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宝塚ミュージカル『悪魔城ドラキュラ』ゲネプロ感想。『失われた彩画』の歌に涙し、舞台ならではの“愛”の描かれ方に感動

文:りえぽん

公開日時:

 8月16日より東京宝塚劇場で公演されている宝塚花組公演“ミュージカル・ロマン『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~”のゲネプロレポートをお届けします。

 あわせて、アルカードを演じる花組トップスターの永久輝せあさんと、マリア・ラーネッド演じるを花組トップ娘役の星空美咲さんの囲み取材の模様も掲載します。

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ゲーム楽曲での歌唱も。『失われた彩画』で思わず涙【宝塚ミュージカル『悪魔城ドラキュラ』】


 『悪魔城ドラキュラ』シリーズは、アクションが少し苦手ですが楽曲が好きで、毎回たくさんゲームオーバーになりながらクリアしているりえぽんです。

 宝塚歌劇団の公演を見るのは初めてでしたが、花組公演“ミュージカル・ロマン『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~”のゲネプロで大感激しましたので、この魅力をぜひ皆さんにお届けしたいと思います!

 宝塚歌劇団花組公演“ミュージカル・ロマン『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~”は、『悪魔城ドラキュラ』シリーズ初となる舞台化です。

 宝塚歌劇ならではのオリジナルストーリーと演出となっており、「ゲームファンは楽しめるの?」と思う方もいるかもしれませんが、まったく心配ありません。

 何と言っても、キャストの皆さんの衣装や演技が本当に素晴らしい! 特に、花組トップスターの永久輝せあさんが演じるアルカードは、マントを翻す動きや剣での戦い、少し不愛想な性格とその裏にある母に対する思いなど、まさにゲームのアルカードが目の前にいるようでした。

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 そして、事前に使用されるゲーム楽曲が発表されていましたが、ゲーム楽曲がたくさん使われているのもよかった点です。

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▲画像はKONAMI公式Xから

 楽曲の使われるシーンもどれもピッタリで、舞台が始まる前に『祈り』(ロード画面の曲)が演奏されたり、戦うシーンでは『幻想的舞曲』や『しもべたちの祭典』といった、ゲーム内でもボスバトルで使用される楽曲が流れます。

 そしてなんと、『Bloody Tears』と『失われた彩画』については、舞台オリジナルの歌詞によって歌唱もされています。『Bloody Tears』はリヒターとアネットが、『失われた彩画』はマリアとアルカードが歌います。特に『失われた彩画』は、2人のすれ違う思いが歌われており思わず涙してしまいました。

 ちなみに、半妖精が歌う『夜曲』はゲームと同じ歌詞で歌われており、ファンはニヤリとできちゃいますよ。

ゲームからの小ネタもありで原作ファンも大満足【宝塚ミュージカル『悪魔城ドラキュラ』】


 舞台はオリジナルストーリーと先ほども書きましたが、物語のベースは『悪魔城ドラキュラ』シリーズから、主に『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』のものとなっていて、プレイしたことがある方ならより楽しめると思います。

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 マリアが四聖獣を召喚し戦う場面があったり、マリアから“聖なるめがね”を受け取るシーンがあったり、逆さ城が出てきたりとゲームにもあった場面がたくさん見られます。

 そもそもミュージカルの始まりも、しっかりリヒターとドラキュラの戦いの場面からになっています。

 サキュバスがアルカードの母に関する悪夢を見せてくる場面など、ゲームのセリフがそのまま使われているシーンもありました。

 中には、アルカードがピーナッツを投げて食べる演出や、半妖精が「キャッ」とアルカードから離れる小ネタも。こういうのがあると、ゲームファンはうれしくなっちゃいますよね。

宝塚ならではの“愛”の描き方。リヒターとアネット、アルカードとマリア、そしてドラキュラと……【宝塚ミュージカル『悪魔城ドラキュラ』】


 宝塚歌劇で重要な要素の1つが、男役と娘役のロマンスです。ミュージカル『悪魔城ドラキュラ』でのオリジナル要素として大きいのがこのロマンス要素でした。

 リヒターとアネットに関してはゲームでも恋人同士として描かれています。ミュージカルではリヒターが悪魔城の城主として立ちふさがる理由が、アネットを神官シャフトらに人質に取られてしまったから、というものになっていました。

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 なおアネットは『月下の夜想曲』には本来登場していませんが、マリアの実姉という立場になっています。

 そして主役となるアルカードとマリアにもしっかりとロマンスが用意されています。舞台ではなんとマリアがオルロックに噛まれてヴァンパイアとなってしまいます。ヴァンパイアを人間に戻す薬をドラキュラが持っているため、マリアのためにもアルカードは父と戦うことになります。

 なぜドラキュラがヴァンパイアを人間に戻す薬を持っているかというと……。ここもしっかり理由が描かれていて、ドラキュラとアルカードの母・リサの愛が関わってきます。

 リサはドラキュラを人間に戻すため、薬の研究をしていたことになっています。そして完成した薬は使われることなく、リサの死後、ドラキュラが持つことに。薬のおかげでマリアは人間に戻り、アルカードを追って旅立ちます。

 それぞれの愛が絡み合って展開するストーリーが『悪魔城ドラキュラ』の物語にしっかりとマッチしていて、新しい体験を楽しめました。

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 もう1つのオリジナル要素として、フランス革命の場面が追加されていました。時代的にもあっているので描かれてもおかしくはありません。

 革命のリーダーが悪魔、つまりドラキュラ陣営と契約しているということになっており、アネットがさらわれるきっかけを作り出します。さらに、「欲深な人間どもによって蘇る」というドラキュラの設定にも深みを与えていました。

男性トイレに行列で驚き!? 『失われた彩画』歌唱の裏話も【宝塚ミュージカル『悪魔城ドラキュラ』】


 アルカードを演じる花組トップスターの永久輝せあさんと、マリア・ラーネッド演じるを花組トップ娘役の星空美咲さんの囲み取材では、貴重なお話を伺えました。

 先に6月~7月に兵庫県・宝塚大劇場で公演が行われていた本作。永久輝さんは公演で客席を見て、男性の方がすごく多いと実感したとのこと。男性用のお手洗いに行列ができていたという話も聞いたそうで、普段とは異なる客層にうれしいと同時に驚いた様子でした。

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 また、宝塚ではヴァンパイア(吸血鬼)を題材にした舞台が多くあるとのことで、ヴァンパイアの魅力についての質問が。これに星空さんは、小さいころからヴァンパイアが大好きだったと告白。宝塚の男役が舞台でヴァンパイアを演じると、人間とは見えないところが宝塚と相性がいいと話していました。

 ゲーム内楽曲を歌唱することについては、やはり『失われた彩画』がお2人とも印象に残ったよう。永久輝さんはこの楽曲がファンからの人気が高いことを演出の鈴木圭さんから聞いたそう。歌うとなると音域が広く音の上下も激しく苦戦したそうですが、神秘的で荘厳な曲の力を借りながら没入できた感じが素敵だったとコメント。

 星空さんは『失われた彩画』の前奏を聴くだけで、曲の物語の中に入っていけると感じたそう。そこに歌詞がある意味を深めながら歌うことに、わくわくしますとのことでした。

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『悪魔城ドラキュラ』ファンは絶対見てほしいミュージカル! ライブ配信でぜひ


 『悪魔城ドラキュラ』ファンには絶対に見てほしい“ミュージカル・ロマン『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~”。宝塚初心者なりえぽんも、すっかり虜になってしまいました。

 会場のチケットはすでに売り切れとなってしまっていますが、9月28日の千秋楽公演は、全国の映画館でライブ中継が行われる他、動画配信サービス“タカラヅカ・オン・デマンド”(Rakuten TV/U-NEXT)でもライブ配信が実施されます。

 また、9月10日にはブルーレイ/DVDの発売も決定しています。配信やブルーレイ/DVDの詳細は公式サイトでご確認ください。

宝塚花組公演『悪魔城ドラキュラ』『愛, Love Revue!』概要


ミュージカル・ロマン『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~
原作:コナミデジタルエンタテインメント 「悪魔城ドラキュラ」シリーズ
脚本・演出:鈴木圭

Romantic Revue『愛, Love Revue!』
作・演出:岡田敬二

宝塚大劇場(兵庫県)
公演期間:2025年6月7日(土)~7月20日(日)※公演終了

東京宝塚劇場(東京都)
公演期間:2025年8月16日(土)~9月28日(日)

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