毒霧によって文明が崩壊した世界で、かわいい獣人たちとシェルターを築き、生存圏を広げていく新作サバイバルストラテジー『Last Furry: Survival(ラストファーリー:サバイバル)』。
本記事では空気や食料まで管理するシェルター運営、建設・育成・探索が連動するゲームサイクル、個性豊かなヒーローたちの作りこみを紹介します。
本記事では空気や食料まで管理するシェルター運営、建設・育成・探索が連動するゲームサイクル、個性豊かなヒーローたちの作りこみを紹介します。

終末世界、獣人、サバイバルゲー……そういった言葉に惹かれる同志の方、ぜひ本作を知ってほしい……!
『ラストファーリー:サバイバル』は、『ザ・アンツ』で知られるStarUnionが手がけるサバイバルストラテジーです。
『ザ・アンツ』では、プレイヤーがアリ一族のリーダーとなり、アリ塚に施設を建設。資源を集めながら多彩な役割を持つアリを育て、巣の外へ勢力を広げていきました。アリの社会性や役割分担を、拠点運営や育成システムに落とし込んでいたことが大きな特徴です。
そんなStarUnionが本作で描くのは、毒霧によって文明が崩壊した世界を生きる獣人たちの社会。プレイヤーはシェルターの指揮官となり、生存者が暮らせる環境を整えながら、汚染された外界の調査を進めていきます。
一見、かわいいケモノキャラクターに目を奪われますが……実際に遊んでみると、その中身はかなり本格的。施設建設や資源管理だけでなく、空気の浄化、生存者の健康管理、ヒーローや兵士の育成、外界への探索など、考えることは山ほどあります。
扱う生物や舞台は変わっても、「特殊な生物社会を育てながら生き残る」というStarUnionらしい魅力は、本作にもしっかり受け継がれていました。
かわいい獣人たちが暮らすのは、毒霧に覆われた終末世界
本作の舞台は、有毒な霧に飲み込まれた終末世界です。外では毒に侵されたモンスターが徘徊し、かつての街や自然も安全な場所ではなくなっています。

一方、登場するのは、ネコやクマ、ヒツジ、ウシなどをモチーフにした個性豊かな獣人たち。
しかし、彼らが置かれた状況は決してのんびりしたものではありません。画面上部には空気の汚染状態を示す「AQI」が常に表示され、シェルターの外には紫色の毒霧が広がっています。
かわいらしいキャラクターたちの背後には、いつ生活圏が汚染されてもおかしくない緊張感が漂っているのです。
さらに外界へ出れば、変異したモンスターとの戦闘も発生します。
探索ステージでは、ヒーローと兵士でチームを組み、毒霧の中に潜む敵を撃退。さらにシェルター周辺のマップでは、モンスターの討伐や資源採集、情報任務などにも部隊を送り出せます。
安全なシェルターを発展させるには外から資源を持ち帰る必要がありますが、外へ出るほど危険も増えていく……。この”安全を守るために危険へ踏み込む「構造」が、拠点運営と探索を自然につないでいました。かなり分かりやすい構図です。
空気・食料・睡眠まで管理するシェルター生活
毒霧から生存者を守る拠点となるのが、プレイヤーの管理するシェルター。
中心には空気を浄化する「浄化装置」が設置され、その周囲に農場、食堂、宿舎、診療所、製材所などを建設。施設を増やし、レベルを上げながら、生存者が暮らせる環境を作っていきます。


最初は何もない部屋だった場所に設備が増え、そこで小さな獣人たちが動き始める様子を眺めていると、単に施設レベルの数字を上げているのではなく、本当に避難所を作っているような実感がありました。
さらに、本作で管理するのは建物や資源だけではありません。生存者には、健康状態や幸福度に加えて、満腹度、睡眠、新鮮な空気、快適性、気分といった複数の状態が用意されています。
食料が足りず、十分に眠れない状態が続けば、健康状態が悪化して病気になるリスクが高まります。新鮮な空気も健康に影響するため、毒霧に覆われた世界では、浄化設備を維持することも生活を守るために欠かせません。
また、快適性や気分が低下すると幸福度が落ち、生存者が仕事で本来の力を発揮できなくなります。
生存者は、施設を動かすために配置するだけの「人数」ではありません。食事をして、眠り、体調や気分を変化させながら暮らしている生活者なのです。


建設・研究・育成・探索がつながる成長サイクルがクセになる
『ラストファーリー:サバイバル』では、シェルター内の施設建設だけでなく、技術研究、兵士の訓練、ヒーローの育成、外界への探索など、さまざまな要素を同時に進めていきます。
考えることが多い……! となりますが、ここに中毒性があるのも間違いありません。
限られた資材をどこへ使うか悩む施設建設と研究
シェルターでは、農場や食堂、宿舎、診療所、製材所など、生存者の生活や資源生産を支える施設を建設していきます。
さらに、建物のレベルを上げるだけでなく、食堂内のガスコンロや配膳用のカウンターなど、施設内部の設備も個別に建設・強化できます。
何もなかった建物の中に少しずつ設備が増えていくため、シェルターが発展している実感を得やすい作りです。

研究では、建設・研究・訓練・治療などの速度を高める技術や、シェルターの機能を拡張する技術を習得できます。効果を考えれば早めに進めたいところですが、目の前の施設強化を優先したい場面も少なくありません。悩ましい。
序盤はナビゲーションが次に必要な建設や強化を教えてくれるため、完全に手探りで進めることはありません。
しかし、ナビゲーションとは別に研究や育成も並行して進められるため、ゲームに慣れてくると「次は何に資材を使うべきか」を考える必要が出てきます。
資源生産を優先するのか、建設速度を上げる研究を進めるのか、それとも探索で行き詰まらないように戦力を強化するのか。
限られた資材の使い道を見極めることが、シェルター運営のおもしろさにつながっていました。
建設は放置で進行。同盟の支援がありがたくなる
施設の建設やレベルアップには時間がかかりますが、完了するまでゲームを起動しておく必要はありません。

序盤は数秒から数分で終わるものが中心ですが、シェルターレベルが上がるにつれて待ち時間も延びていきます。筆者が到達したシェルターレベル9付近では、施設をレベル1つ上げるだけで数時間かかることもありました。
とはいえ、待ち時間中に画面を眺め続ける必要はないため、外出前や就寝前に建設を始めておけば、次にログインしたころには作業が進んでいます。
長時間遊び続けて一気に進めるというより、空いた時間に建設や研究を設定し、少しずつシェルターを育てる遊び方と相性がよい印象です。
建設時間が長くなってくるほど、ありがたさを感じるのが同盟メンバーによる支援です。というのも、同盟に加入すると、ほかのプレイヤーから建設時間の短縮を手伝ってもらえます。
序盤は数分の短縮でも、建設に数時間かかる段階になると積み重ねが無視できません。自分もほかのメンバーを支援できるため、直接会話を交わさなくても、互いのシェルター発展を助け合っている感覚がありました。
オートと2倍速で進むバトルは、育成の成果を試す場所

外界を進んでいく探索ステージでは、ヒーローと兵士でチームを編成し、毒霧の中に潜むモンスターと戦います。
ヒーローにはシューター、ガード、ヴァンガードといったクラスがあり、それぞれ異なる役割を持っています。手持ちのヒーローから戦力を整え、複数のキャラクターを組み合わせてステージへ挑むことになります。
バトルは基本的に自動で進行し、ヒーローのスキルゲージがたまると強力な技を発動できます。オート機能を有効にすれば、スキルも使用可能になったタイミングで自動発動してくれるため、細かい操作はほとんど必要ありません。
敵の攻撃を避けたり、キャラクターを直接動かしたりするタイプのバトルではないため、アクション性を求める人には操作介入が少なく感じられるかもしれません。一方で、シェルター運営や育成を中心に楽しみたい場合は、オートと2倍速のおかげで戦闘をテンポよく進められます。
バトルそのものを細かく操作するというより、事前にどれだけ戦力を整えられたかを確認する場所という印象でした。

シェルターの外では狩猟・採集・調査・対人戦が待っている
探索ステージとは別に、シェルターの外へ部隊を派遣するワールドマップも用意されています。
外界では、モンスターを討伐して資源やアイテムを獲得する「狩猟」や、資源地へ部隊を送り込む「採集」、さまざまな任務に挑戦する「情報」などを行えます。

資材が不足しているときは採集へ向かい、育成した部隊の力を試したいときはモンスターを討伐するなど、シェルターの状況に応じて行動を選べます。
さらに、ほかのプレイヤーが管理する拠点を攻撃して資源を奪う「略奪」や、同盟の仲間と協力して戦う要素も存在します。安全なシェルター内で施設を育てるだけでなく、外の世界ではほかの勢力も意識しなければなりません。
外へ出れば資源を得られますが、部隊を派遣するには戦力が必要です。そこで持ち帰った資源を使ってシェルターを強化し、さらに強い部隊を育てて、より危険な地域へ。
建設、研究、育成、探索がそれぞれ別のコンテンツとして並んでいるのではなく、円を描くようにつながっているわけです。こうした循環構造がうまく作り込まれていると感じました。
ヒーローたちの過去を知るほど、再建したい世界が見えてくる

シェルターの建設や探索を進めるうえで、戦力の中心となるのが個性豊かなヒーローたちです。彼らについても触れておきましょう。
ヒーローたちの魅力は見た目だけではありません。キャラクター画面を開くと、災害前の職業や家族、生い立ち、毒霧によって人生がどのように変わったのかを描いたストーリーを確認できます。
全ヒーローに用意されたストーリーシート

各ヒーローのキャラクター画面にストーリーシートが用意されています。そこに書かれているのは、性格や得意分野を簡単にまとめただけの紹介文ではありません。
彼らが災害が起きる前に何をしていたのか、どのように毒霧を生き延びたのか、なぜ武器を取り、現在の戦いへ身を投じているのかまで細かく描かれています。こういう部分まで読み込んでしまうタイプの人間にはたまらないものですが、過去が重い……。
たとえばブラウンソンは、毒霧災害が起きる前には街の電力を支える作業員でした。
電柱に登って設備を点検し、人々の暮らしへ黙々と明かりを届けていたものの、毒霧によって電力網が崩壊。個人の力では巨大なシステムを修復できず、初めて無力感を味わったという過去を持っています。
ゲーム内では戦力を支えるヒーローのひとりですが、その背景を知ると、彼が文明の崩壊をただ生き延びた人物ではなく、かつて守っていた日常を失った人物であることがわかります。
ほかにも、配達員、エンジニア、電力作業員、猟師、警部、探偵、農場で働く少女など、ヒーローたちの災害前の立場はさまざまです。
終末世界を舞台にしたゲームでは、キャラクターの現在の強さや能力だけが注目されがちです。しかし本作では、その強さを身につけるまでに何を失い、何を守ろうとしているのかまで設定されています。
ルナ、セフィ、ネイラの3名から見える、本作の“キャラクター造型”
本作は、キャラクターの過去とゲームシステムが結びついている点にも、作り込みを感じました。
ルナは、災害前には「疾風エクスプレス」で配達員として働いていた少女です。
毒ガス災害で職場を失い、モンスターとの戦いを経験したことで、仲間を集めて故郷を守る立場へと変わりました。彼女の物語は、生存者たちが力を合わせて共同体を築く本作のテーマを象徴しています。
セフィは、防衛施設の建設を得意とするエンジニアです。各勢力からの誘いを断っていましたが、毒源を記した地図を持つルナに同行を求められ、工具箱を手に仲間へ加わります。
シェルターの建設や防衛が重要となる本作において、セフィの経歴はゲームシステムと直接結びついています。
一方のネイラは、毒霧に覆われた廃墟からひとりで生還した人物です。凄惨な経験によって他者を信じられなくなり、誰の命令も受け入れようとしないとのこと。
仲間を集めるルナや、その誘いに応じたセフィとは対照的で、毒霧が人々の心に残した傷や終末世界の過酷さを表しています。
ルナは共同体、セフィはシェルター建設、ネイラは毒霧の脅威をそれぞれ象徴しています。
かわいらしいデザインだけでなく、人物の過去や価値観が本作の世界設定やゲーム要素へつながっている点も、キャラクター造型のおもしろさだと感じました。
人物同士のつながりが、崩壊前の社会を想像させる

ヒーローたちは前述した通り、それぞれに過去を持つだけでなく、災害前から家族や仲間、仕事を通じてつながっていました。
たとえばクロエとリヴァーは、毒霧が降りる前、東境の森林地帯で出会っています。バンド活動をしていたリヴァーと、自作のライフルを背負い、森で暮らしていたクロエ……まったく異なる環境で生きてきたふたりの間に、不思議な共鳴が生まれています。
ほかにも、カルロッタ、アマンダ、シルヴィの三姉妹や、警部だったローガンと路上で生きてきたマーサなど、複数の人物に関係性が用意されています。
こうしたつながりから、毒霧災害が起きる前にも、人々の仕事や家族、対立を含む日常があったことが伝わります。
キャラクターを個別に作り込むだけでなく、人物関係を通じてひとつの社会を描いている点にも、本作ならではの魅力を感じました。こういった要素が濃い作品が好きだ……という方にも遊んでもらいたいタイトルです。