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『クレイジータクシー』新作は壊れない&炎上なし! 警察vsタクシーの対戦や浅草爆走のこだわりを開発陣が語る

文:ライターM

公開日時:

 9月17日~9月21日にかけて開催中の東京ゲームショウ2026にて、名作シリーズの最新作『クレイジータクシー:ワールドツアー』がプレイアブル作品として公開されています。


 本稿では、シリーズの生みの親であるクリエイティブプロデューサー・菅野顕二さんと、ディレクターを務めた百渓曜さんのインタビューをお届けします。

▲菅野顕二さん(写真左):『クレイジータクシー:ワールドツアー』クリエイティブプロデューサー。百渓曜さん(写真右):『クレイジータクシー:ワールドツアー』ディレクター。

イカレた名作シリーズの生みの親が語る最新作『クレイジータクシー:ワールドツアー』誕生秘話

5つの都市それぞれに"走り"のコンセプト


――今作では5つの都市が舞台として発表されていますが、TGSでプレイアブルとして公開しているドイツと日本以外の都市については、まだ秘密という認識でよいでしょうか。

菅野
はい、順次公開されていく形になります。

――では、今回体験できた日本のマップと、もう1つ公開済みのドイツのマップについて、それぞれ設計面でこだわった点を教えていただけますか?

菅野
それぞれのマップの特徴を出すことがこだわりでもあるんですけれど、走りとしての違いを端的に申し上げると、ドイツのマップでは「面で走る」ということが一番大きい特徴かなと思っています。

 プレイスキルを試しやすい場所として、割と広いエリアも多く設計されているところです。


 一方、日本はクイックネスな道を、素晴らしいスキルで華麗に走ることができれば楽しくなるというように、もう少し踏み込んだデザインになっています。そこはこだわったポイントでもあります。

――ゲームの難易度設計的なお話でもありますよね。

菅野
そうですね。背景など見た目の話をすれば、どのマップもすべてこだわって作っています。ドイツについては大枠の設計をしたあと、実際にアーティストとゲームデザイナーがドイツに足を運んで取材を行い、その空気感をしっかり吸収したうえで最終的なデザインを詰めていきました。日本は出張しなくても行けますので、少しリーズナブルでしたけれど(笑)。

 いずれにしても、背景のディテールにはこだわって作り込んでいますので、どのマップも全体的にそこは共通したこだわりがあります。

――日本のマップは有名どころが凝縮されているという印象を受けました。ドイツのマップも、現地に住んでいる方が走ってみると「ここは!?」とピンとくるように描かれているのでしょうか?

菅野
そうですね、ドイツで開催されたgamescomでも取材を受けたのですが、ケルン出身のインタビュアーの方が「私の街を作ってくれてありがとう」と言ってくれて、そのひとことで安心できました。

 初代『クレタク』のウェストコーストのマップもいいとこ取りといえばいいとこ取りで、当時からうまく再現していると評価をいただいていましたので、似たような手法を使ったという感じです。

――表現自体はものすごくリアルに再現されているんですけれど、地図としてはデフォルメが効いていて、そのバランスが絶妙だなと感じました。

菅野
『クレタク』はコースが架空であるというのが大前提としてあって、背景が主体というよりはどうやって遊ばせるかということを考えています。本作でもほかの国のマップを作るにあたっても、そこは前提として設計しました。

 日本であれば、どういうコンセプトを楽しませるのがいいかを考えて、空中に高速道路がある風景は日本の特徴だよねという話をまずして、そこをスピーディーに走れる部分として取り入れました。


 日本ならではの少し狭い感じで、でも爆走できるというところと、各都市をつなげながら都市ごとのコンセプトを持ってどういう遊びをさせるかを想像しながら設計していく中で、それぞれの要素を詰め込んでいます。

 海外の方が見ても「日本にこういうところがあるよね」と感じながら走ってもらえるようにというのを、両面で意識して作ったところではあります。

――やや間違った日本が伝わりそうな気もしなくもないですが……。

菅野
まあ、そこはちょっとクレイジーで良いのかなとは思っています(笑)。

日本マップのエリア選定理由は?


――日本のマップに渋谷っぽいエリアや横浜方面の大黒ふ頭を思わせるエリアがありましたが、街の選び方はどのように決めていったのですか?

菅野
やはり走行体験ありきで考えています。渋谷は海外の方から見ても非常にわかりやすい、よく見る光景として「絶対に実装しよう」という話があって、起点の1つになりました。

 そのほかは、車の走行として楽しいところ、あるいは車好きとして意識しやすい場所をつまんで要素を入れていった形です。


――海外の方が「日本といえば」と思い出すような場所も重視されたんですよね。

菅野
そうですね、それは重要な要素の1つとして考えています。

――浅草はカオスですね。あの狭さで通行人のスタントマンかと思うような避け方がなんとも言えなくて(笑)。

菅野
車ゲームとして、現実では走れないような場所に侵入できるというのも楽しい要素の1つかなと思っていて、そういったところも意識しています。

実在企業がゲーム内に登場


――マップ内にABCマートやかに道楽のような、実在の企業の看板やランドマークが登場しているように見えましたが、あれはコラボレーションという形なのでしょうか。

菅野
ゲーム内広告のような収益目的の協賛という感じではなく、世界観としてのリアリティを出すために対応しているという感じですね。

 街中に実在する企業の看板が並ぶことでリアリティが増しますし、目的地としてゲーム内に表現できるという点が大きいです。「どこどこへ行ってくれ」という形でゲーム内に落とし込めるので、そこはリアリティを感じさせるうえでのこだわりでもありました。


 今回は、日本およびドイツの各都市に多くフランチャイズを展開しているような企業さんにコンタクトをとらせていただいて、賛同していただいた企業さんにジョインしてもらっている形です。

 日本であればくら寿司さんのように、日本を代表するフランチャイズの企業さんにお声がけをしています。ドイツはドイツで、PUMAやケルヒャー、ツヴィリングといったドイツのファッションや生活用品のメーカーにも話をさせていただきました。とくに収益を目的とした横断的な考え方ではなく、世界観としてのリアリティを出すために対応しているという位置づけです。

――発売の際に、ゲームに登場したスポットを実際に訪れる、といったユーザーの動きも出てくるかもしれませんね。

菅野
そういう形でユーザーさんに喜んでいただいて実際にお店を訪ねてくれるようになれば、それはとても良いことだと思います。ただ、あくまでもユーザーさんの自由ですので、そういう楽しみ方をしてくださる方がいればうれしいなと思っています。

破損なし、炎上なし、笑いのあるゲームへのこだわり


――ゲーム中でどんなに無茶をしても、タクシーが壊れたり、人が倒れたりといった表現は一切ないですよね。これもこだわりからくる描写なのでしょうか。

菅野
こだわりすぎていろいろな人に「何をやっているんだ」とすごく言われましたけれど(笑)。壊れた方がリアリティがあるというビジョンを持っている方も当然いますし、その方がいいという意見も多くありました。そこは頑なに「嫌だ」と貫いてきた部分なので、良く受け取っていただけるのであればホッとしますね。

――通行人の避けるモーションも印象的ですよね。

菅野
あのモーションは制御するのが大変なんですよ。すごく印象に残ると思いますし、ある意味オリンピック選手以上の動きですよ(笑)。


――さまざまな方向から突っ込んでいっても、それぞれいい感じのリアクションをしてくれるのがおもしろくて。

菅野
回避モーションも何種類か用意していて、バク転で避けたりといったものも入っています。距離感やスピードによっていろいろなパターンがあるので、そのあたりも1つの楽しさかなと思います。

 旧作でも、一般の通行人が避ける動作を見て「あ、『クレタク』ってコレだよね」と感じる方も多かったですし、今作でもその感覚は大切にしています。

――現在のコンプライアンス的に「逆走や無茶ができる内容がよく通ったな」と、ある意味驚きもありました。

菅野
ゲームのレーティング審査などでは、その行為の内容だけでなく、ゲームの雰囲気みたいなものもけっこうチェックされています。コンプライアンスの基準として、表現がどれだけ明るいかというところもわりと重要な要素かなと個人的には思っています。

百渓
人の怪我や死を連想させるものは表現しないというのは、菅野から何度も言われていた基本的なルールとして最初に掲げられていましたので、そこはチームとして意識して作り続けています。

菅野
ストレスが多い時代の中で、1人でも多くの人に笑ってほしいし、エキサイトしてほしい。このコンテンツをそういう方向に持っていきたいんだということは開発の初期から話していました。

 チーム全員が共感してくれて、本当にカラフルな色で笑いが広がっていくようなタイトルにしていこうというコンセプトを一貫して作ってきましたので。

新旧ユーザーへのアプローチ


――今の時代、オープンワールドで走れるゲームも増えてきています。シリーズ作品を知らないような若い世代に対してどのようにアピールしていくか、差別化の方向性を決めるうえで苦労された点はありますか?

菅野
まず、オープンワールドが多い中でも違ったユーザー体験を提供したいというのが一番にありました。新しい『クレタク』には何が最も適しているかを考えたときに、「世界中を走り回っている感覚」を提供することが良いのではないかというのが初期段階から固まっていた方向性です。

 シリーズを知らない世代にどう届けるかについては、開発プロセスの工夫によって解消を図りました。私はオリジナルの『クレタク』も作ったことがある人間なので、固定概念も含めて「『クレタク』はこうあるべき」というビジョンがあります。

 一方で、入社1年目で旧作を知らない社員も当然います。そういった20代・30代の若いスタッフも含めて、新しい『クレタク』はこうあるべきではないかというディスカッションを幾度となく重ねてきました。

――若い世代の意見も同じ目線で取り込んだと。

菅野
勝手な思い込みで「こうあるべき」と決めてしまうと、おじさんが若い人に的外れなギャグを言っているような、痛い感じになってしまいますからね。本当にリアルに遊ぶ世代に近いスタッフの意見を同じ目線で聞いたということが、新しいユーザーや若い世代でも受け入れられるコンテンツメイクに繋がると信じています。

アーケード版との大きな違いは……


――今作でシリーズから大きく変えた部分というのはありますか?

菅野
大切な部分を守ったうえで変化させていますので、ある意味変えていない部分はないのかもしれないですね。絵作りにしても操作性にしても、少し体育会系な言い方をすると「魂だけはちゃんと引き継いで、手段は変えている」ところはけっこう多いと思います。

百渓
ゲーム全体のデザインとしては、アーケードゲームだった旧作とはまったく違うものになっています。ただ、守るべきものは守り、『クレタク』とは何かというディスカッションを重ねて本質を突き詰めました。ファンの方に触ってもらうと「全然違うゲームなんだけど、これぞ『クレタク』だよね」と言っていただけているので、狙い通りにできたのかなと実感しています。

――アーケード版はタイムアップでゲームオーバーというシステムでしたが、今作ではタイムアップになった場合のゲームへの影響はどのようなものですか?

菅野
基本的には、コンシューマとしてフリーに走り回れるというデザインを最初から絶対にやるべきことと位置づけていました。お客さんを運んでお金を稼ぐこともできますし、その成績にはうまくできたかどうかが関連するのですが、好きなものを好きなだけ遊べるようにしながら先に進むというのが基本的なゲーム構造です。

 早く終わってしまってももう一度やればいいという感覚で、うまくやれれば一度でたくさん稼げますので、そこを意識して遊んでもらえるようなデザインになっています。

タクシーのバリエーションやカスタマイズ要素もあり!


――プレイ中、黄色いタクシー以外に青い車体も選べるような表示が出ていました。ゲームを進める中でお金を貯めて乗り換えていくような要素があるのでしょうか?

菅野
そういう要素もご用意していく形ですね。

――車種はどのくらい用意されていますか?

百渓
数字については詳しくはお伝えできないのですが、CNT(クローズドネットワークテスト)の段階では6種類の車両が選べるようになっていました。

――セガさんのことですから、タクシー以外のとんでもないものが混じっているのではないかという気もするのですが……。

菅野
そういうところもいずれ(笑)。


――今回の試遊ではロックがかかっていて見られなかったのですが、車体のカスタマイズ項目のようなものも見えました。

菅野
メインのストーリーが楽しめるワールドツアーの中で、車を強化したり新しく手に入れつつ、各ミッションを乗り越えていくという要素があります。

懐かしいBGMにも注目!


――ゲーム中の楽曲について、掛け声やポップな感じのBGMが懐かしいなと感じたのですが、旧作シリーズの楽曲が引き継がれているのでしょうか?

菅野
今回お聴きになったのは、おそらく『クレタク』の1作目に採用されていた楽曲を、今回ライセンスの話をして権利を得たうえで使用するという形で、みなさんにお聴きいただいているものです。

 旧作ファンの方々が非常に好意的に受け入れてくださっている部分でもあります。その後の楽曲についてはどうなるのかというお話については、現段階ではもう少しお楽しみにしていてくださいという形でお伝えしておきます。

シリーズ初のオンラインマルチプレイ


――CNTが近く実施されたオンラインマルチプレイについて、シリーズとして初めての実装となると思いますが、その理由や経緯を教えていただけますか。

菅野
理由はシンプルですね。1作目が出たあとからも、ドリームキャストにはオンラインでつなぐ機能もありましたので、マルチプレイをやりたいという声はユーザーさんからも社内からもずっと多かったんですね。

 当時はレイテンシーの問題などテクニカルな課題もありましたし、タクシーゲームでオンラインってどんなゲームデザインにするかという問題もあって、リクエストに応えられなかった経緯がありました。今回このタイトルを進めるにあたって、百渓がチームに加わってくれたことが一番大きいのですが、マルチプレイの知見がある人間がこうあるべきという考えを持って、『ボーダーブレイク』のコアスタッフも数名参加してくれました。『クレタク』でマルチプレイが実現できるのかという話を百渓とも何度か交わして、これならいけるという見通しが立ったので実行に移したという形です。

 スタッフィング環境が整ったというのが一番ですね。

――具体的にどのようなマルチプレイモードが用意されているのでしょうか。

百渓
ワールドツアーとは別の独立したモードとしてマルチプレイを用意しています。CNTではそちらを試していただきました。

 1つは速さを競うモードで、目の前の客を順番に拾って届けていき、最後の客を届けた人がゴールという内容になっています。目的地を複数のプレイヤーで共有するため、ゴールで他の車と接触したりというやりとりが絡んでくるところが特徴で、ただのスピードレースとは違うおもしろさがあると思っています。

 もう1つはタクシー対警察の非対称バトルです。4対2の構成で、強い警察2台がタクシー4台を追い回す形になっています。タクシー側は警察の追跡をかわしつつお客さんを届けるというノルマが課されて、捕まった味方を解放する手段なども用意しています。


――警察の強さはどういった点にあるのでしょうか。

百渓
基本的にはスピードが速く、タクシーに追いつくことができます。タクシー側から警察への攻撃手段はないので、警察は性能的に絶対的に優位というのが基本にあります。

――ワールドツアーのミッションにも警察と絡む要素が断片的に入っていましたね。

菅野
そうですね。ワールドツアーの中にもそういった断片的な要素を盛り込んでいますので、そこからマルチプレイにも興味を持ってもらえれば、より良いなと思っています。警察を操作できるのはマルチプレイモードだけですので、それが動機になってくれる方もいるのではないかと期待しています。

――ランキングのようなプレイを続けるモチベーションになる仕組みはありますか?

百渓
ランク的なものは用意しようとしていて、勝ち続けるとランクが上がっていくような要素を入れています。

――発売後のアップデートで何かが追加されるといった展開は考えているのでしょうか。

菅野
今はローンチに向けての準備をしているというのが、現段階でお伝えできるすべてです。全集中でリリースの呼吸といった感じですね(笑)。

シリーズファンへのメッセージ


――最後に、本作を心待ちにしている方々へのメッセージをお願いします。

菅野
『クレタク』には、根強いファンの方がいてくださっていて、今回のリリースに向けての発表ができたことは、オリジナルを作った私からすると本当に感謝しかありません。まず「ありがとうございます」というのをお伝えしたいです。

 旧作のファンだった方々が「あ、これが『クレタク』だな」と言っていただけるようなデザインに仕上がってきたと思っていますし、初めて『クレタク』に触れる方にとっても、こんなにスカッと爽やかなタイトルはなかなかないね、と感じていただけるくらい気持ち良いタイトルになっています。

 今後触れていただける機会も出てきた際には、ぜひ遊んでいただいて、喜んでいただければうれしいなと思っています。

百渓
旧作からして『クレタク』は、ほかにはない体験ができるゲームだと思っています。本作はそれをしっかり継承しているので、まだ『クレタク』を知らないプレイヤーの方でも、触っていただければ、ほかのタイトルではできない体験が必ずできると確信しています。発売されたらぜひ一度遊んでみてほしいです。

――本日はありがとうございました。

▲TGS2026では試遊もできます!

『クレイジータクシー:ワールドツアー』概要


対応機種
Xbox Series X|S/Xbox on PC/PC(Steam)/PlayStation 5/Nintendo Switch 2

発売日
2027年発売予定

希望小売価格
未定

ジャンル
ドライビングアクション

プレイ人数
1人(オンラインマルチプレイ時:最大6人)

発売・販売
セガ

CERO表記
審査予定

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