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『マスターオブモンスターズSSB』プレイ感想:14年ぶりのシリーズ最新作は育成が熱いハードコアなS・RPG。ドラゴンやワイバーンなどモンスターたちの使役にワクワクする

文:編集O

公開日時:

 6月26日にPS5/PS4/Nintendo Switch/PC(Windows/Steam)で発売予定の、システムソフト・ベータが贈るファンタジーSLGの最新作『マスターオブモンスターズSSB』。

 『マスターオブモンスターズ』は1988年から続く人気S・RPGシリーズですが、本作は14年ぶりの新作というだけあり首を長くして発売を待っていたファンも多いはずです。

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 そこで今回はその注目作のレビューをお届け。マスターによるモンスターの召喚、育成、編成といったシリーズの柱となるシステムの概要と、プレイして感じた本作ならではの醍醐味をお伝えします。

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主役はモンスター! 有利に戦えるモンスターを召喚&使役しながら戦場を制する『マスターオブモンスターズ』シリーズ


 『マスターオブモンスターズ』は歴史の長いシリーズだけに、遊んだことがないという方も多いと思います。なので、そもそも『マスターオブモンスターズ』シリーズはどんなゲームかということから語りたいと思います。

 前提となるのが戦場は六角形のマスで区切られたステージで、プレイヤーはマスター(召喚者)が倒されないようにモンスターをコマのように使役。六角形のマスで区切られたマップでの勝利を目指す、ターン制のシミュレーションRPGであること。

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 そして、マスターとモンスターにはロウ・ニュートラル・カオスという属性が設定されていて、属性ごとに召喚できるモンスターが異なるのがポイントです。

 ただし、モンスターの召喚にはMPが必要となり、さらに1ターンで召喚できる回数に制限があるため、無尽蔵に呼び出すことができません。

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▲属性には得意な時間が設定されていて、画面右上に現在時刻が表示されています。ロウは昼に強化され、カオスは夜に強化される仕組みです。

 ですが、その制限があるからこそ「いつ召喚して、どのモンスターを戦わせるか」といった高い戦略性と、その試行錯誤の結果ステージを突破できたときの爽快感がダブルで味わえる点が、SLG好きに刺さっている理由なのです。

 なお、マスターも戦うことはできますが、倒されたらゲームオーバーなので基本は戦わせず召喚やサポートに周り、あくまで主役はファンタジー界の名だたるモンスターたちになります。
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ゲームの華はモンスターを召喚してのバトルだがドラマ部分もしっかり楽しめる『マスターオブモンスターズSSB』


 主人公などの設定はなく、単純に戦略ゲームとしての楽しさを追求した1作目。そこからシリーズを重ねて主人公が登場するなど、『マスターオブモンスターズ』は物語にも力を入れてきました。

 もちろん、最新作『マスターオブモンスターズSSB』でもそちらも読みごたえのあるシナリオが用意され、本作は中世の大航海時代を舞台に、世界各地を巡りながら力を持つ不思議な石をめぐる戦いに巻き込まれていきます。

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▲本作のメインシナリオでは“地域情報”で来訪した地の情勢などを確認できます。

 キャラクターもしっかり個性が付けられていて、たとえばシーザーならば記憶喪失で色に染まっていないからニュートラルというように、ロウ・ニュートラル・カオスの属性設定が人物像とマッチしている点も説得力がありました。

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▲キャラ情報はマスターの情報や、モンスターの説明を読むことができます。かなり読み応えがあるので、ぜひチェックしてほしいですね。

同じモンスターを同じマスに集めて1つのユニットにする“スタック”の使い分けがおもしろい『マスターオブモンスターズSSB』


 本作でおもしろいと感じた要素が、“スタック”と呼ばれる同じモンスターを同じマスに集めてひとつのユニットにするシステムです。

 これにより、ステータスの低いモンスターでも数をそろえることで、ステータスの高いモンスターに対抗できます。

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▲上位のモンスターは強力ですが、召喚する際のMPが多く必要になるので、序盤からの運用は難しいです。

 基本的に敵は序盤から圧倒的な物量で攻めてくるので、まずはマスターが攻撃されないようにスタックは少ない形(MPの消費を抑える)で多くのモンスターを召喚して壁に。ある程度攻勢をしのいだら、生き残ったモンスターをスタックさせて進軍していくのがオススメですね。

 なお、本作には属性ごとに召喚するモンスターのセットを事前に登録できる“編成記憶”があります。これを使うと、最大数でスタックした状態でモンスターを召喚することができ、しかも普通に召喚するよりも消費MPが減少するメリットも。

 記憶できる数は最大13枠用意されており、プレイした感覚では「足りない」と感じたことがないので、積極的に利用したいですね。

 ちなみに、記憶できる範囲(マスターからどの位置に召喚するのか)と召喚可能なモンスター数はマスターの育成で増やすことができます。育成が進むほど編成のバリエーションの幅が広がる点もよかったです。

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▲編成に名前を付けられたり、召喚する範囲を決められたりするカスタマイズ性の高さも魅力です。
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▲編成で消費MPを抑えて大量に召喚して、そこから“分離”させるのも手です。

『マスターオブモンスターズSSB』は“RPG”でもあるので育成して“力こそ正義”プレイも可能


 ある程度シミュレーションゲームをプレイした経験のある自分ですが、本作を通常難易度の“オーソドックス”でプレイしてみると、「それなりに手応えあるな」という感触。

 先述したように序盤から鬼のように敵が押し寄せるし、マップによっては敵が無制限に湧くこともあるなど、物量で押される感は常に背水の陣な感覚でした(笑)。

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▲モンスターを召喚するとそのターンは行動できないため、MPを貯めてから強力なモンスターを召喚しても先制できずに倒されてしまうというジレンマに陥ることも。

 もちろん、その窮地をいかに乗り越えるかがこのゲームの醍醐味ですが、それだと初心者はお断りな感じになってしまいます。

 ですが、本作にはちゃんと難易度変更が用意されており、“マイルド”ならば敵からのダメージが減り、こちらのダメージが上がるので、そういったジレンマも感じにくいはずです。

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▲戦闘中でも難易度が変更できます。厳しいと感じたら変更するのもあり。

 そしてシミュレーションでありながら“RPG”でもある本作は、“支配の書の解読”で戦闘やマップクリア時に得られる強化経験値を使い、マスターやモンスターを育てることが可能です。

 項目はHPや攻撃力を増やすだけでなく、最大スタック数を増やしたり、特定の能力の効果が上がったりと、育てるほどに「強くなった!」という実感を得られます。

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▲種族ごとに経験値は加算され、たとえば魔法生物ならばゴーレムとスライムが経験値を共有して使用します。
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▲強化はひとつ選べて、連続する項目ならば一気に強化することができます(ツリーの後半になるほど必要経験値は増える)。経験値を返還することもできるので、試しに育ててみることが容易なのもうれしいですね。

 個人的にはこの強化要素がけっこうお気に入りで、難易度を下げる&ガッツリ育てて強いモンスターで敵を蹂躙していく、“力こそ正義”的なスタイルで遊べる点も魅力だと思っています。

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▲ステージを途中で“撤退”(リタイア)しても、戦闘で得られた経験値やアイテムが残るのもうれしいポイント。

 ちなみに、「このゲームのやり込み量はヤバい」と感じたポイントとして、物語中盤以降に育成の強化段階がさらに広がることを挙げたいですね。

 「経験値はけっこう余るじゃない」と思っていた矢先、強化欄がドーンと広がって「まったく足りねー!」と焦ったのと同時に、「どこまで強くできるんだ」とワクワクしちゃいました(笑)。

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▲ズラッと並ぶ強化項目。種族をまんべんなく育てるか、どれかひとつに絞るか悩むことも育成の醍醐味ですよね!

 さらに強化という部分で語りたいのが、攻撃や支援で活躍したモンスターが戦闘経験値を得てレベルアップして、その状態を記憶してつぎのステージへ持ち越せる“召喚記憶”です。このシステムがあることで、愛着のあるモンスターに集中して経験値を稼がせたくなるし、高レベルになると強さが如実に変わるので頼もしさもアップします。

 “召喚記憶”するにはステージクリアまで生存させる必要があるので、ユニットを大事に運用して育てましょう。なお、戦闘レベルの上限と召喚記憶が可能な数は、マスターの強化で増やすことが可能です。

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▲自分が手塩にかけて育てて愛用中なのはドラゴン。レベル2とレベル6の状態ではこれだけステータスに差が!

育てれば十分戦える!? マスターの大魔法と連携魔法の使い方も勝敗を左右する『マスターオブモンスターズSSB』


 本作の強化はモンスターだけでなく、マスターも行うことができます。マスターはマスター全体とアンナ、シーザー、アイザックの個別で強化が可能と、こちらもかなり育て甲斐がありました。

 マスター全体はMP回復や召喚回数を増やせて、個別はHPや攻撃力を強化したり、魔法などが使用可能になったりするのですが、注目はマスター全体に用意された“連携魔法”です。

 これは3人が協力して発動する魔法で、たとえば対象のマスターが使用可能なMPを増やして、与える側はMPを消費する“アンプリファー”や、指定した敵にさまざまな弱体効果を与える“ディスカレッジ”などがあります。

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▲連携魔法はマスター全体のツリーの奥に配置されていて、習得への道のりはそれなりに長いです。

 これを利用した遊び方としてお気に入りなのが、ドラゴンやサンドワームのような超巨大モンスターを初手から呼び出すこと。

 これらモンスターはスタックできないタイプで、メチャクチャ強力だけど召喚に1500近くMPを必要とするという、運用がとても難しいモンスターになっています。

 ですが、マスターをある程度強化した中盤以降は、魔力が湧き出るヘックス(MP回復)を利用したり、“アンプリファー”を使ったりすると、初手からMPを1500以上確保できてドラゴンなどをすぐ呼び出すことができるのです。

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▲超巨大モンスターは攻撃役としても優秀ですが、呼び出したら敵の進軍ルートに配置しておけば反撃で敵を撃破してくれる盾としても大活躍。

かゆいところまでは少し手が届いていないシステム的な不満点も……『マスターオブモンスターズSSB』


 最後はプレイしていて気になったシステム周りのポイントをお伝えします。

 まず、せっかく3D表示なのにマップを回転できない点ですね。敵ユニットにカーソルを当てて、移動範囲を確認しようとしても、回転できないので見えないというジレンマがありました。

 また、全体マップを1ボタンで開けない(ズームアウトで全体マップ表示)、ユニット選択をボタンで送ることができない、移動可能なヘックスの色が地面と同化して判断しづらい、移動の指定カーソルが判別しづらいなど、これが修正されたもっと快適なゲームになるのにと感じた要素が多かったのも事実です。これらはアップデートなどで改善されるといいなと思いました。

 と最後にマイナスポイントを少々述べましたが、シミュレーション部分はしっかり手応えがあるし、強化して育てれば力押しもできるバランスの良ゲーであることは間違いありません。

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 『マスターオブモンスターズ』シリーズのファンはもちろん、この手のゲームが苦手だけど中世ファンタジーにロマンを感じる方にもオススメしたい1本なので、ぜひハードコアな中世ファンタジーの世界に飛び込んでみてください。

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