電撃オンライン

レビュー:『サガフロ2リマスター』は26年ごしの完全版。シナリオ補完にクリア後要素追加。成長能力継承やUI改善で初心者にもおすすめ【サガ フロンティア2】

文:Ak

公開日時:

 Nintendo Switch/PS5/PS4/PC(Steam)/iOS/Androidで配信となった『サガ フロンティア2 リマスター』のレビュー記事をお届けします。

[IMAGE]

 PS版『サガフロ2』(1999年4月1日発売)から26年目となる2025年に登場した『サガ フロンティア2 リマスター』。本作はまさに“完全版”と呼ぶべきデキとなっていました。  

 その内容がどのようなものになっているのか、本記事で確認していきましょう。

 ちなみにストーリーの重要なネタバレはありませんが、一部序盤の展開について触れているのでご注意ください。

オリジナル版との違い:新規シナリオの追加やグラフィック表現の進化でより遊びやすく進化【サガ フロンティア2 リマスタープレイレビュー】


 まずはオリジナル版とリマスター版の違いについて、とくに大きなものについて紹介していきます。

新規シナリオややり込み要素が追加


 リマスター版では、オリジナル版のストーリーの幕間を埋めるような、新規シナリオが追加されています。

[IMAGE]

 シリーズ総合ディレクターの河津秋敏監修の元、ベニー松山氏が書いただけあって、シナリオはかなり自然な展開。

 筆者はオリジナル版は未プレイで、リマスター版で初めて本作に触りましたが、どこが追加シナリオか気づけないくらいには自然に物語を補完している印象です。

[IMAGE]

 ギュスターヴ編ではケルヴィンとマリーが結ばれる過程、ナイツ編ではタイラーとラベールの再会など、“オリジナル版にもあったけど、描かれなかった出来事”を中心にシナリオが追加されているので、より物語の解像度が増しているようですね。

 なお、追加シナリオに付随して、操作キャラクターやキャラクターの固有グラフィックも追加されています。

[IMAGE][IMAGE]

 さらにクリア後には完全新規のシナリオも解放。またバトル面では本編より強力な“強化ボス”と戦えるようになったりと、やり込み要素も充実しています。

グラフィックの高解像度化


 リマスター版ではグラフィックが高解像度化。オリジナル版(PS版)と比べると画面比率も16:9となっており、よりダイナミックな映像表現を楽しめるようになっています。

[IMAGE]

 水彩画調の温かみのある背景と、ドット絵で表現されたキャラクターが本作のグラフィックの特徴。

 絵画+ドット絵の組み合わせは、近年のゲームと比べても古い感じがしません。ドット絵も非常に滑らかで、キャラクターたちが生き生きとしている印象です。

倍速機能でより遊びやすく進化


 倍速機能により、戦闘や移動などが大幅にテンポアップ! スティック押し込みで、ほぼすべての場面を倍速で動かすことが可能になりました。

[IMAGE]

 とくに戦闘は現代的な感覚では通常速度がやや遅いので、倍速で遊ぶとかなり快適。サクサクキャラクターが攻撃してくれるので、レベル上げもラクチンです。

 移動に関しても倍速は有用ですが、ダッシュだけでも快適なので倍速を利用するかはお好みで決めるといいでしょう。とくに敵との戦闘を避けたい場合は、倍速なしで移動したほうがよさそうです。

[IMAGE]

 またPS版ではポケットステーション(ポケステ)を利用したミニゲームであった“GO!GO!ディガー”も、アレンジして収録されています。

 こちらは時間経過でアイテムなどを取得できるミニゲーム。疑似的なポケステ画面がなつかしすぎる! PS版では1体のみだったディガーが3体まで同時に運用可能で、より効率的にアイテムを収集できます。

成長能力継承で別シナリオの育成を引き継げる!


 戦闘を経て成長したキャラクターのステータスを、別シナリオの他キャラクターに引き継ぐことが可能に!

[IMAGE]

 継承するステータスは装備のようにつけ外しをすることができます。別シナリオの育成が無駄にならないのがうれしいですね。

育成状況を引き継いで2周目が遊べる


 クリア後には、いくつかの要素を引き継いで“NEW GAME+”で新たにゲームを始めることができます。

[IMAGE]

 基本的な育成状況はすべて引き継ぎ可能。育成したキャラクターで細部までのやり込みを目指しましょう!

ストーリー:まさかの“追放もの”ストーリーが描かれるギュスターヴ編! 怒涛の展開を見せる大河的なストーリーが魅力的【サガ フロンティア2 リマスタープレイレビュー】


 本作のシナリオシステムは、年表からシナリオを選択していく“ヒストリーチョイス”が特徴的。

 選択したシナリオによって操作キャラクターやパーティメンバーが決まっており、育成状況は各シナリオで共有されます。

[IMAGE]

 なかにはイベントシーンのみのシナリオも存在。シナリオによって長さも異なります。

 遊ぶシナリオは自由に選択できるものの、時系列順に読んでいったほうが物語を理解しやすいと思います。

 年表形式なのでとにかく物語のテンポがよく、それぞれのキャラクターたちの生涯が大胆に描かれていくので次々と先を読みたくなりますね。

[IMAGE]

 物語にはさまざまなキャラクターが登場しますが、序盤は主にギュスターヴとウィル・ナイツの2名を軸に物語が描かれます。

 片方のシナリオ“ギュスターヴ編”は、歴史の表舞台を生きる領主を描くシナリオ。

 フィニー王国の待望の世継ぎとして生まれたギュスターヴは、7歳の時王位継承のための通過儀礼“ファイアブランドの儀式”に失敗し、術不能者の烙印を押され、王宮を追放されヤーデに亡命します。

 亡命先で自身の境遇に腐っていたギュスターヴ。しかしある出来事をきっかけに政治の表舞台へと姿を現します。

[IMAGE]

 オリジナル版が1999年に作られたにも関わらず、なんと昨今流行りの“追放もの”のような導入にビックリ! 時代を先取りした作品ですね。

 落ちこぼれ認定されたギュスターヴが、当時軽視されていた“鋼”の有用さに目を付けることで成り上がっていくストーリーには爽快感があります。

 政治的な駆け引きも本格的で、大河ドラマ的なスケールの大きい物語が展開していくのが見どころです。

[IMAGE]

 もう1人の主人公が登場する“ウィリアム・ナイツ(ウィル)編”は、先行文明の遺物であるクヴェルの採掘を生業とするディガーとして生きる男を描くシナリオ。

 ウィルはギュスターヴと比べると自由な立場で、似た境遇の仲間たちとともに遺跡などを探索していきます。

[IMAGE]

 両親の死の謎を追ううちに、謎の物体“エッグ”を巡る戦いに身を投じていくウィル。

 ギュスターヴ編と比べると探索や編成の自由度が高めで、バトル寄りのシナリオが多めです。バトルバランスはけっこうシビアで、それだけに冒険をともにするウィルと仲間たちに愛着が湧くようになっていますね。

 “エッグ”を巡る謎多きシナリオも先が気になる! ちなみにギュスターヴ編と物語がクロスすることもあり、先に進むほど重厚で驚きのある展開が描かれていきます。

バトル:独特の楽しさがある3つのバトルが存在【サガ フロンティア2 リマスタープレイレビュー】


 本作には、物語やパーティメンバーに応じた3種類のバトルシステムが存在。

 基本ルールに共通している部分はあるものの、戦略性が大きく異なっているのが特色ですね。

[IMAGE]

 バトルシステムで最も特徴的なのは、“閃き”による技の習得。特定の順番で技or術を繰り出すことで、新たな技を習得できることがあります。

 ランダム性も強いものの、技を習得することで戦略の幅が大きく広がるので、ただ経験値を獲得するだけでない育成要素として楽しめるようになっていますね。

 下記で、3種類のバトルの特徴について紹介していきます。

パーティバトル


 エンカウントした敵とパーティメンバー全員で戦う“パーティバトル”。

 ちなみにシンボルエンカウント形式となっており、フィールド上のシンボルと当たるとバトルが発生します。

[IMAGE]

 自動回復するWPやJPを使って技や術を使ったり、重要な行動をとるためにLPを消費したりと、本作ならではの要素も多いですが、いわゆる一般的なRPGのバトルシステムに近いですね。

 独自性の強さに最初は戸惑うかもしれませんが、基本的には敵の数を減らすことを優先していくのが重要となる王道のバトルとなっているので、慣れれば問題なく楽しめます。

デュエル


 エンカウントした敵とパーティメンバーの誰かが1対1で戦うシステム。エンカウント時に、可能な状況であれば“パーティバトル”か“デュエル”、どちらで戦うが選択できます。

[IMAGE]

 ターンの初めに装備アイテムや地形に応じたコマンドを4つ選び行動。選んだコマンドの順番や組み合わせによって行動や発動する技が変化していくのが“デュエル”の基本ルールです。

 “パーティバトル”と異なり、コマンドを選んだら自動でバトルが展開していくので、テンポがいい! 慣れるとサックリ終わらせることもできて、スムーズに決着できると気持ちいいです。

 筆者の場合も、選べる状況であれば“デュエル”を優先していました。

[IMAGE]

 キャラクターが1人しかいないため全滅しやすいリスクがあるものの、新たな術や技の習得がしやすいというメリットがあります。

 術や技の組み合わせや順番により、自分なりの必勝パターンが出来てくるとより楽しくなってきますね。

 ちなみに全滅しやすいもののリトライは容易なので、比較的気楽に挑んでも大丈夫です。

コンバット


 ギュスターヴ編で登場する、軍隊同士で戦うバトル“コンバット”。

[IMAGE]

 シミュレーションゲームのような盤面でユニットを動かし、勝利条件を満たすことを目指します。勝利条件はさまざまで、ほか2種類のバトルと比べても戦略性のある戦いが楽しめます。

 ちなみにリマスター版では、グリッドのON/OFFを選択することが可能です。

[IMAGE]

 ユニットが重なると1ターンのみの“パーティバトル”が発生。その結果によって勝敗が決定し、パーティメンバー全員が戦闘不能になったユニットは消滅します。

 パーティメンバーは大半がその場限りの戦力となる兵士たちなので、どちらかというとイベントバトル的なバトルとなっていますね。

古さを感じないグラフィックと独自性の強いバトルが魅力の王道RPG!【サガ フロンティア2 リマスタープレイレビュー】


 『サガ』シリーズ未経験の筆者としては、“サガ”といえば“独自性が強くてとっつきにくいシステム”“ハマれればハマる中毒性の高さ”みたいなイメージが、正直ありました。

[IMAGE]

 そのイメージと比べると、『サガ フロンティア2 リマスター』は取っつきやすい印象。システム自体は独自性が強いものの、リマスター版でUIなどが改善されたこともあり、かなり遊びやすくなっています。

 水彩画+ドット絵のグラフィックも美しく、ストーリーのテンポがいいので物語に入り込みやすいですね。『サガ』シリーズファンはもちろん、シリーズを敬遠していた人にとっても“サガ”入門編としてオススメできると思います。

    本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります