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【ほぼ週刊電撃スタッフコラム:オッシー】ぼくのかんがえたさいきょうの魔改造キメラバランスブレイカーカードで相手は死ぬカードゲームと「これだけナメられたのは久しぶりだ」と静かにブチギレる岸辺露伴先生が最高だった!

文:オッシー

公開日時:

 みなさんこんにちは。夏かと思うぐらい暑かったり、急に冷え込んだりする今日このごろ。息子の体育祭を見に行ったら顔が真っ赤になるくらい紫外線で焼かれました。ソーラ・レイこわい。ということで、スタッフコラム第二回目もオッシーがお送りします。

 このコラムでは、狂ったようにプレイしている日々のゲーム体験や、ゲーム以外の趣味である映画鑑賞などで接種したエンタメコンテンツを、短文レビューを形式でお送りしています。今回もゲーム編と映画編です。

楽しい森の仲間たちが超弾幕で圧倒するヴァンサバライク

タイトル:『Broventure: The Wild Co-op』
プレイ状況:Steam版 ラスボス討伐済み

 森のどうぶつたちがプレイアブルキャラクターのヴァンサバライクゲーム。特徴的なところとしては、採取の要素があり、採集ポイントでカッツンカッツンするのを待たなければならない(が、ヴァンサバよろしく敵が湧き続けるので一箇所に留まっていられない!)。採取した素材で武器防具のクラフト要素あり、恒常強化もしっかりあって楽しい。

 素材で拠点拡張(というか新キャラアンロック)要素もある。ワニとか、森のどうぶつじゃないのもいる(マップも火山とかあるし別にいいけど)。やっている時は武器作成、拠点拡張と楽しいものの、一定進めるとやることが無くなって素材が要らなくなる=採取も不要になるのがちょっと寂しい。ランダム要素のあるアップグレードとかで無限に素材使えるようにしてほしかった。

 アクション部分はちょっとだけアクティブスキルもあるけど、基本はヴァンサバ同様自動アタック。召喚技も多く、敵と見分けが付かないのがちょっと困る。ゴーレムとか属性ごとにいるもんだから、画面中が(自分の)ゴーレムで埋め尽くされることもある。ただ敵と味方でワラワラ感は物凄いので、個人的には楽しかった。

 ということで、基本的にはかなり楽しく最後までプレイしたものの、現状のバージョンだとラスボス倒すとフリーズするので、エンディングが見られなかった。かなり硬いラスボスを削りきって倒してこれなので、残念至極。ぜひアップデートで修正希望。

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▲森の仲間たちが集まる拠点。捕食する側とされる側が微妙な距離感で生活している。

顔が見えなくても体型と所作でマブイチャンネーかどうか分かる特殊能力

タイトル:『??がつくった映画館』
プレイ状況:Steam版 クリア済み

 ホラー配信でプレイしたサイコホラーゲーム。受験生が病んでいく様子をホラー風味で表現する。この作者さんの以前の作品もプレイしていたものの、作風が全然違っていて、今回のが一番好みだった。

 プレイする前は映画『ニュー・シネマ・パラダイス』みたいな感動系だと思ったら、まあまあ重い話でびっくり。シングルマザーのお母さんが夜のお仕事をしながらもちゃんとご飯を用意しておいてくれるのが泣けた。夕食はトルティーヤよ。

 学校パートと家パートに分かれてるんだけど、学校パートの登場人物の顔部分が名前の頭文字になっている。山田なら「山」とか。女の子もそうなんだけど、なんとなく可愛いかどうかが顔以外の体型や所作、セリフから分かるから凄い。いや、本当に可愛いかどうかはしらんけど。

 短編なのでサクッと終わるのと、主人公が病んでいくさまが良く表現されていて良かった。でもゲーム内で数学の問題をリアルに解かされるけど、自分の学力の低下が如実に分かって辛かった。『龍が如く8』の大海原専門学校もしんどかったわ。セガ検定くらいしかまともに解けない。

■電撃インディー配信アーカイブ
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▲藤澤ちゃんは俺の嫁。性格も良い判定(陰キャにも話しかけてきてくれるので)

シュールレアリスムな動物たちをノアの方舟に詰め込んでスーパーコンボを生み出すローグライク数独

タイトル:『ノアのジレンマ』
プレイ状況:Steam版 未クリア

 きたるべき滅び(洪水)から逃れるために、あらゆる動物をつがいで載せて種の保存を図ったというノアの方舟をモチーフにしたゲーム。でも実際はつがいでも無いし、みんな二足歩行するし、喋るし、むしろ文明が滅んだ後のミュータントなのでは? という動物たちが繰り広げる船倉パズルゲーム。

 それぞれの動物(カード)にランダムでスキルやアビリティが割り振られていて、それをうまく組み合わせてポイント(ポイントが高いと速く舟が進む=洪水から逃れられる)を稼ぐコンボゲー。これが楽しくて、頭を捻るとバカでかい数字が出るので気持ちいい。「上のエリアを二倍にする豚と自分でポイントを乗算する熊をかけ合わせて……猿は生贄にしてイタチに食わせよう」みたいに傍から見たら意味が分からないようなセリフが飛び交うのも、『どうぶつタワーバトル』を彷彿とさせてよきかな。

 タコやらイカやらの化け物とのシミュレーション的な戦闘パートもあり、これも楽しい。これがあるので、「ポイントは稼げないけど戦闘では役に立つ」という動物も飼っておく必要がある。ジャイアンポジ。

 イラストが秀逸で、(悪)夢に出てきそうな独特のビジュアルの動物がたくさん出てくる。舟に載せる動物以外に、道中で立ち寄る島にもたくさん動物が出てくるが、無気力だったり、俗物的だったりして、ポスト・アポカリプス感が良く出ていると思う。でもそんな動物たちを助けたいか? と問われるとそんなんでも無いので、あくまで駒(カード)として割り切って使える(生贄にしたり、戦闘で使い潰したり)。

 しっかりコントローラー対応しているのも好感触。ぜひ家庭用移植して欲しい!

■電撃インディー配信アーカイブ
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▲能力をコピーするトリ。これで乗算系バフを盛り盛りにした動物をコピーすると……たのしい!

恐怖に特化した演出と間口の広い難易度設定がマッチした良作。ハードモードになると途端に鬼畜難易度になる

タイトル:『霊室・深』
プレイ状況:Switch版 クリア(コンプリート)済み

 いわゆる『8番出口』フォロワーではあるが、恐怖演出に特化していた『霊室』の家庭用版。異変を見つけたら御札を貼るのが特徴。御札を貼ることによって更に怪異現象が起きることが多く、御札を貼る行為自体が怖いのがシステム的に良い。『零』シリーズなどにも言えるが、「プレイヤー自身の行動が引き金になる恐怖」はホラー演出として優れている。

 狭い室内なので異変が見つけやすく、難易度自体は低め。上記のホラー演出をプレイヤーに体験してもらうためにあえてやっていることだと思われる。

 一方、難易度ハード(難しめ)にすると、怪異が追加されるが、これが分かりづらい! 普通と難しめで難易度の差がかなりあるように感じた。まあ普通難易度がサクサクなので、このくらい歯ごたえが無いと簡単にコンプリートできてしまう、というのもあるのだろう。

 8番ライクは多数プレイしたが、その中でもこのタイトルは、ちゃんと恐怖演出に特化している部分など、完成度が高くオススメできる。

■電撃インディー配信アーカイブ(ネタバレ注意!)
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▲ジャンプスケア多め。分かっていてもびっくりする窓を叩く怪異。隠す気はあんまないっぽい。

リアル「エタナールフォースブリザード=相手は死ぬ」ができる! カードゲーマー発狂の魔改造キメラカード育成ゲーム

タイトル:『Trizon』
プレイ状況:Steam版 未クリア

 インディー親子実況配信でプレイしたが、配信後に息子がボソッと「お父さん、インディー配信ってこういう面白いゲームに出会えるのが良いね」と言っていたのがすべて。めちゃくちゃ面白いカードゲーム。

 ルール的には普通のカードゲーム(コストが別のカードなので『デュエルマスターズ』とかに近いのかな? カードゲームは『マジック:ザ・ギャザリング』しかしないので良く分からない……)。特徴は、ゲーム内でカードが融合できる。特定のカードとカードが融合できるのではなく、誇張なくすべてのカードが融合できる。しかも融合したカードがいい感じに調整されるのではなく、単純に足される。スペックと能力とコストが単純に足される。場合によっては能力そのままでコスト減したりする。調整放棄ってレベルじゃない。対人戦が無いので許される禁じ手。

 結果、マジヤバイことになる。全カードゲーマーが発狂するレベル。どんだけヤバいかを『マジック:ザ・ギャザリング』に例えると、「初手に必ず手札に来る」+「パワータフネス=99/99」+「場に出た時にすべてのクリーチャーをゲームから取り除く(自分以外)」+「自分の場にマナトークンを無限に生み出す」+「デッキから好きなカードをサーチしてドロー」みたいな1枚でも(レガシー環境でも)許されないようなカードの能力を全部盛りしたカードが(理論上)作れる。小学生の時、手書きで作った「ぼくのかんがえたさいきょうのかーど」レベル。

 ただし、カードは一枚ずつ融合なのと、ゲーム間で引き継げるのが一枚だけなので、上記のような鬼カードを作るにはかなりプレイする必要がある。そういった意味でいうと、丹精込めてせっせと未来の最強カードを育成する、カード育成ゲームとも言える。極まったカードを使ったらそりゃ即勝利できるのでつまらないが、それはイコールゲームクリアなので無問題。

 息子が今日もせっせとカード融合して最強カード育成をしているのを見ると、良いゲームを発掘できたと嬉しくなる。インディーはこれだからやめられない!

■電撃インディー配信アーカイブ
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▲息子が最初のプレイで作って引き継いだカード。マナを生み出しながらキルで追加ダメージ、死んでもクリーチャー召喚でアド失わず。強すぎる。


 
次は映画編! ネタバレありなのでご注意を!

岸辺露伴は結構動く! あの名作「懺悔室」を良い感じに拡張して一本の映画にした脚本:小林靖子はやはり神

タイトル:映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』

 原作漫画『岸辺露伴は動かない』でも指折りの名作と言える『懺悔室』エピソードを劇場版にして、全編ヴェネツィアロケとか期待しかなかったが、その期待を裏切らない傑作だった。

 名作ではあるが、エピソード的に劇場版だと尺余らない? テレビドラマ一話分くらいじゃない? と思ってはいたが、さすがの靖子にゃん(敬意を込めて)、『懺悔室』のテーマである「呪い」を「幸運が襲い来る」としてうまく昇華。まさかあの時の娘からヴェネツィア取材旅行の取材対象まで絡めてキレイにまとめるとはお見事! ジョジョ自体、根底に運命論がありつつもそれに立ち向かう黄金の精神や覚悟を描く作品だと思っているが、今作の岸辺露伴先生のマインドもそれにふさわしい高潔な精神だった。「(襲い来る幸運に対し)ここまでナメられたのは久しぶりだ」とか「芸術じゃない、漫画だ」とか、とにかく自分の美学・哲学があって、それに歯向かうものに全力で立ち向かうのが岸辺露伴先生で、今作でもそこに痺れる憧れる。

 ヒロイン(?)泉京香も今回もバッチリ存在感を見せていて良かった。襲い来る幸運も華麗にスルー(というか全力で享受)し、イタリア語もまったく話せないのに(ヴェネツィアの)登場人物とコミュニケーションを取れる能力……作中最強は彼女だと思う。岸辺露伴役の高橋一生さんと泉京香役の飯豊まりえさんがご夫婦なのも踏まえてみると、最後のブーケのシーンなど、勝手ににんまりしてしまう。作外まで完璧だった。ベネ!


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▲幸運に襲われてオペラを見る二人。この演目も伏線になっていて靖子にゃんホント凄い。

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