三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。
何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/57949/a77d9ca86ebe5993e28259d207eb032dd.jpg?x=1280)
そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、2012年にPlayStation Vitaで発売され、現在ではさまざまなハードでプレイできるようになったアトラスのRPG『ペルソナ4 ザ・ゴールデン(P4G)』を語ります。
書き換えられた”当たり前”、BGMとUIがゲーム体験を別次元へ引き上げた衝撃
本作品は、PS2で発売されて人気を博した『ペルソナ4』に、新キャラクターやイベントなどを追加したリメイク版。私にとって、この『P4G』が初めてプレイする『ペルソナ』シリーズでした。
都市からちょっと離れた生活感や歴史を感じられるような稲羽市を舞台にしたストーリー、それぞれの悩みを抱えながらも人生に向き合う魅力的なキャラクターたち、そのどれもが最高でした。
しかし、私が心の底から「あ、このゲームは一生忘れない一本になる」と確信したのは、“BGM”と“UI(ユーザーインターフェース)”だったんです。「え、そこ?」と思うかもしれません。でも、この感覚、きっとわかってくれる人がいると信じています。
それまでの私にとって、RPGのBGMといえば、力強いオーケストラで冒険の始まりを告げ、ダンジョンでは神秘的な音楽が流れる。それが当たり前で、それが最高にカッコいい。そう信じて疑いませんでした。
しかし、『P4G』で私が出会ったのは、良い意味で「ゲームらしくない」音楽。
たとえば日常パート。仲間たちと過ごす何気ない放課後には、軽快なギターカッティングと心弾むような女性ボーカルが印象的なポップチューンが流れます。「え、ボーカル入り?」と驚いたのも束の間。稲羽市ののどかな風景に完璧にマッチしており、まるで自分が主人公になって、お気に入りの曲を聞きながら町を歩いているような、強烈な没入感でした。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/57949/aa58f06723cd279b2fa7b6d59936f5c73.jpg?x=1280)
一方で、戦闘では疾走感あふれるロックサウンドに英語詞のボーカルが乗るBGM。これが敵とのスリリングな駆け引きを最高にクールなものへと進化させました。“作業”になりがちだったザコ戦を、『P4G』では「このBGMを聴きたいから」と積極的に行ってしまったほどです。
BGMと同様に、度肝を抜かれたのが徹底的に作り込まれたUIデザイン。メニューを開く行為すら、心躍る体験に変えてくれました。
機能性を重視した黒い背景に白いテキスト。それが従来の”わかりやすい“UIでした。しかしP4Gは違います。メニューを開けばキャラクターのイラストが軽快にアニメーションし、カーソルを動かすたびに小気味よい効果音が鳴る。ステータス画面、カレンダー、アイテムリストに至るまで、すべてが「触っていて気持ちいい」という感覚に満ちていたのです。
RPGでメニュー画面を開く機会は数え切れないほどあります。だからこそ、その体験自体を楽しくデザインするというアトラスの哲学には、ただただ感動するしかありませんでした。
お気に入りのBGMを聴きながら街を歩き、仲間との絆を深め、カレンダーをめくって一日一日の大切さを噛みしめる。
このゲームが与えてくれたのは、“プレイしている”というより、“本当に稲羽市で学生生活を送っている”という特別な感覚でした。その中心に素晴らしいシナリオがあることは言うまでもありません。しかし、本当に革命的だと感じたのは音楽とUIがその面白さをさらに別次元へ引き上げていたことでした。
優れたシナリオが“頭で面白いと感じるもの”だとすれば、心地よい音楽とUIは“心と身体で楽しいと感じさせてくれる”もの。この2つが揃っていたからこそ、あの没入感があったのでしょう。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/57949/aa35c054286d518fa9202dc9a1f341c84.jpg?x=1280)
そして、2025年6月には、本作のフルリメイクにあたる『ペルソナ4 リバイバル』が発表されました(発売日は未定)。先に発売された『ペルソナ3 リロード』が見事なリメイクであっただけに、あのオシャレなBGMとUIが現代の技術でどのように進化するのか、一ファンとして期待が高まるばかりです。
近年のペルソナシリーズ(『P3』や『P5』など)に通ずる魅力と言えば、スタイリッシュな音楽とUIです。中でも『P4G』のポップで明るいサウンドとデザインが織りなすグルーヴ感は、ほかの作品では味わえない特別なものがあります。この心躍る体験が、あなたのゲーム間に新たな彩を加えてくれるかもしれません。未体験の方は、ぜひこの感動を味わってみてください。