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『FF9』二世帯システムやオペラ座のマルチプレイ構想も。25年越しに明かされる真実も含む、設定画や初期案・ボツネタ満載の25周年記念展レポート

文:ハチ

公開日時:

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 いつの間にか心の奥に閉まってしまっていたあの感動が蘇ってきた『FF9』25周年を記念した展示会「FINAL FANTASY Ⅸ 25th ANNIVERSARY THE EXHIBITION‐いつか帰るところ‐」のレポートをお届けします。

※この記事には『ファイナルファンタジーIX(9)』のネタバレが含まれています。

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『FF9』の世界を彩る設定資料や美術資料が満載の幸せ空間

 展示会の入り口を入ると、天野喜孝氏のイメージアートがズラリ。ジタンやガーネット、永遠の闇などが描かれていました。永遠の闇の邪悪な表情……当時、小学生だったので全く倒せずに泣いたことを思い出します(ちなみに手伝ってくれた父も倒せず親戚のお兄ちゃんを召喚しました)。

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 つづいて、キャラクターたちの紹介へ。名前や種族、利き腕などが記載されていて、印象的だったセリフもありました。ジタンのセリフはやはり「誰かを助けるのに理由がいるかい?」でしたね。個人的には「オレから離れるな」も好きです。

 種族についてはジタンがしっぽのある人間だったり、ビビが黒魔導士の子供だったりと、これから『FF9』をプレイしたい方へのネタバレ的配慮が伺えます(ステキ)。

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 当時開発に携わったクリエイターたちのコメントもあり「開発時は拠点がハワイだったこと」や「ネタのアートを壁に貼るというプロジェクトの方針」、「手付けアニメーション(CGですがモーションキャプチャではなく1コマ1コマアニメーターさんが動かす手法)」だったことなどが語られていました。

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 キャラクターだけでなく、アレクサンドリアやリントブルム、氷の洞窟などの街やダンジョン、劇場艇プリマビスタ、カーゴシップなどの乗り物、ガーゴイルやヴァイスなどのモンスター、召喚獣たちの開発資料も展示されていました。

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 とくにモンスターは細部まで設定が書かれていてびっくり! 例えば、ゴブリンは「カルシウム不足」「ゴブリン語は世界一般言語(ドイツ語と英語の間くらい)から派生した言葉」「個人個人の弱さがコンプレックス」などの説明がズラリと書かれていました。ヘッジホッグパイ、トロール、リザードマンなど気になる説明がたくさん書かれているので、ぜひ読破してみてください。

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 ジタンやガーネット、ビビたちの武器の開発資料もズラリと並んでいて圧巻。武器ってなんでこんなに惹かれるんでしょう……。

 武器のデザインを担当したクリエイターさんは、ここで学んだデザインの遺伝子が開発タイトル『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』『ワールド オブ ファイナルファンタジー』へ繋がっているとコメントしていました。なんだか素敵ですね。

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 おしばいのチケットやブランクの解毒剤などのアイテムやテラやタンタラスなどのエンブレムの開発資料があり、25周年を記念したキービジュアルの大きなパネルも飾られていました。

 画面ではそこまで詳細なデザインはわからなかったのですが、こんなに細部までこだわったデザインになっていたのかと、つい見入ってしまいました。

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 発売から25周年を迎えた『FF9』のオリジナルえほん「ファイナルファンタジーIXえほん ビビとおじいちゃんと旅立ちの日に」のイラストも発見。『FF9』のはじまるちょっと前のおはなしとなっていて、食の道「食即是空」を究めようとするクワンおじいちゃんの前に現われたビビのふたりのふしぎな生活が描かれます。
 
 えほんの作者でキャラクターデザインを手掛けいた板鼻利幸氏のコメントも発見。「25年後に絵本でクワンおじいちゃんを再び描くことになるとは想像していなかった」、「ゲーム本編ではふたりの絆は多くは語られなかった」「(クワンおじいちゃん……もう少しシンプルなデザインにしていよかった、と思ったのは内緒)」と語っていました。

 ビビはいつ見てもかわいいな~!

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貴重すぎる未公開資料に感動!

 
 とくに注目なのがアートディレクターを務めた皆葉英夫氏の開発資料。未公開だったものもたくさんあり、数もかなりの量で、当時どれだけの熱量を持って取り組んでいたかがヒシヒシと伝わってきました。

 街やモンスター、キャラクターなどたくさんのイラストがあったのですが、面白かったのが「二世帯システム」というシステムのイメージが書かれた資料。主人公キャラがゲーム進行中に自分では入れない狭い通路に遭遇すると、自身の子供が登場し、親の半分の能力を引き継ぐといったもの。実現はしなかったものの、主人公キャラの息子がそんなカタチで登場するのは、面白いですよね。

 「求む意見‼」と書かれた資料には「主人公キャラを4等分すること」「極力人間キャラクターを減らして、不思議な生き物にする」なども書かれていて、たくさんのアイデアがあったことがわかります。

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 『FF9』開発構想段階の企画書もありました。こちらによると作品の全体像は「クリスタル復活」「スクウェアキャラクター総登場(最強召喚ブラスティー、捕らわれの記憶喪失の少女アルファ、なぞの走る男)」「RPG」とのこと。キャラクターは4~5等身でド派手なボスバトルというのも書かれていました。

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▲複数ページにみっちりと書き込まれた初期案。この資料を見るためだけでも、25周年記念展に行くことをおすすめします!

 シナリオ骨格には、劇場艇や姫誘拐、ガーランドなどの文字がありましたが、初期の内容としては方舟に閉ざされた人々の物語だったらしいことがわかります。世界は何層にもなっているようなものが描かれていて、最終的に採用にはならなかったようですがこのアイデアが採用された世界線の『FF9』もぜひやってみたいほど魅力的。当時本格的に始まったPSNを利用して、オペラ座でのマルチプレイ(多人数プレイ)のアイデアなんかもあったようです。

 テラとガイアについての宇宙の法則もかなり詳しく語られていて、『FF9』の始まりを感じることができました。

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 皆葉英夫氏のコメントには「開発環境はさまざまな人々が入り乱れ、まさにアレクサンドリアのようだったこと」「言葉が通じなくても、ハッピーに受けてもらえた」「そんな空気感が作品からにじみ出ているのかもしれない」と書かれていました。その環境があったからこそ、アレクサンドリアが生まれ、ジタンが生まれ、最高の物語が生まれたのかと思うと感慨深いですね。

 ジタンとガーネットのイラストもあり、ラストシーンを思い出しました。スタイナ―とベアトリクスが扉を開けて、ガーネットが駆けだすシーンは乙女の夢そのもの。ジタンが頭をなでるところでキュンとしたのを覚えています。

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▲皆葉さんのイラストは実際に会場で見てほしいので、ちょっと隠します。ジタンとガーネットが素敵なんです!

あの日がんばった自分へ拍手なフォトスポット

 作中屈指の入手難易度を誇る「エクスカリバーⅡ」。スタイナーの最強武器ですが、入手方法がわからず親戚のお兄ちゃんに聞いたところ「12時間以内にラストダンジョン終盤に到達」と聞いて、子どもながらに絶望したのを覚えています。結局、私は手に入れられなかったのですが、幼き私の憧れがこのフォトスポットで叶いました(エモい)。

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 イベントを記念したグッズも盛りだくさん。永遠の闇モバイルリングホルダー、ガーネットのポンチョ、オズマ クッションなど気になるものがありすぎます。筆者イチオシはビビのTシャツ。いろいろなポーズをしているビビがとにかくカワイイので、ぜひ手にとってみてくださいね。

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【「FINAL FANTASY Ⅸ 25th ANNIVERSARY THE EXHIBITION‐いつか帰るところ‐」展示会情報】
会場:有楽町マルイ8F SPACE1
住所:東京都千代田区有楽町2丁目7-1
交通:JR山手線・京浜東北線(有楽町駅)
   東京メトロ 有楽町線(有楽町駅)
   東京メトロ 銀座線(銀座駅)
開催期間:2025年11月22日(土)~2025年12月7日(日)
開催時間:11:00~20:00
※最終入場は閉場の30分前まで
※状況により営業時間は変更になる場合がございます。
※入場は入れ替え制ではございません。
※運営状況については即時イベント公式HP及び公式X(旧Twitter)でご案内いたします。

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