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【幻想水滸伝II】主人公とジョウイを2本のヴァイオリンに見立てる神コンサート。アンコールはネクロード戦闘曲と人気曲『Orizzonte』

文:編集O

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 5月5日に東京・すみだトリフォニーホールで開催されたオーケストラコンサート“Symphonic Poem from 幻想水滸伝 Remaster”。本公演はグランドフィルハーモニック東京が管弦楽を担当し、3月6日に発売された『幻想水滸伝 I&II HDリマスター 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争』と、新作モバイル向けアプリ『幻想水滸伝 STAR LEAP』の楽曲がひと足先に演奏されました。

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 公演はタイトルごとにセクションで分けられ、“連作交響詩”というスタイルでゲームの冒頭からエンディングまでの印象的なシーンをつなぐ映像とともに演奏。楽曲によってはピアノ、ビブラホーン、尺八、琴のソロパートがあり、聴きごたえがある内容となっていました。

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 本記事では第三部の『幻想水滸伝II』の演奏から、特に印象に残った楽曲をピックアップします。

【幻想水滸伝II】2つの紋章に運命を左右された幼なじみたちが選んだ道を2本のヴァイオリン演奏で表現

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 主人公が受け継いだ輝く盾の紋章、そして親友のジョウイが受け継いだ黒き刃の紋章。このふたつの紋章をその身に宿した時から、交じり合うことのない道を歩き始めた彼らは、やがて刃を交えることになっていく……。

 第三部ではそんな長大な物語が、プロローグからトゥルーエンドまで全7楽章にわけて演奏されました。映し出された映像もプレイした人なら納得のシーンが切り出されており、オーケストラ演奏の没入感をより後押ししていました。

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 “第1曲:プロローグ”では、ハイランド軍のユニコーン隊に所属する主人公とジョウイの物語の始まりを追体験。2人の心情を表現するために、本公演ではヴァイオリンソロが2枠用意され、さらには管楽器を対向配置にするなど、『幻想水滸伝II』のための特別な構成で音を紡ぐといったこだわりも。
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 最後の曲『救出』では、『幻想の世界へ』が勇ましくアレンジされた形で挿入されるなど、「お!?」と思わせる隠し演出が印象的でした。

 ”第2曲:過ぎた日々”は、フリックとビクトールに助けられた主人公とジョウイの旅立ちから、輝く盾の紋章と黒き刃の紋章をその身に宿し、ハイランド軍と対峙していくシーンまでをカバー。

 全体的にガッツリとアレンジを効かせるのではなく、原曲とともに思い出を振り返るような構成になっているなという印象でした。とくにミューズで捕らわれて牢の中で満月を見上げるシーンで流れる『月夜のテーマ』は、リマスター版での月夜の表現が見事で、音楽との調和がとれていてものすごくよかったんですよね。ここはオーケストラ演奏で聴くのが楽しみだっただけに、期待通りの1曲でした。
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 “第3曲:ジョウイ”では同盟軍を抜けたジョウイが、ルカ・ブライトの配下につき、皇女ジルをめとるまでのエピソード楽曲が演奏されました。

 このパートのタイトルはジョウイですが、個人的にはRPG史上でも強烈な敵キャラとして名を残すルカ・ブライトの出番も多め。主に彼の登場シーンで使われる『緊迫』は、『幻想水滸伝II』で忘れられない1曲だなとあらためて実感しました。曲名通りに緊張感を煽るメロディで、この曲を聴くだけでルカの高笑いと狂気の笑みが思い出される人も多いのでは?

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 主人公の宿星の名がつけられた“第4曲:天魁星”。楽曲的にはフィールドや通常バトル、戦争イベント、強敵であるルカ・ブライトとの戦闘などが組み込まれています。「いろいろあったよな」と感慨深いシーンの映像との相乗効果が素晴らしかったです。なかでもルカに引導を渡すシーンで流れる『追いつめる』『Mad Luca』『邪悪なる者』の3曲は、物語の大きな山場を盛り立てた名曲だとあらためて感じましたね。

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 余談ですが『さらに栄えし美しき黄金の都』ではグレッグミンスターのタウン曲が演奏されましたが……第一部の『I』、第二部の『STAR LEAP』に続いて、これで今回の公演で3度目のグレッグミンスター楽曲の演奏ということに(笑)。『STAR LEAP』は昼と夜でアレンジが異なるので、ある意味4回目? なかなか貴重な経験といえますが、途中の手拍子パートを含めて軽妙でノリのよい曲ですし、何回聴いても楽しめました!

 “第5曲:黒き刃の紋章”では解放軍と帝国軍という異なる立場に立った主人公とジョウイが再会し、戻れない道をたどるまでのエピソードをカバー。なかでもゴルドー戦後に起こるナナミとの別れで流れる『悲しみのレクイエム』は、『幻想水滸伝I』のエンディングで流れる『EQUIEM』がアレンジされたバージョンで、主人公の悲痛な叫びを代弁するかのような音色に涙が……。

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 “第6曲:輝く盾の紋章”はハイランド軍を追い詰め、皇都ルルノイエに攻め込んで戦いに終止符を打つまでのエピソードに流れる楽曲を披露。そのなかで期待以上にしびれたのは、『悲しみのレクイエム』のフレーズが使用されたラスボス戦バトル曲の『銀狼』です。『悲しみのレクイエム』以外にも『勝利への意欲』『幻想の世界へ』などのフレーズが使われており、ものすごく聴きごたえがありました。

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 そしてトータル80分の演奏を締めくくった“終曲:始まりの紋章”では、約束の地で主人公とジョウイが相まみえ、大団円を迎えてスタッフロールが流れるまでを演奏。これまで2人がたどってきた道をプレイバックした映像が、2本のヴァイオリン演奏とともに流されて幕を開ける演出は、自然と涙がこぼれるほどの感動を覚えました。

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 とくに『彼方の星』からそのまま『エンディングマーチ~我らは常にいつならん(108人のその後)~Coda/勝利』へと続く編曲は、PS版発売当時にトゥルーエンドを見られなかった悔しさと、リマスター版ではしっかり見届けたという達成感が入り交じり、自分の中で感慨深い一曲となりました。

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アンコールでは『幻想水滸伝II』で屈指の人気楽曲を特別演出で2曲演奏


 第三部の演奏が終了して割れんばかりの拍手が鳴りやまなかった会場。そんな期待に応える形でアンコール演奏がスタートし、まずお披露目されたのは『幻想水滸伝I』と『II』の2作品にわたってプレイヤーを苦しめた吸血鬼・ネクロードのバトル曲の『Gothic Neclord』。

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 原曲よりもハードロックに寄せた曲調で、会場のボルテージも一気にMAXへ!

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 演奏後はこの1曲で終了かと思われましたが、さらに追加アンコールが実現。本当の意味のラストナンバーを飾ったのは『幻想水滸伝II』の『Orizzonte(オリゾンテ)』でした。

 東野美紀氏らによるピアノ連弾でしっとりと聴かせる形でスタートした楽曲は、中盤でオーケストラの管楽器が前に出て力強く音を奏で、再びピアノ連弾で余韻を残しながら締める演出が心に染みわたりました。

 3タイトル分の楽曲が演奏されるだけあって公演時間は約4時間半という長丁場でしたが、オーケストラらしい重厚な音色だけでなく、しっとりと聴かせるピアノ楽曲やハードロック的な攻めた楽曲などバラエティに富んだセットリストで、気づけば「もう終演!?」と驚くほどの没入感が味わえた本コンサート。

 終幕時は会場を埋め尽くしたファンから惜しみない拍手が贈られ、公演に対する満足度の高さがうかがえました。

 以降のタイトルにフォーカスしたコンサートがもいつか実現するといいなと想いを馳せながら、本レポートを締めくくりたいと思います。

 なお、
オンラインショップでは演奏楽曲の解説や『幻想水滸伝 STAR LEAP』制作陣へのスペシャルインタビューを収録した公演パンフレット、イベントビジュアルを使用したグッズなどが販売中です。パンフレットはファングッズとしても価値が高い内容なので、来場できなかった方もぜひ手に入れてほしいです。

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<Symphonic Poem from 幻想水滸伝 Remaster 出演者(敬称略)>
松村秀明/指揮者
東野美紀/スペシャルゲスト
山本和哉/演出
庄司燦/編曲
湖東ひとみ/編曲
グランドフィルハーモニック東京/管弦楽

第三部 連作交響詩「デュナン統一戦争」

<セットリスト>
第1曲:プロローグ
オープニングBGM
敵襲
勝利への意欲
回想
働かざる者食うべからず
冒険の旅
強敵出現
郷愁
救出

第2曲:過ぎた日々
過ぎた日々
ニンジン、食べるかい?
あの丘に登ろう
月夜のテーマ
彼方の星
囚われた街
母への祈り
邪悪なる者
光のない戦場

第3曲:ジョウイ
生け贄の祝祭
緊迫
戦争
儀式
王者の行進

第4曲:天魁星
もっと遠くへ
さらに栄えし美しき黄金の都
魔物たちとの対決ふたたび
作戦
光のない戦場
追いつめる
Mad Luca
邪悪なる者

第5曲:黒き刃の紋章
回想~ストリングスバージョン~
怒りの鉄拳
悲しみのレクイエム

第6曲:輝く盾の紋章
迷宮~PENPE2
強敵出現
対決の時
銀狼
La passione commuove la storia ~情熱は歴史を動かす~

終曲:始まりの紋章
Chant~あなたと出会い生をうけ、あなたを失い死を知った~
彼方の星
エンディングマーチ ~我らは常にいつならん(108人のその後)~Coda
勝利

【幻想水滸伝II】Encore


Gothic Neclord
Orizzonte

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