本作ですが、デザインをどう落とし込んでいるのでしょうか

LI:我々スタッフは多くの対戦FPSをプレイしてきましたが、このジャンルはシリアスなタイトルが多く、初心者の方がとっつきにくい側面があると感じていました。そのため、ゲーム全体の雰囲気をポップで明るくすることを軸に制作しています。

 全体的な色味は派手でストリートスタイルが目立ちますが、タイトルにもあるようなパンクやトラディショナルな要素など、さまざまなアートスタイルや美学を多く取り入れているので、幅広い方々に楽しんでいただけるよう注力しています。

 また、それらのアートスタイルを頻繁に使うのではなく、UIやアイコンなどの要所要所で使うことで、皆さんへ刺激とインパクトを残すことも目的としています。

――このスタイリッシュな路線は、具体的なターゲットがいてのことでしょうか

LI:アバウトな若い層にもウケてほしい、という狙いは持っています。おしゃれでポップなデザインにすることで、誰もが触りやすいビジュアルにしました。

――キャラクターの作り方について。どのような手順でキャラクターを制作していたのでしょうか。また、どのキャラが一番最初にできましたか。

LI:キャラクターのぼんやりとしたイメージがあって、それを元に作ることもありました。ゲームとしての遊び方が先に思い付いて、それをモデルにキャラクターを作ることもありました。

 デザインに関してはほかのチームから共有されるストーリー・性格を見て、この要素を取り入れよう、こういうイメージカラーを採用しよう、髪型はこうだろう、などと議論しながら作っているので、結果としてキャラクター自身のイメージに沿ったカラーや雰囲気が一目で分かるようにしています。

 ちなみに、最初にできたのはブローカーです。本作は短時間でスリルある戦闘、刺激的な戦闘を目指しているので、ザ・破壊力といったイメージから彼が作られました。

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――チームの中で、このキャラが人気出そうだなと思っているのは?

LI:アクソンはザ・パンクがデザインベースにあり、本作のイメージとも合致するので、代表するような存在になってほしいという期待があります。

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 さまざまなキャラがいるなかで、ソナーという非人類の存在もいます。そういった面でも、いろんな方面の方々に愛されるキャラを作りたいと思っています。

――ストーリーやさまざまなコンテンツで、キャラの深堀りをしていくと伺いました。いつ頃ストーリーが出るのでしょうか?

LI:実装している各キャラのストーリー自体は完成していますが、それらはゲーム内の色々なところで露出させていければと考えています。

 シーズンを更新する度に公開するトレーラーや新しいマップの説明文、メインストーリーとしての読み物ではなく、フレーバーとしてあらゆる部分でキャラクターの個性や背景が見られるようにしていくつもりです。

――シーズンごとにストーリーが進行していくようなイメージでしょうか?

LI:その通りです! キャラクターのバックボーンを小出しにしていくので、最新情報は常にチェックしてもらえたらうれしいです。

――デザインや世界観の構築するにあたり、影響された作品はあるのでしょうか?

LI:具体的にデザインの要素として取り入れている作品はありません。方向性の話ですと、たとえば『スパイダーマン』作品におけるパラレルワールドの設定が面白いなと思いました。

 パラレルワールドそれぞれの世界で実写だったり、アニメ調だったり、とアートデザインが違うし、それらをミックスしている世界観……という点では、発想元として取り入れています。

――パラレルワールドから集まったキャラたちが戦う内容とのことですが、ゲームの根幹を成すシャードカードとは、そもそもどんなものなのでしょうか?

LI:まず本作のゲームルールは、相手チームに爆弾を仕掛けるデモリッションタイプなのですが、我々はコンバーターと呼んでいます。このコンバーターが周囲のグルナイトという物質を継続的に吸収する特徴を持ち、さらにこのコンバーターがシャードカードを生成しているという設定です。

 グルナイトというのは周囲の物理ルールを変える超常的な存在で、この力を封印しているのがシャードカードになります。カードを破ることでグルナイト物質が放出され、周囲の環境を変えてしまうため、ゲームルール自体に影響が及んだり、時が戻ったりとさまざまな影響を与えているのです。

 つまり彼らは、このグルナイトを収集するために戦っているわけです。プレイアブルキャラクターたちはランサーと呼ばれますが、このランサー自体もグルナイトに影響された特殊な存在となっています。

――さまざまな世界が入り乱れている設定ですが、オリジナリティのある銃器ではなく、なぜ実銃をモデルにしたのでしょう?

LI:まずはパッと見て、どういう武器化を判別できる設計にしています。ですが、今後はインパクトのある見た目の武器の実装も予定しています。

 パラレルワールドと同じ世界観を持つスキン、特定のパラレルワールドの事件を元にした武器など、さまざまなタイミングに応じて皆さんにお見せしていきます。なお、現在実装している武器はデフォルトの武器になります。

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FPS×カードという組み合わせはどこから生まれた?

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クリエイティブディレクターのChang Xin氏

――まずは、FPSとカードという独自の組み合わせの発想をお聞かせください。

Chang:これは私がFPSゲーマーである以上にカードゲーマーである、という部分も影響しています。スポーツも好きなので、競技性の高い部分や、試合のプロセスを変える特殊なルールからインスパイアされ、FPSでも新しいランダムな要素を持つものを入れたく思い、考えました。FPS好きとカードゲーム好きを融合したい、と思ったのが発端になります。

 対戦FPSはより競技性の高いゲームジャンルだからこそ、バランス調整が難しくもあります。その流れで、対戦FPSにおけるラウンドごとに遊び方を変えたいという思いがありました。

 チームにもFPS好きが多く、当然ながらゲームにも精通しています。シャードカードに頭部を大きくさせる“ビッグヘッド”というものがありましたが、これ自体もある作品からインスパイアされています。二頭身のイメージを思いつきで入れました。

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――シャードカードはゲーム初めてすぐ150枚使えるのでしょうか。もしかしてカードパックを引いていくような形式ですか?

Chang:TCGのような、カードパックを引いていくシステムではありません。

 カード自体は最初からすぐ使えるのですが、ゲームを始めて間もない方がいきなり150枚のカードを目にするとパニックになってしまうので、レベルアップに応じてカードが解禁されていくシステムを採用しています。7~8時間ですべてのカードが解禁される想定です。

――レベルアップで解放されていく場合、高レベルの人とマッチングした場合はどうなるのでしょう?

Chang:対戦時にシャードカードを配るシステムがやや複雑なのですが、まず参加者10人の持つすべてシャードカードから8枚を分配します。このとき、各人が所持しているシャードカードに応じて分配率が決まる方式です。ゲームを始めた全員が最初に所持している共通のカードは出現率が高くなりますが、レベルアップして解禁した高レベルのカードは出現しにくい傾向になるわけです。

 ですが、このシステムにより高レベルの人だけが持つカードが選出されることもあるので、低レベルのプレイヤーでもその恩恵を受けることができます。高レベルだから強力なカードが常に出るのではなく、あくまで参加者全体の所持カードから8枚のカードが選ばれるので、フェアな状態は変わらないと考えています。

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――シャードカードは参加しているプレイヤーの持つカードから選ばれる、ということは、デッキビルドの要素もあるのでしょうか?

Chang:今はチームワークが大事で、皆が同じ環境でさまざまなカードの効果を駆使して対戦する楽しみを体験していただくのが先だなと思っています。今後は、より個人の活躍が目立つモードでデッキビルドの要素の追加を視野に入れています。

――ラウンドが進むにつれて、レアなカードが出現しやすくなっているのでしょうか?

Chang:強いカードが高いコストを持っているので、後半になるにつれて高コストのシャードカードが出現しやすくなる仕組みがあります。

 中でもランキングモードは最大11試合でラウンド数が多くなるので、必然的に強いカードが当たりやすくなるように調整しています。

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――初期から150枚のシャードカードがありますが、アップデートでどれくらい増やしていくのでしょうか?

Chang:本タイトルはシーズン制を採用しています。シーズン自体が4ヶ月で、前半と後半で2ヶ月ずつとなり、2ヶ月ごとにキャラとマップを追加していく予定です。

 主に追加するのは新しいスキンとマップと3~40枚のシャードカードです。シーズンごとにルールも変更していくので、既存のカードを取り除いたり、今シーズンはこのカードを使いましょう、という形で、ある程度のローテーションを組んでいます。

――ランサーも4ヶ月のスパンで追加していくのでしょうか?

Chang:2ヶ月で1人、4ヶ月で2人になります! お楽しみに。

――シーズン制と伺いましたが、バトルパスがあるでしょうか。バトルパスがあるとしたら、最後に貰えるスペシャルなアイテムはどのようなものでしょうか?

Chang:はい、バトルパスはご用意しています。主な報酬はスキンが多いです。

 最後に手に入るスキンはキャラと武器でアートスタイルが共通のスキンで、一番目立つ派手なものになっています。このとき、一部のウェポンスキンには特殊なエモートが用意されているので、そちらも楽しんでもらえるようになっています。

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――ランサーは最初から全キャラ使えるのでしょうか。それともアンロック方式になりますか?

Chang:こちらもシャードカードと同様、はじめからフルオープンではなく、一定数のキャラが使える状態です。そこからゲームの繰り返しによって得られる通貨で、各キャラをアンロックしていっていただく流れになります。

 良い意味でクセの強いキャラが何人もいるので、まずは初心者ユーザーにも分かりやすく操作しやすいキャラを遊んでいただいてから、自分好みの操作したいキャラをアンロックしていくプロセスを取っています。

――カードの効果を用いたイベントの計画は?

Chang:ゲームモードに関しては、ローテーションで楽しんでもらおうと考えています。例えば“ビッグヘッド”のカードを使ったゲームモード、もしくはマップが2週間だけ遊べる、近接武器オンリーのゲームルール……など、いつ遊んでも新しい遊びができるように考えております。

――リリース後に大会を開いたり、リーグを作る計画はあるのでしょうか?

Chang:eスポーツはもちろんやります! 開発者全員がこういった大会を見て育った競技系FPSのファンなので、自分たちの大会を開きたい気持ちが強いですね。

 ただ、ゲーム性を上げるために、実際どういう感じで大会やリーグを作るのかは検討中です。ルールの制定も含め、目標の1つとして掲げています。
 
――デュエルモードを入れようと思ったきっかけは?

Chang:対戦ゲームには必ず引き分けが存在しますが、サドンデスは決着をつけるのが長引くこともあります。何か新しい解決策がないかを議論していたとき、ちょうどワールドカップの期間でしたので、ペナルティキックが面白いなと思い、それを取り入れました。

 日本の作品だとでも3対3で1人ずつ戦うものがありますが、そういうところからもヒントを得ています。

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――日本のユーザーに対して、どういった印象をお持ちでしょうか?

Chang:日本のFPSターゲット層は比較的、世界大会への参加は薄めの印象です。が、ローカルな場所は盛り上がっている感覚です。

 この面から、戦略にはローカルの大会に力を入れる戦略を立てています。日本のユーザーは一度気に入ったらずっと遊び続けている傾向がある印象があるので、そこを重視しつつ、継続的に運営していきます。一度に大量の資源を投げてではなく、着実に進めていきたいですね。

――日本のユーザーに向けて、一言お願いします。

Chang:『FragPunk』を日本で盛り上げたい気持ちが強くあります! 我々は少数精鋭で作っているからこそ、ローカライズで足りない部分もあると思います。そういった面でも良い所も悪い所にも目を向けるので、さまざまなご意見をお待ちしております。

 日本で長く運営できるように頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。

――ありがとうございました!
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