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『東亰ザナドゥ』近藤社長が開発秘話を語る。“休憩”のつもりが“本気”の作品に? 京都を舞台とした10周年プロジェクト新作に関する話も

文:江波戸るく

文:そみん

公開日時:

 2015年に“都市型神話アクション”として発売され、15万本を超えるセールスを記録した日本ファルコムの『東亰ザナドゥ』。先日10周年を迎え、現在は“京都”を舞台とした新作の開発も進められています。

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 そこで電撃オンラインでは、近藤社長に10周年を迎えた『東亰ザナドゥ』に関してお話をうかがいました。

『東亰ザナドゥ』開発秘話と、京都を舞台にした新たな挑戦(日本ファルコム:近藤社長コメント)


 まず、長年にわたり『軌跡』シリーズを応援してくださっている皆さん、本当にありがとうございます。中には20年以上もプレイしてくださっている方もいらっしゃるかと思います。

 私たちがこうして物語を紡ぎ続けられるのも、ひとえに皆さんの温かいご支援のおかげです。

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▲2024年9月26日に、20周年記念作としてリリースされた『英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-』。続編を待つファンも多いタイトルのひとつ。

 『軌跡』シリーズはこれからも、カルバード共和国の物語、そしてその先へと続いていきます。

 最終章に向けては、時折『空の軌跡』のように過去を振り返りながら楽しめるような仕掛けも用意していますので、皆さんが飽きることなく、最後までお付き合いいただけるような工夫を凝らしていきたいと思っています。

 さて、今回はそんな壮大な『軌跡』シリーズの歴史の合間に、少し変わった経緯で生まれた作品、『東亰ザナドゥ』についてお話しさせていただければと思います。

休憩のつもりが、いつの間にか本気に


 実は『東亰ザナドゥ』は、当時『軌跡』シリーズの開発で少し疲弊していたスタッフたちと、「ちょっと休憩しよう」という話から生まれたタイトルです。

 というのも、私たちファルコムでは、なぜか休憩する時に新しいことを始めてしまう癖がありました。

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 もともと社内では、『東亰ザナドゥ』が生まれるずっと前から「現代ものをやってみたいね」という声が上がっていました。ファンタジーの世界を構築するのももちろん楽しいのですが、それとは違うアプローチで物語を作ってみたいという想いが、開発チームの中にずっと燻っていたのです。

 そんな中で生まれたのが、この『東亰ザナドゥ』でした。約1年という期間で開発したのですが、普段とは違う世界観や設定に触れることは、私たちにとって非常に新鮮な体験でした。

 開発当初、現代を舞台にすることには少し難しさを感じていました。ファンタジーの世界であれば、ある程度の“嘘”は許されます。しかし、現実世界がベースとなると、そうはいきません。

 ですが、実際に『東亰ザナドゥ』を作ってみて思ったのは、「結局、これもファンタジーじゃないか」ということでした。舞台が現代の東京であっても、そこで描かれるのは非日常的な出来事であり、私たちが得意とするドラマです。

 結局のところ、描いているのは人間劇であり、その核となる部分が面白ければ、舞台設定はそこまで重要ではないのかもしれない、と気づかされました。

 むしろ、現代を舞台にすることで得られたメリットも大きかったです。たとえば、その時々の世相や社会問題などを物語に反映させやすく、プレイヤーの皆さんにも共感を持って受け入れてもらいやすい。これは『軌跡』シリーズで人種問題などを扱ってきた経験とも通じる部分があり、表現の幅が広がったと感じています。

 普段のファンタジー作品ではやれないことができる、そのノリの良さが開発チームの大きなモチベーションにもなりました。

『東亰ザナドゥ』はなぜシリーズにしないのか?


 『東亰ザナドゥ』は、もともとシリーズ化を前提として制作したタイトルでした。1作で終わらせるつもりはなかったのです。

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▲2016年9月8日にリリースされた『東亰ザナドゥ eX+』。ここで追加されたアフターストーリー内で登場人物のひとりであるレムが続編を匂わせる言葉を発しており、現在開発中の10周年プロジェクトタイトルの発表時には“You remember what REM said, don't you?(レムの言っていたことを覚えている?)”という一文も。

 しかし、ご存じの通り『軌跡』シリーズの開発が非常に忙しく、続編に着手することができないまま、気づけば10年という歳月が流れてしまいました。

 創業者の加藤(※)からも「『東亰ザナドゥ』はなんでシリーズにしないんだ」と、ずっと言われ続けていまして。私たち自身も、その想いはずっと持ち続けていました。

※日本ファルコムの創業者である加藤正幸氏

 そして今、ようやく会社の体制も整い、再びこのシリーズを動かせる環境ができました。以前に少しだけ情報を公開しましたが、水面下では着実に企画が進んでいます。

 そのタイトルの中で、私たちはまた新たな挑戦を始めようとしています。“新プロジェクト”は『東亰ザナドゥ』とはガラッと雰囲気が変わる、京都を舞台にした新しい物語です。

 近いうちに、皆さんへ新しい情報をお届けできる日が来ると思いますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

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▲2024年に発表された“新プロジェクト”。正式タイトル含め、まだ多くの謎に包まれています。

近藤社長にも縁のある地、京都


 実は私自身、大学時代を京都で過ごした経験があります。観光地としてではなく、生活の場として京都を見てきたからこそ描ける“京都感”というものが、新作にはしっかりと盛り込まれています。

 日本の学生生活を舞台にした物語は、『ペルソナ』シリーズのように海外でも非常に人気があります。京都という土地は、日本の伝統文化が色濃く残る特殊な場所であり、海外の方々からも大きな関心が寄せられています。そうしたニーズに応えるという意味でも、非常にポテンシャルのある舞台だと感じています。

 もちろん、方言や地域独特の文化など、表現が難しい部分もありますが、そこも含めてリアルな京都の空気感を皆さんに感じていただけるような作品にしたいと思っています。

 京都を舞台にした新作で皆さんに新しい驚きと楽しさを提供できるよう、チーム一同、全力で開発に取り組んでいます。

 これからの日本ファルコムの挑戦に、ぜひご期待ください。

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▲10年前のVITA版リリース時の電撃PlayStationと近藤社長。当時のご自身の写真を見て「若いな~」とこぼす場面も。ちなみにお気に入りのキャラクターはシオ(高幡志緒)だそうで、“シオはいわゆる不良枠のキャラクターですが、きちんと筋を通すところや蕎麦屋で住み込みで働いていたりと実は一番しっかり地に足のついた人物です。ファルコムの不良キャラの中でも一味違うところを気に入っています”とのこと。

10周年を記念したオンラインくじが発売中!

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 本作の美麗なビジュアルを使用したグッズが多数登場! 飾りやすいパブミラーやタペストリーのほか、揃えたくなるキャラクター絵馬などもラインナップされています。

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