電撃オンライン

集英社ゲームズ新作『ANTHEM#9』インタビュー。「うまい人しかできないゲームにはしたくなかった」開発者のこだわり。開発期間の50%近くはコンボを気持ちよくするために費やされた【電撃インディー#1254】

文:米澤崇史

公開日時:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、2026年2月5日にSteamでリリースされる、ジェムマッチローグライト『ANTHEM#9』の開発者であるkoeda氏と、パブリッシングを担当した集英社ゲームズの森田航プロデューサーへのインタビューを掲載します。

[IMAGE]

 本作は「ジェムマッチローグライト」という新ジャンルを謳い、3色のジェムを組み合わせるパズル要素と、膨大なコンボを決める爽快感、ローグライト的な戦略性が組み合わさった『ANTHEM#9』。

 “集英社ゲームクリエイターズ CAMP GAME BBQ vol.2 デモなし部門”で大賞を受賞し、独自のシステムやビジュアルのインパクトも相まって、発売前から大きな注目を集めている本作ですが、本作の開発者であるkoeda氏は、意外にもゲーム業界未経験で、本作が初めて開発するゲームでもあります。

 そんな『ANTHEM#9』の開発経緯やコンセプトについて、開発者であるkoeda氏と、プロデューサーを務める集英社ゲームズの森田航氏にお話を伺いました。

[IMAGE]
▲koeda氏
[IMAGE]
▲森田航プロデューサー

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

“コロナ禍と育休”がゲーム開発のきっかけに【ANTHEM#9】


―― 本作の開発が始まった経緯を教えてください。

koeda氏
元々、本業は全然ゲームとは関係ない会社員をやっていて、ゲーム開発をやってみたいという思いを10年くらいずっと持っていたんです。

 転機はコロナ禍のタイミングでして、ちょうど子供が生まれるので育休をもらったりもして、まとまった時間ができたので、「今だったらチャレンジできるかも」と思いスタートさせました。

 それから1年半くらい個人開発をしていたんですが、その後、集英社さんがゲームコンテスト(集英社ゲームクリエイターズ CAMP)を開いていて、そこでの受賞をきっかけに、サポートを受けながら進んでいく今の体制になりました。

――コンテストの段階で、ある程度ゲームの形ができていたんでしょうか?

koeda氏
いえ、そもそも企画書だけのコンテストだったのもあって、その時はまだ動かせるプロトタイプはなかったです。企画書に記載していた各画面のビジュアルはゲーム内で構成して、シーンごとに個別に少し動くようにはなっていましたが、まだ通して遊べる状態ではなかったですね。

――森田さんはどのような流れでご参加されたのでしょうか?

森田氏
私は2022年10月くらいに集英社ゲームズに入社してアシスタントプロデューサーをやっていたのですが、とにかくプロデュース作品を1本持ちたいと思っていたんです。

 そんなタイミングにkoedaさんが応募してきてくださって、面談で話を聞いていると、これが初めて開発するゲームと聞いて驚いて。「大賞を取ったら自分にプロデュースさせてください!」と社内で手を挙げていたんです。その後koedaさんが無事受賞されたので、自分がプロデュースを担当することになりました。

――真っ先に惚れ込んだ作品だったんですね。

森田氏
そうですね。コンテストでは大賞1作品と優秀賞が3作品あったのですが、『ANTHEM#9』はとくに目立っていたというのは間違いないと思います。

――どういった部分が刺さったのでしょうか?

森田氏
まずはビジュアルですね。最初の段階のものはUIがとにかく奇抜で、「どうやって遊ぶのか?」というと疑問から入ったんですが、いざゲームシステムを見てみると、かなり堅実な戦術要素がローグライトとして成立していたんです。本作のウリになるコンボについては後々に磨いていくことになる要素なんですが、コンテストの時点でもその原石みたいな部分はしっかり存在していましたね。

[IMAGE]

――開発においては、集英社ゲームズはどのような役割を担当されているのでしょうか。

森田氏
基本的なところでのパブリッシャーとしての役割、例えばバグ修正作業であったり、一人では難しい翻訳作業、アセット周りなどのサポートをさせていただいたりしています。

 ただ、本作に関しては大部分をkoedaさんがお一人で作られているので、いわゆる“壁打ち”の役割というか、漫画で言う編集者と作家さんのような関係性で、ゲーム開発にアプローチさせていただいているのかなと思っています。

――それまでは完全に個人で作られていたところから、関わる人数が増えてきたと思うのですが、プレッシャーなどもあったのでしょうか?

koeda氏
もちろんプレッシャーもあったんですが、それ以上に他の人に関わっていただけることで安心した部分の方が大きかったと思います。

 というのも、集英社ゲームズさんには以前に大手のゲームパブリッシャーに勤められていた、ベテランのゲーム業界の方々がたくさんいらっしゃるんですね。自分は何から何まで初めてなので、そういう方々にしっかり見ていただけるというのがすごくありがたいなと。この方々と一緒にやっていけば、世に出ても恥ずかしくないゲームに持っていけそうだっていう安心感ができたというか。

 ただ、おっしゃる通り、企画の規模がたったひとりで開発を始めた頃とは全然変わってきたので、これだけ多くの方に関わっていただく以上は「恥ずかしい結果にはしたくない」というのは、開発の中盤くらいからは意識するようになってはいましたね。

――インディーゲーム開発をされている方の中には、パブリッシングも含めて個人でやられる方もいますが、koedaさんの場合はどこかの会社に任せたいと思われていたんでしょうか。

koeda氏
正直なところ、パブリッシャーさんについての知識が薄かったので、集英社ゲームズさんのように、ここまで開発に関わってくださるケースまではイメージしてなかったんです。

 ただ、グローバルに向けて自分のゲームを販売してみたいと思っていて。それは売上というよりは、海外の方との交流をゲームを通じてやってみたいという想いの方が強く、それを実現させてくれるようなパブリッシャーさんと一緒にやりたいという希望はずっと持っていましたね。

 集英社ゲームズさんのコンテストに応募したのも、最初から世界に挑戦するスタンスを取られていると感じられたことが理由の一つになっています。

“うまい人にしかできないゲーム”にはしたくなかった【ANTHEM#9】


――近年流行している“デッキ構築型ローグライト”というジャンルに対し、本作はどういった差別化を図ったか教えてください。

koeda氏
もちろん本作は“デッキ構築型ローグライト”というジャンルの流れは汲んでいますが、集英社ゲームズさんと相談して、あえてその言葉は使わず、“ジェムマッチローグライト”という伝え方をしています。

 というのも、従来のこのジャンルのゲームが結構難しそうに感じて手を出せなかった人たちにも届いて欲しいと思っていたので、あえて“ジェムマッチ”という少しカジュアルそうな雰囲気の言葉にしたんです。もちろん本流であるデッキ構築型ローグライトというジャンルへのリスペクトはありますが、そことは結構違うゲームになっているので、あんまり馴染めなかったという方にも遊んでいただきたいなと。

 デッキ構築型のゲームで一番多いのはバトルがカード方式になっているタイプだと思いますが、本作では、「赤・青・緑の3色のジェムを合わせる」という、誰でもプレイできるシンプルなルールに置き換えていて、デッキ構築型ローグライトを敬遠していたような人にも遊びやすくしています。

[IMAGE]

――ジェムマッチのルールは、シンプルかつ奥深くてかなり面白いと感じました。どういった発想から生まれたものなのでしょうか。

koeda氏
自分もデッキ構築型ローグライトにはまった時期があって、色々挑戦して遊んでいたんですが、そもそもあまりゲームが上手なプレイヤーではないので、なかなかクリアできないことが多かったんです。なので、「なんとか自分でもクリアできるローグライトを作りたい」と思ったところが、最初のスタートになったかなと思いますね。

 やっぱりカードゲーム的なシステムは、自分のように難しく感じてしまうプレイヤーさんが出てしまうと思ったので、簡単なパズルみたいな感じのシステムにすれば誰でもできるんじゃないかと。

森田氏
この話は最初の面接の時からずっとされていて、まったくブレてないんです。ゲーム内のあらゆる要素が「3色の色を組み合わせるパズル」というコンセプトに紐づいていて、本作のコアといっていい要素なんだと思っています。

――森田さんはプロトタイプ的な状態の本作初めて見た時、どんな印象を抱かれましたか?

森田氏
奇抜なUIを見た時は、ちょっと「なんだこれ」とは思いました。でもこのUIはぜひ活かしていこうと思っていた一方で、さすがに分かりづらすぎるという、尖りはあるけどアラもあるみたいな状態でしたね。

 そこから特徴である奇抜さは残しつつも、スタイリッシュでありながらも遊びやすい見た目にブラッシュアップできたのかなと思います。このUI刷新はなかなか難航した作業だったのですが、発売前のギリギリのタイミングでやっと満足いくものになったと手応えを感じています。

[IMAGE]

――要素がシンプルということは、ごまかしが効かない難しさもあると思います。もっと複雑にしたり、要素を増やした方がいいのではという誘惑に駆られたことはありましたか?

koeda氏
正直、もっと要素を増やした方がいいんじゃないかと悩む場面はたくさんありました。

 ただ、集英社ゲームズさんともいつも議論していたのは「複雑にするのはいくらでもできます」ということです。実際、もっと要素を増やすことはできるんです。けど、シンプルなジェムマッチのシステム、操作数や考えることの少なさといった特徴は残したくて、そうなると意外とやれることはないなって。

 そういう制限がある中で、どうやってしっかりと遊べるゲームとして成立させるかは開発のテーマにもなりました。開発期間の内、1年くらいはシステムの仕様を固めるのに費やした時間でした。

[IMAGE]
森田氏
我々の中でも意見が分かれたところが、ゲームの攻略にランダム性が強く影響しているところです。自分のターンにジェムが配られるんですが、その内容によって結果が大きく左右されてしまうんですね。

 対案として、事前に手持ちのジェムを編成して、自分で配られるジェムの比率をある程度変えられるようにするパターンとかも検討したんですが、そうなると事前に考えないといけないことが増えて複雑さが増してしまい、本来目指した方向からは離れてしまうなと。そのランダム性も含めてのカジュアルさだと思いますので。

koeda氏
時間制限の要素もそうですね。「もっと考えたいから(ジェムマッチの)制限時間をなくして欲しい」という意見は、どのタイミングでもめちゃくちゃいただいています。

 需要は十分理解しているのですが、我々の考えるコンセプトとしては、その制限時間による失敗というのも含めての面白さなので、詰め将棋のように毎回完璧に組むのではなく「並べ方を間違えて一個足りなくなった、もうやり直すには間に合わない」みたいな悔しさも含め楽しんでいただきたいんですね。

 ジェム自身に特殊な効果を持たせたり、特定の順番にすると特殊なシナジーが生まれたりみたいなのも考えましたが、やっぱり考えることが多くなって複雑になってしまうので、あえて取り入れないようにしました。

[IMAGE]

――確かに。今話題に出た「ジェムの比率を調整したい」も「時間制限なしでゆっくり考えたい」も、実際遊ばせていただいて自分も感じたことでした。ただ、結局それがあると、ある種の攻略パターンみたいなのが確立されすぎるのかも、とも思いました。

koeda氏
ええ。そうなると、毎回最適の選択肢を選び続けるのが前提のバランスになって、うまい人にしかできないゲームになると思ったんです。そうはしたくなくて、あえて制限時間を入れることで、うまい人と下手な人での差を縮めたいという意図がありました。

――本作の開発において、「どうしてもここだけは実現したかった」という初期の構想から守っている要素はありますか?

koeda氏
手触りだけではない、しっかりとしたゲームとしての面白さという部分は残しておきたいと思っていました。目指したのは間口を広げる方向ではあるんですが、従来のローグライクファンの方にも長く楽しんでもらえるかはすごく気にしていて、それを意識した最終的なバランスになっていると思います。

――逆に作っていく中で変わっていったところはありましたか?

koeda氏
大きく変わったのはコンボの長さですね。企画書の時は、そんなに長いコンボをつなげるつもりではなくて、『ぷよぷよ』みたいに数連鎖か繋がったらすごい、くらいのバランスで最初作っていたんですが、集英社ゲームズさんとの話し合いの中で「ここがこのゲームの一番面白いところだから、もっと伸ばしていこう」ということになりました。今ではビルドの組み方次第で、100コンボも超えられるみたいな楽しみができる作りになっていますが、そこが一番変わったかなと。

――期間も相当かけたのでしょうか?

koeda氏
そうですね……今思い返すと、開発の50%くらいの時間をあそこのためにかけているんじゃないかと。

[IMAGE]

――そこまで!? ……でも、確かにプレイしていても一番気持ちいいのはあのコンボが決まる瞬間だと感じたので、驚きはありつつ納得もいきます。

森田氏
同じようなジャンルのゲームでも、これだけコンボがあれだけ繋がる画面が見られるゲームって他にないと思うので、突き詰めて良かったなと思っている部分です。

 最終的な戦術性も、結局はコンボをよりどれだけ多く出せるかに集約されていくので。もちろんそれ以外の戦術もしっかりあるんですが、やっぱり一番大きいのは、コンボに紐づいているものだと思います。

キャラクターの瞳の模様へのこだわり【ANTHEM#9】

―― 最初に公開された主人公のルービットについて、キャラクター性やデザインはどのように固まっていったのでしょうか。

koeda氏
実はルービットは、元々自分が“VRoid”という3Dキャラクターを作るソフト上で、いろんなプリセットのパーツやストアの素材などを使って作ったキャラクターでした。

 その時点では設定とかは考えてなくて、先に見た目ができてから、ビジュアルをベースにちょっときつめの性格とかの要素を決めていった流れでした。最初に“デジゲー博”というイベントに個人で行った時に、思いもしなかったほどこのキャラクターを気にいっていただけて、「このキャラクターにして良かったな」と感じましたね。

[IMAGE]

―― koedaさんの好みのようなものが反映されていたりするのでしょうか?例えばメガネが好きとか。

koeda氏
もちろん嫌いじゃないです。記事的には好きと言っておいた方がいいかなと思うんですが(笑)。

 どちらかというと、Xでずっとゲーム開発の進捗を投稿をしていたので、たくさんのポストが流れる中で一瞬でも目に止まった時にインパクトが残るものにしたいとずっと思っていたんですね。

 最初に公開する主人公として、メガネをかけているけど優等生タイプではないSっ気のあるキャラクターを持ってくるというのは、普通はなかなかないと思うので、そういう意味でも印象に残ってくれたらいいなと。

 あと、個人的にキャラクターは目の印象がすごく大事だと思っていて。あえて違和感みたいなのを覚えてもらうため、特徴的な瞳の模様はこだわってデザインしました。2Dだけじゃなく、3Dにも反映させています。

森田氏
3Dモデルを起こす時も「イラストの瞳を再現してほしい」と話をされてましたよね。振り返ると、作業的にもそこが一番長引いたんじゃないかと思うくらいです(笑)。

――他にも、ベニとファニーというキャラクターがいますが、3人のコンセプトの違いはありますか?

koeda氏
まず、ルービットが結構S系の強気な子、ベニは正義感の強い元気系の子、ファニーは少し開放的なギャンブラーで、テンションが上がってくるとどんどんハイになっていく、ちょっとサイコパスっぽい一面もあるキャラクターです。

 最初にルービットをデザインして、その後で2人を考える時、ルービットとその他には差をつけたいと思い、3人とも少し癖のあるキャラクターにしました。

 特にファニーは、なかなかゲームの主人公にはしないであろう性格をしていて、声優さんの演技も含めて、結構すごいキャラクターに仕上がったんじゃないかなと。

 ベニについては、元気で少し天然っぽくてドジっ子っぽいけど、正義感が強くてまっすぐっていう、「みんな好きでしょ」というイメージで作ったキャラクターです。自分もアニメやゲームが好きで色々見ていますが、作品の中に一人はこういう娘が欲しいなというタイプですね。

[IMAGE]
森田氏
ストーリーがメインのゲームではないので、ゲーム内でストーリー部分が語られることは基本的にはないんですが、10月に公開したキャラクター紹介PVでは、キャラクターが紹介されるタイミングで停止してもらうと、キャラクターの背景に英語で設定が書かれていたりします。

長い試行錯誤の末に生み出されたUIデザイン【ANTHEM#9】


――個人開発のゲームで、UIデザインや画面演出にここまで凝ったタイトルは多くないと思うのですが、UIや演出のこだわりについて教えてください。

koeda氏
元々活動の中心がSNSだったので、SNSを見ている人たちを楽しませたいという思いがありました。その上で、変なUIで変なアニメーションをしていたら面白がっていただけるかなと思い、どの画面を見ても退屈しない、ワクワクするようなUIを目指しました。「普通このUIはこんな風に動かないよね」みたいな驚きや「次は一体何が起こるの」といった期待もしてもらえるように制作しました。

 実は“ゲームクリエイターズCAMP”という集英社さんのサイトに、自分が作った初期の企画段階のもののページがまだ残っていて、そこに当時のUIが見られるのですが、今よりもっと尖っていました(笑)。そこから余計なところを削っていき、デザイナーさんにも入っていただき、本当に何度もブラッシュアップして現在のものになっています。

――UIのデザイン性と遊びやすさは相反する部分があります。本作はかなりそれがうまく両立させられているように感じたのですが、それは試行錯誤の末だったんですね。

koeda氏
いや、本当に試行錯誤の連続で、苦しみ抜いた上に今がある……という感じです。

 仰ったとおり、デザインと機能性の両立って本当に難しくて、集英社ゲームズさんとの話し合いでも、真っ先に「UIはもうちょっと遊びやすくしましょう」と決まって。デザイナーさんに相談させていただいた時には、「(UIの)基本の作法ができてない」みたいな話もあったり、方向性をどうするか迷った時期もあったんですが、最終的にはいろいろ揉まれまくった甲斐あって、「これならどうだろう」という落とし所を見つけられたんじゃないかという手応えは感じています。

[IMAGE]

――10月には体験版もリリースされています。ゲーム内容を改善した部分はありますか?

koeda氏
バグ修正の他は、大きかったのはユーザビリティの部分ですね。繰り返しゲームをプレイする時に、こだわり過ぎている演出のせいでゲームテンポが悪くなっているという意見があったので、スキップ機能をもう少し拡充させてテンポを改善しました。

 バトルのUIは完全に刷新されていて、UXも含めてブラッシュアップされています。

 あとはマウスとキーボードの操作周りですね。今まではコントローラー主体で開発を進めていたというところがあって、マウスキーボードの対応がかなり遅くなってしまい、デモ版の時はまだ不具合が残る状態で出してしまっていたのですが、製品のリリースに当たって修正対応を行っています。

ゲームを完成させるには、“人との交流”が大事!?【ANTHEM#9】


――ゲーム開発を実際に経験して、とくに大変だったと感じられた部分を教えてください。

koeda氏
自分の担当領域に関してはそこまで苦労はなかったんですけども、大変だったのは開発の規模が大きくなるにつれてディレクションの作業ですね。

 例えば、外注する3Dモデル、イラスト、BGM、ボイスなどを、どういう形で依頼をするのかとか、提出いただいたものに対してフィードバックを入れてチェックさせてもらったりとか……何しろ自分自身開発の経験が全然なかったのでとくに苦労しました。

―― 個人の開発は完成にたどり着くまでの難易度が非常に高いと思うのですが、本作が完成した要因は何が大きかったと考えられていますか?

koeda氏
結論から言うと……途中で辞めなかったから完成したんだと思っています(一同笑)。

 でも本当にそれに尽きるなと思っていて、開発資金などのサポートを最後まで打ち切らず続けていただけたことは大きいんですが、私自身、そして集英社ゲームズさん含めて、関わったメンバーが諦めなかったことがすべてだと思います。

 もちろん苦しい場面、思うようにいかない場面はあったのですが、その都度どうやって改善していこうかという対応を地道にやり続けて、なんとか発売にたどり着けた……というのが正直なところです。

森田氏
我々の立場から見ると、koedaさんがバーティカルスライス(※ゲームの全体像を掴むためのデモ版)の段階で、ルービットのMission1を作り切れたのが大きかったんじゃないかなと思っています。

 それまでの話し合いで決まった、どういう風にコンボを気持ちよくさせるかとか、2つのデッキを交互に使うシステムとかも一通り盛り込みつつ、しっかりゲームとして遊び応えのあるルービットのMission1が出来上がったんです。

 やはりkoedaさん自身がこだわった、「これが最高のルービットのMission1です」というものをちゃんと形にしてくださったのが一番大きかったと思います。そのあとは筆が乗るのが早かったというか、すごいスピードで開発されていましたね。

[IMAGE]

――「未経験だけど個人でゲームを作ってみたい!」という読者はかなり多いかと思います。そういう方々に向けたアドバイスはありますか?

koeda氏
自分なんてアドバイスできるほどのものではないという前提になりますが、もし何か伝えられることがあるとすると、“人と交流してもらいたいな”と思います。

 私はゲーム開発以外に、本職の方で事業開発などに携わったことがあるんですが、自分の持っているアイデアって、人に聞かせると自分が思っているよりもウケたり、自分が気づいていない良いところを他の人が見つけてくれたりすることがあるんです。

 ですので、私自身もそうだったんですが、ぜひXとかで、どんなクオリティのものでもいいので短い動画でも上げてみて「これが俺の作っているゲームだぜ、みんな見ろ」ってまずは公開することかなと。そこからファンや一緒に頑張る仲間を増やしていったりすれば、後に引けなくなってくるというか、だんだんと辞める理由がなくなってくるんです。

 一度ライフワークになってしまえば、そこから困ることはあまりないと思うので、躊躇わず最初の頃から発信して人と交流することが大事なんじゃないかと思います。

――それも結構勇気がいることですよね。「もうちょっとクオリティを上げてから出したい……」とか思っちゃったり。

koeda氏
最近、Xで自分の過去のポストを振り返ってみたんですが、最初の頃は「ツールを触ってパラメーターをいじってみました」程度でポストしたりしてるんですよ。どんなゲームか説明するわけでもなく、ただアセットのパラメーターを変えてみたら見た目が変わりましたとか、それくらいのものなんですけど、中身は本当になんでもいいと思うんですよね。「タイトルロゴを作ってみました」とか。

 とにかく一度発信することで、その瞬間からゲーム開発者になるので、そこからどんどん交流を増やしていけば、きっと一人前になれるんじゃないかと思います。

―― 発売後のアップデートは予定されていますか?

koeda氏
そこは絶賛相談中でして、アップデートで何をするのが良いか、本当に毎週のように集英社ゲームズさんと打ち合わせしています。

森田氏
どのタイミング、どのスパンで何ができるかというところをまとめている段階です。今伝えられるのは、「何かしらのアップデートは予定しています」というところで、今後の発表をお待ちいただければと思います。

――プレイヤーに向けてのメッセージをお願いします。

koeda氏
『ANTHEM#9』は、本当に自分のために作ったようなゲームです。

 自分はゲームはすごく好きだし、戦略性のあるゲームも好きなんだけど、あまりゲーム自体が上手くないんですね。難しすぎるゲームはなかなか手が出せないというゲームユーザーだったので、そういう自分のみたいな方にこそ『ANTHEM#9』は刺さるんじゃないかなと思っています。

 このインタビュー記事や自分のポストなどを見て「こいつなんか俺に似てるな」と思った方は、ぜひ手に取ってみていただければと思います。よろしくお願いします。

森田氏
『ANTHEM#9』は、とにかくコンボが大変気持ちいいゲームなので、この手のローグライトを遊んだことない方にも絶対楽しんでもらえるタイトルだと思いますし、元々このジャンルがお好きな方で「色合わせでコンボが出るって少し簡単すぎない?」と思っている方は、騙されたと思って一度手に取ってもらえれば、それだけではない戦術性の高さと奥深さに気づき、きっとハマれると思います。

 体験版で公開した時よりもゲームのボリュームが大変増えていて、「なんでこんなことをしてくるの」みたいな厄介な敵もいたり、「これとこれを組み合わせるととんでもないことになる」というビルドがあったりと、まだまだ発見されていない要素がたくさんありますので楽しみにしていてください。

 そして『ANTHEM#9』と共に、koedaさんという新人ゲーム開発者をぜひ応援してください!

――ありがとうございました。

 開発の経緯から苦労話まで、様々なお話を聞くことができた今回のインタビュー。その熱い思いやこだわりを改めて知り、本作をプレイしたくなったり、ゲーム開発に挑戦してみたいと刺激を受けた方もおられるのではないでしょうか。まずはぜひ『ANTHEM#9』をプレイしてみてください。

 なお、本作の発売を記念して、2月11日~28日にかけて、最大コンボダメージを競う“コンボダメージチャレンジ”が開催されます。

 最も高いダメージを出した上位1~3位の方に、『ANTHEM#9』のデザインを施したトロフィーがプレゼントされるとのこと。参加には
集英社ゲームズ公式Xアカウントのフォローが必要となります。応募レギュレーションについての詳細は、集英社ゲームズの公式Xアカウントをご確認ください。

製品概要


■ タイトル 『ANTHEM#9』
■ 対応機種 Steam
■ 発売日 2026年2月5日(木)
■ ジャンル ジェムマッチローグライト
■ プレイ⼈数 1⼈
■ 対応言語 日本語/英語/韓国語/中国語(繁体字・簡体字)
■ 発売 集英社ゲームズ
■ 開発 koeda

電撃インディーのSteamキュレーターページが開設!


 電撃オンラインのインディーゲーム応援企画“電撃インディー”では、Steamのキュレーターページを公開しています。

 本ページでは、電撃インディーで紹介したインディーゲームを中心に、さまざまなゲームを紹介しています。

 最新タイトルや電撃インディーがおすすめするインディーゲームを紹介しているので、ぜひフォローしてチェックしてみてください。


本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この記事を共有

公式SNS