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レビュー:強制的に選ばされる最悪への選択肢。『ハッピールートを終わらせて』は言霊で選択肢を増やして絶望的な世界を変える学園アドベンチャー【電撃インディー#1128】

文:電撃オンライン

公開日時:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はWater Phoenixが開発、ケムコがパブリッシングを担当するアドベンチャー『ハッピールートを終わらせて』のレビューをお届けします。

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 なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!


選択せずとも強制的に最悪な結果が起こされる【ハッピールートを終わらせて】


 『ハッピールートを終わらせて』は、選択肢を見ることができる主人公・赤羽氷河が絶望的な世界を変えるべく奮闘する、学園を舞台にしたアドベンチャーです。

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 突然ですが、後になって「あのときこうしておけばよかった」と思ったことはないでしょうか。

 選択によって分岐する際、赤羽氷河には選択肢が見えます。私たちとは違い、いくつかの選択肢を考えられるといううらやましい能力を持っています。

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 ただ、自分が最善だと思った選択肢を選んだ結果、よくないことが起きてしまうこともあるため、他人に冷めてしまっているところもあります。

 選んだ結果、すべてが悪い方に進んでしまっていたのだから、仕方ないのかもしれません。

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 この“選択肢が選べる”という能力を知っているのが紙島亜由乃。赤羽氷河がその能力ゆえに自分に近づいてほしくないと考えていても、かまわず仲良くなりたいと願っているヒロインです。

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 ここまでなら、選択肢が出ても今まで以上に考えて選べば何とかなる可能性がある……のですが、ついに最悪な結果を招いてしまいました。

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▲選択肢に変なものが?

 それまでの選択肢は「話しかける」「話しかけない」のように、結果が読めないものでしたが、そのときは絶対に選ばないような内容が選択肢に現れます。しかも、選べるのは「亜由乃を殺す」だけ。

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▲下の選択肢なんて選ぶわけがない。
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▲ゲームとしてはいちばん上の選択肢を選べますが、「亜由乃を殺す」を選ばないとストーリーが進みません。実質一択です。

 選択肢を選んでしまったら、その行動は必ず実行されます。つまり……。

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 それまでは、選択の結果が最悪になっていたのですが、今度は最悪の選択しかできず、最悪になるという絶望的な方向に能力が変わってしまいました。

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▲追い討ちをかけるような残酷な選択肢……。

選べなくなった正しい選択肢を取り戻せるのか【ハッピールートを終わらせて】


 選択肢を見る能力が最悪の結末につながってしまった世界で、赤羽氷河は深く苦しみますが、天笠麗羅を通じて、自分以外にも同じ能力を持つ人物がいることを知ります。

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 さらに、選択肢が選べなくなったのは、何らかの干渉を受けた結果でした。そして、その選択肢が現れる前提となる行動を取らなければ、干渉をはねのけて選択肢を選べるようになることがわかります。

 選択肢を選べなくしている言葉を“呪言”、それを取り除くものを“言霊”と呼びます。

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▲人物が“NO IMAGE”となっていますが、これは画像が用意されていないわけではなく、選択肢の強制と関係のある人物がこのように見えるようになった結果です。赤羽氷河以外の人物には、ふつうに見えています。

 物語の中からこの“言霊”を集めて“呪言”を取り除き、選べなかった選択肢を選んで最悪な結果を回避するのが、赤羽氷河です。

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▲画面左上には、選んだ選択肢と選ぶことを阻害している“呪言”の数が表示されます。

 選択肢によって分岐したルートのいたるところに“言霊”が用意されていますが、集めている最中にも“呪言”がついた選択肢は次々と現れ、ひとつも“呪言”を取り除けないまま終わるルートもあります。

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 選択によって最悪な結果が起こってしまう以上、ルートの結末も最悪なものが多くなります。しかし、赤羽氷河はその記憶を持ったまま過去にさかのぼることができるようになっており、この力を駆使して各ルートで“言霊”を集めます。

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▲“言霊”を集めても、セーブ&ロードでは意味がありません。そのルートを最後まで進めてはじめて、選択肢に反映されます。

 各ルートで“言霊”を集め、対応する“呪言”を取り除く。そうして選べなかった選択肢を選び、最悪の結果を回避していく。やがては、紙島亜由乃の死すら避けたいと考えるようになります。

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 ゲームの序盤から、選択肢を選んでも最悪の結果になることが語られてきましたが、選べる選択肢が強制されるようになると、これまで以上に確実に最悪な結果になることは想像がつきます。

 実際にシナリオを読んでいても、つらい結果ばかりが待ち受けています。ただ、そうした結果ばかりだからこそ、選択肢を選べるようになって回避できたときには大きな達成感があります。もっとも、その後に新しい選択肢によって再びつらい結果になることもあるのですが……。

 だからこそ、いくつものルートで“言霊”を集め、これまでの最悪な結果をすべて変えたいと思いました。そして、選択肢を強制していたものの正体を暴き、赤羽氷河をつらい運命から解放してあげたい!

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▲SDイラストでのほのぼのしたシーンや美麗なスチルがあることで、余計につらさを感じます。もっとも、これ自体は良いものなんですけどね。

『ハッピールートを終わらせて』とは(ストアページの情報を掲載)

ストーリー


 『主人公』の赤羽氷河は昔から、選択肢を見る事ができた。

 “分岐点”⋯⋯運命が変わる瞬間で正しい選択肢を選べば、良い未来(ルート)に進められる。

――そう、信じていたのに。

 何者かによって本来の選択肢(ルート)が封じられた。

 かわりに用意されたのは、最悪の選択肢(ルート)だけ。

 正しい世界に戻るため、氷河は『プレイヤー(あなた)』と協力して本来の選択肢を取り戻そうとする。

ゲームシステム


 分岐では選択肢を選ぶことができますが、本来の選択肢は汚染の影響で封じられています。

 望まない選択肢の先には何があるのでしょうか?

 『言霊』さえあれば、選択肢の汚染の原因となる『呪言』を破壊することができます。

 各ルートのエンドにたどり着くと、氷河はプレイヤー(あなた)に記憶を託します。チャートシステムを駆使し、氷河の別のルートを切り開きましょう。

キャラクター


赤羽氷河(声優:小林蓮雄)

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 『選択肢(ルート)』を見ることのできる『主人公』。


紙島亜由乃(声優:内田りりこ)

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 氷河の事情を知る幼馴染。氷河と楽しくデートをしていたが……。


天笠麗羅(声優:小磯里奈)

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 『元主人公』で生徒会長の兄をもつ後輩。尊敬する兄に憧れる努力家。


花咲来歌(声優:桜木ひめか)

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 存在しなかったルートの恋愛対象。天真爛漫な性格で主人公に寄り添う。


夜龍院瑠衣(声優:八木橋敏慧)

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 謎が多い生徒会副会長。堂々とした口調で周りの生徒に頼られる存在。

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