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ボルテージ新作『レッドベルの慟哭』レビュー。重く儚い、けど美しい物語に引き込まれる。一歩進むごとに闇が深くなるダークファンタジーADV

文:ぎょにちむ

公開日時:

 ボルテージのコンシューマー向け新規ブランド“AmuLit”から、Nintendo Switch向けダウンロード専用ソフト『レッドベルの慟哭』が本日2025年6月5日に発売となりました。

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 本作は、ヴァンパイアと彼らに立ち向かうハンターたちの戦い、そして彼らを取り巻く絆と運命を描いたダークファンタジー・アドベンチャー。

 重厚なストーリーに加え、緊張感あふれる選択、そしてロマンス――プレイヤーを惹き込む要素が詰め込まれた一作です。

 そんな『レッドベルの慟哭』を先駆けてプレイすることができたので、その内容の一部をお届けします。

ヴァンパイアへの深い復讐心をもつ主人公


 プレイヤーの分身となるのは、ヴォンパイアハンターの主人公。名前は自由に変更可能です。

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 愛着のある名前をつけると、主人公を自分の分身として楽しむことができますし、デフォルト名にすると主人公を俯瞰視点でみることもできます。

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 主人公は、唯一の肉親の兄を幼いころにヴァンパイアに殺されてしまいます。

 そのことからヴァンパイアに強い憎しみの感情を抱いており、ヴァンパイアハンター、その中でも最強の集団“Elpis7”として名を馳せています。

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 舞台は、人間たちが穏やかに暮らす地“へーメレー”。そこに、ヴァンパイアの世界“ニュクス”から現れるヴァンパイアに立ち向かうハンターたちの戦いが描かれます。

 “Elpis7”には、主人公以外にヴァンパイアとの因縁のある6人のハンターがおり、彼らは、王国騎士であるギャレットに呼び出され集結することになります。

 ギャレットは王国から行方不明になった王子を見つけて連れ戻すという勅命を受けていました。

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 現在の“Elpis7”に、王国騎士のギャレットを加えた8人は“Elpis8”となり、ヴァンパイアの世界ニュクスへと足を踏み入れることになります。

 しかし到着早々とある悲劇が起こり……彼らは“決闘遊戯”という、謎のゲームに巻き込まれることに。

 王子の行方、ヴァンパイアの世界の真実、そして“決闘遊戯”の正体とは? 物語は、一歩踏み出すごとに闇を深めていきます。

ノベルパートとミッションパートのふたつのゲームシステム


 本作は、ビジュアルノベルスタイルで物語を読み進めていく形となっています。
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 美しいイラストの立ち絵や、美麗スチルもたくさん用意されているので、どんどん読み進めたくなること間違いなしです。

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 また、物語を進めていくと、いくつかの選択肢が登場しますが、これが物語の行く末を決める貴重な選択となることも。

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 本作、かなりバッドエンドが多く、もちろんそれは生死に関わる内容となっているので、かなりダークな内容であることも覚悟しておいた方がよさそうです。

 もちろん、バッドエンド後はすぐに直前の選択肢に戻ることもできるので、あえて間違った選択をしていくというのも楽しみ方のひとつになりそうです。

 とはいえ、「いい感じに進めてたはずなのにこれBADENDルートなの!?」ということもしばしば。物語が予想もつかない展開になっていくのも『レッドベルの慟哭』の魅力のひとつです。

[IMAGE]▲回避不可能な死を巻き戻せてしまう、大いなる意思がそこにあるかも……。

 加えて、“ミッションパート”と呼ばれるボードゲーム風の探索モードも登場します。

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 これは、指定されたマスの分だけ自分のコマを動かすことができ、その指定内にゴールできればクリア、という内容です。

 ちなみに移動可能マス数内にゴールに辿り着けなければゲームオーバーです。

 逆にゴールまでに動かせるマス数に余裕があれば、いくらでも寄り道が可能です。

 さまざまな寄り道ルートが用意されていますが、罠の場合も多数。そのイベントを回収したばかりに、ゴールに辿り着けずにBADENDになってしまう……なんてこともザラにあるので、どのルートでゴールを目指すかは、1マス目から考えなければいけません。

 幸い、ボードの全体像をあらかじめみることができるので、ゴールまでの道筋のマス数をしっかり数えながらいけば、そうそう積むことはありません。

 こちらも、もしゲームオーバーになってしまっても、すぐにミッションの初めからやり直すことが可能。BADEND覚悟でイベントの回収をする、というのもいいかもしれません(メンタルの耐久度にはご注意を)。

攻略対象は選ぶのではなく……?


 本作でロマンスを楽しめるキャラクターは以下の4名です。

“Elpis7”最強のハンター。キーラン・ローウェル(声:江口拓也)

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 “Elpis7”最強とされているキーラン。上級のヴァンパイア討伐の実績が一番あり、主人公は彼と手合わせするも勝ち目はありません。いつか勝つ日が来るのでしょうか?

 幼い頃からハンターとして過ごしているので、冷酷に見えるのですが、実際は……?

王国騎士ギャレット・ウェルキン(声:浪川大輔)

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 ヘーメレーの英雄として、王国に仕える騎士。個性豊かでクセの強いハンターたちをまとめ上げる統率力があります。

 気を配る才能もあり、厳しくもあり優しくもある騎士という名にぴったりの人物です。

“Elpis7”で主人公の幼馴染アシェル・トンプソン(声:岡本信彦)

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 両親を失った主人公を引き取った夫婦の子供。主人公とともに幼少期を過ごしたものの、どうやら不治の病にかかってしまった模様。

 彼の行動や言動は不可解なところもあるのですが、時折みせる幼馴染としての顔が、そんな不安を払拭させてくれます。

ヴァンパイアのロドス・ハートフィールド(声:河西健吾)

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 ハンターたちの討伐対象であるヴァンパイアなのですが、どうやらあまり敵意がなさそう。

 主人公にかなり執着していて、どうにかして引き入れようとしてきます。


 ……ということで、“攻略対象”として4名を紹介しましたが、いわゆる“攻略対象を選ぶ”形式ではない点にも触れておこうと思います。というのも、複数の世界線を並行して体験していくという独自の構造をしているからです。

 少々ネタバレになってしまうのですが、本作はいくつかの世界線を同時に進めることができるようになります。この世界線の各々は繋がっていないのですが、唯一、主人公であるプレイヤーだけはすべての記憶を持って物語を進められます。これが本作の鍵となる最大ギミックなのです。

 さまざまな事情をもち、主人公と絆を深めていくのですが、それは、決して単純に甘いだけのものではありません。彼らとの関係は甘さだけでなく、葛藤や悲哀を伴う重厚なドラマとして描かれています。

 とくに、ヴァンパイアを強く憎む主人公と、ヴァンパイアであるロドスとのロマンスがなぜ起こり得るのかは、個人的にぜひ読んでいただきたい物語です。

▼攻略キャラクターの詳細はこちらをチェック!

 本作、序盤から怒涛の展開を見せるため、本当に目が離せない内容となっています。 

 物語を進めれば進めるほど、新たな問題が浮上したり、真相を掴む手がかりを手にしたりと、正直、ゲームを辞めるタイミングがわからないほど夢中で読んでしまいました。
 
 プレイヤーが全てのルートを経験することで初めて見えてくる“光”が、とても心地良いんです。

 ダークファンタジーに、心をえぐるドラマと切ないロマンス。ヴァンパイアハンターとしての誇りと苦悩、そして愛――そのすべてを、ぜひその目で確かめてください!

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