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『その着せ替え人形は恋をする』13話(2期1話)感想。変わらぬ五条と海夢の関係性にニヤニヤ。バニー姿のセクシーさがヤバくて劇中アニメの気合の入れっぷりも凄かった(ネタバレあり)【着せ恋】

文:米澤崇史

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 アニメ『その着せ替え人形は恋をする』第13話(2期1話)“五条 新菜 15歳 思春期”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『その着せ替え人形は恋をする』第13話(2期1話)の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。[IMAGE]

オープニング映像では、五条くんと出会う前の喜多川さんの姿が【その着せ替え人形は恋をする】


 『ヤングガンガン』にて連載されていた福田晋一先生の漫画を原作としたアニメ『その着せ替え人形は恋をする(着せ恋)』。

 2022年1月~3月にアニメ1期が放送され、非常に大きな反響を呼んでいた作品だけに、約3年越しの続編となる第2期の放送開始を待ちわびていた方も多いかと思います。

 自分はアニメは見ていたのですが、原作マンガまでは追いかけていないというくらいの立ち位置で、2期からのストーリーについては完全に初見となります。

 第1期では、老舗人形店・五条人形店の跡継ぎで、雛人形職人の祖父をもつ五条新菜と、アニメやゲームが大好きでコスプレに憧れる女子高生・喜多川海夢の二人が、交流を深めながら様々なコスプレにチャレンジしていく姿が描かれました。

 「もう付き合っちゃえよ!」と言いたくなる微笑ましい二人の関係性にニヤニヤしつつ、職業柄コスプレイヤーさんの撮影をさせてもらうこともたまにあったりするので、コスプレ衣装が作られる工程は1オタクとして興味深く、勉強になるなと思いながら楽しんでいた記憶があります。


 その上でスタートした第2期の1話(表記上は13話)ですが……冒頭からいきなりやってくれたなと。

 自分はリアタイをTV放送で見たので「チャンネルを間違えたか?」と一瞬思いました。

 『着せ恋』といえば、『フラワープリンセス烈!!』など、作中に出てくる架空の作品がやたらと作り込まれているのが特徴の一つでしたが、2期は一段と気合が入っていましたね。

 初っ端から流れた『こちら月夜野♡カンパニー』は、カートゥーンっぽさと90年代のコメディをあわせたようなちょっと懐かしい雰囲気のアニメで、島袋美由利さん、高橋ミナミさん、花守ゆみりさん、井上麻里奈さんと、劇中劇とは思えないくらいキャスト陣も豪華。

 『フラワープリンセス烈!!』の時も、丹下桜さんに宍戸留美さんという魔法少女のレジェンドが出演されていてめちゃくちゃ驚いた記憶があります。

 今回こっきりなのか、『フラワープリンセス烈!!』の時みたいに、ちょいちょい映像が流れるのか気になるところです。


 2期からの新オープニング映像も流れていましたが、今回はエンディングがなかったためスタッフロールと一体になっているちょっと特殊な形式でした。

 映像で印象的だったのがAメロの喜多川さんのカットで、作っているコスプレ衣装って、五条くんと出会うきっかけにもなった『ヌル女2』の雫の衣装なんですよね。

 一人で四苦八苦しながら衣装を作っていたところから、五条くんとの出会い(ハートの演出あたりがその暗喩でしょうか)をきっかけに、喜多川さんの人生の物語も大きく動き出した……みたいなことが感じられる演出になっていたのに尊みを感じられました。

バニースーツに詳しい店員さんは何者なのか【その着せ替え人形は恋をする】


 本編部分は変わらぬノリの『着せ恋』という感じで、やっぱり五条くんと喜多川さんの独特の関係が面白いなと。

 喜多川さんは五条くんにこれ以上ないくらいベタ惚れしてるわけなんですが、ポッキーのくだりでは五条くんをドギマギさせてからかうくらい余裕があるのに対して、家に来てほしいというメッセージを読んだだけで妄想が加速して超赤面状態になっているんですよね(五条くんの家には、既にかなりの回数行っているであろうにも関わらず)。

 感情表現の豊かさに加えて、喜多川さんって何をすれば恥ずかしがるかのラインが結構独特な印象があって、読めないところがあるからこそ反応が楽しみになるキャラクターなのかも……と思ったりもしていました。


 あとバニースーツへのこだわりみたいなのがいろんなところで語られていたのも面白かった部分。

 とくに今回の五条くんからは、セクシー系の衣装は得意ではないにも関わらず大真面目にアニメ内のシーンを細かく研究していて、クリップで止めるアイディアには難色を示してたり、職人としてのこだわりみたいなの面をあらゆるシーンで感じましたね。

 その後の、ユザワヤの店員さん(店舗名が実名で出ていたのもちょっと驚きました)にバニーを五条くん自身が着るものだと勘違いされるシーンでは爆笑しましたが、店員さんもやたらバニースーツに詳しいのも面白かったポイント。

 名前は宇佐美さんというらしいですが、落ち込む五条くんに的確なアドバイスもしていて、一体何者なのか気になります。


 あとは完全に偶然だと思うのですが、同じCloverWorks制作で、バニーガールの話題が定期的に出てくる『青春ブタ野郎』シリーズの2期が、TOKYO MXやBS11だと同日放送されているのもちょっと運命じみたものを感じたりもしました(コラボ企画をやったりもしていますね)。

五条くんが作り上げてきた壁をあっさりと壊す喜多川さん【その着せ替え人形は恋をする】


 今回の“五条 新菜 15歳 思春期”というタイトルが、喜多川さんの露出対策の肌タイツへのリアクションのシーンを意味していたことに気づいた時には爆笑しました。

 作画上では、しっかり生肌部分と肌色タイツで色分けされていて区別がつくようになっていますが、実際の肌かどうかはさほど重要ではないという五条くんの感覚は非常によく分かります。

 五条くんって普段は超のつくお人好しで、聖人みたいな存在ではあるのですが、こういうところは年相応なのが好印象なポイントです。


 あと、バニースーツ姿になってからの喜多川さんの動きがめちゃくちゃ生き生きとしたアニメーションで描かれていて、「さすがCloverWorks……」という気持ちになっていました。

 仮にあそこにいたのが五条くんじゃなかったとしても、男ならあんな状態になりそうだなと……。

 あと、個人的にもバニーのタイツは線が入っているデザイン派だったので、喜多川さんのタイツについてのこだわりには全面的に同意していました。あの線があるとないとでは全然印象が違うんですよね……!


 意外だったのは、そこからの流れで五条くんがクラスメイトたちと一緒にハロウィンに参加していたこと。

 本人も言っていた通り、五条くんがああいう集まりに参加するのってめちゃくちゃ珍しいと思うんですが、変な距離感みたいなのもなく自然に接していて、クラスメイトも皆良い子たちばかりだなと(最後にぶっこまれはしたものの、五条くんと喜多川さんの関係性についても深く詮索してなかったですし)。

 五条くんが化粧できることに対しても純粋な疑問から発されたもので、悪意は1ミリもなかったようでしたしね。

 結果的に、喜多川さんのノンデリ気味な一面が、今まで五条くんが自分の中で作り続けていた壁をあっさりと壊したのもなかなか爽快で、1期では解消しきれていなかった、五条くんの抱える問題に向き合うようなエピソードも描かれるのかもしれないと、今後の展開がより楽しみになってきました。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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