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『その着せ替え人形は恋をする』15話(2期3話)感想。この世界、何から何まで優しすぎる! と思いきや…。前半と後半での喜多川さんの落差もいろんな意味ですごすぎた(ネタバレあり)【着せ恋】

文:米澤崇史

公開日時:

 アニメ『その着せ替え人形は恋をする』第15話(2期3話)“日常パートめっちゃすこ~~~~♡♡♡”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『その着せ替え人形は恋をする』第15話(2期3話)の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

喜多川さん以上に化粧にハマり始めている五条くん【その着せ替え人形は恋をする】


 「おっぱいは装備できるから」という衝撃の(?)ラストから引き続き、姫野あまねのエピソードが描かれていた第3話。

 開幕から偽のおっぱいをつけた五条くんの絵面のインパクトがすごかったですが、胸部だけを見ていると甚兵衛が絶妙なセクシーさを醸し出していて、なんだか妙な気分になってきたのは自分だけでしょうか。


 今回は女装に限らず、男のメイク的な話題も。コンシーラーで青ヒゲを隠すとかは結構有名ですよね。普段から使えるものなので、五条くんが買うといった時は自分で使うのかと思いました(結局はそれも喜多川さんのためでしたが)。

 前回男が化粧を覚えることが別に変なことじゃないと気づいたからか、喜多川さんよりも五条くんの方が姫野さんの話に興味津々で、化粧に対する五条くんの中の壁が一つ壊れたような印象があります。

 姫野さんが女装なのに後から気づいてビックリするという流れもありましたが、実際自分もコスプレイベントの取材で撮影させてもらった時、後で写真のチェックをしていて、「あれ……もしかして女装だった……?」と気付いて驚愕するという似たような経験をしたことがあります。

 確かその時のキャラは『Fate/Apocrypha』のアストルフォで、キャラの設定的にも再現度が高すぎたという意味でも印象に残っています。コスプレって顔とかよりも衣装に目がいきやすいのもあって、性別に気づかないことって結構あるんですよね。


 ちょっと細かいところですが、顔のテーピングが剥がれた直後、喜多川さんが五条くんの場所まで飛んでいくような動きがめちゃ細かく作画されていてすごかったです(剥がれた瞬間の喜多川さんの表情も好き)。

 アニメの作画って戦闘シーンとかに目が行きがちですが、『着せ恋』はこういう日常のちょっとしたシーンで作画を担当されたアニメーターのこだわりを感じられるカットが見られたりするのが、楽しみの一つになっています。

めちゃ良い話からのラストの喜多川さんは落差がありすぎた【その着せ替え人形は恋をする】


 女装レイヤーってそこまで珍しいわけではないので、コスプレイヤーはともかく、女装という趣味が家族にも受け入れられるあたり、『着せ恋』って本当に優しい世界だなぁと思っていたら、やはりというべきか姫野さんには辛い過去が秘められていました。

 3話の冒頭で、女装について五条くんから聞かれた時、一瞬怖がっているような表情を見せていたので、何かしらはあったんだろうと予想はしていたのですが、いざ話を聞くと心が痛くなります。

 過去に自分の好きなものを否定されて、それでもそれを貫き通したという点で、五条くんと姫野さんって通じるところが結構あるんですよね(五条くん自身、話を聞きながら自分の過去のを思い出していたように見えます)。

 1・2話のハロウィンパーティでは、五条くん自身が気持ち悪いと言われることを恐れている姫野さんの立場にいたのが、今度は五条くん自身がそうじゃないと強く否定することができるようになり、少しずつ過去のトラウマが癒えているように感じます。

 ちょっと意外だったのは、五条くん以上に喜多川さんが強く反応していたこと。

 喜多川さんって、ある意味五条くん以上に周囲に引かれても不思議ではない趣味をしているので、似たような経験をしたことがあってもおかしくなさそうなんですよね。実際描かれている訳じゃないので妄想になってしまうんですが、もしかしたら似たような想いを抱いたことがあったのかもな……と。

 結果的にではあるものの、五条くんと姫野さんは過去が似ているので、喜多川さんの憤りが、姫野さんだけではなく五条くんにとっての救いになっている構図も良かったですね。


 ……と、すっかり良い話でオチていたところからの、ラストの喜多川さんの誕生日会エピソードは、あまりにも温度差が激しすぎました。

 フィギュアにお祈りしたり、抱き枕をスリスリしたり、枕に顔を埋めたり、端から見ると完全にヤバい人の領域に差し掛かっていて、あの菩薩のような五条くんですらちょっと困惑しているのは珍しいです(終始雫たんのマスクをつけっぱなしだったのもシュールですごかったですが)。

 とくに喜多川さんって五条くんが好きなわけで、その好きな人の前であれだけ本当の自分を躊躇いなく曝け出せるのって本当に凄いなと。

 普通なら好きな人に引かれたりするのが怖くてなかなかできないと思うんですが、「五条くんなら受け入れてくれる」という信頼があるからこそ、ここまで素の自分になれるんだろうなと、改めて二人の関係性の深さを実感した回でした。

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米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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