3月6日にPS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox Series X|S、Xbox One、PCで発売予定の『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』(以下、『幻想水滸伝 I&II HDR』)。3月4日に配信された公式番組“幻想水滸伝Live”では、本作の追加情報や関連商品展開などが大々的に発表されました。
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今回は本作について、『幻想水滸伝』シリーズプロデューサーの内藤塁氏、『幻想水滸伝』シリーズIP&ゲームディレクターの崎山高博氏、本作ディレクターの大串達也氏を迎えたインタビューをお届けします。
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内藤塁:『幻想水滸伝』シリーズプロデューサー
崎山高博:『幻想水滸伝』シリーズIP&ゲームディレクター
大串達也:『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』ディレクター
索引
オリジナル版を手掛けた、先輩クリエイターたちの想いを引き継いで制作
――TGS2022のステージでは、『幻想水滸伝 I&II HDR』の企画が2020年頃からスタートしたというお話がありました。発売は2025年になりましたが、当初ここまで時間がかかると予想はされていましたか?
崎山
2022年のTGSで『幻想水滸伝 I&II HDR』の制作を発表したときは、2023年に発売しますとアナウンスしていました。当初はそれが想定していたスケジュールですが、開発の終盤、デバッグ作業を続けていくうちに、「これは1回見直しをする必要がある」となりまして。
大串とどのような段取りで進め、リリースをするのがベストであるのかを話し合った形となります。
――一度見直そうというタイミングでは、大胆に手を入れようというお話があったのでしょうか?
大串とどのような段取りで進め、リリースをするのがベストであるのかを話し合った形となります。
――一度見直そうというタイミングでは、大胆に手を入れようというお話があったのでしょうか?
大串
大胆に、というよりは、状況把握からの着手でした。
品質のラインなどを含めて崎山とも確認と話し合いを進めたところ、多く手を入れなければいけない部分が出てきたので、そこにしっかり対応する必要があると判明しました。
――それは今回、リマスター化にあたり調整が発表されている部分でしょうか?
品質のラインなどを含めて崎山とも確認と話し合いを進めたところ、多く手を入れなければいけない部分が出てきたので、そこにしっかり対応する必要があると判明しました。
――それは今回、リマスター化にあたり調整が発表されている部分でしょうか?
大串
そちらに加えてRPG2本分なので分量自体も多く、データも古い作りになっているため、なかなか手を入れづらい部分が多かったことが起因していました。
崎山
セーブデータにしてもビット単位で圧縮をかけていて、少しでもデータがずれるだけで動作がまったく異なってしまうということもあり、苦戦しました。
たとえば、キャラクターの演技を直そうとしても高度に圧縮化される形でデータが作られているため、パラメータやプログラムを調整したいと思っても、どこで何をしているのかがわかりにくい状態でした。そういう部分にもしっかり修正をかけられるように、プログラムのツールを作り直すことなどに時間をかけて手を入れやすくしていきました。
たとえば、キャラクターの演技を直そうとしても高度に圧縮化される形でデータが作られているため、パラメータやプログラムを調整したいと思っても、どこで何をしているのかがわかりにくい状態でした。そういう部分にもしっかり修正をかけられるように、プログラムのツールを作り直すことなどに時間をかけて手を入れやすくしていきました。
大串
丁寧に作業を進めるために時間をかけた、という感じです。
崎山
キャラクターが背景にめり込まないようにするために設置しているアタリ判定をわかりやすくするために、そのアタリの部分を赤く囲まれるように表示して、マップでどこか不具合がないか一歩ずつ歩くということもありましたね(笑)。
大串
ワールドマップのアタリ判定などはすべて作り直しました。昔のままだと違和感のあるところがあったので、そういった部分も含めて直しています。
また、「いまの時代に遊ぶならば、このぐらいの動きのほうがいいだろう」というプレイアビリティも踏まえています。
――思い出を壊さずにリファインする作業は、ものすごく大変だったのですね。
また、「いまの時代に遊ぶならば、このぐらいの動きのほうがいいだろう」というプレイアビリティも踏まえています。
――思い出を壊さずにリファインする作業は、ものすごく大変だったのですね。
崎山
リマスターにふさわしい作品をお届けすることが大事でした。幸いなことに社内にはオリジナル版を手掛けたスタッフも残っていますので、相談などもできました。そういう意味では、リマスター化できる最後のタイミングだったのかもしれません。
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――お話をうかがうと大変なことばかりですが、逆に制作がスムーズに進んだ点はありますか?
大串
まさに崎山が言ったように、社内にシリーズにかかわったスタッフが残っていたことですね。当時の話やゲーム設計の部分について聞くことができたのがよかったです。
――本作はPSP版をベースに作業を進めたとうかがっています。1作目と2作目をセットで発売することは、最初から想定していたのでしょうか?
――本作はPSP版をベースに作業を進めたとうかがっています。1作目と2作目をセットで発売することは、最初から想定していたのでしょうか?
崎山
原点となる『幻想水滸伝I』とシリーズの人気を決定づけた『幻想水滸伝II』は、続けて遊べるようにすることがベストだろうと考えました。作品はワールドマップを共有していて、壮大な物語が地続きで描かれることを体感していただくためにも、この2作をセットで遊んでいただくことは必然でした。
あとは『幻想水滸伝I』は当時の基準だと気になりませんが、いま遊ぶと少しボリュームがコンパクトな印象を受けます。そういった理由もあり、2作品セットでの発売を選択しています。
――内藤さんはシリーズプロデューサーとして、制作スタッフに伝えたコンセプトなどはありますか?
あとは『幻想水滸伝I』は当時の基準だと気になりませんが、いま遊ぶと少しボリュームがコンパクトな印象を受けます。そういった理由もあり、2作品セットでの発売を選択しています。
――内藤さんはシリーズプロデューサーとして、制作スタッフに伝えたコンセプトなどはありますか?
内藤
いちばん大事なのは、『幻想水滸伝』というIPを復活させていく最初のステップなので、ここで躓かないようにする必要があるということでした。ですから、「しっかりとしたものに仕上げてください」が基本オーダーです。
私は元々、崎山が『幻想水滸伝V』を制作していたときに宣伝担当でした。その時の経験も鑑みて、市場に向かって商品を提供する際、コンセプトをしっかり伝えることが大事だと考えています。
今回の『幻想水滸伝 I&II HDR』に関しては、シリーズを復活させていく流れとなる原点で半端な作品を出してしまうとここで終わってしまうので、「しっかりしたものを作ってね」と崎山たちに伝えていました。
――先ほどお話にあった1回見直すタイミングも、内藤さんご自身も必要だと判断したから行ったということでしょうか?
私は元々、崎山が『幻想水滸伝V』を制作していたときに宣伝担当でした。その時の経験も鑑みて、市場に向かって商品を提供する際、コンセプトをしっかり伝えることが大事だと考えています。
今回の『幻想水滸伝 I&II HDR』に関しては、シリーズを復活させていく流れとなる原点で半端な作品を出してしまうとここで終わってしまうので、「しっかりしたものを作ってね」と崎山たちに伝えていました。
――先ほどお話にあった1回見直すタイミングも、内藤さんご自身も必要だと判断したから行ったということでしょうか?
内藤
はい、このままでは発売できる状況でないと判断しました。
単にリマスター版を発売するだけでなく、この先の展開を考えたときに、原点である作品をどこまでちゃんと作り上げられるかを重視しておりましたので。
――「この作品で究極の『幻想水滸伝I』と『幻想水滸伝II』が遊べます!」というものを、この段階でリリースしておきたかったわけですね。
単にリマスター版を発売するだけでなく、この先の展開を考えたときに、原点である作品をどこまでちゃんと作り上げられるかを重視しておりましたので。
――「この作品で究極の『幻想水滸伝I』と『幻想水滸伝II』が遊べます!」というものを、この段階でリリースしておきたかったわけですね。
内藤
リメイクではなく、オリジナル版通りにリマスター化した作品を出したかったという想いがあります。あの時代に村山(吉隆氏。シリーズの企画を立ち上げ、ディレクター・脚本などを担当)さんを始めとする先輩クリエイターたちが、限られたビット数のなかでこの物語をどう表現するか、といろいろ考えて作られた作品ですから。それこそ「!」の数ひとつにしても、想いが込められているわけです。だったらそこは絶対に崩してはいけない、と。
キャラクターのドットを打ち直すことも考えましたが、当時のCD-ROMより容量が多く使えるので、背景や環境音、サウンドなどの部分に手を加える方向にしています。
――たしかに、核となる部分はしっかり残しつつ、調整はそれ以外の思い出を壊さない部分になっており、オリジナル版を強く意識してリマスター化されていると感じます。制作時はそういった変えるべき部分や、修正する不具合などの洗い出しからスタートしたのでしょうか?
キャラクターのドットを打ち直すことも考えましたが、当時のCD-ROMより容量が多く使えるので、背景や環境音、サウンドなどの部分に手を加える方向にしています。
――たしかに、核となる部分はしっかり残しつつ、調整はそれ以外の思い出を壊さない部分になっており、オリジナル版を強く意識してリマスター化されていると感じます。制作時はそういった変えるべき部分や、修正する不具合などの洗い出しからスタートしたのでしょうか?
崎山
最初になにを改善すべきか、どこに手をつけないべきかを仕分けして開発がスタートしました。
――洗い出す中で、「これは大変そうだ」という部分はありましたか?
――洗い出す中で、「これは大変そうだ」という部分はありましたか?
大串
もう一度演出の全パターンを確認して、“これでよし”とするかをジャッジするのは、分量が膨大なためかなり苦労したところでした。キャラの数だけそのパターンがあるので(苦笑)。ですが、それはほかのタイトルでも同じですので、ゲーム制作においては避けられない部分です。
崎山
『幻想水滸伝』は母数となるキャラクターの数が多いですからね(笑)。なにをやるにしても、手をつけるつけないの線引きはありました。
――実際に調整した部分や、追加要素はどんなものがありますか?
――実際に調整した部分や、追加要素はどんなものがありますか?
崎山
まずはグラフィック部分に大きく手を入れています。『幻想水滸伝I』のキャラクターの顔グラフィックをすべて河野(純子)さんに「もう一度108星を描いていただけませんか?」とお願いしました。顔グラフィックだけでなくオープニングのイラストや、発売に向けてさまざまなイラストを手掛けていただいて、とても感謝しております。
大きな改善点としては、『I』と『II』のすべての背景画をHDイラストに書き直しています。当時のドットで描かれた背景はブラウン管モニターで見るとちょうどよい味わいがあるのですが、いまのHDの解像度や大画面でプレイすることを考えると、ここはすべて描き直そうということになりました。
曲については原曲が素晴らしいので、そのまま高音質化する形で音源を見直しました。効果音はすべて録り直しています。
TGS2022で発表したときに世界中のファンの皆さまからいろいろご意見をいただき、そこも踏まえてあらためて“リマスターとしての音はどうあるべきか”という課題に向き合い、大串と1回音を聴き直してほぼ入れ替えました。
大きな改善点としては、『I』と『II』のすべての背景画をHDイラストに書き直しています。当時のドットで描かれた背景はブラウン管モニターで見るとちょうどよい味わいがあるのですが、いまのHDの解像度や大画面でプレイすることを考えると、ここはすべて描き直そうということになりました。
曲については原曲が素晴らしいので、そのまま高音質化する形で音源を見直しました。効果音はすべて録り直しています。
TGS2022で発表したときに世界中のファンの皆さまからいろいろご意見をいただき、そこも踏まえてあらためて“リマスターとしての音はどうあるべきか”という課題に向き合い、大串と1回音を聴き直してほぼ入れ替えました。
大串
みなさんが期待していること、変えてはいけないところをもう一度再確認したうえで、いまの状態にしています。
――バトルバランスの変更はありますか?
――バトルバランスの変更はありますか?
大串
そちらに関しては変えておりません。原作の印象を崩さないためにも、オリジナルのバランスを最適と考えていましたので。
崎山
『幻想水滸伝』シリーズのバトルは、1作目から見ても一般的なRPGと比べてやや易しいバランスです。ただ、『幻想水滸伝』シリーズとしてのバトルではこれが正解だと考えています。
たとえば、仲間になったばかりのキャラクターも戦闘をくり返せばレベルが簡単に上がり、すぐ前線に出られるようになります。冒険につれていく仲間に「正解」を作らないというゲームデザインを尊重し、ゲームバランスについては触らず、そのまま再現する方向で進めました。当時のように、お気に入りのキャラクターを編成して冒険を楽しんでいただきたいです。
――スタッフ内で「調整したほうがいい」というような意見は出たのでしょうか?
たとえば、仲間になったばかりのキャラクターも戦闘をくり返せばレベルが簡単に上がり、すぐ前線に出られるようになります。冒険につれていく仲間に「正解」を作らないというゲームデザインを尊重し、ゲームバランスについては触らず、そのまま再現する方向で進めました。当時のように、お気に入りのキャラクターを編成して冒険を楽しんでいただきたいです。
――スタッフ内で「調整したほうがいい」というような意見は出たのでしょうか?
崎山
そういう声もあることを考えて、難易度選択という機能を追加しています。
ノーマルで遊んでいただければ当時のそのままの難易度で遊べますし、イージーにすればストーリーをサクサク進められます。逆に手ごたえがほしい方は、ハードに挑戦してみてください。
――難易度を下げると敵のHPが少なくなり、上げると高くなるような調整でしょうか?
ノーマルで遊んでいただければ当時のそのままの難易度で遊べますし、イージーにすればストーリーをサクサク進められます。逆に手ごたえがほしい方は、ハードに挑戦してみてください。
――難易度を下げると敵のHPが少なくなり、上げると高くなるような調整でしょうか?
崎山
そうなります。
――細かい話になりますが、オリジナル版のセーブは宿屋かダンジョンの水晶で行っていました。オートセーブや、どこでもセーブできるような機能はありますか?
――細かい話になりますが、オリジナル版のセーブは宿屋かダンジョンの水晶で行っていました。オートセーブや、どこでもセーブできるような機能はありますか?
大串
オートセーブは採用しています。原作では旅の封印球と呼ばれるセーブポイントがありましたが、リマスター版ではこれが配置されたエリアに入るとオートセーブされます。
セーブを忘れてだいぶ巻き戻ってしまった……というような失敗は防げるので、ご安心ください。
セーブを忘れてだいぶ巻き戻ってしまった……というような失敗は防げるので、ご安心ください。
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――PSP版はCEROがBで、本作ではCに変更されています。物語のテキストや演出部分での変更はあるのでしょうか?
崎山
テキスト内容については一切変更していません。誤字脱字の修正や当時のフォント制限でひらがな表記だった部分を漢字にするなど、HDで表示するうえで読みやすくなるような修正は加えています。ですが、今回のリマスター版で手を入れたのはそこまでで、「セリフがいまの時代にそぐわないから変えよう」ということはありません。
『幻想水滸伝II』に登場するルカ様のあのセリフもそのままですし、「!」の数も忠実に再現しています(笑)。あくまで、当時と比べてCEROのレーティング基準が変わった故の変更ですね。
――オリジナル版では『幻想水滸伝I』のセーブデータが『幻想水滸伝II』と連動する仕掛けがありました。こちらはそのままでしょうか?
『幻想水滸伝II』に登場するルカ様のあのセリフもそのままですし、「!」の数も忠実に再現しています(笑)。あくまで、当時と比べてCEROのレーティング基準が変わった故の変更ですね。
――オリジナル版では『幻想水滸伝I』のセーブデータが『幻想水滸伝II』と連動する仕掛けがありました。こちらはそのままでしょうか?
大串
2本セットになっていますので、 オリジナル版と同様、データの引継ぎはあります。引継ぎ自体の条件に変更はありませんので、ぜひ意識してプレイしてみてください。
河野さんにすべてをゆだねたキャラクターイラストのリファインは大正解!
――『幻想水滸伝』は108人の膨大な人数の仲間が登場するという、当時は類を見ない切り口で人気を獲得してきたシリーズです。本作はそんなキャラクターたちの顔イラストをリファインし、ある意味“思い出に手を加える”形になりましたが、発表まで不安などはありましたでしょうか?
崎山
イラストをリファインすることに対して、河野さんもかなり気を遣ってくださいました。基本はオリジナル版と同じ顔の構図を踏襲していますが、いまの時代に合わせた線の入れ方や色の塗りをしていただいたので、当時のファンから見ても違和感なく、かつ今風だと感じていただけるイラストに仕上がっています。
発売日まで108星を使ったカウントダウン企画を実施していますが、ファンの皆さんもイラストが変わったという話ではなく、「あのキャラクターはこうだったよね」といった思い出話に花を咲かせているのを拝見しています。この方向性でリファインしてよかったと思います。
――かなりの物量になりましたが、河野さんにリファインをご依頼されたとき、反応はいかがでしたか?
発売日まで108星を使ったカウントダウン企画を実施していますが、ファンの皆さんもイラストが変わったという話ではなく、「あのキャラクターはこうだったよね」といった思い出話に花を咲かせているのを拝見しています。この方向性でリファインしてよかったと思います。
――かなりの物量になりましたが、河野さんにリファインをご依頼されたとき、反応はいかがでしたか?
崎山
実は私が『幻想水滸伝V』の制作を始めたころ、河野さんはすぐ近くの席で同時期に『幻想水滸伝IV』でプロデューサー兼キャラクターデザイン兼シナリオ担当で、立ち絵イラストや顔グラフィックを描いていましたし、『幻想水滸伝I』ではものすごい短期間でキャラクターイラストを用意する必要があり、腱鞘炎になって大変だった……といった苦労話を聞いていました(笑)。
本作での協力をお願いするときは、引き受けていただけないのでは、と思っていました。ですが、河野さんにお願いしたいという強い想いもあり、ダメもとで相談したところ、快諾いただけたのはほっとしましたし、うれしかったですね。
この“キャラクターのリファイン”は、リマスター版の大きなアピール材料になりました。立ちイラストも……と思ったときもありましたが、さすがにそれは分量もあるので見送っています。
――ちなみに、河野さんとはどのようなやり取りで作業を進めた形ですか?
本作での協力をお願いするときは、引き受けていただけないのでは、と思っていました。ですが、河野さんにお願いしたいという強い想いもあり、ダメもとで相談したところ、快諾いただけたのはほっとしましたし、うれしかったですね。
この“キャラクターのリファイン”は、リマスター版の大きなアピール材料になりました。立ちイラストも……と思ったときもありましたが、さすがにそれは分量もあるので見送っています。
――ちなみに、河野さんとはどのようなやり取りで作業を進めた形ですか?
崎山
基本的には当時のままというところで、オープニングのイラストもセガサターン版のオープニングをそのままリファインする形で進めました。
もともと河野さんが描かれていたイラストですし、「当時のものでお願いします」とお伝えしたぐらいで、ほかにこちら側から注文したことはほとんどありません。
――まずは河野さんに全キャラクターをリファインいただいて、よほどの調整が必要なければそのまま採用されたわけですね。
もともと河野さんが描かれていたイラストですし、「当時のものでお願いします」とお伝えしたぐらいで、ほかにこちら側から注文したことはほとんどありません。
――まずは河野さんに全キャラクターをリファインいただいて、よほどの調整が必要なければそのまま採用されたわけですね。
崎山
はい。上がってきたイラストはどれもすばらしいものでしたが、何人かは調整をお願いしています。「ヒックスはこんなに暗い顔ではないのでは?」とか、「ぼっちゃんが弱く見えるので、もう少し眼力が強く見えるようにしてください」などですね。
その結果、ぼっちゃんは当初よりも眉毛がピッと上がり、力強さが増しました。
――『幻想水滸伝I』と『幻想水滸伝II』には(一部かぶってはいますが)2作×108星と膨大な数の仲間に加え、敵側にも魅力的なキャラクターが多数登場します。皆さんのお気に入りのキャラクターは誰でしょうか?
その結果、ぼっちゃんは当初よりも眉毛がピッと上がり、力強さが増しました。
――『幻想水滸伝I』と『幻想水滸伝II』には(一部かぶってはいますが)2作×108星と膨大な数の仲間に加え、敵側にも魅力的なキャラクターが多数登場します。皆さんのお気に入りのキャラクターは誰でしょうか?
内藤
ぼっちゃんの父親であるテオです。少し前に父を亡くしまして、さらに子どもができて父親になったのですが、あらためて父親という立場を考えさせられました。当時は「息子がけっこうあっさり殺しに来るな」と思っていましたが(笑)。
崎山
一騎打ちでのセリフなど、いま読み返すと、ちゃんと息子と向き合って話をしていたんだなと感じます。
内藤
昔から父親殺しを描く物語はありましたが、子が父を超えていく、父が子を超えさせていくというところも含め、父親は大変だなと共感しています。
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――いまプレイすると、お気に入りのキャラクターが変わる人は多そうですね。
内藤
当時は若かったから、かわいい女の子が推しになるという人も多かったのではないでしょうか(笑)。
――(笑)。ですが、それだけ共感できるキャラクターの幅が広いのも、シリーズの魅力ですね。崎山さんはいかがですか?
――(笑)。ですが、それだけ共感できるキャラクターの幅が広いのも、シリーズの魅力ですね。崎山さんはいかがですか?
崎山
私はオデッサとマッシュが好きです。オデッサのセリフは少ないものの、解放軍を主人公に託していくくだりが印象に残るキャラクターです。マッシュはそんな彼女の想いを引き継ぎ、悩みながらも戦争に参加していくわけですが、当時のRPGで軍師という存在がクローズアップされたゲームはめずらしかった記憶があります。
多くは主人公が物語や仲間を引っ張っていく展開で、そばには師匠と呼べるようなポジションのキャラクターがいるくらいでした。軍師のマッシュを中心に戦争を描く物語に触れて、「このRPGはほかとはなにかが違う」と感じたのを覚えています。
『幻想水滸伝II』ではそんなマッシュの弟子だったシュウが軍師として参加し、マッシュの叔父であるレオン・シルバーバーグと対決するシーンもありました。レオンの考え方とシュウの考え方との違いが、ドラマとしてすごく考えさせられます。
『幻想水滸伝I』から登場する、シュウの妹弟子のアップルは“シュウ兄さん”と慕いながら彼のそばで学んで成長を遂げ、『幻想水滸伝III』になると軍師であるシーザーの師匠になります。こういったキャラクターの成長が見られる点も、時代が続くシリーズものならではの魅力かなと捉えています。
――たしかにキャラクターが成長する過程を見て、続編で好きになるキャラクターも多いです。
多くは主人公が物語や仲間を引っ張っていく展開で、そばには師匠と呼べるようなポジションのキャラクターがいるくらいでした。軍師のマッシュを中心に戦争を描く物語に触れて、「このRPGはほかとはなにかが違う」と感じたのを覚えています。
『幻想水滸伝II』ではそんなマッシュの弟子だったシュウが軍師として参加し、マッシュの叔父であるレオン・シルバーバーグと対決するシーンもありました。レオンの考え方とシュウの考え方との違いが、ドラマとしてすごく考えさせられます。
『幻想水滸伝I』から登場する、シュウの妹弟子のアップルは“シュウ兄さん”と慕いながら彼のそばで学んで成長を遂げ、『幻想水滸伝III』になると軍師であるシーザーの師匠になります。こういったキャラクターの成長が見られる点も、時代が続くシリーズものならではの魅力かなと捉えています。
――たしかにキャラクターが成長する過程を見て、続編で好きになるキャラクターも多いです。
大串
私はビクトールとナナミで、どちらも少しコミカルな一面も含めて好きですね。
ビクトールはシリアスなシーンで活躍する場面があり、加えて主人公を指導役の先輩ポジションでひっぱってくれるところが、兄貴を頼っている気分が味わえて好きです。
ビクトールはシリアスなシーンで活躍する場面があり、加えて主人公を指導役の先輩ポジションでひっぱってくれるところが、兄貴を頼っている気分が味わえて好きです。
崎山
ビクトールは『幻想水滸伝I』だと若武者という印象だったのが、『幻想水滸伝II』だと大人の男として成長して登場し「3年くらいしか経っていないのに、フリックとの旅でいったいどんな経験を積んだんだろう」と(笑)。
あと、ビクトールの立場での目線で見ることができる歳になると、「いろいろなことを含んでいるけれども、これを言葉として伝えるんだ」と共感させられるシーンが多く、そういったセリフも含めて私も好きです。
あと、ビクトールの立場での目線で見ることができる歳になると、「いろいろなことを含んでいるけれども、これを言葉として伝えるんだ」と共感させられるシーンが多く、そういったセリフも含めて私も好きです。
大串
ナナミは姉弟という立ち位置で主人公に寄り添ってくれる点と、プレイヤー目線で「このままで本当にいいのか」と考えさせられる展開があり、違うベクトルで意味を持ったキャラクターであるところが好きです。
――たしかにナナミが好きなファンの方は多いですね。言われたポイントにも惹かれているでしょうし、納得です。
――たしかにナナミが好きなファンの方は多いですね。言われたポイントにも惹かれているでしょうし、納得です。
いつまでも語り継がれる名キャラクターたちを生んだ『幻想水滸伝I』と『幻想水滸伝II』
――キャラクターの人物像の深堀り、群像劇などが『幻想水滸伝』シリーズに共通する魅力です。オリジナル版を未体験の人に向けて「こう遊んでほしい」といったアピールポイントを教えてください。
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大串
『幻想水滸伝I』の物語は、大きな目標を持たなかった主人公が、戦乱に巻き込まれる形で幕を開けます。その戦いの中でビクトールたちと出会い、やがて帝国への反乱軍をまとめる立場となり、父親との戦いなどを経て成長していきます。冒険譚を見ているような感覚を得られるところが作品の魅力で、皆さんにはそこを体験していただきたいです。
『幻想水滸伝II』も『幻想水滸伝I』と似たような部分がありますが、親友であるジョウイとの関係性の変化を通して、自分がどう選択していくべきかを考えながら物語を体験できるところが魅力です。
――当時は、決断を迫られるあの展開は衝撃的でした。崎山さんはいかがですか?
『幻想水滸伝II』も『幻想水滸伝I』と似たような部分がありますが、親友であるジョウイとの関係性の変化を通して、自分がどう選択していくべきかを考えながら物語を体験できるところが魅力です。
――当時は、決断を迫られるあの展開は衝撃的でした。崎山さんはいかがですか?
崎山
『幻想水滸伝』は東洋と西洋が混ざった雰囲気のある世界観で、ファンタジーと言いながらも地に足がついた設定になっており、そんな世界の中に“27の真の紋章”というプレイヤーの興味をひく要素があります。新規のお客様は"27の真の紋章”と聞くと「魔法が使えるよね」「超兵器的なものだよね」といった予想をされると思います。
ですが、ぼっちゃんが宿した真の紋章は呪われし紋章と言われるソウルイーター。いわくつきのものであり、ストーリーも展開が予想できない方向に進みます。ぜひ初プレイの人はその部分にも期待して、最後までぼっちゃんの旅を見届けてほしいです。
また『幻想水滸伝II』は始まりの紋章である輝く盾の紋章と黒き刃の紋章が登場し、これを宿した主人公とジョウイを軸にしつつ波乱万丈の物語が展開していきます。紋章をめぐる群像劇に多くの仲間たちが加わることで、ほかのRPGでは体験できないおもしろさが味わえます。
ですが、ぼっちゃんが宿した真の紋章は呪われし紋章と言われるソウルイーター。いわくつきのものであり、ストーリーも展開が予想できない方向に進みます。ぜひ初プレイの人はその部分にも期待して、最後までぼっちゃんの旅を見届けてほしいです。
また『幻想水滸伝II』は始まりの紋章である輝く盾の紋章と黒き刃の紋章が登場し、これを宿した主人公とジョウイを軸にしつつ波乱万丈の物語が展開していきます。紋章をめぐる群像劇に多くの仲間たちが加わることで、ほかのRPGでは体験できないおもしろさが味わえます。
内藤
『幻想水滸伝』シリーズのように、人間同士の戦いを描く作品は少ないと感じています。また、物語も「伝説の剣を持ってきてほしい」というようなものではなく、崎山も言っていた“地に足がついた”設定のうえに成り立つ展開で進みます。
物語の中で強くなるにしても、精神面での成長が必要になるという部分がいちばんの魅力ではないかと感じています。さっきまで仲間だった人が敵になったと思っていたら、その逆もありますので。
――108星の味方だけでなく敵側のキャラクターも、個性が強くて魅力を兼ね備えた者ばかりですよね。
物語の中で強くなるにしても、精神面での成長が必要になるという部分がいちばんの魅力ではないかと感じています。さっきまで仲間だった人が敵になったと思っていたら、その逆もありますので。
――108星の味方だけでなく敵側のキャラクターも、個性が強くて魅力を兼ね備えた者ばかりですよね。
崎山
ルカ様に匹敵するようなキャラクターはなかなか出てこないですね。
――いまでも「RPGのボスキャラといえば?」という話題になると、必ずルカの名前が出ますね(笑)。ここまで記憶に強く刻まれた敵キャラクターはそういないと思います。
――いまでも「RPGのボスキャラといえば?」という話題になると、必ずルカの名前が出ますね(笑)。ここまで記憶に強く刻まれた敵キャラクターはそういないと思います。
2ndステップを着実に踏み出すための1stステップとなる『幻想I&II R』
――ファンとしては『幻想水滸伝 I&II HDR』が出るのであれば、その続きもリマスター版でプレイしたいと思います。そのあたりは期待してもよろしいですか?
内藤
公式番組“幻想水滸伝Live”では2ndステップを発表しましたが、これが今後何ステップまであるのか、現時点では未定です。それこそ108ステップあるかもしれません(笑)。皆さんがとても大事にされている作品なのに加えて、KONAMIとしても唯一無二のRPG作品なので、しっかりと確実に一段ずつ上がっていきたいと思っています。
それゆえに『幻想水滸伝 I&II HDR』をしっかり作り直し、今後展開するモバイルの『幻想水滸伝 STAR LEAP』や『幻想水滸伝II』のアニメーションなどについては、強いこだわりを追求しながら制作しています。
この積み上がりをしっかりお届けできたあとに、つぎのステップをどうするべきか考えられるようになるのかなと。
――発表された2ndステップを楽しみながら、さらなる展開を期待して待ちたいと思います! では最後に『幻想水滸伝 I&II HDR』の発売を心待ちにしているファンにメッセージをお願いします。
それゆえに『幻想水滸伝 I&II HDR』をしっかり作り直し、今後展開するモバイルの『幻想水滸伝 STAR LEAP』や『幻想水滸伝II』のアニメーションなどについては、強いこだわりを追求しながら制作しています。
この積み上がりをしっかりお届けできたあとに、つぎのステップをどうするべきか考えられるようになるのかなと。
――発表された2ndステップを楽しみながら、さらなる展開を期待して待ちたいと思います! では最後に『幻想水滸伝 I&II HDR』の発売を心待ちにしているファンにメッセージをお願いします。
大串
『幻想水滸伝』シリーズは多くのファンに支えられてきたシリーズです。本作はその世界に触れていただくための入り口として、いまの時代に合わせたプレイ環境を用意することが必要だと考えて作りました。
昔から応援してくださっているファンの方だけでなく、新しいお客様もこの作品を楽しみ、『幻想水滸伝』シリーズのファンになっていただけたらうれしいです。よろしくお願いします。
昔から応援してくださっているファンの方だけでなく、新しいお客様もこの作品を楽しみ、『幻想水滸伝』シリーズのファンになっていただけたらうれしいです。よろしくお願いします。
崎山
TGS2022の発表から時間がかかってしまいましたが、間もなく発売日を迎えることができて本当によかったです。この作品をきっかけに、今後も『幻想水滸伝』の世界がどんどん広がっていってほしいですね。
内藤
だいぶお待たせしてしまいましたが、やっと1stステップを踏み出すことができます。ぜひ『幻想水滸伝』シリーズの応援をよろしくお願いします!
TGS2024で公開されていたオリジナル版の開発資料をチラ見せ!!
ここからはTGS2024の『幻想水滸伝 I&II HDリマスター』のブースで公開されていた、河野純子氏の原画やオリジナル版の貴重な開発資料の一部を改めて公開! スタッフの熱い想いを感じ取ってください。
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