『ポケモン』30周年記念コラム、『ポケモン』と一緒に歩いた30年。2回にわたって『ポケモン』元年である1996年の出来事を振り返りました。今回のコラムは、アニメ『ポケットモンスター』がはじまった年である1997年を振り返ります。
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この年、『ポケモン』の波はどのように押し寄せて流れていったのか、記憶を辿りながら私見を交えて綴ります。1996年コラムの前・後編をお読みでない方は、ぜひそちらも読んでみてください。
1997年の時代背景と1月~3月
『ポケットモンスター 赤・緑』が発売されて『ポケモン』2年目となる1997年。コギャルから絶大な支持を獲得した『たまごっち』(前年11月発売)の爆発的な人気からはじまります。
前年と同様にコギャルブームが継続中で、ファッションリーダーとして歌手の安室奈美恵さんを支持するアムラーに加え、当時歌手として活動し人気を獲得した篠原ともえさんをファッションリーダーとするシノラーや、女性ボーカルデュオグループ“PUFFY”のヴィンテージファッションが流行し、変わらず女子学生が日本のムーブメントをけん引していました。
また、前年に放送されたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の不可解な最終回が物議を醸し、その話題と考察で人気がうなぎ登りになっており、第3次アニメブームの先駆けとなるムーブメントが巻き起こっていました。
そんな1997年の1月。ゲーム業界では“プレイステーション”の販売台数が500万台を突破。当時、このシリーズがどの機種で発売されるかで勝敗がつくと言われた『ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち』が“プレイステーション”用に開発中と発表され、“プレイステーション”が次世代機シェア争いのマウントを取った形となります。1月31日には『ファイナルファンタジーVII』が発売され、そのディスク3枚という圧倒的なボリュームと3D化されたグラフィックにRPGの新時代を告げられた思いでした。
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このほかにも、当時の株式会社セガ・エンタープライゼスと株式会社バンダイが合併するという衝撃的な発表(その後5月に合併合意を解消)をしました。いま思えば、もしも合併していたらゲームの世界線はどうなっていただろう……などと気になってしまう自分がいます。
この頃の小学生は確実に『ポケモン』人気が広まっており、その世代を対象にした商品展開が続きます。1月には株式会社トミー(現、タカラトミー)より今日も続く人気フィギュア『モンコレ』シリーズが発売。このシリーズは、2026年2月28日に30周年記念として歴代の御三家(最初の3匹)をセットにした9種類のパッケージが販売されました。売り切れてしまう(2026年2月28日時点)パッケージもあり、このシリーズの人気の高さがうかがえます。
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それら商品展開のなかでは、アマダ(当時の天田印刷加工株式会社)より『最強シール烈伝』(10枚100円)がこの時期に発売されており、その買いやすさと10枚入りと言うお得感から人気を博していました。当時集めていた……という方も多いのではないでしょうか。
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子供の頃あるあるで、タンスとか壁に貼った……という話を耳にしたことがあります。私の場合はキャラシールになる前の『ビックリマンチョコ』で“どっきりシール”という、いたずらシールを貼って怒られた記憶があります。アマダの『最強シール烈伝』は粘着力も最強なので剥がすのが大変だったのではないでしょうか(笑)。
アマダからは、モンスターボール型の消しゴムのなかにダイキャストフィギュアが1体入った『けしモン』や、ボールに乗ったポケモンをはじき飛ばしてバトルさせる『キャラダッシュ』も同時に展開され、売り場でよく見かけていました。当時これらのアイテムを持っていた方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
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このほかにもこの時期は、子供たちに当時人気の文具『バトエン』(えんぴつを転がしてバトルができる文具)に『ポケモン』シリーズが加わり発売されています。
3月には、小学館の学年誌に現在でも人気連載中の漫画『ポケットモンスターSPECIAL』の連載が開始されます。当初は“小学四年生~小学六年生”で連載され、掲載誌を変えながら現在ではWeb漫画サイト“週刊コロコロコミック”に連載を移しています。
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横道にそれますが、この3月ごろから『ポケモン』とは別にハイパーヨーヨーのブームが訪れており、いまでも人気のホビーとなっています。
4月 アニメ『ポケットモンスター』放送開始
4月1日。ついにアニメ『ポケットモンスター』の放送が開始されます。テレビ東京系列で毎週火曜日18時30分~30分枠放送でした。
アニメ制作発表から楽しみにしていた私は、第1話をリアルタイムで視聴しましたが、ピカチュウがあまりにも可愛く……「え!? ピカチュウってこんなに可愛いんだ!」と驚愕し、放送後に思わずゲームを起動して図鑑を確認する始末……。
それまであまり気にしていなかったピカチュウの印象が更新され、アニメーションで強烈な電撃を放って「ぴっか!ぴかちゅう」と話すその破壊力に完全にノックアウトされてしまったひとりです。当時の子供たちはもとより、その親御さんたちにも「なにこれ!カワイイ!」と思って、ハマってしまった方もきっといらっしゃるはず。
とくにアニメの情報を追っていなかった私は、「最初のポケモンどうするのかなー……どれにするのか楽しみだな」なんて、てっきり御三家(最初の3匹)から選ぶだろうと呑気に思っていたので、かなり意表を突かれました。
のちにつぎつぎと御三家を手持ちに加えるサトシを観て、「ああやっぱり仲間になるよね」……フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメと感動的な出会いをする姿に嬉しくなった次第です。見ている子たちは最初に決めた御三家が居るでしょうからそのポケモンが推しのはずで、こうやってサトシが3匹ともゲットすれば不公平がないし、最初のポケモンがピカチュウだったのは本当に神がかっている……アニメ最高だな!なんて勝手に思っています。
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また、この4月には『ポケモン2』が『金・銀』2種類のカセットで出ることが発表され、これまでの『赤・緑』、『青』と通信交換できること、ポケモンが250匹以上になること、新しく幻のポケモンが登場することが判明。新たなポケモンとして、“ヤドキング”、“デンリュウ”、“ドンファン”のビジュアルが公開されて、次回作への期待が一気に膨らんだ時期でもあります。
このアニメ『ポケットモンスター』の登場は、子供たちだけでなく、ゲームをやらない親御さんたちも一緒にハマることができるピースとして埋まり、ここから先ポケモン人気が一気に加速して大ブレイクしていきます。
5月~6月 一大ブームの到来
アニメ放送がはじまると、それに合わせるようにポケモン関連の新商品が数多く出てきて、玩具や文房具売り場、スーパーやコンビニなどの棚を賑わすようになります。
バンダイのガシャポン『フルカラーコレクション』(1回100円)シリーズは、それまで無彩色しかなかったガシャポンフィギュアに新たな彩色されたラインナップとして登場し、子供たちを魅了します。
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そのほかにも、新しいホビーとして4つのサイコロを同時に振ってバトルを楽しむ『プラコロ』シリーズが登場。サイコロは自分で組み立てるというプラモデルの要素も入ったコレクション性の高いアイテムで人気を獲得します。
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また、トミーから『ポケモンメダル』(3枚入り200円)シリーズや『ポケモン スーパーボール』シリーズなどが発売。以降、追いきれないほどの新商品が続々と展開され、そのラインナップを見ても子供たちのあいだで『ポケモン』が一大ブームになっていることが分かります。
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そんな新商品の波が押し寄せるなか、5月の“月刊コロコロコミック6月号”では、『ポケモン2』(のちの『金・銀』)の新種ポケモンのアイデアコンテストなる企画が掲載されます。
このコンテストは、ポケモンのイラストと名前・タイプ(何ポケモンなのか)属性(今でいうタイプ)、データ(たかさとおもさ)、ポケモンの説明(わざなどできるだけ詳しく)を書いてハガキで送るというものでした。
このときの審査員は、現)株式会社ゲームフリークの代表取締役社長で『ポケモン』を生んだ田尻智(たじり さとし)さんと、エグゼクティブプロデューサーで現)株式会社ポケモン代表取締役社長の石原恒和(いしはら つねかず)さんという……なんとも豪華な顔ぶれ。驚くことに入賞した20名には、通常では覚えないわざを覚えたポケモン(このときはどのわざでどのポケモンとは明言されておらず、“なみのり”を覚えたピカチュウなどが候補に挙がっているとされている)がプレゼントされるというビックリ企画でした(発表は8月)。
そして6月。『青』が再び特別販売されることになります。今回の再販は、“コロコロコミック”や学年誌など小学館の12誌に掲載されている応募用紙に記入して、コンビニのローソンへ持って行きその場で代金を支払って受け付けるという方法と、近くにローソンがない人は前回と同様に誌上販売を受け付けるというものでした。
受付期間は6月13日~8月31日で、ローソンで申し込んだ人は受け取りもローソンになります。この情報を見て、購入方法の手軽さを感じた私は、アニメを観て『ポケモン』熱が再発していたこともあり『青』を購入しました。
『赤』と『青』のタイトルデモ~冒頭のゲーム画面を比較するショート動画を作ってみました。デモのポケモンが“プリン”に変更されて、オーキド博士のポケモン説明で“ニドラン♂”のグラフィックが若干変更されています。よろしければこちらもご参照ください。
6月には、14日と15日に幕張メッセで開催された“第6回次世代ワールドホビーフェア”で初の『ポケモンカード』公式トーナメントが開催されています。
この“次世代ワールドホビーフェア”ではアニメ『ポケットモンスター』の主題歌『めざせポケモンマスター』(歌:松本梨香さん)のシングルCDが先行発売され、6月28日に全国一斉リリースされました。
カップリング収録曲はエンディングテーマ曲でオーキド博士(CV 石塚運昇さん)が歌う『ひゃくごじゅういち』、そしてイマクニ?さんが歌う『ポケモン言えるかな?』、のちに挿入歌として使用された『おやすみ ぼくのピカチュウ』(歌:松本梨香さん)、そして『めざせポケモンマスター』のカラオケです。
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『ポケモン言えるかな?』は『ポケモンカードゲーム』のテレビCMソングでしたが、『ポケモン』151匹の名前が総登場するという歌詞で爆発的な人気を生みました。当時子供だった世代で、いまでも歌えるという方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。私も当時カラオケでよく歌っていたのですが、いまでもたまに歌うと一緒に行った人の意表を突いてウケます。
そんな1997年の上半期。アニメ『ポケットモンスター』の登場で『ポケモン』は不動の人気を獲得していくのですが、1997年下半期の終わり予期せぬ出来事に遭遇します……そのお話しはまた次回。今回のコラムはこの辺で……引き続きよろしくお願いいたします。
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市野ルギア プロフィール
“ファミ通”で雑誌やムック、音楽やWeb番組を作っていました。現在はフリーのミュージシャンで編集ライター。ポケモン歴は1996年2月『ポケットモンスター 赤・緑』の発売日から。“週刊ファミ通”、“ファミ通 ゲームキューブ+アドバンス”で『ポケットモンスター ファイヤーレッド・リーフグリーン』と『エメラルド』のライティングを担当。
“ファミ通Wave DVD”や“ファミ通コネクト!オン”など多くの雑誌に企画・編集・ライティングで携わってきました。
電撃オンラインでは、『ポケットモンスター ソード・シールド』より『ポケモン』シリーズのプレイレポートを不定期で連載しています。
また、ゲーム曲やそのアレンジ、ラジオやテレビの主題歌など手掛けています。歌から物語を創る自身の音楽ユニット「終末のバンギア。」をプロデュース中。
これまでの経歴などは“ポートフォリオ”ページをご用意しておりますので、そちらをご参照ください。
・“市野ルギア”ポートフォリオページ