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レビュー:ゴミ箱をあさり、死にかけのヒロインに腐った食べ物を与える罪悪感。ホームレス系サバイバルゲーム『リバープロジェクト・トーキョー』体験版をぜひ遊んでほしい【電撃インディー#1032】

文:あまも

公開日時:

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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、東映アニメーションがネストピと共同開発中のサバイバルサスペンスADVゲーム『Re:VER PROJECT -TOKYO-』(リバープロジェクト・トーキョー)の体験版先行プレイレポートをお届けします。
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 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!



■Re:VER PROJECT -TOKYO- 日本語 ver. Trailer

平穏な日常から突如として逃亡中の身に【リバープロジェクト・トーキョー】


 本作は、ピクセルで表現された現代の東京を舞台にした、サバイバルサスペンスアドベンチャーゲームです。

 芸能事務所でマネージャーをしている主人公の弥音(あまね)ユキノリは、ある日、慰霊祭で起きた殺人事件の犯人に仕立て上げられ、逃亡生活を余儀なくされます。

 そんななか、事件のあと行方不明になっていた国民的アイドルの六実(むつみ)ひなぎが、ユキノリの前に現れて真犯人を見たと証言。果たして2人は事件の真相を暴き、身の潔白を証明することができるのか⁉ ……という物語が展開されます。

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 今回の体験版では、高熱を出して倒れてしまった六実ひなぎの病を治すため、入手困難な高級医薬品を探して奔走する3日間を体験することができました。

大都会東京で始まる無一文サバイバル【Re:VER PROJECT -TOKYO-】


 本作には、サバイバル要素としてカロリー・水分・健康度という3つのステータスが存在し、時間経過とともに減っていくそれらを管理しながら、事件の真相を追っていきます。

 ただ、ユキノリはお尋ね者として顔が知られてしまっているため、コンビニや飲食店の立ち並ぶ東京だとしても、何かを買うということができません。

 ではどうするか?

 そう、ゴミ箱を漁って飲食物を探したり、拾ったドングリを食べられるように調理したりなど、お金をかけずにやりくりしていくホームレスのような生活が始まるのです。

 文明の栄えた街中でやる行為としては、かなり気が引けてしまいますが、背に腹は代えられません。

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▲このように、道端に置いてあるゴミ箱を漁っていきます。

 というわけでプレイヤーは、犯人の手がかりを探しながら、ゴミ箱や廃墟を漁って食料や医薬品、クラフト素材といったアイテムを集めることになります。

 ゴミ箱から手に入るのは、腐りかけのおにぎりや飲みかけのペットボトルで、飢えや渇きは癒せますが、代わりに健康度が下がってしまうものばかり。

 なかには“古代のハンバーガー”という、いつのものかわからないのにまったく腐っておらず、リスクなしで腹いっぱいになれる素晴らしいアイテムもあります。その説明には、「包み紙に包まれたハンバーガー。相当古いようだが……なんと全く腐っていない。」と書かれていますが、まったく理屈がわかりませんでした……。

 手に入ればかなり頼れるアイテムなのですが、なかなか見つからないので、基本は腐りかけの食料で凌いでいくことになります。


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▲ゴミ箱から手に入れた食料たち。見るからに健康に悪そう。
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▲実際に“飲みかけの飲料水”を飲んでみると、なんだか臭いが気になるようです……。
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▲噂の古代のハンバーガー。見た目も普通だし、なぜ腐っていないのかほんとに不思議。

 さらには、ユキノリだけでなく、隠れ家で待っているひなぎにも飢えや渇きが存在し、探索をしながらひなぎの体調も気にしなければなりません。

 システム的には、病に倒れているひなぎに腐りかけの食料をあげてもまったく問題ないのですが、実際にあげるとなると、なんともいたたまれない気持ちに苛まれます......。

 なので筆者は、古代のハンバーガーとか新品の飲料水とかちゃんとしたものを優先的にあげることで、その罪悪感を減らしていました。

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▲探索に夢中になっていると、帰ってきたときにはひなぎが今にも息絶えそう、なんてこともあります。
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▲健康状態が悪いと、ユキノリも段々と弱音を吐くようになります。やはり何をするにも一番は腹ごしらえですよね。

 一般的に“アイテム集め”というと作業っぽくなりがちですが、公園には食料になるどんぐりが多く落ちていたり、パソコン教室では機械部品を見つけやすかったりなど、本作では手当たり次第にただアイテムを集めるのではなく、あたりをつけて探索する面白さを感じられます。

 また、2人分の健康管理を強いられるリソース管理の重要性など、サスペンスメインかと思いきや、サバイバルゲームとしての楽しさもしっかりと感じることができました。

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▲公園には、食べ物に困ったらここ! と言わんばかりのどんぐりが落ちていました。
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▲かつてパソコン教室だった廃墟。パソコンなども放置されたままで、機械部品が拾えました。

 また、転売ヤーに大人気らしい“PSBox7”や、ヨルダンで作られたシューズ“エアヨルダン”など、どこかで見たことのある気がするアイテムも存在し、ついつい説明を見てしまうような仕掛けも散りばめられています。

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▲中古のPSBox7:超大人気ゲーム機のPSBox7。動く! 転売ヤーに気をつけろ!
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▲エアヨルダン:ヨルダンで作られたシューズ。持ち物に入れておくと移動速度が30増加する。

警察だけじゃなく都民にも監視される⁉ 都民センサーシステム【Re:VER PROJECT -TOKYO-】


 本作の一番の特徴ともいえるのが、警察だけではなく一般NPCの動向も気にしなければならない“都民センサーシステム”。

 相互監視社会となっている東京では、奇妙な行動をとる人間に対してかなり敏感になっており、ゴミ箱を漁っているのはもちろん、長時間走っているだけでも怪しまれ、警察の捜査進行度が上昇します。

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 始めは警察に見られても怪しまれるだけだったのが、捜査が進むと見られた途端に追いかけられるようになり、捕まるとゲームオーバーになってしまいます。

 そのため、いかに捜査進行度を上昇させないか、がクリアの鍵となります。

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▲始めは警察に見られても捜査が進むだけでした。
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▲捜査が進むと言動が変わり、追いかけてくるようになります。

 人通りの少ない路地裏でゴミ漁りをしたり、警察官を見たら迂回したりと、慎重に行動することで捜査を進展させずに動き回ることができます。

 ただ、目標の期限が迫っていたり、腹が減ったりしている状況では、そんな悠長なことをしている暇はありません。いざとなれば人のあふれる繫華街を駆け抜けたり、警察の横を通り抜けたりと、リスクのある行動をとらざるを得ないゲームバランスで、適度な緊張感も味わえました。

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サバイバルとサスペンスを融合させる意欲作【Re:VER PROJECT -TOKYO-】


 監視の目を掻い潜りながら、東京という大都会でサバイバルをする本作。今回プレイした体験版ではシンプルながらも緊張感のあるサバイバルを味わうことができました。

 ストーリーについてはあまり触れられませんでしたが、サバイバル要素の手触りがよかったため、逆にストーリーへの興味がより一層高まった気がします。

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 ほかにも、現代東京をイメージしたどこか見覚えのある風景や、ネタやユニークな効果の仕込まれたアイテム、儚さや陰のある雰囲気を醸し出す幻想的な音楽など、細かな部分へのこだわりも感じられました。

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▲高架下には焼肉屋や居酒屋が立ち並んでおり、東京っぽさがあふれています。

 本作は、2025年の7月に開催が予定されている“BitSummit the 13th Summer of Yokai”にて最新体験版を発表予定ですので、気になった方はぜひ、今後の動向を追ってみてはいかがでしょうか。

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